「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-26

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
【電磁人の韻律詩26~龍殺し~】

~前回までのあらすじ~

朝比奈秀雄の手下の一人である少年、竜宮と対決した明日真!
壮絶な戦いの末に竜宮の操る都市伝説を撃退することに成功するが、
明日自身も深いダメージを負ってしまう!
戦闘後、気絶した明日を送り届けてくれたのは「組織」の黒服D。
明日と契約した都市伝説「電子レンジで猫をチン!」である恋路は、
そんな黒服Dにお礼として明日の姉である晶から渡されたチョコを渡す。
しかしなんとそれには明日姉の手で強力な媚薬が仕込まれていたのであった!
だがそれはひとまず別の話。
その少し後、明日真は彼を担当する「組織」の黒服Hの好意で竜宮の居場所を教えてもらう。
怪我でボロボロな体を引きずって、明日真は竜宮を悪の道から助け出す為に戦うのであった!
戦え明日真!正義の為に!

~前回までのあらすじ、オワリンコ☆ミ~



「受け継がれし王者の魂が光を導く、暗闇照らす正義の月光!
 燦然せよ!E・HERO The シャイニング!」

ガバァ!
その声を聞いて恋路は二度寝を完全にあきらめて、全力でベッドから飛び起きた。
隣のベッドで寝ていた明日真が急に大声で寝言を言い始めたのだ。
しかも自分の寝言がうるさくて自分が起きた。

「ってうるせえよ!」
「うん、でもそのうるさいのってアスマだよ。」
「……ごめん。」
「治療してもらったとはいえ何処かの怪物じゃないんだから怪我はゆっくり治さないと駄目だぜ?
 特に寝ている最中に大声で叫ぶなんて……。
 ていうか何?
 どれだけカードゲームに嵌っているの?」
「いや、なんかアニメの登場人物になっている夢を見たんだ。
 俺ってばセキュリュティーの一員だったんだぜ?
 その上お前も出たぜ、なんか幼なじみだった。同居してた。
 黒服Dさんも出てきたなあ……。」
「へへぇ、そりゃあ面白いねえ。」

恋路は冷たくそういうとさっさと顔を洗いに行ってしまった。
どうやら自分は彼女の機嫌を損ねたらしい、と気づいた明日はとりあえず朝食を作りに行くことにした。




明日真は基本的に料理が出来ない。
なので困った時はとりあえずスパゲティを作ることにしている。
とりあえず昨日作っていたあさりの味噌汁の中身を抜いて、
それをお湯に少し混ぜた物で麺をゆでる。
その後、油を引いたフライパンにレトルトのパスタソースと麺を突っ込んで適当に炒める。
あさりは先ほど抜き取っておいた物を混ぜておけばボンゴレロッソの出来上がりだ。
ゆで汁やら味噌汁を少し混ぜて麺とソースを絡みやすくさせておくのも忘れないのがコツである。

「うひょー、私の好きなボンゴレロッソじゃないか。」

顔を洗うついでに朝のシャワーを済ませてきたらしく、
恋路がリビングに戻ってくる頃には明日の料理は完成していた。

「ところで君って料理苦手って設定無かったっけ?」
「忘れた。先に食べてて、これから自分の分作るから。」

恋路が美味しそうにパスタを食べ始めたのを確認して、明日はこっそり家から出かけることにした。
恋路が気づいていない訳がない。
でも、堂々と出て行くのは何か気が引ける。
それはそんな気持ちからの行為だった。

「ちゃんと帰って来いよ…………。」

恋路の目にはヘルメットをつけてお気に入りのバイクに乗って家を出る明日の姿が映っている。
いつものことだ、と解っていても彼女は胸が痛んだ。




明日は携帯電話を使って黒服Hに連絡を取る。
念のために竜宮の居場所を確認するつもりだ。

「Hさん俺です、今も竜宮の居る場所って変わってないですよね。」
「おお、居場所なら『組織』が押さえているが……。
 何故わざわざ日曜日まで対決をのばしたんだ?」
「いや、平日は学校有りますし、おすし。」
「おすし?」
「いや、できるだけ怪我の回復を待ちたかったんですよ。」
「黒服Dが治療したって聞いたぜ?」
「それでもなーんか本調子じゃなくて……。」
「そうか。そういえば他の黒服からカイザーが強化されているって話を聞いたぜ。
 只でさえ相性が悪いんだから気をつけて行けよ。つか死ぬな。」
「解ってますよ、正義の味方が死んだらお終いですから。」
「解ってればいい、間違えても恋路ちゃんを泣かせるな。」
「はい、それじゃあそろそろ着くんで切りますね。」

