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連載 - 恐怖のサンタ-x02

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uranaishi

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恐怖のサンタ 悪魔の囁き&コークロア編 02


 仕事も一段落した休日。
 マゾは例の三人をストーキングしにどこかへ消え、猫は日課の散歩に出かけている。
 家の中には良子と、先日助けた口裂け女しかいない。
 この口裂け女、助けたは良いものの行く宛がないらしく、引っ越し早々我が家には二人(+一匹)の同居人が住まう事となった。
 仮名ながら口裂け女に「沙希」と言う名前を与え、今は彼女含む四人で仕事をこなしている。

「今ナラ女二人ジャネェカ。ヤッチマエヨ! ホラホラ」
「ああ、畳はいいなぁ」
「無視シテンジャネェヨ、テメェ! 絶好ノ機会ダロ、ナァ?」
「日本人はやっぱり畳だよなぁ」

 脳内で響くデビ田の声を無視して、ゴロゴロと畳を転がる。
 一人増えた事で多少狭く感じるが、転がる程度なら十分である。
 日差しを受けて暖められた畳が、冬の寒さに何とも心地よい。
 猫がよく日向ぼっこをする理由が分かるというものだ。

「ホラ、台所デ料理シテルジャネェカ。ウシロカラ襲ッチマエヨ、今ナラヤレルゼ?」
「お前俺に今週一週間絶食しろと? 無茶言うなよ、ははっ」
「……ジャアアッチデ本ヲ読ンデル女ダ。覗キ込ムフリシテ後ロカラ襲ッチマエヨ」
「それも良子に見つかって一週間絶食コースな。つかお前絶対『後ろから』が好きだろ、なんかさっきからそれしか聞いてないんだけど」
「バッカ、前カラヨリハ安全ジャネェカ。安全策ダロ、安全策」

 一週間絶食の危険性のある案のどこが「安全」なのだろう。
 というか、何だか日に日にデビ田の出す案が弱気になっている気がするのは俺の気のせいか。
 前は安全策なんて出さなかったような気がするのだが。

「……お前アレだろ、この間良子にやられた時のトラウマまだ引きずってんだろ」

 つい先日の事だ。
 仕事に疲れて帰宅後即脱衣、風呂場へ直行したら沙希がいた。
 同居によくあるニアレスミスである。
 普通に誤って扉を閉めれば、恐らく事無きを得たかもしれない。
 しかし疲れ切った俺は、その状況を把握するのに約10秒かかってしまった。
 そしてその5秒目あたりに良子は帰宅していたらしい。
 後はいつもの事である。

「何言ッテンダテメェ! ヒ、引キズッテルワケネェダロ、ナァ?」

 しかし、俺が「いつもの事」と形容するあの体験は、こいつにとって恐ろしい物だったらしい。
 感覚が連動するのか何なのかは知らないが、俺の受けた精神的苦痛は全てデビ田も感じたんだそうだ。
 以降、デビ田は良子を真正面から襲う計画を立案しては来ない。
 我が分身ながら、情けない限りである。

「喉が渇いたな……」

 畳からの熱のせいか、それとも埃が喉に入ってしまったのか、無性に喉が渇く。
 何の気なしに、俺はそんな事を呟いた。
 ――呟いてから、しまったと思った。

「……やべ」
「ヤッチマッタナァ、オイ」

 脳の中で、デビ田が呆れたように呟いた。
 本を読んでいた沙希が消える。
 料理をしていたはずの良子の身体が横に動く。
 二人が目指す先にあるのは、一台の冷蔵庫である。

「あぁ…………」

 その光景を前に、俺はただうめく事しか出来なかった。

*********************************************

「はい、はるくん」
「…………どうぞ」

 ――――数秒後、俺の目の前に二つのコップが差しだされた。
 一つは恋人から。
 もう一つは沙希から。

 さて、俺はここでどんな行動を取るべきなんだろうか。
 どちらも飲む、と言うのはもはや前提である。
 その上で、「どちらを先に飲むか」が問題になる。
 もし良子を優先すれば、沙希が悲しむだろう。
 もし沙希を優先すれば、良子が悲しむだろう。

「(……なぁ、どうするよ、これ)」
「(知ラネェヨ。テメェガマイタ種ハテメェデ処理シヤガレ)」

 こんな時、デビ田は酷く役に立たない。
 毎回なんのかんのと俺をそそのかす癖に、こういう一大事には何も助言を与えてくれないのだ。

「(…………使えない奴)」
「(ハッ。勝手ニ言ッテヤガレ。自業自得ダロウガヨォ)」
「(……俺の選択次第では、またお前も一緒に苦しむ事になるんだけどな)」
「(………………)」
「(………………)」
「(…………オイ、ドウスルヨ?)」
「(どうしたもんかなぁ……)」

 二つのコップを前にして、二人は悩む。
 背後では日がもう暮れかけていた。

【終】




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