「破ぁっ!!」
Tさんの放った白い光が、舞に近づこうとしてきたタコ達を薙ぎ払った
マゾサンタに群がっていたタコ達が、藤崎が一度彼女を盾にすべく引き寄せた際、一部落っこちていて…それが、新たな目標として舞を狙ってきたのだ
もっとも、この通り、Tさんによって全て薙ぎ払われたのだが…
マゾサンタに群がっていたタコ達が、藤崎が一度彼女を盾にすべく引き寄せた際、一部落っこちていて…それが、新たな目標として舞を狙ってきたのだ
もっとも、この通り、Tさんによって全て薙ぎ払われたのだが…
「Tさん、チャラい兄ちゃんを助けねぇと!」
「あぁ…そう、したいのは山々なんだが」
「あぁ…そう、したいのは山々なんだが」
ゆらり
コーク・ロア支配型の被害者達が…ゆっくりと、Tさん達に向かってきている
大量のタコ妊娠に群がられている翼を助ける余裕は…さて、見付かるだろうか?
コーク・ロア支配型の被害者達が…ゆっくりと、Tさん達に向かってきている
大量のタコ妊娠に群がられている翼を助ける余裕は…さて、見付かるだろうか?
(……いや、そちらも心配だが)
Tさんは、ちらりと、向こうがわの誠に視線をやる
…誠の、中から感じる、覚えのある気配に
昨年の中央高校での出来事を思い出してしまって…はたして、どちらに先に手を貸すべきか
いや、それよりも、まずは、向かってくるコーク・ロア支配型の被害者達をどうにかせねば
リカちゃんを抱きかかえた舞の前に立ち、Tさんは構えた
…誠の、中から感じる、覚えのある気配に
昨年の中央高校での出来事を思い出してしまって…はたして、どちらに先に手を貸すべきか
いや、それよりも、まずは、向かってくるコーク・ロア支配型の被害者達をどうにかせねば
リカちゃんを抱きかかえた舞の前に立ち、Tさんは構えた
『憎イナァ?憎タラシイヨナァ?オ前ノ大事ナ奴ヲ、アンナ目ニ合ワセテンダカラナァ?』
悪魔の囁きが、楽しげに囁く
内側で響く声を、誠ははっきりと聞いた
内側で響く声を、誠ははっきりと聞いた
『殺シチマオウゼェ?コンナ女。オ前ノ大事ナ奴ニ酷イ事スル奴ナンテ、生キテル資格ネェヨナァアア?』
けたけた、響く笑い声
目の前の藤崎を、誠は鋭く睨みつける
目の前の藤崎を、誠は鋭く睨みつける
『ホラホラホラホラホラァ!!サッサト殺シ……』
「………煩ぇ」
「………煩ぇ」
ぼそり、呟く誠
己の内側にいる、悪魔の囁きの存在を…はっきりと、認識する
己の内側にいる、悪魔の囁きの存在を…はっきりと、認識する
「もう、てめぇの言葉になんざ、惑わされねぇぞ」
『ナ…………ッ!?』
『ナ…………ッ!?』
---ぐしゃり
悪魔の囁きは…誠の中で生まれた、爆発的に大きな気の力に飲み込まれて…消滅した
悪魔の囁きは…誠の中で生まれた、爆発的に大きな気の力に飲み込まれて…消滅した
「俺は、もう、二度と…翼を、裏切らない」
それが、己の誓い
もう二度と、大切な幼馴染を裏切らないと、決めたのだから
もう二度と、大切な幼馴染を裏切らないと、決めたのだから
「翼が、助けると決めたのなら……殺す訳に、いかねぇだろ……!」
目の前の相手は、敵だ
だが、殺すわけにはいかない
大切な幼馴染が、彼女を助けると決めたのなら
自分は、それを殺す訳にはいかないのだ
だが、殺すわけにはいかない
大切な幼馴染が、彼女を助けると決めたのなら
自分は、それを殺す訳にはいかないのだ
「…?どうしたの、清川君?」
くすくすと、藤崎が笑っている
