「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-66

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ドクター66


「呂布が将門公に喧嘩売る前にマジでどうにかしないとな……ったく、俺はデスクワークとかバックアップが本業だっつーのに」
ぶつぶつと呟きながら、動きやすいミニスカートのメイド服と、暗闇に忍ぶ黒いストッキングと長手袋を身につける犬メイド
そもそもがメイド服で活動する理由は無いのだが、なんだかんだでこの調子である
「おおよその位置こそ掴めてきてるんだが……結界か何かの類か、くそ」
聴覚を広範囲に展開する事で怪しい空間のおおよその位置は掴めているものの、その掴めたはずの場所が現地で認識できない
そんな場所をどうにか探るべく、犬メイドは呂布の居ぬ間に現地での探索活動を続けているのであったが
運が良いのだろうか悪いのだろうか、決定的な変化が訪れる事となる

―――

学校町にある霊園の一角
その敷地に踏み込む手前の道で、真紅の大型バイクが停められる
2メートル近くはある身長と、高密度の筋肉で覆われた大柄な身体は、明かりの少ない深夜の墓地でも非常に目立っていた
「このような時間に何ですか、珍走団の肝試しなら他所でやって下さいな」
夜闇の中に、明かりに照らされているわけでもなく、ただそこにいるという事がはっきりと見える女の姿
『怪奇同盟』の『盟主』たる女の姿に、男は怖れも驚きも無く手にした得物――方天画戟を構える
「貴様が、平将門の愛妾だな」
そう問うた男、呂布に対して即座に放たれた返答は、空気そのものを焦がすほどの巨大で高圧な紫電の塊
空気と大地を揺るがすほどの一撃は地面を抉り、辺りに火花を撒き散らす
「誰が、誰の、愛妾ですか」
全身から迸る怒気が髪を揺らめかせ、砂埃と煙と熱気が渦巻く空間を睨み付ける
「く、くくく、ははははは、良い一撃ではないか! 流石は平将門の」
「お黙りなさいな」
こめかみに青筋を浮かべた盟主は、声の勢いが衰えない相手の様子に手加減無用と判断し、先程と同じ規模の雷を続け様に三発四発と叩き込まれる
だが、その雷撃を呂布はいともあっさりと斬り捨てる
正確には斬っているのではなく、方天画戟の先端に触れた雷撃を、斬る勢いのままに後方に投げ捨てるようにして弾き落とすという、出鱈目な力技だ
雷を帯びばちばちと火花を散らす方天画戟の穂先を、踏み込んだ勢いでそのまま盟主へと突き込む呂布
物理攻撃など通用しないはずの盟主だが、その勢いに気圧されたように大きく後方へと飛び退く
「何の術も施していないはずのただの戟で、私に傷を付けますか」
「斬れぬものなど、俺には無い」
物理法則を無視した回避運動でその一撃を逃れたものの、盟主の着物の袖の一部がすっぱりと切り落とされていた
傍から見れば服の一部が切れただけではあるが、霊的存在である彼女からすればその身を斬られたようなものである
「貴様に怨みは無いが、この町で強者と戦うのが俺の役目。そして貴様を斬れば……平将門は必ず俺の元に現れるだろう」
「なるほど、私はあの落ち武者のせいでとことん迷惑を被っているわけですね」
膨れ上がる敵意と殺意と、理不尽なまでの怒気
それに身を晒してなお、心地良いとまでに笑みを浮かべる呂布
ざり、と――呂布の足が地面を踏み締め
ばちり、と――盟主の周囲に紫電が張り巡らされ
「そこまでだ」
一触即発の状態で、その間に割り込んできた男の声に呂布は踏み止まり
「てい」
意に介した様子も無いどころか、むしろ狙いを定めて割り込んできた男、平将門目掛けて雷光を叩きつける盟主
「ああきゅうにめのまえにでてきたからこうげきをとめられませんでしたわ」
「くく、かかか! 相変わらず激しい愛情表現だな?」
余りの激しい電圧と熱量で周辺の空気すら揺らめいて見える中、将門は意に介した様子も無くからからと笑う
「貴様が三国の時代に大陸最強を謳われた、呂奉先か。なるほど噂に違わぬ力量よ」
「俺を知っているか。ならば話は早い……俺と立ち合え」
「断る」
即答だった
「武を競うのは吝かではないのだがな、今この町で戦うわけにはいかん。理由は言わずとも……なぁ?」
「俺は奴らの企みなど知った事ではない。戦いによって約定を果たし、契約者の望みを叶えるのみ」
呂布の背後にいる黒服達の存在を知られている
だからと言って、呂布の行動が何ら変わる事は無いのだ
「ならば我も貴様の都合など知った事では無いなぁ? 竜が暴れ毒が濃くなったばかりだというのに、これ以上負担を増してやるわけにはいかぬ」
そして将門もまた、相手がどうであろうと己の行動を何ら変えるような男ではない
「私はまだまだ平気ですとも。妙な気遣いは無用です」
「そうかな? 以前までのお主なら、呂布に挑まれたところでさらりと受け流し姿をくらませているだろう。正面から打ち合いなどせずにな」
言葉に詰まる盟主を庇うように立ち、将門は呂布に笑みを向ける
「呂奉先よ。貴様と遊ぶのは、毒を湛えし壷を打ち壊してからだ」
つい、と
将門の指先が呂布に向けられ、そのまま何かを辿るように町の何処かへと向けられる
「随分と上手く逃げ隠れしたものだが……どんな形であれ縁ある者を我の前に出したのは失敗だったなぁ?」
場所、血縁、組織や団体、果ては国家
相手が『何』か判らなければ、括りが大き過ぎれば、祟りを成すにも様々な弊害が出る
『蟲毒』を成しながらも何者かを悟られずに身を隠していた中華黒服を、『呂布に指図し暗躍する者』として括り縁を手繰り寄せ――

―――

――ぱきん、と
澄んだ音を立て、薄い硝子が砕け落ちるように
中華黒服達の潜伏していた空間が崩れ落ちて、そこにあったものが空家の一室に傾れ落ちた
「知られたか」
「悟られたか」
「流石は有数の『祟り神』よ」
「備えが無ければ我らもただでは済まなかっただろう」
「しかし我らの存在が捉えられた以上、結界や空間そのものはもう堪えられぬ」
「『太歳星君』を御するには、いま少し毒が足りぬ」
「急がねば毒を満たすべき壷を打ち壊されかねん」
「ならば我々が、足りぬ毒を満たすまで」
「都市伝説でも契約者でも」
「男でも女でも童子でも」
「虫けらでも畜生でも」
「片端から殺し毒とし」
「掻き集めて壷を満たせ」
くたびれた漆黒の外套を身に纏い
一人、また一人と町の中へと放たれていく
やがて水鏡の傍らに立つ黒服は一人きりとなり
その一人は、放たれた他の黒服を監視するかのように水鏡を覗き込んでいる
「あと僅か、僅かなのだ。邪魔はさせぬぞ」
その首が人形のようにぐるりと真後ろを向く
その顔が向けられたのは、廊下へと繋がる扉が僅かに開いた隙間
「縛」
捻られた喉から放たれた音は、扉の向こうで息を潜めていた者の身体を一瞬で硬直させる
「しばらく前からこの辺りを探っていた、文字通りの犬か」
どさりと音を立てて倒れたそのメイドには、犬の耳と尻尾が生えていた


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