【電磁人の韻律詩17~笛吹探偵事務所の日常~】
麻薬みたいな男を一人知っている。
その男は人を酔わせる不思議な魅力を持っている。
その男は万人が求める悪人としての要素を十分すぎるくらいに持っていた。
他人など意に介さず自らの意志の赴くままにあらゆる悪行を為し、
自分の目的の為には他人を道具としてしか考えない。
人を酔わせる麻薬そのものか、麻薬に操られる人間か。
この差は大きい。
同じ悪を為す人間であっても前者は自らの意志で悪事を行い、後者は状況に流されて悪事を行うからだ。
どちらが悪いという話でもないが……。
正義の味方をやっていると善にはなり得ない人間が居るってことを実感せざるを得ない。
自らの意志で悪事を行う人間はそういう意味で恐ろしい。
彼らは自分が悪だなんて欠片も思わずに自らの思うままに行動するのだ。
自分を大事にとか心のままになんて言葉は良く聞くが、程々にして欲しい物だ。
その男は人を酔わせる不思議な魅力を持っている。
その男は万人が求める悪人としての要素を十分すぎるくらいに持っていた。
他人など意に介さず自らの意志の赴くままにあらゆる悪行を為し、
自分の目的の為には他人を道具としてしか考えない。
人を酔わせる麻薬そのものか、麻薬に操られる人間か。
この差は大きい。
同じ悪を為す人間であっても前者は自らの意志で悪事を行い、後者は状況に流されて悪事を行うからだ。
どちらが悪いという話でもないが……。
正義の味方をやっていると善にはなり得ない人間が居るってことを実感せざるを得ない。
自らの意志で悪事を行う人間はそういう意味で恐ろしい。
彼らは自分が悪だなんて欠片も思わずに自らの思うままに行動するのだ。
自分を大事にとか心のままになんて言葉は良く聞くが、程々にして欲しい物だ。
「悪魔の囁きの契約者とその仲間。
今の学校町を騒がせているのはそいつらだ。
お前が言うところの悪人ってならそいつらじゃねえかな?
組織から任務が降りてくるだろうからくれぐれもお前一人で突っ走るなよ?」
「はい、ありがとうございます。」
「それとお前さんが会ったポケモンマスターだったっけか?
お前とは相性が悪すぎるから戦うのはやめておけ。
超遠距離から契約者を一撃で倒すタイプの都市伝説で対処することになると思う。
お前らには恐らく蛸妊娠だかの契約者の対処が割り当てられるんじゃないか?
対生物が一番刺さるだろう?お前らの攻撃って。」
「そうですか……。
解りました、でも俺達の接触した契約者って………。」
「ああ、知っている。子供なんだろう?
組織だってそこまで酷い奴らばかりじゃねえよ。
というか今は善良な奴が多いぜ?何故か“事故死”する過激派の黒服が多いそうだ。」
「そうですか……。」
「そうなんだよ。それじゃあ切るぜ。」
「はい、それじゃあ。」
携帯電話の電源を切ると俺はそれをポケットに投げ込んだ。
身体をバタンとソファーに投げ出す。
俺は笛吹探偵事務所の所長室の椅子に腰をかけていた。
学校は終わって、今は春休みである。
「どうしたのアスマー?」
「いや、Hさんからの電話。」
「おーい、恋路!もう一回勝負しろ!」
奥の部屋、恐らくここの主がプライベートで使っている部屋から子供の声が聞こえる。
今の学校町を騒がせているのはそいつらだ。
お前が言うところの悪人ってならそいつらじゃねえかな?
組織から任務が降りてくるだろうからくれぐれもお前一人で突っ走るなよ?」
「はい、ありがとうございます。」
「それとお前さんが会ったポケモンマスターだったっけか?
お前とは相性が悪すぎるから戦うのはやめておけ。
超遠距離から契約者を一撃で倒すタイプの都市伝説で対処することになると思う。
お前らには恐らく蛸妊娠だかの契約者の対処が割り当てられるんじゃないか?
対生物が一番刺さるだろう?お前らの攻撃って。」
「そうですか……。
解りました、でも俺達の接触した契約者って………。」
「ああ、知っている。子供なんだろう?
組織だってそこまで酷い奴らばかりじゃねえよ。
というか今は善良な奴が多いぜ?何故か“事故死”する過激派の黒服が多いそうだ。」
「そうですか……。」
「そうなんだよ。それじゃあ切るぜ。」
「はい、それじゃあ。」
携帯電話の電源を切ると俺はそれをポケットに投げ込んだ。
身体をバタンとソファーに投げ出す。
俺は笛吹探偵事務所の所長室の椅子に腰をかけていた。
学校は終わって、今は春休みである。
「どうしたのアスマー?」
「いや、Hさんからの電話。」
「おーい、恋路!もう一回勝負しろ!」
奥の部屋、恐らくここの主がプライベートで使っている部屋から子供の声が聞こえる。
「あ、ちょっと待っててねレモンちゃん!」
「橙だ!」
「似たような物じゃないか!」
ハーメルンの笛吹きからこの事務所を預かり受けた時、助手を一人紹介された。
橙レイモンという少女だそうだ。
複雑な経緯で彼の事務所の助手をしているらしいが詳しいことはまだ教えられていない。
ただ、このレイモンという少女はハーメルンの笛吹きの語るときに嬉しそうな顔をする。
だからハーメルンの笛吹きに何か恩義が有るのだろう。
「小足みてから昇竜拳!」
「うわああああああああああ!!!」
恋路と橙は格闘ゲームをやっていた。
そしてまた橙が負けた。
恋路の超速反応について行っている分、今までの挑戦者よりはまともに戦えているのだがそれでも彼女には勝てないようだ。
「なあ、橙……さん。」
「なんだ明日真。」
「その、君の都市伝説ってのは本当に……?」
「しつこい奴だな、僕の都市伝説はラプラスの悪魔だと言っているだろう。」
「アスマー、女の子に詮索かけるのはあんまり良くないよー!」
「むぅ……。」
「橙だ!」
「似たような物じゃないか!」
ハーメルンの笛吹きからこの事務所を預かり受けた時、助手を一人紹介された。
橙レイモンという少女だそうだ。
複雑な経緯で彼の事務所の助手をしているらしいが詳しいことはまだ教えられていない。
ただ、このレイモンという少女はハーメルンの笛吹きの語るときに嬉しそうな顔をする。
だからハーメルンの笛吹きに何か恩義が有るのだろう。
「小足みてから昇竜拳!」
「うわああああああああああ!!!」
恋路と橙は格闘ゲームをやっていた。
そしてまた橙が負けた。
恋路の超速反応について行っている分、今までの挑戦者よりはまともに戦えているのだがそれでも彼女には勝てないようだ。
「なあ、橙……さん。」
「なんだ明日真。」
「その、君の都市伝説ってのは本当に……?」
「しつこい奴だな、僕の都市伝説はラプラスの悪魔だと言っているだろう。」
「アスマー、女の子に詮索かけるのはあんまり良くないよー!」
「むぅ……。」
橙レイモンという少女は『ラプラスの悪魔』と契約している契約者なのだそうだ。
どうも俺にはそれが信じられない。
こんな小さい少女がそれ程巨大な都市伝説と契約できそうには思えない。
その辺りの詳しい事情も聞きたいが恋路に阻まれて聞き出せない。
「壁際まで追い詰めて1killコンボ!」
「うわー!また負けた!」
「レモンちゃん大分強くなってきたねえ!」
まあ解らなくても良いかと思う。
橙は優秀な助手だったしこれ以上探るのも野暮という物である。
というか探偵そのものだった。
おそらく笛吹は彼女に探偵業務の大半を行わせていたに違いない。
「明日君、頼まれていた都市伝説の出没マップ持ってきたよ。
元気無さげじゃない?」
ドアが開くとセーラー服の少女が事務所に入ってきた。
向坂境、この探偵事務所の所長だ。
笛吹がまとめた都市伝説の資料を向坂が持ってきてくれたのだ。
「ああ、向坂さん。いやどうにも笛吹という男が解らないんだよね。」
「そう?あの人って良い人よ。私のお姉ちゃん見つけてくれたし。」
「そりゃあ仕事だったからだろう。」
「わたしお金払ってないよ?」
「ああ、そういやそうだったな。良い人って……どんな風に?」
よく考えれば俺は笛吹という人間をよく知らない。
これから戦うことになるにしてもこのまま協力関係が続くにしてもあいつのことを知っておくべきだろう。
どうも俺にはそれが信じられない。
こんな小さい少女がそれ程巨大な都市伝説と契約できそうには思えない。
その辺りの詳しい事情も聞きたいが恋路に阻まれて聞き出せない。
「壁際まで追い詰めて1killコンボ!」
「うわー!また負けた!」
「レモンちゃん大分強くなってきたねえ!」
まあ解らなくても良いかと思う。
橙は優秀な助手だったしこれ以上探るのも野暮という物である。
というか探偵そのものだった。
おそらく笛吹は彼女に探偵業務の大半を行わせていたに違いない。
「明日君、頼まれていた都市伝説の出没マップ持ってきたよ。
元気無さげじゃない?」
ドアが開くとセーラー服の少女が事務所に入ってきた。
向坂境、この探偵事務所の所長だ。
笛吹がまとめた都市伝説の資料を向坂が持ってきてくれたのだ。
「ああ、向坂さん。いやどうにも笛吹という男が解らないんだよね。」
「そう?あの人って良い人よ。私のお姉ちゃん見つけてくれたし。」
「そりゃあ仕事だったからだろう。」
「わたしお金払ってないよ?」
「ああ、そういやそうだったな。良い人って……どんな風に?」
よく考えれば俺は笛吹という人間をよく知らない。
これから戦うことになるにしてもこのまま協力関係が続くにしてもあいつのことを知っておくべきだろう。
「彼は、神様みたいに良い人でした。」
歌うように語り始める向坂。
そうとうあの男が好きなのだろう。
そういえば笛吹は女性に好かれやすいな、この事務所のスタッフも彼が契約している都市伝説も女性だ。
あんな性格なのに何故だろう?
理不尽だ。
「まあ神様というのは冗談として彼って基本的にずれた人です。
だからなのか知らないんですけどついつい見ていたくなります。
彼は彼しか愛せない人間ですが、そんな彼だからこそ不思議な魅力を持っている。
むしろあれほど魅力的な自分だったならば愛せざるを得ないかもしれない。」
「変わっているけど良い奴なのか?」
おかしい、俺は会った瞬間殺されかけたはずなのだけどな?
「自分はろくでもないド外道の畜生野郎だからできるだけ人に優しくしているって言ってました。」
うん、確かにあいつはド外道だ。
「成る程ね、他になんか特徴って無いの?」
「ああ、すごく自己中だよ。」
今度は後ろから声が届く。
橙レイモンが口を挟んできた。
歌うように語り始める向坂。
そうとうあの男が好きなのだろう。
そういえば笛吹は女性に好かれやすいな、この事務所のスタッフも彼が契約している都市伝説も女性だ。
あんな性格なのに何故だろう?
理不尽だ。
「まあ神様というのは冗談として彼って基本的にずれた人です。
だからなのか知らないんですけどついつい見ていたくなります。
彼は彼しか愛せない人間ですが、そんな彼だからこそ不思議な魅力を持っている。
むしろあれほど魅力的な自分だったならば愛せざるを得ないかもしれない。」
「変わっているけど良い奴なのか?」
おかしい、俺は会った瞬間殺されかけたはずなのだけどな?
「自分はろくでもないド外道の畜生野郎だからできるだけ人に優しくしているって言ってました。」
うん、確かにあいつはド外道だ。
「成る程ね、他になんか特徴って無いの?」
「ああ、すごく自己中だよ。」
今度は後ろから声が届く。
橙レイモンが口を挟んできた。
「あいつはとにかく自分の感性を優先する。
他人の事なんて一切考えない。
自分の都合で誰かを幸せにして誰かを不幸にする。
そこそこ優秀な人間だからなおのこと他人に迷惑かけるんだよ。
人間味が薄い、ってのが一番言い得ているかな?」
「あー、それは私も思った。
笛吹さんって人間っていうには頭の捻子外れちゃっているよね。」
今度は恋路だ。
なんでみんなあいつのことを話したがるのだろう?
「お前ら楽しそうだなおい……。」
思わず呟く。
悪人ほど人を惹き付けると言うがその通りなのだろうか?
誰かと人間関係を作るとき善悪なんて人はそれほど気にしない物なのかもしれない。
でも、悪いことは悪いこと。
どこまで言っても変わることはない。
だからそういう考え方は駄目だと思うのだが、今言っても仕方がないか。
「話題にしてると飽きないから。」
「話題にしかならないから。」
みんな、同じようにそう言った。
他人の事なんて一切考えない。
自分の都合で誰かを幸せにして誰かを不幸にする。
そこそこ優秀な人間だからなおのこと他人に迷惑かけるんだよ。
人間味が薄い、ってのが一番言い得ているかな?」
「あー、それは私も思った。
笛吹さんって人間っていうには頭の捻子外れちゃっているよね。」
今度は恋路だ。
なんでみんなあいつのことを話したがるのだろう?
「お前ら楽しそうだなおい……。」
思わず呟く。
悪人ほど人を惹き付けると言うがその通りなのだろうか?
誰かと人間関係を作るとき善悪なんて人はそれほど気にしない物なのかもしれない。
でも、悪いことは悪いこと。
どこまで言っても変わることはない。
だからそういう考え方は駄目だと思うのだが、今言っても仕方がないか。
「話題にしてると飽きないから。」
「話題にしかならないから。」
みんな、同じようにそう言った。
カランコロン!
事務所のドアが開く。
「皆さんこんにちわ………?」
遠慮がちに扉を開けて来たのは金髪の幼女だった。
「おや、メルちゃんじゃないか。」
「お久しぶりです皆さん。」
「やっと来たか笛吹(小)。」
「メルちゃん元気になったー?」
幼女、といっても都市伝説『ハーメルンの笛吹き』、しかも本体である。
本来とても危険なはずの都市伝説なのだがここに居る女性陣は普通に接していた。
普通身構えないか?
俺がおかしいだけなのかもしれない。
「明日さん、その節はどうもお世話になりました。」
ぺこりと頭を下げるハーメルンの笛吹き。
「いえいえ、こちらこそ。」
一応自分も頭を下げてみる。
どうも彼女のことは苦手だ。
事務所のドアが開く。
「皆さんこんにちわ………?」
遠慮がちに扉を開けて来たのは金髪の幼女だった。
「おや、メルちゃんじゃないか。」
「お久しぶりです皆さん。」
「やっと来たか笛吹(小)。」
「メルちゃん元気になったー?」
幼女、といっても都市伝説『ハーメルンの笛吹き』、しかも本体である。
本来とても危険なはずの都市伝説なのだがここに居る女性陣は普通に接していた。
普通身構えないか?
俺がおかしいだけなのかもしれない。
「明日さん、その節はどうもお世話になりました。」
ぺこりと頭を下げるハーメルンの笛吹き。
「いえいえ、こちらこそ。」
一応自分も頭を下げてみる。
どうも彼女のことは苦手だ。
「メルちゃんとりあえずスマブラやろうぜー。」
女性陣は四人揃ったのでスマブラを始めることにしたらしい。
俺は人数にカウントされていないようだ。
「私wii出してきますね。」
「――――――向坂さんそこを開けちゃ駄目だアアアアアア!!」
「え、あ、…………うわあ。」
絶叫するレイモン。
愕然とする向坂。
「所長が何か妙な物でも隠してたんですか?」
メルが後ろから覗き込もうとする。
「駄目だ、メルちゃん貴方は見ちゃ駄目!」
「あ~れ~!?」
向坂はすばやくメルの目を隠す。
「あはは、まあ所長も成人男子だしねえ……。これくらいなら許容範囲内じゃない?」
恋路がとりあえず弁護し始める。
「じゃあ恋路さん、仮に明日君がこんな物持ってたらどうしますか?」
俺の話にするな、向坂。
「そりゃ決まってるじゃないか向坂さん。」
「と、言いますと?」
「正直引くわー………。」
俺は家に帰ったらすぐに『Hで綺麗なお姉さん』のDVDを処分することに決めた。
さらば、俺の秘蔵コレクション。
女性陣は四人揃ったのでスマブラを始めることにしたらしい。
俺は人数にカウントされていないようだ。
「私wii出してきますね。」
「――――――向坂さんそこを開けちゃ駄目だアアアアアア!!」
「え、あ、…………うわあ。」
絶叫するレイモン。
愕然とする向坂。
「所長が何か妙な物でも隠してたんですか?」
メルが後ろから覗き込もうとする。
「駄目だ、メルちゃん貴方は見ちゃ駄目!」
「あ~れ~!?」
向坂はすばやくメルの目を隠す。
「あはは、まあ所長も成人男子だしねえ……。これくらいなら許容範囲内じゃない?」
恋路がとりあえず弁護し始める。
「じゃあ恋路さん、仮に明日君がこんな物持ってたらどうしますか?」
俺の話にするな、向坂。
「そりゃ決まってるじゃないか向坂さん。」
「と、言いますと?」
「正直引くわー………。」
俺は家に帰ったらすぐに『Hで綺麗なお姉さん』のDVDを処分することに決めた。
さらば、俺の秘蔵コレクション。
「さて、気を取り直してゲームやりましょうか。」
「そだね、これは見なかったことにしよう。」
くそっ、あいつの隠してたDVDってなんだったんだ!
すげえ気になるじゃないか!
あいつの好みってなんなんだ?
わがままな性格だから年下か?
いや、もしかしたら人妻とかそういうドロドロしたのなのか?
気になる!すっげえ気になるじゃないか!!!
「あ、あのさ……。」
意を決して聞いてみることにした。
「其処にあったのって……。」
女性陣が同時に振り返る。
少々怖い。
「あ、すいませんでした。」
とてつもない疎外感を感じた。
「そだね、これは見なかったことにしよう。」
くそっ、あいつの隠してたDVDってなんだったんだ!
すげえ気になるじゃないか!
あいつの好みってなんなんだ?
わがままな性格だから年下か?
いや、もしかしたら人妻とかそういうドロドロしたのなのか?
気になる!すっげえ気になるじゃないか!!!
「あ、あのさ……。」
意を決して聞いてみることにした。
「其処にあったのって……。」
女性陣が同時に振り返る。
少々怖い。
「あ、すいませんでした。」
とてつもない疎外感を感じた。
「テンッ!クウ……ウボァー!」
「ふっ……そこだぁ!」
女性四名はスマブラをしている。
先程までは恋路が圧倒的に強かったようだが今度は橙が強いらしい。
「橙さん、弱った相手だけ狙いますよね。」
それに真っ先に気付いたのはメルだった。
ピクミンを投げながら向坂を牽制している。
「これはそういうゲームだよ。」
「それにしてもまさか私達の動きを能力で読んでいるなんてことは……。」
まさかこのゲームでも橙は都市伝説の能力を使っているのか?
「だからどうしたんだと言うんだ!ハッハー!勝てば良いんだよ勝てば!」
もはやキャラが違う。
スマブラが友情破壊ゲームだとは聞いていたがここまでとは知らなかった……。
「その通りだ、レモンちゃん。」
「えっ、嘘!?」
一瞬で橙のマルスまでの距離を詰める恋路のウルフ。
「こいつで遊んでやるぜ!」
「あーれー!?」
橙のマルスはなすすべもなく吹き飛ばされていった。
はて、ここは探偵事務所だったような気がするのだが……?
