「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-16

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
【電磁人の韻律詩16~明日恋路のbitter or sweet~】

明日真は善良な人間だった。
見ず知らずの誰かの為に血を流し、
見ず知らずの誰かの為に涙を流し、
見ず知らずの誰かの為に汗を流せる、
そしてそれを誰かに誇ることはしない。
そんな明日真と契約している都市伝説「電子レンジで猫をチン!」である恋路は誇りに思っていた。
でも、彼女はそんな自分の契約者に不満を覚えていることが一つだけ有った。
自分のことだけ見ていて欲しい、それが無理でもせめて家では正義の味方を忘れて幸せそうな顔をして欲しい。
正義の味方の彼は何時でも、そう家の中でも誰かの不幸に心を痛めているのだ。
恋路は、彼が悲しそうな顔をしているのが嫌だった。
幸い、あとしばらくするとバレンタインデーがある。
偶にはチョコレート会社の戦略に乗ってやるのも悪くはないと恋路は考えて居た。
チョコでも渡せば明日真が嬉しそうな顔をするに違いない。

「さて、何を買ったものだろうか……?」
恋路はとあるデパートの地下一階で迷っていた。
彼女にはチョコなど買ったことのある記憶が無いのである。
彼女の記憶の中にはそういうほのぼのとした日本の行事のことなど全くなかったのだ。
店員にお勧めを聞いてみようかとも考えたが、生憎彼女は意外と人見知りするタイプだ。
見ず知らずの店員さんに自分から声をかけるなんてとてもではないが出来ない。
そんな時だった。
「よう、恋路ちゃんじゃないか。」
「あらら、Hさん!」
彼女の背後には黒服Hと恋路にとっては見知らぬ女性が立っていた。
「そちらの方は……?」
「あれ、二人ともディナーショーに来てたんじゃないのか?」
「ああ……!」
「うふふ、こんにちわ、貴方が恋路さんですね?
 黒服さんから貴方の契約者のことも含めて話を聞いていますよ。」
恋路は彼女に見覚えがあった。
彼女は明日と恋路がクリスマスに向かったディナーショーで歌っていた歌手だったのだ。
オフだとずいぶん雰囲気が違うなあ、と思ってしまったのが顔に出たらしい。
「今日はオフですから。」
と恋路は言われてしまった。

「恋路ちゃん、あの正義の味方にチョコを買おうとしているのか?」
「え?そうですけど……。」
「なら……、そこの店の棚の中段、あそこな。
 あそこの右から三番目のチョコを買うと良い。」
「なんでですか?」
「あいつ、人に言ってないけど多分甘い物嫌いだ。」
「ああ………。」
黒服Hが彼女に買うように勧めたのは確かにカカオ90%超のビターチョコだった。
しかしここで恋路に疑問が残る。
「なんでアスマが甘い物苦手だって解るんですか?」
「ああ、性格と味覚って結構関係があってな。白黒はっきりつけたがるあいつは甘い物は苦手なんだよ。
 関係無いけど激辛が大好きな奴はドMでドS、自らの意志で面倒ごとにぶつかり、それを超える意志が有る。
 ただしどうしようもない壊れ方をしているとも言えるけどな。
 苦い物が好きな奴は悲観主義者だ。悲しい出来事が起きるのが自然なことだと思っている。
 悲しい自分素敵って思ってる奴も多い。
 ちょっとした会話の種に使ってみると良いぜ。」
「へぇ……。解りました。じゃああのチョコ買ってきます。」
「ああ、そろそろ捕まえておかないと帰って来れなくなるあの馬鹿は。」
そんな演技でもないことを良いながら黒服Hは呪いの歌の契約者と共にデパートの人混みの中に消えた。
後には営業妨害決められたチョコ売り場のおばちゃんと恋路が残されていた。
仕方がないので恋路は自分用に一つチョコを買うことにしたのであった。

恋路は別のチョコ売り場に行くと黒服Hに指示された物を買うことにした。
持ってきたバッグに包装したチョコを入れて貰っていると後ろから子連れの男が一人話しかけてきた。
「よう恋路ちゃん。元気そうで何より。」
「あの、どちら様でしょうか……?」
髪をダラッとだらしなく前に垂らした男が其処にいた。
服も緩い感じの服装でどこからどうみても休日に子供を連れているお父さんといった所だ。
新手のナンパだろうか?と思って恋路は一瞬身構えた。
「ナンパなんかじゃないぜ。俺だよ、俺俺。」
男は前髪を後ろになで上げた。
「……笛吹さんじゃないですか。」
「やっと解ってくれたかい。この格好しているだけで誰も俺だって気付かないんだぜ?傑作だよ。」
「こんにちわ恋路おねーちゃん!」
「こんにちわ、穀雨ちゃん。
其処にいたのは私立探偵笛吹丁、ハーメルンの笛吹きの契約者、と彼が孤児院から誘拐した少女だった。
普段は赤を中心としたストライプのスーツに丁寧に整えられたオールバックの髪型の為、
今恋路の目の前に立っている彼とは印象が全く異なった。
ついでをいえば目元も少しばかり優しい感じがする。
「君も美人ではあるのだろうが……、俺のストライクゾーンにはちょっと遠い。」
そういって彼女の目の前のロリコンは嘆いて見せた。