最近できたばかりの新興住宅街。
……とはいってもまだ住宅は一つも建っていないのだが。
そこの公園に竜宮は居るとのことだった。
明日は自らのまたがるバイクのアクセルを強く踏んだ。





「あ、居た居た。久しぶりだね、竜宮君。」
「またお兄さん?しつこいよ。」

竜宮と呼ばれた少年は小さく舌打ちをして明日をにらむ。
少年としては明日真は自らの都市伝説を傷つけた男だ。
嫌うのも仕方がないだろう。
だが、そんな当然のことに普通で善良な明日の心は少しばかり痛む。

「この前は済まなかった。
 でも、君にこれ以上悪事をさせるわけにはいかない。
 『組織』の一部強硬派に君が確保される前に俺が君を止める。」
「またやるっていうの?今度は容赦しないよ!」

明日真は焦っていた。
またここで自分が少年を倒せなければ少年は「組織」に討伐されてしまうかもしれない。
確かに彼は強い、強いがまだ小学生くらいの少年だ。
綺麗な手段さえ使わなければ倒すことは出来る。
だがそれは竜宮という一人の少年の未来を消すことになる。
明日真はそれが許せなかった。
彼だって一人の子供だ。
正面からぶつかって、悪いことを悪いと言わなければいけない。
それは特別な力が有ったって関係ないことの筈なのだ。

誰もそれをできないって言うなら、俺がやる。

それが明日真の正義だった。





「戦う前にもう一度頼むぞ、『組織』の保護下に入ってくれ。
 今、俺を倒しても、君が協力している朝比奈秀雄も、もうすぐ『組織』の手で倒される。
 そうしたら次は君の番の筈だ。
 言っておくけど『組織』にはいい人も居るし悪い人もいる。
 『組織』の悪い人に君が狙われたら家族だって危ないよ。
 それでも良いのか?」
「関係ない、僕のカイザーだったら全員倒せるよ!
 それに僕は世界の十分の一が欲しいんだ、だから『組織』なんかには入らない!」
「そのためには人を殺しても良いのか?」
「さぁ、そんなの知らないよ。」

明日はその言葉を聞いて小さくため息を吐く。

「知らないは無いだろう、人の命って尊いんだぜ?」
「ふぅん。で、結局闘るの?闘らないの?」
「それしか手がないんだったら、俺が君と闘う。
 そして君ごと皆救う。」
「なんか自分勝手だなぁ……。」

竜宮はそう呟くとカイザーを呼び出して、自らその背中に乗った。




「カイザー、つばさでうつ!」

先に動いたのは竜宮とカイザーだった。
カイザーは竜宮を乗せたまま低空飛行を続け、翼で明日のバイクに思い切りぶつかろうとする。
しかし明日は素早くバイクを発進させてギリギリそれを躱した。
明日真にとっては戦場がまだ家すら建てられていない新興住宅地だったのが幸いだった。
彼の操縦技術ならばアスファルトだろうが砂利道だろうが関係なく運転できるし、
何より周囲への被害を恐れる必要がない。

「充電開始、電力1000W突破、充電完了まで残り7秒。」

明日はカイザーを住宅街の奥の森に誘い込むようにバイクを走らせる。
カイザーだって実体のある生き物だ。
木などは躱さなければ飛べないだろうと彼は予想した。
しかしその予想は簡単に覆される。

「カイザー、目の前の木に向けてつばさでうつだ!」

メキメキィ!
生木の折れる音がする。
明日真は思わず後ろを振り返った。




「嘘だろ……?」

目の前の情景を見て明日は呟いた。
森の中をクネクネと動く明日に対してカイザーは木を折りながらまっすぐに突っ込んでくるのだ。

「カイザー!火炎放射だ!」
「3000W、収束照射!」

普通、火炎放射器の炎が発射されるよりは電磁波が飛ぶ速度の方が速い。
そして、火炎放射が正確に当たる間合いは明日の電子レンジが十分威力を持つ間合いだ。
後の先をとった明日の攻撃が、カイザーの鼻面に直撃する。
ジュワっと音を立ててカイザーの鼻先から水蒸気が出る。
カイザーが思わずよろめく。

「カイザー!?」
「クソッ、これだけ溜めてもよろめくだけかよ!」

明日はバイクを加速させながら森の中の曲がり道だらけ国道をぐるぐると回る。
その先には彼がよく走りに行く峠があるのだ。
明日は森でカイザー達の集中力を消耗させてから、そこで勝負をしかけるつもりだ。
それまでは時間稼ぎである。






ところで、一秒で3000Wの電磁波を照射している時、それはすなわち3000Jのエネルギーを出していると言うことだ。
3000Jのエネルギーはカロリーに直すと約700calだ。
それは水7gを一瞬で蒸発させる量である。
こう聞くとたかが7gと思うかもしれない。
だが明日はある程度そのエネルギーを溜めることが出来る。
チャージ可能時間は約十秒。
単純計算で70g、卵一個より少し重い程度だ。
500mlのペットボトルの体積でいえばその七分の一である。
弱くなど決してない。
生体においてそれだけの箇所を一瞬で破壊できると考えるべきなのだ。
普通の人間であればその三分の一、1000Wでも制圧には十分すぎるくらいだ。
勿論破壊できる領域は×秒数で増加していく。
そう、明日の正義と秩序を愛する心とは裏腹に彼の能力は完全に“殺す”為の能力だったのだ。

「ほらほら、こっち来いよ!」
「くそっ、チョコマカチョコマカと……。
 カイザー、はかいこうせん!」
「3500W、収束照射!」

バチィン!

明日はカイザーの目を潰すことで素早く攻撃を回避する。
「また火傷状態か!かいふくのくすりかいふくのくすり……。」
「目の前がお留守だぜ。」
「え?」




嫌な音を立てて木の枝が竜宮少年に直撃する。
カイザーは目がつぶれていた上に彼自身も回復に夢中で気づかなかったのだ。
回復アイテムはなんとか間に合ったようで目の治ったカイザーは自分から落ちそうになった竜宮少年を救出する。

「どうした竜宮、お前の操るカイザーは人間の操るバイクにもついてこれないのか?」
「くそっ……!カイザー、炎の渦だ!」

安い挑発である。
普段の竜宮であればきっと無視したに違いない。
カイザーはどんどんどんどんスピードをあげて明日を追いかける。
明日も負けずにスピードを上げるが所詮は機械。
空をかけるカイザーのスピードには敵わない。
明日と竜宮、二人の距離はどんどん近くなっていた。
しかしそこで竜宮が何かに気づいたような顔をする。

「カイザー、近づきすぎるなよ!また攻撃されるぞ!」
「流石に三度目は無理か?」
「何度も同じ手を喰うと思うなよ!」

明日は完全に仕込みが終わったことを確信する。
明日は懐からこっそりペットボトルを取り出した。




お互い、攻撃ができないままに森を抜けた。
実は明日と竜宮の攻撃における間合いはかなり似ている。
火炎放射も電磁波も距離が遠すぎては拡散してしまうし、
破壊光線も明日のもらった拳銃も走りながらでは危なっかしくて遠距離で狙いを定められない。
しかし、明日が先ほどやってみせたようにどちらも遠~中距離攻撃タイプなので、
近づいてきた敵を迎え撃つことには長けている。
下手に近づいた方がやられる。
それが竜宮と明日の共通の認識だった。