これだけ遊んでいても良いのだろうか?
「ふっ……そこだぁ!」
女性四名はスマブラをしている。
先程までは恋路が圧倒的に強かったようだが今度は橙が強いらしい。
「橙さん、弱った相手だけ狙いますよね。」
それに真っ先に気付いたのはメルだった。
ピクミンを投げながら向坂を牽制している。
「これはそういうゲームだよ。」
「それにしてもまさか私達の動きを能力で読んでいるなんてことは……。」
まさかこのゲームでも橙は都市伝説の能力を使っているのか?
「だからどうしたんだと言うんだ!ハッハー!勝てば良いんだよ勝てば!」
もはやキャラが違う。
スマブラが友情破壊ゲームだとは聞いていたがここまでとは知らなかった……。
「その通りだ、レモンちゃん。」
「えっ、嘘!?」
一瞬で橙のマルスまでの距離を詰める恋路のウルフ。
「こいつで遊んでやるぜ!」
「あーれー!?」
橙のマルスはなすすべもなく吹き飛ばされていった。
はて、ここは探偵事務所だったような気がするのだが……?
これだけ遊んでいても良いのだろうか?
一しきり遊ぶと恋路は夕飯の為に買い出しに行ってしまった、
橙は親御さんらしき謎の紳士のお迎えで帰り、
向坂は親と約束した時間なので自宅に帰って行った。
そして俺とハーメルンの笛吹きのみが事務所に残されてしまった。
「明日さん、私が暴走している時に所長の手助けをして頂いたって話を聞きました。
本当にありがとうございます」
急に真面目な顔になって俺に頭を下げるメル。
どうにもこうやってまともに感謝されるのは苦手だ。
別に当たり前のことを当たり前にやっているだけな訳だから。
「いや、誰かを助けるのに理由なんて要らないよ。」
「……本当に良い人なんですね。理由が有ればなんでもするあの人とは正反対だ。」
「理由が有れば?」
「ええ、あの人は都市伝説として消えかけていた私を明確に人々に記憶させる為にあんなことしてたんです。
そこに彼自身の趣味趣向はあったのでしょうけど……。
そういう大義名分は少なくともありました。」
「この前の孤児院襲撃もそうなのか?
男の子一人に説教決める為だけに大暴れしたそうじゃないか。」
「ああ、あれも組織の過激派に連れて行かれそうだった女の子救い出す為にですね。
あの人は悪魔ですから、自分と自分の周りの物の為ならなんでもやります。」
「悪魔ねえ……。誰かを守る悪魔?」
「誰かを守るから悪魔なんですよ。」
「まったくだな。」
メルの言葉は不思議と胸に納まった。
橙は親御さんらしき謎の紳士のお迎えで帰り、
向坂は親と約束した時間なので自宅に帰って行った。
そして俺とハーメルンの笛吹きのみが事務所に残されてしまった。
「明日さん、私が暴走している時に所長の手助けをして頂いたって話を聞きました。
本当にありがとうございます」
急に真面目な顔になって俺に頭を下げるメル。
どうにもこうやってまともに感謝されるのは苦手だ。
別に当たり前のことを当たり前にやっているだけな訳だから。
「いや、誰かを助けるのに理由なんて要らないよ。」
「……本当に良い人なんですね。理由が有ればなんでもするあの人とは正反対だ。」
「理由が有れば?」
「ええ、あの人は都市伝説として消えかけていた私を明確に人々に記憶させる為にあんなことしてたんです。
そこに彼自身の趣味趣向はあったのでしょうけど……。
そういう大義名分は少なくともありました。」
「この前の孤児院襲撃もそうなのか?
