占い師と少女 悪魔の囁き、コークロア騒動編 01
※裏切りのデビ田より
山田家でのデビ田の背信行為から約半時間後。
占い師は自宅で愛好会のメンバーにデビ田から得た情報をそのまま伝えていた。
彼の傍らには、つい先ほど散歩から帰ってきた未来がちょこんと座っている。
一見無防備に見える未来ではあるが、実際には老人の奇襲に備えて十重二十重に結界まがいのようなものをその周囲に張り巡らせている。
占い師は自宅で愛好会のメンバーにデビ田から得た情報をそのまま伝えていた。
彼の傍らには、つい先ほど散歩から帰ってきた未来がちょこんと座っている。
一見無防備に見える未来ではあるが、実際には老人の奇襲に備えて十重二十重に結界まがいのようなものをその周囲に張り巡らせている。
「……ふむ」
その警戒対象である老人は、占い師の言葉を反芻するように目を瞑っていた。
その身体はいつものように縫いとめられてこそいないが、老人の背後では長身の女性が既に両刃の剣を抜いて正座している。
この場での信頼関係が良く分かる図だった。
その身体はいつものように縫いとめられてこそいないが、老人の背後では長身の女性が既に両刃の剣を抜いて正座している。
この場での信頼関係が良く分かる図だった。
「……うむ、殺そう」
「いきなり物騒だな、おい」
「諸悪の根源を殺せば全て丸く収まる。これは全世界共通の理じゃて」
「いきなり物騒だな、おい」
「諸悪の根源を殺せば全て丸く収まる。これは全世界共通の理じゃて」
ついでに、殺す前にちょっとだけ女体化もさせようと頷く老人。
翼という青年を追う変態仲間からの情報で、この件の首謀者が彼の父親であると、老人は知っていた。
息子に女装が似合うのなら、当然父親だって似合うに違いない。
そんな結論を出した老人はしかし、翼の外見が母方の影響である可能性を一切考慮していない。
翼という青年を追う変態仲間からの情報で、この件の首謀者が彼の父親であると、老人は知っていた。
息子に女装が似合うのなら、当然父親だって似合うに違いない。
そんな結論を出した老人はしかし、翼の外見が母方の影響である可能性を一切考慮していない。
「殺すと言っても、まだその首謀者の契約している都市伝説は判明していないのでしょう」
「下手に討ち入りしても返り討ちに遭うだけッスよ」
「なに、その時はこの馬鹿弟子を使えばよかろう」
「下手に討ち入りしても返り討ちに遭うだけッスよ」
「なに、その時はこの馬鹿弟子を使えばよかろう」
暴走しそうな老人をなだめようとした愛好会のメンバーである二人に、老人は占い師を指差して答える。
刺された側の彼は一瞬顔を面倒くさそうにゆがめたが、特に反論はしなかった。
既に一度、彼が守るべき少女にも、悪魔の囁きの卵が植え付けられた事がある。
現状その対象が不特定多数だとは言え、また未来が狙われる可能性は少なからず存在するだろう。
そんな占い師の内心を知らない未来は、何も言わない彼に少し首を傾げて、老人に尋ねる。
刺された側の彼は一瞬顔を面倒くさそうにゆがめたが、特に反論はしなかった。
既に一度、彼が守るべき少女にも、悪魔の囁きの卵が植え付けられた事がある。
現状その対象が不特定多数だとは言え、また未来が狙われる可能性は少なからず存在するだろう。
そんな占い師の内心を知らない未来は、何も言わない彼に少し首を傾げて、老人に尋ねる。
「けど、肝心のその人の居場所も分かってないんですよね?」
「皆目つかん」
「皆目つかん」
きっぱりと答えた老人に、周囲の面々は重い溜息をついた。
この町へ来てから、彼ら愛好会のメンバーは何度か「捜索」を行っている。
刑事のような足ではなく、彼らの能力を使って行われたそれは、平時ならものの一日で敵のアジトなり何なりを見つけられる、はずだった。
この町へ来てから、彼ら愛好会のメンバーは何度か「捜索」を行っている。
刑事のような足ではなく、彼らの能力を使って行われたそれは、平時ならものの一日で敵のアジトなり何なりを見つけられる、はずだった。
「全然引っかからないんスよねぇ、これが」
「……結界か何かを張っている、と?」
「それは実際に確かめてみん事には何とも言えん。向こうにそんな都市伝説がおるのかもしれんし、この町自体に問題があるのかもしれん」
「……結界か何かを張っている、と?」
「それは実際に確かめてみん事には何とも言えん。向こうにそんな都市伝説がおるのかもしれんし、この町自体に問題があるのかもしれん」
そう言う老人の顔に、落胆の色はない。
元より老人自身、その探索方法が万能ではない事を知っている。
自分たちでできるような事は「組織」だって当然出来るだろうし、その組織が未だに見つけられない以上、老人たちが死力を尽くした所で見つけられる可能性は少ない。
元より老人自身、その探索方法が万能ではない事を知っている。
自分たちでできるような事は「組織」だって当然出来るだろうし、その組織が未だに見つけられない以上、老人たちが死力を尽くした所で見つけられる可能性は少ない。
「面倒じゃが、虱潰しに探していくしかないの」
老人の言葉に、その場に居合わせた面々が頷く。
敵勢力は未知数。
対して彼らは僅か6人しかいない。
敵勢力は未知数。
対して彼らは僅か6人しかいない。
(……いざとなったら、あの時の誰かに協力でも仰ぐべきか?)
さほど重苦しくもない空気の中。
占い師は密かに、マッドガッサーの事件の際に出会った人間達を思い浮かべていた。
占い師は密かに、マッドガッサーの事件の際に出会った人間達を思い浮かべていた。
【終】