「はぁ、それより何でわざわざ……、用でもあるんですか?」
「いや、あの正義の味方にチョコを買っているみたいなんでアドバイスでもしようかと思って。」
「というと?」
「あいつには、甘い物喰わせてやれ。確かにあいつは苦い物の方が好きだけど……。
 お前が無理矢理甘い物喰わせれば少しは性格も円くなるだろう。
 今のあいつは危なっかしくて見ていられない。」
「………そう言う見方も有るか。」
「さらにいうとその甘いチョコを……。」
「え!?でもそれもありっちゃ有りだよな……。」
「お兄ちゃん何の話してるの?」
「いや、明日お兄ちゃんにチョコを食わせる算段をだな……。」
「それ、やってみるよ。」
さっきの黒服と言っていることは違うが推察の仕方は同じだ。
恋路は妙に納得していた。
「ところであいつは今日も正義の味方かい?」
「え、……ああ、バレンタインディに腹を立てた都市伝説契約者が暴走しているだの……。」
「ふむ……、そうかそうか困った奴だ。
 俺はこの子と北斗神軒で激辛麻婆豆腐を食わなくてはならない。
 さらばだ正義の味方の恋人。」
上田明也はそのまま帰ろうとしていたが恋路は彼の話に出た中華料理の店の名前に聞き覚えがあった。
そしてそれが彼女の記憶通りならば彼女は上田明也を止めるべきだと思った。

北斗神軒。
その店の名前はこの学校町ではそこそこ有名だ。
あまりの激辛に味の世紀末だの言われている店で町の外からも激辛目当てに来る客が居る。
看板メニューは北斗ラーメン、南斗水鳥炒飯、そして無想転生麻婆豆腐である。
おそらく上田明也が食べようとしているのは無想転生麻婆豆腐だ。
何人もの人間が挑んでは敗れていった伝説の麻婆豆腐である。
「探偵さん、それは児童虐待だ。」
「どうかな?この子はすでに世紀末レベルの北斗ラーメンをクリアしている。」
「な、なんだと……!?」
「ぴりっとしてておいしかったよ!」
「勿論俺は麻婆を5分以内に完食できるぜ。」
無邪気に笑う穀雨。
邪悪そのものの笑みを浮かべる上田。
彼らはどうやら世紀末の使徒であるようだ。
「こんどこそじゃあな、縁が合うからまた会おう。」
「じゃあねおねーちゃん!」
そういって上田明也と穀雨は楽しそうにおしゃべりしながら歩いて行ってしまった。
恋路はその方向が黒服Hの居る方向だと言おうと思ったのだがそれを言う前に彼らはどこかに行ってしまった。

恋路がチョコを買って家に帰ると明日真がソファーに寝そべっていた。
「ただいまアスマ。だるそうだねえ。」
「あ、お帰り恋路……。いやほら、なんか世間はバレンタインデイかと思うとねぇ?
 チョコ貰って何が嬉しいのかなあ?
 チョコ貰えないせいで暴れる奴らもいるしさ……、
 チョコなんてつまらない物のせいで無駄に暴れて不幸になる人間が居るかと思うと……。」
「そんなつまらないこと言うものじゃないよ。
 ほら、これ。」
恋路は無造作にチョコレートを投げて渡す。
「えー、俺甘い物苦手なんだよ。」
「でも私から貰った物なら嬉しいでしょ?」
ニヤっと笑って聞いてみる。
きっと肯定してくれるに違いない。
嫌いな筈の甘い物でも自分から貰ったら嬉しいと彼は言ってくれる。
恋路は明日を試していた。
「そりゃあ……。」
「ちょっと食べて見なよ。」
そう言われて無造作に包みを開けてチョコを頬張る明日。
「……甘くない。これは中々良いね。」
上機嫌な明日。
「甘いのが嫌いなんて変わってるよね。」
そう言いながら恋路は自らの為に買ってきた甘いチョコをまるで鉄でも溶かす溶鉱炉みたいにゆっくり溶かし始めた。

「甘いのが嫌いっていうか……、なんか甘いのって許せないんだよ。俺の好みとして。」
「えらく適当な理由だね。」
「好みなんてそんなもんだろう?」
「はっきり白黒つけたがるから甘いのが苦手なんじゃないの?」
誰かの台詞の受け売りだ。
「そうかもしれない。」
「あんまり白黒つけると生きづらいよ。
 チョコも生き方も真ん中くらいが丁度良い。」
「…………。」
何も言わずにソファーに倒れ込む明日。
「ねえ、アスマ。」
それ程大きい訳ではない、むしろ酷く頼りなさげな背中を恋路は叩く。
「どうした………ンムゥ!?」
明日真がくるりと寝返りを打った瞬間だった。
「少しばかり甘くなりなさい。」
明日真は恋路に思い切り口を塞がれていた。
先程から恋路の口腔内でドロドロに溶けていたチョコレートが容赦無く彼の口の中に流し込まれる。
恋路は明日の両手をガッチリと握りしめて逃げ出さないように押さえつける。
明日真の腕からはゆっくりと力が失われていった。

チョコを全て明日に飲み込ませると恋路は明日を解放した。
「正義の味方は別に良いけど……。
 家に帰ってきてるときくらいはもうちょっと甘くても良いんじゃない?
 じゃないと私もなんていうか、やりづらいしさ。
 とにかく家の中で辛気くさい顔禁止!
 辛いならもっと私を頼りなさい!
 私に命救われてるくせに自分一人で抱え込もうとしているんじゃないぞ!」
恥ずかしかったのか顔を真っ赤にして恋路は一気にそう言った。
「――――――ちょっと昼寝!」
そのまま不機嫌そうに彼女は二階に歩いて行ってしまう。
「………苦いなあ。」
明日真はそう言うと口の端についたチョコを舐めてやれやれとため息を吐いた。
とりあえず自分の愛する都市伝説の部屋に美味しいお茶でも淹れてご機嫌を伺いに行くことを彼は決めたのである。
明日がドアを開けると恋路が待っていた、という具合でベッドに座っていた。
「まあこっち座りなさい。」
手招きしてる。
【電磁人の韻律詩16~この続きが見たい方はワッフルワッフルと(ry~ fin】



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー