【電磁人の韻律詩25~ハニートラップ~】
ピンポン
インターホンが明日家に来訪者の存在を告げた。
しかしそれに答える人間はいない。
インターホンが明日家に来訪者の存在を告げた。
しかしそれに答える人間はいない。
「困りましたね……。」
明日家を訪ねる黒い服を着た男、黒服Dは首をかしげた。
今は日曜日の昼である。
何かの用事でこの家の人間は出払ってしまっているらしい。
――――――――――自分の背中で気絶している彼を除いて
これは困った。
自分の背中で倒れている少年を担当する彼の不真面目な同僚に連絡しても良かったのだが、
一度やり始めたことを途中で中断するのは良くないと彼は考えていたのだ。
今は日曜日の昼である。
何かの用事でこの家の人間は出払ってしまっているらしい。
――――――――――自分の背中で気絶している彼を除いて
これは困った。
自分の背中で倒れている少年を担当する彼の不真面目な同僚に連絡しても良かったのだが、
一度やり始めたことを途中で中断するのは良くないと彼は考えていたのだ。
「あ、黒服さん!」
恋路は黒服Dとその背中に背負われている明日の姿を見て一瞬で事情を察したようであった。
またやったか、という顔でため息を吐くと黒服のそばに駆け寄り明日を背負った。
またやったか、という顔でため息を吐くと黒服のそばに駆け寄り明日を背負った。
「Hさんから聞いています、黒服のDさんですよね?
ああすいませんでした、『組織』とは何の関係もないことでご迷惑かけてしまったみたいで……。」
「いえ、たいしたことじゃないですよ。
どんな事情が有ったのか知りませんがとりあえず彼には無理しないように言っておいた方が良いですよ。」
「……いや、耳にたこを作ってやろうかって勢いで言い続けていたんですがだめでした。
『組織』の仕事よりも危ないことに自分から首を突っ込んでいるんだから世話ないですよ。」
ああすいませんでした、『組織』とは何の関係もないことでご迷惑かけてしまったみたいで……。」
「いえ、たいしたことじゃないですよ。
どんな事情が有ったのか知りませんがとりあえず彼には無理しないように言っておいた方が良いですよ。」
「……いや、耳にたこを作ってやろうかって勢いで言い続けていたんですがだめでした。
『組織』の仕事よりも危ないことに自分から首を突っ込んでいるんだから世話ないですよ。」
恋路はそういうと明日の体の傷があらかたふさがっていることを確認してから家の中に放り込む。
明日は物のようにころころと家の奥に転がっていった。
これにはさすがの黒服Dも苦笑いである。
明日は物のようにころころと家の奥に転がっていった。
これにはさすがの黒服Dも苦笑いである。
「これは私個人の意見なのですが。
…………貴方たちのような子供に危険なことをさせてしまって申し訳ございません。
『組織』のそういうところは間違っていると思うんですけどね。」
…………貴方たちのような子供に危険なことをさせてしまって申し訳ございません。
『組織』のそういうところは間違っていると思うんですけどね。」
まだ自分にはそれを何とかすることができない。
それに対する悔しさが黒服の姿からは伺われた。
恋路はなぜこの人はたかだか子供を戦わせる程度でこんな顔をするんだろう?
と、少しばかり疑問に思ったがそれを聞いてもしょうがないとすぐにその考えを頭から追い払った。
それに対する悔しさが黒服の姿からは伺われた。
恋路はなぜこの人はたかだか子供を戦わせる程度でこんな顔をするんだろう?
と、少しばかり疑問に思ったがそれを聞いてもしょうがないとすぐにその考えを頭から追い払った。
「『組織』の存在は町の為に重要な物だと思っています。
あれがなかったら今以上にたくさんの人々が都市伝説に脅かされるでしょう?」
あれがなかったら今以上にたくさんの人々が都市伝説に脅かされるでしょう?」
恋路は通り一遍のことを言ってみせる。完全に明日の受け売りだ。
「ああ、そうだ黒服さん、夕ご飯はまだですよね?
良ければお礼もかねて料理をごちそうさせていただきたいのですが?」
「え?」
良ければお礼もかねて料理をごちそうさせていただきたいのですが?」
「え?」
どうやら明日家ではしゃぶしゃぶ・肉じゃが戦争の後であっても豚肉が余っているらしい。
「ちょうど今日は酢豚でも作ろうかなあと。」
「ああ、すいません。家で同居人がたぶんもう夕飯を作っているはずなので……。」
「あらあらそうなんですか?黒服さん彼女がいたんですね。」
「いえ、担当の契約者ですし、彼は男性です。」
「ああ、すいません。家で同居人がたぶんもう夕飯を作っているはずなので……。」
「あらあらそうなんですか?黒服さん彼女がいたんですね。」
「いえ、担当の契約者ですし、彼は男性です。」
もしかして、そっちの趣味?
と邪推する恋路。
と邪推する恋路。
「そうですか……。
じゃあこれどうぞ、アスマの姉がアメリカ土産に持ってきてくれていた物なんですが……。
彼、甘い物が苦手なんで家だと食べなさそうですし。」
じゃあこれどうぞ、アスマの姉がアメリカ土産に持ってきてくれていた物なんですが……。
彼、甘い物が苦手なんで家だと食べなさそうですし。」
恋路は高級そうな包み紙につつまれたチョコを手渡す。
包み紙にはアメリカの高級デパートの名前が記されていた。
包み紙にはアメリカの高級デパートの名前が記されていた。
「チョコですか?」
「なんか向こうで流行っているらしくて、よければその同居人の方とどうぞ。」
「それではありがたく受け取っておきましょうかね。それじゃあ。」
「はい、今日はありがとうございました。」
「なんか向こうで流行っているらしくて、よければその同居人の方とどうぞ。」
「それではありがたく受け取っておきましょうかね。それじゃあ。」
「はい、今日はありがとうございました。」
こうして黒服Dは明日家から帰って行った。
しかし彼も、そして恋路も知らない。
なかなか進まない二人の関係に業を煮やした明日晶がそのチョコに媚薬を仕込んでいたことを。
それに気づいて明日真がチョコを棚に保存して誰にも食べられないようにしていたことを。
これが後々ちょっとした騒動の種になるかもしれないのだがそれはまだまだ先のことである。
しかし彼も、そして恋路も知らない。
なかなか進まない二人の関係に業を煮やした明日晶がそのチョコに媚薬を仕込んでいたことを。
それに気づいて明日真がチョコを棚に保存して誰にも食べられないようにしていたことを。
これが後々ちょっとした騒動の種になるかもしれないのだがそれはまだまだ先のことである。
【電磁人の韻律詩25~ハニートラップ~fin】