宏也と歩いていたら、宏也が担当している契約者で、最近どうやらいい仲になったらしいガキを見かけて
確か、まだ高校生だったはずのあのガキが、そろそろ新学期の始まる時期、この時間帯に歩いているのは不自然だ
宏也もそう考えたのだろう、声をかけたのだが
…ガキは赤くなって、何か叫んで、逃げた
………うん
確か、まだ高校生だったはずのあのガキが、そろそろ新学期の始まる時期、この時間帯に歩いているのは不自然だ
宏也もそう考えたのだろう、声をかけたのだが
…ガキは赤くなって、何か叫んで、逃げた
………うん
「お前、何やった?」
「何って言われてもなぁ。つか、迷う事なく、俺が原因、決定か」
「何って言われてもなぁ。つか、迷う事なく、俺が原因、決定か」
他になにが原因だと言うんだ
理由など、いくらでも思い浮ぶ
この歩くセクハラ装置が
理由など、いくらでも思い浮ぶ
この歩くセクハラ装置が
「どうせ、付き合うようになったのをいいことに、セクハラ以上のことでもやったんだろ」
「残念ながら、まだそこまではやってねぇよ。佳奈美が高校卒業するまで、最後まではヤる気はねぇし」
「残念ながら、まだそこまではやってねぇよ。佳奈美が高校卒業するまで、最後まではヤる気はねぇし」
最後までは、という事は途中まではヤる気か
自重しろ、おっさんが
自重しろ、おっさんが
「とりあえず、追いかけた方がいいんじゃないのか?」
「あー、そうだよなぁ」
「あー、そうだよなぁ」
ただなぁ、と
ちらりと視線を向けられて
鬱陶しい、というようにため息をついてやった
ちらりと視線を向けられて
鬱陶しい、というようにため息をついてやった
「体の痛みはドクターの薬で治ってるよ。問題ねぇ」
久しぶりに使った、「身体能力強化剤」の力
確か、去年、中央高校で俺達が起こした騒ぎの最中に、階段を飛び降りた時に無意識に使って以来だ
体を強化するあの薬の効果は、日頃から意識してある程度使っていないと、一気に体に反動が来る
H-No.9の顎を引き裂くのに腕と手の力を強化したせいで、腕から手にかけて激しい激痛が走った
まともに動かせないほどの痛みだったが、今はドクターの薬でその反動は落ち着き、かすかに痛む程度ですんでいる
確か、去年、中央高校で俺達が起こした騒ぎの最中に、階段を飛び降りた時に無意識に使って以来だ
体を強化するあの薬の効果は、日頃から意識してある程度使っていないと、一気に体に反動が来る
H-No.9の顎を引き裂くのに腕と手の力を強化したせいで、腕から手にかけて激しい激痛が走った
まともに動かせないほどの痛みだったが、今はドクターの薬でその反動は落ち着き、かすかに痛む程度ですんでいる
「いや、そっちじゃなくてだな」
…腕の事じゃなかったら、何だと言うんだ
他には、何も問題なんてない
H-No.9を殺してやって、残りあと三人
そいつらを全員殺してやれば、俺達の復讐は終わって
そして
他には、何も問題なんてない
H-No.9を殺してやって、残りあと三人
そいつらを全員殺してやれば、俺達の復讐は終わって
そして
「いいから、とっとと追いかけとけ。復讐を終わらせたら、人間に戻ってあのガキと一緒に生きるんだろ?」
そうだ
復讐を終えたら、宏也は人間に戻るのだ
「組織」の黒服と言う都市伝説から、人間へ
あのガキと結婚して、共に歳を取って生きたいと願うなら、人間に戻るべきなのだ
都市伝説であり続けては、こいつはたとえあのガキが死んでも、生き続けなければならないかもしれないから
宏也は、人間に戻るべきなのだ
ただでさえ、魂レベルで自分が都市伝説となった事実を否定し続けている奴だ
そのせいで、薬なしで生きられない体になっているのだから
その状態から脱出するには、人間に戻るべきだ
復讐を終えたら、宏也は人間に戻るのだ
「組織」の黒服と言う都市伝説から、人間へ
あのガキと結婚して、共に歳を取って生きたいと願うなら、人間に戻るべきなのだ
都市伝説であり続けては、こいつはたとえあのガキが死んでも、生き続けなければならないかもしれないから
宏也は、人間に戻るべきなのだ
ただでさえ、魂レベルで自分が都市伝説となった事実を否定し続けている奴だ
そのせいで、薬なしで生きられない体になっているのだから
その状態から脱出するには、人間に戻るべきだ
「何やったんだか知らねぇが、どうせ原因はお前なんだ。謝っとけ」
「信用ねぇなぁ」
「信用ねぇなぁ」
こっちの言葉に、宏也は苦笑してきて
……ぽふり
子供にするように、頭を撫でてきた
……ぽふり
子供にするように、頭を撫でてきた
「…んじゃあ、俺は行くけどよ。無理するなよ?」
「………わかってる。子供扱いするな」
「………わかってる。子供扱いするな」
頭を撫でてきた手を、跳ね除ける
宏也はもう一度苦笑して……逃げていったあのガキが、走り去った方向に駆けていく
宏也はもう一度苦笑して……逃げていったあのガキが、走り去った方向に駆けていく
「………………」
---撫でられた頭が痛い
この先、起こるであろう出来事を考えて
その事実を、受け入れる心構えが…まだ、俺はできていない
この先、起こるであろう出来事を考えて
その事実を、受け入れる心構えが…まだ、俺はできていない
さっさと、受け入れるべきだ
諦めるべきだ
宏也は、人間に戻るべきなのだから
諦めるべきだ
宏也は、人間に戻るべきなのだから
H-No.360でもなく
広瀬 宏也でもなく
広瀬 宏也でもなく
……元の名前に、戻るべきなのだ
その時は、宏也にとって祝福すべき瞬間なのだから
俺も、それを祝福してやるべきなのだ
俺も、それを祝福してやるべきなのだ
---たとえ、それによって、俺がどう言う状況に置かれたと、しても
to be … ?