…頭が痛い
そうか、あのお人好しはいつもこんな痛みを抱えていたのか、とHはやや、他人事のように考える
……直後、体内に感じた痛みに、けほ、と小さく咳き込んだ
急いでスーツの内側からピルケースを取り出し、中の錠剤を飲みこむ
そうか、あのお人好しはいつもこんな痛みを抱えていたのか、とHはやや、他人事のように考える
……直後、体内に感じた痛みに、けほ、と小さく咳き込んだ
急いでスーツの内側からピルケースを取り出し、中の錠剤を飲みこむ
「…あれ、その薬、全部飲みきってなかったっけ?」
「お前さんと別れた後に補充したんだよ…ったく、あの時、一回くらいは死んでたぞ、俺」
「お前さんと別れた後に補充したんだよ…ったく、あの時、一回くらいは死んでたぞ、俺」
嘘と言う鎧を剥がされた事で生じた、体の異変
一応、それは今は落ち着いているが……だが、発作の感覚やら何やらと、あの瞬間の体の崩れ具合…消失具合から、見るに
そろそろ、辰也に精製してもらっている薬では…持たなくなる
そうなってくると、体を保つ事を「賢者の石」に完全に委ねる事になってしまう
それは、却下だ
復讐を終えるまで、無駄に「賢者の石」を使う訳にはいかない
一応、それは今は落ち着いているが……だが、発作の感覚やら何やらと、あの瞬間の体の崩れ具合…消失具合から、見るに
そろそろ、辰也に精製してもらっている薬では…持たなくなる
そうなってくると、体を保つ事を「賢者の石」に完全に委ねる事になってしまう
それは、却下だ
復讐を終えるまで、無駄に「賢者の石」を使う訳にはいかない
…と、なると…体内に「賢者の石」を仕込む前まで、投与され続けていたあの薬を、再び投与されなければならない
今までごまかしごまかししてきたメンテナンスを再び受けないことには、体が持たないのだ
今までごまかしごまかししてきたメンテナンスを再び受けないことには、体が持たないのだ
……それは、困る
佳奈美を護る為にも…彼女と共に生きるためにも、それでは困るのだ
佳奈美を護る為にも…彼女と共に生きるためにも、それでは困るのだ
「…あー、くそ、仕方ない。お嬢さん達に話すか…………お前さん、上司が誰になるか決まったか?」
「いや、まだだよ」
「いや、まだだよ」
星少年……いや、都市伝説に飲み込まれ「ファンタ・ゴールデンアップル」と言う都市伝説そのものになった彼を、その名前で呼び続けてもいいのかどうか、不明だが…の答えに、そうか、と頷くH
ならば、話は早い
ならば、話は早い
「だったら、付いて来い。強硬派や過激派の連中の下につかれても面倒だ。俺の上司紹介してやる」
「まぁ、カナ姉ちゃんのためになるんなら、いいけど」
「少なくとも、強硬派過激派につくよりは、彼女のためになるさ」
「まぁ、カナ姉ちゃんのためになるんなら、いいけど」
「少なくとも、強硬派過激派につくよりは、彼女のためになるさ」
来い、と歩き出したHの後を、星はついていく
…悪魔の囁きは、星の頭の上に乗ったまま
よくもまぁ、研究班に回収されていないもんだ
もしかしたら、この小さな姿やら何やらで、悪魔の囁きだと認識されていないのかもしれない
…悪魔の囁きは、星の頭の上に乗ったまま
よくもまぁ、研究班に回収されていないもんだ
もしかしたら、この小さな姿やら何やらで、悪魔の囁きだと認識されていないのかもしれない
「……ねぇ」
「うん?」
「…あんたは、まだ、復讐を続けるの?」
「うん?」
「…あんたは、まだ、復讐を続けるの?」
Hは、まだ復讐を終えていない
殺すべき相手は、あと4人
まだ、4人も残っている
殺すべき相手は、あと4人
まだ、4人も残っている
佳奈美を除いた周囲の者を、たっぷりと巻き込んで
緩やかに、だが、早急に、復讐を進めていた
緩やかに、だが、早急に、復讐を進めていた
