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連載 - Tさん、エピローグに至るまで-コーク・ロア-02

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 喫茶店兎の尻尾で話合いが持たれてから数日、Tさんは家で夕飯の用意をしていた。
 煮物を炊きながら先日話し合われたことについて思い出す。
「気をつけるとは言ったものの……」
 相手の戦力は不明なまま、そんな状態で何か特定のモノに対して注意するというのも難しい。
 差し当たっては先日話に出た者たちを見たら即刻逃げること、一人で人気のない所に行くなということ、出来るだけリカちゃんと共に行動するようにということを舞に言い含めておくくらいしかやることがなかった。
「うげぇ、まるで小学生にする注意じゃねえかよ。だいたいでっかいライオンとかドラゴンとか見たら誰だって逃げるっての」
 そうしかめっ面で舞が言ったのへTさんも苦笑いするしかなかった。
 火の勢いを弱め、Tさんは情報整理へと思考を割く。
 黒服が調べた≪悪魔の囁き≫についての情報では、≪悪魔の囁き≫は世界中でその被害が広がっているという話であった。
 今回の事もその世界的な被害の内の一例でしかないとも考えられる、か?
 そこまで考えていや、それにしては多少おかしいか。と首を横に振る。
 今回の件、≪コーク・ロア≫と連動して動いている公算が高いと黒服は言っていた。
 偶発的に起こる事件を利用し合っているのではなく、≪悪魔の囁き≫と連動しているということは、≪コーク・ロア≫の首謀者と≪悪魔の囁き≫の首謀者の間ではある程度の話合いの場が設けられていることだろう。
 ≪コーク・ロア≫の件に関しては≪組織≫内部で騒ぎの拡大に手を貸している者がいるという話だった。
 ならば事件の黒幕である≪コーク・ロア≫と≪悪魔の囁き≫の契約者ないし管理者は≪コーク・ロア≫事件が起こっているこの町に居る可能性が高い。
 もしかすると両者は同一人物かもしれんな。とTさんは思う。
 何にせよ相手情報が漏れそうになると口封じを躊躇わない程度には残忍で狡猾だ。
「……気に入らん」
 小さく呟き、煮物の味見をする。満足そうに口を歪めると火を消した。
 一息つき、先日襲われた時の事も思い出す。
 その時の状況と今ある情報から鑑みるに、現状危険度が高そうなのは、
「≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年か」
 先日の藤崎、それに昨年の誠。翼の周囲の人間が図ったように重度の≪悪魔の囁き≫の被害に遭っている。その被害に遭った二人は普段からの親交は無く、被害者同士で二次感染したという可能性は低い。
 誠は翼に固執していたし、あの時会った藤崎は明らかに翼個人とその周囲を狙っていた。彼女の発言内容からすれば恐らくは彼への懸想を捻じ曲げられたのだろう。
 この二人にもし意図的に≪悪魔の囁き≫が憑けられていたとしたならば……。
 黒幕に狙われているのは≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年か?
 彼に関しては更にもう一つ、問題がある。
「朝比奈マドカ」
 あの黒服さんが嫌悪を示した人間……。
 初詣の時に見たあの豪快な女性をあの穏和な黒服が毛嫌いする理由がTさんにはいまいち掴めなかった。
 まあ、俺の知らない事情でもあるのだろう。
 しかし彼女が未だに翼を探しているのならばいつ見つかってもおかしくは無い。
 翼は藤崎、誠と知人に立て続けに≪悪魔の囁き≫が取り憑いていることにショックを受けているように見受けられた。
 厄介事が重なって彼を押し潰さなければいいが。
「まあそこはあの友人たちが居るのなら問題は無い……か」
 誠の方は若干過激な愛情表現だが、総じて彼らは良い友人だと思う。
「なんにせよ、しばらく俺たちは様子見しかできんな。……と」
 Tさんは調味料を手に取る。舞は酒飲みの自分よりも濃い味付けが好きな人間だ。多少濃い目に味を整える。
 同時に玄関が盛大に開け放たれる音がした。騒がしい足音と共に舞とリカちゃんが台所に直行してくる。
「TさんTさん! あの仲介者とか言ってた兄ちゃんの女装写真あるんだけど見る!? 天使の写真も撮ったぜ? 見るだろ? みたいだろ!? むしろ見れ!」
「きれいなの!」
「いいからまずは手を洗え」
 カメラをずいと突きだす舞にTさんはぴしゃりと言った。
「うえ~い」と億劫そうに返事をして手を洗いに洗面所へと向かう舞。
 小学生と言われる事が変わらんな。
 Tさんはそう思い、思わず笑みを零した。


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