あぁ、煩い
殺すわけにはいかないが、叩きのめすくらいはできるのだ
再び距離を詰め、殴り飛ばそうとして…その誠に、コーク・ロア支配型の被害者達が、飛び掛る
あぁ、煩い
殺すわけにはいかないが、叩きのめすくらいはできるのだ
再び距離を詰め、殴り飛ばそうとして…その誠に、コーク・ロア支配型の被害者達が、飛び掛る
「邪魔だっ!!」
腕にしがみ付いてきたそれを、誠は力任せに振り回した
壁に叩きつけ、地面に叩きつけ、放り投げ
麻薬で身体能力を強化した程度の相手では、誠を止める事など不可能だ
Tさんの力と誠の力とで、コーク・ロア支配型の被害者達は、次々と倒されていく
壁に叩きつけ、地面に叩きつけ、放り投げ
麻薬で身体能力を強化した程度の相手では、誠を止める事など不可能だ
Tさんの力と誠の力とで、コーク・ロア支配型の被害者達は、次々と倒されていく
「藤崎…っ、てめぇ、どうして翼を狙いやがる……!」
「だって、私、日景君が欲しいんだもん」
「だって、私、日景君が欲しいんだもん」
じりじりと、誠から距離をとりながら、藤崎ははっきりと、言い切った
歪んだ、狂気まじりの笑みで、続ける
歪んだ、狂気まじりの笑みで、続ける
「高校の頃から、ずっと好きだった。私は、日景君が大好きなんだもの」
「翼に告白もしなかった癖に、何言ってやがる」
「高校の頃は、日景君の傍にはあなたや玄宗君がいて…私が入る隙間なんて、なかった。あった隙間には、黒服の人とか、玄宗君のお姉さんが入ってしまっていたから」
「翼に告白もしなかった癖に、何言ってやがる」
「高校の頃は、日景君の傍にはあなたや玄宗君がいて…私が入る隙間なんて、なかった。あった隙間には、黒服の人とか、玄宗君のお姉さんが入ってしまっていたから」
…藤崎が、殺意交じりの眼差しで、誠を睨み付けた
----どろり
藤崎の胸元に…黒い、染みが浮き出す
藤崎の胸元に…黒い、染みが浮き出す
「私だって、日景君の傍にいたかったのに…!あなた達が、その隙間を全部埋めてしまってて、私は入り込めなかった……それじゃあ、あなた達がいなくなっちゃえば!!」
「……駄目だな」
「……駄目だな」
ぼそり
コーク・ロア支配型被害者を叩き伏せながら藤崎を睨み、誠は告げる
コーク・ロア支配型被害者を叩き伏せながら藤崎を睨み、誠は告げる
「駄目だ、全然駄目だな。あいつの傍にいたかったなら、無理矢理にでも、こっちの輪に入ってくりゃ良かっただろうが。翼は優しいから、それを拒みはしなかっただろうよ」
「清川君が、邪魔したんじゃないの?」
「翼と直希が許したら、俺だって許すさ」
「清川君が、邪魔したんじゃないの?」
「翼と直希が許したら、俺だって許すさ」
…あの頃は、翼への想いになど、気づいていなかったし
自嘲気味に笑い、しかし、藤崎を睨む事はやめない
自嘲気味に笑い、しかし、藤崎を睨む事はやめない
「お前が、翼を傷つけるような手段をとるなら、お前は俺の敵だ。叩きのめされても文句はねぇだろ?」
「…そう言うなら、日景君を、助けなくてもいいの?…あっちの人達が、先に日景君を助けそうだよ?」
「…そう言うなら、日景君を、助けなくてもいいの?…あっちの人達が、先に日景君を助けそうだよ?」
藤崎の視界の先では、コーク・ロア支配型被害者を粗方叩き伏せたTさんが、翼に群がるタコ達に、光を放とうとしていた
だが、それをする必要はない、と誠はわかっていた
「…その必要は、ねぇよ」
-------ごぉう!!