佳奈美に、本心を吐露した後ではあるが
だが
だが
「……当たり前だろ。その為に、俺ぁ今まで生きてきたんだからな」
「…カナ姉ちゃんを悲しませるような結果にはなるなよ?」
「止めろとは言わねぇか。ま、言われても止められないがね」
「…カナ姉ちゃんを悲しませるような結果にはなるなよ?」
「止めろとは言わねぇか。ま、言われても止められないがね」
星少年の言葉に、肩をすくめるH
その通り、止めろと言われても止める気はないし
それに
その通り、止めろと言われても止める気はないし
それに
「…佳奈美を悲しませるような事は、しないさ。どちらにせよ、あの連中を始末しきらない事には、佳奈美だって危なくないと言い切れねぇしな」
人を人とも思わぬ
命を命と思わぬ、あの連中を
殺し尽くさぬ事には、安心でいない
大切な存在を護る為にも、護りきる為にも
……復讐を止める訳には、いかないのだ
命を命と思わぬ、あの連中を
殺し尽くさぬ事には、安心でいない
大切な存在を護る為にも、護りきる為にも
……復讐を止める訳には、いかないのだ
「あぁ、そうだ」
「何?」
「俺は、奇跡は信じない」
「何?」
「俺は、奇跡は信じない」
----きっぱりと
そう、Hは言い切った
その言葉に、ややむっとした表情の星に続ける
そう、Hは言い切った
その言葉に、ややむっとした表情の星に続ける
「そんなもん、信じても裏切られるってのはわかってるからな……そんなもんにすがれる程、若くもねぇしな」
人間に戻れるかもしれない
その奇跡に、一時はすがった
だが、同じ奇跡にすがっていたはずの彼女はそれをとっくに諦めていて
…その姿に、最早奇跡にすがる事など無意味だと、気づいてしまった
その奇跡に、一時はすがった
だが、同じ奇跡にすがっていたはずの彼女はそれをとっくに諦めていて
…その姿に、最早奇跡にすがる事など無意味だと、気づいてしまった
「…人間に、戻る手段……それに関しては、奇跡じゃなくて、実例があるようなんでな。そっちにすがらせてもらうさ」
「その方法が見付かった。それこそが奇跡だとは考えないんだ」
「うっせぇ」
「その方法が見付かった。それこそが奇跡だとは考えないんだ」
「うっせぇ」
奇跡にすがるのは、もう疲れた
これ以上、心をすりきらせたくはなかったから
これ以上、心をすりきらせたくはなかったから
だが
その奇跡が、奇跡ではなく現実として目の前にあるのならば
それを放す積りはない
その奇跡が、奇跡ではなく現実として目の前にあるのならば
それを放す積りはない
許された
許されてしまった
こんなにも血に塗れた、化け物でしかない存在を…彼女は、認めてくれたから
許されてしまった
こんなにも血に塗れた、化け物でしかない存在を…彼女は、認めてくれたから
傍にいる事が、許されるはずがない
だが、彼女が望んでくれるのならば……傍にいようと、そう思った
護り続けようと、そう思った
己は、幸せになる事など許される存在ではない
だが、彼女が望んでくれるのならば……傍にいようと、そう思った
護り続けようと、そう思った
己は、幸せになる事など許される存在ではない
だが、せめて
彼女だけでも、幸せにしてやりたい
自分などに、それができるかどうかは、わからないが
彼女だけでも、幸せにしてやりたい
自分などに、それができるかどうかは、わからないが
(……こいつに、人間やめさせちまった責任もあるし、な)
人間を止めてしまった星
その姿に……一度、都市伝説に飲み込まれかけた辰也の姿をふっと思い出し
Hは小さく、気づかれぬように、自嘲した笑みを浮かべるのだった
その姿に……一度、都市伝説に飲み込まれかけた辰也の姿をふっと思い出し
Hは小さく、気づかれぬように、自嘲した笑みを浮かべるのだった
to be … ?