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連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦以降-14

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 同族殺しが、「13階段」の異空間を脱出した、その瞬間を
 「13階段」の契約者たる広瀬 辰也は確かに感じ取り……ぞくり、体を震わせた

 辰也は、「13階段」の異空間内で何が起こっているのかを、察知する事ができる
 「13階段」内で、引きずり込まれた犠牲者がもがき苦しんでいるのも
 憎悪の言葉を吐き出しているのも、必死に助命の言葉を叫んでいるのも
 引きずりこもうとする亡者達に、必死に抵抗している様子も
 ………命の火を消す、その瞬間も
 全てを、好む好まざるに関わらず、知る事ができるのだ
 …そのせいで、かつて「第三帝国」のドクターを引きずり込んだ時、色々と感じ取って悪寒も感じてしまったのはさておき

 とにかく、あの同族殺しが「13階段」内から脱出した事は事実だ
 辰也は、小さく舌打ちする


「……辰也?どうした…?」
「…同族殺しが、「13階段」から出た」

 ぴくり
 辰也の言葉に、隣を歩いていた恵が小さく体を震わせた
 遠目に、ではあるが、恵も同族殺しの強さを見ている
 怯えた様子の恵の頭を、辰也はぽふぽふと、優しく撫でてやった

「大丈夫だって…とりあえず、宏也と「第三帝国」の連中に連絡しとくな」
「……くけっ」

 こくり、小さく頷いた恵
 辰也が携帯電話を弄りだしたのを見て、邪魔してはいけないと思い、静かに見つめる

「……あぁ、宏也か?……---------------」

 途中から、辰也が話している言葉が、恵には全く理解できないものに変わった
 辰也は、自分が理解できる言語ならば、話し掛けられた言語でそのまま返事を返す癖があるのだ
 まずは、黒服Hに電話をかけたようだから、案外、「組織」の者にだけ通じる暗号会話なのかもしれない
 いや、もちろん、ドイツ語やフランス語の可能性も充分になるのだが

 話している内容は詳しくはわからないが、辰也の表情や声の調子で、何となくは、わかる
 口では色々と言いながらも、辰也にとってあの黒服が、家族同然の存在である事も、伝わってきて

 それを、羨ましいな、と恵はこっそりと考えるのだ
 自分には、家族といえるような存在は、いなかったから
 …今の、一緒に生活している仲間達が、初めての家族のような存在
 他には、そう言う存在はいなくて
 皆の、家族や、家族のような存在がいる、いた、と言うのが…少し、羨ましいのだ

 黒服Hと、「第三帝国」、二箇所への連絡を終えて
 はぁ、と辰也が小さく、ため息をつく

「悪い、待たせたな」
「…大丈夫、だ」

 行こう、と
 きゅ、と辰也の手を握った恵
 辰也はその手を握り返し、歩き出す

 恵にとって、辰也は大切な家族で
 大切な家族だから、護りたいと思う、力になりたいと、思う
 ……だから、同時に
 その家族の大切な存在をも、護ってやりたいと、助けたいと願うのだ



fin




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