タコの群れの、内側から…火柱が、あがった
それが、一気にタコ達を焼いていく
タコの群れの、内側から…火柱が、あがった
それが、一気にタコ達を焼いていく
「-----っな!?」
「翼は、俺なんかに簡単に助けられてくれるほど、弱くはないからな」
「翼は、俺なんかに簡単に助けられてくれるほど、弱くはないからな」
厨2病との多重契約での炎の力が、タコを焼いていく
げほ、と咳き込みながら…焼きダコになったタコ達を押しのけて、翼が顔を出した
体中べとべとになっているが、それだけで他に被害はなさそうだ
げほ、と咳き込みながら…焼きダコになったタコ達を押しのけて、翼が顔を出した
体中べとべとになっているが、それだけで他に被害はなさそうだ
「お前ら、無事かっ!?」
「あぁ、問題ない」
「……良かった」
「あぁ、問題ない」
「……良かった」
先に、Tさん達の心配をした翼
それが若干気に入らない誠だが、翼が無事だったなら、それでいい
それが若干気に入らない誠だが、翼が無事だったなら、それでいい
「誠っ!」
「俺も大丈夫だよ」
「俺も大丈夫だよ」
良かった、とほっとしたように笑みを浮かべた翼
…だが、すぐに、視線は藤崎に向かう
…だが、すぐに、視線は藤崎に向かう
「…強いね、日景君。そんな事もできるんだ」
「………藤崎」
「………藤崎」
じっと、藤崎を見詰める翼
睨んではいない
敵意がない、訳ではないのだが…向けている感情は、怒りよりも戸惑いの方が大きい
睨んではいない
敵意がない、訳ではないのだが…向けている感情は、怒りよりも戸惑いの方が大きい
「…そんなに、俺が憎いか?」
「…………え?」
「俺だけじゃなくて、俺以外の奴を巻き込んでまで、俺を攻撃するくらい……憎いか?」
「…………え?」
「俺だけじゃなくて、俺以外の奴を巻き込んでまで、俺を攻撃するくらい……憎いか?」
先ほど、藤崎が思いを吐露した、その瞬間
翼は大量のタコに覆われていて……その内容が、聞こえなかったのだ
だから、決定的な勘違いをしてしまっている
藤崎が、自分が憎くて…こんなことをしているのだ、と
翼は大量のタコに覆われていて……その内容が、聞こえなかったのだ
だから、決定的な勘違いをしてしまっている
藤崎が、自分が憎くて…こんなことをしているのだ、と
そもそも、高校時代、女性ととことん縁がなかった翼
なまじ、その経験が、余計にそんな勘違いを引き起こさせていた
なまじ、その経験が、余計にそんな勘違いを引き起こさせていた
「ぇ、あ……ち、違う、違う、よ、日景君」
「じゃあ、どうして」
「じゃあ、どうして」
じ、と真正面から翼に見詰められて…藤崎は、答えられない
彼女の、元々のどこか引っ込み思案だった部分が、愛しい人に見つめられる事で表に出てきて…想いを、吐露する事ができない
じり、と藤崎は後ろに下がる
彼女の、元々のどこか引っ込み思案だった部分が、愛しい人に見つめられる事で表に出てきて…想いを、吐露する事ができない
じり、と藤崎は後ろに下がる
「違う、違う、の………憎いんじゃあ、なく、て……」
『…手ニ入れレタインダロォ?欲シインダロォ?』
『…手ニ入れレタインダロォ?欲シインダロォ?』
…どろ
藤崎の胸元の黒いしみが、大きくなる
どろりどろりと大きくなる、それあh……やがて、山羊の頭に女性の体を持った漆黒の悪魔へと姿を変えて、藤崎に背後から抱きついた
藤崎の胸元の黒いしみが、大きくなる
どろりどろりと大きくなる、それあh……やがて、山羊の頭に女性の体を持った漆黒の悪魔へと姿を変えて、藤崎に背後から抱きついた
『ホラァ、早ク手ニ入レチマエ!他ノ誰カノモノニナッテシマウマエニヨォオオオオオ!!!』
「-----悪魔の囁き!?」
「-----悪魔の囁き!?」
以前、誠にとり憑いていた悪魔の囁きとは、姿こそ違うものの…それは間違いなく、悪魔の囁き、そのもの
ケタケタと笑い、藤崎の耳元で囁き続けている
ケタケタと笑い、藤崎の耳元で囁き続けている
『ソノ為ニハ、アイツノマワリニイル連中ガ邪魔ダヨナァ?』
「…うん、邪魔………邪魔、なの……」
『ナラ……殺シチマエバイインダヨォオオ!!ソウスレバ、ダァレモ邪魔シテコナイゼェエエエエ!!』
「うん、わかってる…わかってるよ……」
「…うん、邪魔………邪魔、なの……」
『ナラ……殺シチマエバイインダヨォオオ!!ソウスレバ、ダァレモ邪魔シテコナイゼェエエエエ!!』
「うん、わかってる…わかってるよ……」
虚ろな眼差しで、藤崎は翼を見つめた
純粋な想いと願いは歪められ、狂気となって翼に向けられる
純粋な想いと願いは歪められ、狂気となって翼に向けられる
「原因は、てめぇかっ!!」
藤崎に密着する悪魔の囁きを、睨みつける翼
悪魔の囁きが、藤崎をそそのかしたというのなら、それを焼き尽くすまでだ
翼の「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力は、藤崎を巻き込むことなく、悪魔の囁きだけを焼く事が可能な能力だから
悪魔の囁きが、藤崎をそそのかしたというのなら、それを焼き尽くすまでだ
翼の「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力は、藤崎を巻き込むことなく、悪魔の囁きだけを焼く事が可能な能力だから
だが、その能力発動よりも、前に……翼たちの頭上から、影が、さして
「カイザー、きりさく!!」
響き渡った、少年の声
慌てて声の先を見れば…まるで、ドラゴンのような生き物が、その鋭い爪を剥き出しにして、上空から翼たちに向かって襲い掛かってきていた
---避けられない!?
慌てて声の先を見れば…まるで、ドラゴンのような生き物が、その鋭い爪を剥き出しにして、上空から翼たちに向かって襲い掛かってきていた
---避けられない!?
「結界が張れれば幸せだ!!」
その爪が翼たちに届くよりも、前に…その爪の射程圏内に入っていたTさんが、結界を展開した
ガギィン!!と、爪は白い結界によって弾かれる
ガギィン!!と、爪は白い結界によって弾かれる
ずぅん!と、地響きを立てて、ドラゴンは藤崎の前に降り立った
「沙織ねーちゃん、乗って!こっちに黒服と、何か一杯呼び出してくる奴が向かってきてる!」
「------っ」
「------っ」
ドラゴンの背中に乗った少年に促され……藤崎は、一瞬、迷いを浮かべた
しかし…多勢に無勢な状態になっては、不利だと感じ取ったのだろう
ドラゴンの背中に登っていく
しかし…多勢に無勢な状態になっては、不利だと感じ取ったのだろう
ドラゴンの背中に登っていく
「逃がすかっ!」
「詳しい事情は知らないが……ここで逃がしては、厄介な事になりそうだな」
「詳しい事情は知らないが……ここで逃がしては、厄介な事になりそうだな」
誠とTさんが、ドラゴンに向かって、攻撃しようとして
だが、それよりも、少年の指示の方が、速かった
だが、それよりも、少年の指示の方が、速かった
「カイザー、かえんほうしゃ!」
少年の指示に、大口を開けるドラゴン
めら……と、その口内では、炎がちらついていて
めら……と、その口内では、炎がちらついていて
「っちょ、Tさん、何だかヤバそうだぞ!?」
「ひはこわいの」
「……ッ随分と、厄介なものが飛来してきたものだ…!」
「ひはこわいの」
「……ッ随分と、厄介なものが飛来してきたものだ…!」
舞の悲鳴じみた叫びと、リカちゃんの怯えた声に、Tさんは再び結界を展開する
翼や誠の能力では、あの炎を防げそうにない
吐き出された炎と、Tさんの結界がぶつかり合い、拮抗する
翼や誠の能力では、あの炎を防げそうにない
吐き出された炎と、Tさんの結界がぶつかり合い、拮抗する
……キラ、と
一行の背後から…石が、飛んできて
一瞬、光を放ったそれが、Tさんの結界に触れた瞬間、結界がさらに強化され、吐き出された炎を打ち消した
一行の背後から…石が、飛んできて
一瞬、光を放ったそれが、Tさんの結界に触れた瞬間、結界がさらに強化され、吐き出された炎を打ち消した
「カイザー、そらをとぶ!」
ぐぉおおおおおおおん!!
炎の向こう側、そんな少年の声と、雄叫びが聞こえてきて…ドラゴンが、藤崎と少年を乗せて飛び立っていく、その様子を
一行は、見送る事しか、できなかった
炎の向こう側、そんな少年の声と、雄叫びが聞こえてきて…ドラゴンが、藤崎と少年を乗せて飛び立っていく、その様子を
一行は、見送る事しか、できなかった
「翼!……皆さん、ご無事ですか!?」
「…むぅ。逃げられたか」
「…むぅ。逃げられたか」
Tさんの結界を強化した石を…パワーストーンを投擲してきたのは、黒服だった
その後ろを、「光輝の書」を持った直希が、ゆっくりと追いかけてくる
その後ろを、「光輝の書」を持った直希が、ゆっくりと追いかけてくる
-----たゆーん
「…えぇと、黒服さん?」
「……できれば、私の現状には触れないでいただけるとありがたいです」
「…相変わらず、苦労しているな」
「……できれば、私の現状には触れないでいただけるとありがたいです」
「…相変わらず、苦労しているな」
絶賛女体化中の黒服の様子に、以前もこの状態を見たことのあるTさん達は、どう言葉をかけるべきか、悩んだ
…誠の視線が、黒服の胸元にいき、慌てて翼が黒服を庇う位置に向かう
…誠の視線が、黒服の胸元にいき、慌てて翼が黒服を庇う位置に向かう
「だから、お前の大事な家族には手を出さないってのに…」
小さく、苦笑する誠
まぁ、あの必死な様子が可愛いんだけど、と呟いた声は、幸い、翼には届かなかった
まぁ、あの必死な様子が可愛いんだけど、と呟いた声は、幸い、翼には届かなかった
「黒服、どうしてここに…」
「見回りをしていましたら、あなたが戦闘している気配を感じましたので……厨2病との多重契約での炎を使いましたね?大丈夫ですか?」
「あ、あぁ」
「見回りをしていましたら、あなたが戦闘している気配を感じましたので……厨2病との多重契約での炎を使いましたね?大丈夫ですか?」
「あ、あぁ」
こくり、頷く翼
良かった、と黒服がほっとしたような表情を浮かべる
良かった、と黒服がほっとしたような表情を浮かべる
「でも、チャラいにーちゃん、タコにたっぷりのしかかられてたじゃん。大丈夫なのか?」
「平気だよ。俺は男だし」
「平気だよ。俺は男だし」
女性だったら、あのタコの粘液が分泌する媚薬の影響を受けてしまうところだが、男性である翼はその影響を受けない
今のところ、藤崎のタコ妊娠の能力は、そこまでは進化していないのだ
今のところ、藤崎のタコ妊娠の能力は、そこまでは進化していないのだ
「それでも、早く拭き取った方が良い事に変わりはありませんね。翼、少し、大人しくしていてください」
「っと…じ、自分できるから」
「っと…じ、自分できるから」
いつも持ちある手いる鞄から大判のタオルを取り出し、粘液でべとべとになっている翼を拭き始めた黒服
子供扱いされているような気がして、慌てて翼が反論するが、手を止める様子はない
子供扱いされているような気がして、慌てて翼が反論するが、手を止める様子はない
……誠の嫉妬の視線が、ものの見事に黒服に突き刺さっているのだがん、黒服も翼も、その事実に気づいていない
黒服に拭かれながら……ちらり、翼はTさん達に視線をやった
そうして、酷く申し訳無さそうな表情を浮かべて
そうして、酷く申し訳無さそうな表情を浮かべて
「……悪い、巻き込んだ……御免な」
と、そう、謝ってきた声が、普段の彼からは想像もつかないほど、酷く弱々しく聞こえたのは
はたして、一行の聞き間違いだっただろうか?
はたして、一行の聞き間違いだっただろうか?
……なお
あのドラゴンが炎を吐き出した際、うっかりと結界の範囲外にいたマゾサンタが、ものの見事に黒こげになっていたが
それでも、彼女は死ぬ事無く……普通なら死ぬほどのダメージに、酷く悦んでいたのだった
あのドラゴンが炎を吐き出した際、うっかりと結界の範囲外にいたマゾサンタが、ものの見事に黒こげになっていたが
それでも、彼女は死ぬ事無く……普通なら死ぬほどのダメージに、酷く悦んでいたのだった
to be … ?