だが、そんな状況で峠に誘い込むことこそが明日の狙いだった。

追う竜宮、逃げる明日。
明日は蓋が開きっぱなしのペットボトルを何本か空中に投げ捨てた。
異臭のする透明な液体がカイザーにかかり、カイザーはそれを少しのんでしまったが竜宮はそれに気づかない。
せいぜい自分たちの目つぶしに失敗した程度にしか考えていなかった。
近すぎる先ほどの距離では液体がペットボトルから出る前にカイザーが追い抜いてしまう。
だから液体をカイザーにだけかけることができる距離にする必要があった。
ところでその峠の道には最初の大きなカーブを曲がるとそこには休憩所がある。
初めてそこを登る人間は知らずに通り過ぎてしまうような場所だ。
それを知っている明日はすばやくそこに入り込む。
明日の策はゆっくりと成功に近づいていた。




「あれ?居ない?」

カーブを曲がってから竜宮は辺りを見回す。
先ほどまでもの凄い速度で追いかけ合っていた明日真が魔法のように消えてしまっていた。
彼は一旦カイザーを停止させてもう一度左右や周囲を警戒する。

「ふん、さては勝てないと解って逃げたな……。」

ブォオオオオオオン!!

エンジンの轟音。
先ほどまで照っていた太陽の光が一瞬だけ隠れる。

「――――――――上!?」

竜宮やカイザーの斜め上、一つ上の道路からバイクが飛んできた。
グモっと嫌な音がしてカイザーの頭にバイクがぶつかる。
だが、カイザーは動かない。
動けないのだ。

「くそっ!放せ!放せよ!」
「悪いが君を放すわけにはいかないな。このまま君を『組織』の所に連れて行ってゲームセットだ。」

明日真は今の一瞬で竜宮少年をカイザーの背中から誘拐していたのである。




「カイザー助けて!」

竜宮の声に反応してカイザーが明日を追いかけてくる。
竜宮自身も明日の手から離れようともがくのだが流石に高校生と小学生の腕力では勝負にならない。
しかし、そのせいで明日も竜宮からゲームボーイを奪い取れないでいた。
竜宮はすかさずカイザーを回復させる。

「放せよ!このガチホモ童貞野郎!」
「ドドドド、童貞ちゃうわ!俺彼女居るから!」
「え、ガチホモは否定しないのか……。」
「それはもっとちがああああああああああああう!」
「隙あり!」
「ゴフッ!」

竜宮が明日の鳩尾に肘打ちを決める。
だが明日は竜宮をしっかり掴んで放さない。
もし明日が彼を放せば一瞬でカイザーの火炎放射の餌食だからだ。
人質みたいなことをするのは彼の主義に反したがこの際手段は構っていられなかった。





「放せよ―!」
「いやいや放したらお前が死ぬって!」
「良いから放せよー!」
「だから放したらお前が死ぬじゃねえかお馬鹿!
 ええい、これだから子供の相手は嫌だ!」

それにしても、暴れる子供を小脇に抱えて運転するのは中々厳しい。
先ほどから明日は何度も何度もバランスを崩しかけていた。

だが峠を下り、森を抜け、徐々に徐々に彼は住宅地に近づきつつあった。
そこまで行けば応援が来ている筈なのである。

明日はそう信じてアクセルを強く踏みしめる。

だが、彼が公園にたどり着くことはなかった。

「今だ、カイザー、そいつを追い抜け!」
「何!?」

カイザーは先ほど見せた速度を遙かに上回るスピードで明日の前に出た。
そして、その巨体で明日のバイクの前に立ちふさがったのだ。





よく考えれば当然だったのだ。
竜宮を乗せたままでカイザーが全速力を出せるわけがない。
その上明日自身はバイクに竜宮を乗せたことでスピードが落ちている。

明日真は、真正面からカイザーにぶつかった。

そして、それはそれは簡単に、空中にバイクごと投げ出され、地面にたたきつけられる。

だがそれでも、そんな自分の命に関わる状況でも彼は竜宮を守るようにして落下した。

竜宮はすばやく明日の所から離れてカイザーの後ろに隠れる。

「カイザー、火炎放射だ!」

彼は自らをかばった明日にとどめを刺すべき指示を出す。
カイザーの口元に炎が溜まる。

シュゴオ!