男の子一人に説教決める為だけに大暴れしたそうじゃないか。」
「ああ、あれも組織の過激派に連れて行かれそうだった女の子救い出す為にですね。
あの人は悪魔ですから、自分と自分の周りの物の為ならなんでもやります。」
「悪魔ねえ……。誰かを守る悪魔?」
「誰かを守るから悪魔なんですよ。」
「まったくだな。」
メルの言葉は不思議と胸に納まった。
「誰かを守るから、誰かを傷つけなきゃならない。」
「私は他人を犠牲にしてでも生き残ろうと思った。
でも私は手を染めたくない。
そんな時、彼が私の代わりになんでもやってやると言ってくれた。
ほんと、そんなもんですよ彼なんて。」
「悪だなあ、退治するべきだったか?」
「もう遅いですよ。
私は恐怖の都市伝説として生きていけるんで向こう1000年いけますね。
もうしばらく私が戦うことはないです。
だから私を殺しても無駄です。」
「そっか、じゃあやめる。」
わるいことをもうしないなら良いんだ。
「ていうかあれです。
もう私は只の人間とそんなに変わらないんですよ。
都市伝説の能力がほとんど無くなっちゃったんで。」
突然、メルから思わぬ言葉が飛び出た。
信じられなくてもう一度聞き返す。
「今、なんていった?」
「いや、だから所長にとりこまれちゃったんですよ。
私はまあ……ハーメルンの抜け殻的なあれです。」
「都市伝説を取り込むって……。」
「だから、私はもう何も出来ない無害な存在ですよ。」
そういってメルは力なく笑った。
「私は他人を犠牲にしてでも生き残ろうと思った。
でも私は手を染めたくない。
そんな時、彼が私の代わりになんでもやってやると言ってくれた。
ほんと、そんなもんですよ彼なんて。」
「悪だなあ、退治するべきだったか?」
「もう遅いですよ。
私は恐怖の都市伝説として生きていけるんで向こう1000年いけますね。
もうしばらく私が戦うことはないです。
だから私を殺しても無駄です。」
「そっか、じゃあやめる。」
わるいことをもうしないなら良いんだ。
「ていうかあれです。
もう私は只の人間とそんなに変わらないんですよ。
都市伝説の能力がほとんど無くなっちゃったんで。」
突然、メルから思わぬ言葉が飛び出た。
信じられなくてもう一度聞き返す。
「今、なんていった?」
「いや、だから所長にとりこまれちゃったんですよ。
私はまあ……ハーメルンの抜け殻的なあれです。」
「都市伝説を取り込むって……。」
「だから、私はもう何も出来ない無害な存在ですよ。」
そういってメルは力なく笑った。
「その話を聞いて気になったんだけどさ。
じゃあ今、お前の契約者はどうなっているんだ?」
「特に変わった様子はないみたいですけどねえ?」
「……少し気になるな。」
「まあ学校町もすっかり平和になりそうですからあの人は大人しくなりますよ。
いつも平和になったら真っ先に消されるのは自分だってぼやいてますし。
それを避ける為にも静かになるんじゃないですか、多分。」
「悪人も苦労しているわけだ。」
「ていうか悪いことするのってすごい労力が必要ですから。」
「苦労してわざわざ悪いことするのか?
やめて欲しいなそれは。」
苦笑せざるを得ない。
「善悪なんて誰かが後から決めるものですよ。」
「いいや、善悪は自分が決めるのさ。」
「決められるほど立派な人間なんですか?」
自分は立派な人間じゃない。
それ位は解っている。
「いいや、でも悪いことは悪いって誰もが解るだろう?
常識的に考えて。」
「常識………、ですか。」
「良心でも良い。」
常識とか良心が無かったらお終いだろう?
そうとしか自分には言えない。
じゃあ今、お前の契約者はどうなっているんだ?」
「特に変わった様子はないみたいですけどねえ?」
「……少し気になるな。」
「まあ学校町もすっかり平和になりそうですからあの人は大人しくなりますよ。
いつも平和になったら真っ先に消されるのは自分だってぼやいてますし。
それを避ける為にも静かになるんじゃないですか、多分。」
「悪人も苦労しているわけだ。」
「ていうか悪いことするのってすごい労力が必要ですから。」
「苦労してわざわざ悪いことするのか?
やめて欲しいなそれは。」
苦笑せざるを得ない。
「善悪なんて誰かが後から決めるものですよ。」
「いいや、善悪は自分が決めるのさ。」
「決められるほど立派な人間なんですか?」
自分は立派な人間じゃない。
それ位は解っている。
「いいや、でも悪いことは悪いって誰もが解るだろう?
常識的に考えて。」
「常識………、ですか。」
「良心でも良い。」
常識とか良心が無かったらお終いだろう?
そうとしか自分には言えない。
「善悪って理屈じゃないと思うんだよ俺。
最後は何も言わずに解るような常識とか良識にかかってると思うんだよね。
そうじゃないと同じ人間で居る意味が無い。
理屈抜きにして伝わる物が一番大事だよ。」
「…………ふっつーに善人ですねあんた。」
「ありがとう、偶に言われる。」
良い人だね、この言葉が正義の味方の証明だ。
この言葉があれば自分はいつだって正しくいられると思うのだ。
それが皮肉でもあてこすりでも構わない。
だって駄目だろ、常識的に。
何時だってそう言えるのが理想ではあるがそうも言えないのが中々悲しい。
「どうしたんですか明日さん、難しそうな顔をして?」
「そうか?」
契約者もそうだがこいつも結構するどいなあ。
やはり苦手だ。
最後は何も言わずに解るような常識とか良識にかかってると思うんだよね。
そうじゃないと同じ人間で居る意味が無い。
理屈抜きにして伝わる物が一番大事だよ。」
「…………ふっつーに善人ですねあんた。」
「ありがとう、偶に言われる。」
良い人だね、この言葉が正義の味方の証明だ。
この言葉があれば自分はいつだって正しくいられると思うのだ。
それが皮肉でもあてこすりでも構わない。
だって駄目だろ、常識的に。
何時だってそう言えるのが理想ではあるがそうも言えないのが中々悲しい。
「どうしたんですか明日さん、難しそうな顔をして?」
「そうか?」
契約者もそうだがこいつも結構するどいなあ。
やはり苦手だ。
「只今ー!夕ご飯の材料買ってきたよ、メルちゃんも食べていくかい?」
しばらくすると恋路が両手にスーパーの袋を抱えて帰って来た。
「お、恋路おかえりー。」
「ああ、じゃあ私も食べていきます。」
「今日の晩ご飯はウナギです。」
「うわっ、贅沢!?」
「あれ、ああそういうことなら邪魔者は退散しますね。」
いそいそと帰り支度を始めるメル。
「いや待って!?そういうんじゃないから!」
慌ててメルを止める恋路。
個人的には彼女が帰ってくれた方が俺は嬉しかった。
「じゃあ私キッチン借りるからー!」
「じゃあ私はお皿とか準備しときますね。」
いそいそと二人が夕食の準備を始める。
俺も事務所の表札をopenからclosedにしてくることにしよう。
ウナギの焼ける良い香りを楽しみながら俺は所長の椅子から立ち上がったのである。
【電磁人の韻律詩17~笛吹探偵事務所の日常~fin】
しばらくすると恋路が両手にスーパーの袋を抱えて帰って来た。
「お、恋路おかえりー。」
「ああ、じゃあ私も食べていきます。」
「今日の晩ご飯はウナギです。」
「うわっ、贅沢!?」
「あれ、ああそういうことなら邪魔者は退散しますね。」
いそいそと帰り支度を始めるメル。
「いや待って!?そういうんじゃないから!」
慌ててメルを止める恋路。
個人的には彼女が帰ってくれた方が俺は嬉しかった。
「じゃあ私キッチン借りるからー!」
「じゃあ私はお皿とか準備しときますね。」
いそいそと二人が夕食の準備を始める。
俺も事務所の表札をopenからclosedにしてくることにしよう。
ウナギの焼ける良い香りを楽しみながら俺は所長の椅子から立ち上がったのである。
【電磁人の韻律詩17~笛吹探偵事務所の日常~fin】