しかし次の瞬間真っ赤な炎に包まれたのは明日真ではなく、カイザーだった。




「え、なんで?」
「教えて欲しいか少年?」

ユラリ、幽鬼のように立ち上がる明日真。
プロ仕様のライダースーツとバイク用エアバッグを服の下に着込んでいた為に怪我は致命傷ではなかった。
それでもヘルメットの中の額からは血が流れ、腕も不自然な方向に曲がっている。

「ガソリンだよ、さっき君のカイザーに飲んでもらった。
 ついでに浴びてもらった。」
「あれだけのスピードで動いていたらそんなのすぐに吹き飛ぶじゃないか!」
「だから少し飲んでもらったのさ。
 さっきお前をさらう時にあいつの背中にも少し仕掛けをしていたしな。」
「どれだけ器用なんだ……?」
「ハハハ、バイクに乗りながら朝から夜まで過ごせるぜ。」

ヘルメットを外して軽く笑う明日。
だがその笑顔もすぐに消える。

「最後のお願いだ、素直に降参してくれ。」

それはすでにお願いではない。






「…………………嫌だ。」

竜宮はそれでも明日の願いを断った。
彼は素早くカイザーを回復させるとカイザーに今度こそ明日にとどめを刺すように命令する。
明日はすでに力なく倒れていた。

「そうか、嫌か。じゃあ、止めないと……」

そういって、そのまま明日の意識は完全に0になった。

バチィン、バチンバチン!

しかしその直後カイザーを中心とした空間にいくつもの火花が散る。

「カイザー、かえん……!」

竜宮少年の指示は最後までカイザーに伝わらない。
すでに伝えることなど出来なかった。




その時、竜宮少年が見たのは巨大な箱だった。
火花で出来た箱。
箱の中心に居るのはカイザー。
彼は一瞬でその箱が危険であると直感した。
しかし、それが限界だった。

カイザーの全身が水蒸気と鮮血を吹き出しながら爆発していく。
あふれ出る血流はあふれたそばから水分を失って赤黒い塊になって飛び散った。

「まんたんのくすり!まんたんのくすり!」

何度も何度も回復アイテムを使う。
使いはするのだがそれと同じペースでカイザーのHPは削られていく。
そのうち、ダメージのペースが回復のペースを上回り始めた。
そして回復アイテムがつきる頃。
カイザーは原型を留めぬ程に破壊され尽くして行動を停止した。

バチン!

そして、次はお前の番だと言わんばかりに竜宮の周りで火花が散る。
「電子レンジで猫をチン!」という都市伝説は本来、対生物の都市伝説。
一度暴走すれば契約者も含めて周りの生物を片っ端から殺傷する。
今ここで、明日真の都市伝説は暴走を始めていた。




竜宮は素早くその場を離れようとした。
バチィン!
だが彼はその場から一歩も動けない。
動けば大量の火花が出て、体を焼く。
自分は死ぬのか?あそこまでむごたらしく死ぬのか?
強力な都市伝説と契約していてもまだ子供である竜宮は恐怖でへたり込む。

「これは酷いな……。」
「あちゃあ……。遅かったか。黒服さん、これは私が押さえておくんでその子を捕まえておいてください。」
「ああ、そうするよ。」

竜宮は顔を上げた。
そこには恋路と黒服Hが立っていた。
恋路が手をのばすと火花の檻に大きな穴が開く。

「ほら、君。命がおしけりゃさっさと出てきなさい。」

竜宮はそのまま黒い服の男に引き渡される。

「こいつは制御に骨が折れそうだな……。
 だからあれほどちゃんと帰ってこいと言ったのに…………。」


恋路はため息を吐くとそこら辺で倒れていた明日を起こす作業に取りかかった。
ちなみにこの後明日は恋路から4時間ほど説教を喰らうのだがそれはまた別の話である。
【電磁人の韻律詩26~龍殺し~fin】



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー