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連載 - 黒髪のメリーさん-02

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黒髪のメリーさん 02


振り返ってしまった…。
メリーさんが背後に立った時、振り返った者は※される。
私がゴ●ゴなら、死ぬのは背後を取ったメリーさんなのに…。

絶望に似た感覚を覚えつつ、呆然としていても、メリーさんはなかなか襲ってこない。
メリーさんの口が動き、硬直した場が動き出す。

メ「ご、ご主人…様……?」

女「…へ?」

その言葉は想定外のものだった。

メ「ご主人様ぁぁぁ!!やっと…やっと見つけた…見つけましたッ。ぐすっ」

女「え?ちょ、ちょっと~!?」

いきなり抱きつかれる。どうやら死なずにすみそうではあるが。
ご主人様?やっとみつけた?
なんの事だ?私はごくごく普通の家柄の女の子だぞ?
家にはメイドなんていない。そりゃあ、そんなメイドを辱めたいと思ったことはある。
けど思っただけで、私をご主人様だとか、お嬢様なんて呼ぶ者なんていない!
ましてこんなお人形、過去に持ってた事も捨てた事もない。

女「ひ、人違いじゃ…」

メ「いいえ。そのお顔、そのお声、その髪の毛、その匂い…間違いありません!!」
メ「もしかしてご主人様は私を、メリーを…茉莉(まり)をお忘れですか?」

私の胸にうずめていた顔を上げ、じっと私の目を見詰めてくる。
その涙で潤った瞳、不安げな顔は、儚くて美しかった。

女「忘れるもなにも、初対面だし…。人違いじゃない?
  ていうか茉莉って…あなた日本の方なの?」

メリーさんって欧米の方じゃないの?
金髪ツインドリルか金髪ウェーブで碧眼なんじゃないの!?
つーか事態が飲み込めないんですが・・・。
しかもこの子絶句してるし(汗)

女「えっと、とりあえず事情を説明してくれない?ほら、もしかしたら思い出すかも。」

メ「は、はい…。」

メリーさんは、人違いなのが信じられないという様子で語り始めた。






女「なるほど。生き別れのご主人様を探すためってわけね。
  でも残念だけど本当に私じゃないの。どう証明して言いか分からないけど…。」

メ「いえ…こちらこそ申し訳ありません。あまりに似ていたので…。」

なんだかぬか喜びさせたようで申し訳なかった。
だから、せめてもの罪滅ぼしのつもりでこう提案した。

女「もしよかったら、今晩うちで休んでいきなよ。」
メ「え?で、でも…」
女「これもなんかの縁だしさ、ね?」
メ「…はい、ありがとうございます。」

ためらいながらも、うちにメリーさんは泊まっていくことになった。








メリーさんと一緒のベッドに入り、消灯。
メ「なんというか、すごく懐かしいです。」

私が探し人のソックリさんであるガッカリと、ご主人様的な人とまた寝れる喜びが入り交ざった、
複雑な表情をメリーさんは見せた。

女「メリーさん。一つ聞いて良い?」
メ「はい?」
女「メリーさんに背後をとられて振り返った人は死ぬって言うけどあれマジ?」
メ「そんなことないですよ。考えてもみてください。
  よく聞くメリーさんの伝説って、被害者の一人称視点で、しかも第三者がいませんよね?
  それでもし私達がその方を死なせていたら、だれもメリーさんの事を語れない。
  メリーさんの話が存在するハズがないんです。
  私達のような存在は、たくさんの人に語られることで、存在できるんです。
  殺してしまったら存在できませんよ私達。」
女「へー。」
メ「だから死なせないで適当に気絶して貰うだけです。」
女「疑問がスッキリしたよ。ありがと。」
メ「いえ、ではおやすみなさい。」
女「おやすみー」
メ「zzzz」

早っ!!!











メ「いたたた・・・」
鈍い痛みに目を覚ますと、辺りはまだ暗く、そして私はベッドから落ちていた。
この方…絆様の寝相によって蹴り落とされたというわけですね。
しかし無理にベッドに戻るのも図々しい。床で寝るべきでしょうね。
座布団をベッドの近くまで引きずり、そこに横になったとき、私の眠気が完全に吹き飛んだ。

メ「絆様!!今すぐ起きてください!!!」

失礼ながら思い切り絆様を蹴飛ばして起こす。するとさっきまで絆様が寝ていた所から包丁的なものが勢い良く飛び出す。
そう、さっき床で寝ようとしたときに見つけたのは「ベッド下の殺人鬼」。

絆「痛ったぁ!!なにす…うおあ!!!!」

ベッドの下からいかにもって感じの刃物を持った男が現れた。

下男「くっそお!!あと少しだったのによぉ!!!!このチビがぁ!!」

メ「私は義理堅い性分なんです。私の恩人に危害を加えるというのなら、容赦は致しません!」

事態が飲み込めずポカンとしてる絆を視界の端に捕らえながら、下男に対峙する。

下男「このクソ人形めが!!」


一直線に刃物を突き出す下男。しかしその刃はメリーさんにヒットしなかった。・・・いや、厳密には触れてはいた。

メ「・・・なにされても、文句は言わないで下さいね。」



突き出された刃物の上に美しく立ち、ひらりと一礼、挨拶をかますメリーさん。
下男が驚きの声を発するまもなく、メリーさんは下男の突き出された腕の上を走り、下男の肩から飛び降りて後ろを取った。
下男はあっけに取られたものの、振り向いてメリーさんを正面にとらえる。
戦況は振り出しに戻っただけのようにも見えた。が、もう勝敗は決していた。

メ「最近は本当に便利になりました。この携帯電話にワイヤレスイヤホン・・・。」

メリーさんはその手に持ったケータイでなにやら発信した。すると腰に下げたもう一つのケータイに着信し、メリーさんはすぐに通話ボタンを押した。

メ「もしもし?私、メリー・・・今あなたの後ろにいます。」

下男「こっちか!?へっ、もらった!!」

下男は何も無い所に攻撃をする。

メ「私メリー、今あなたの意識を断ちます。」

下男「ひっ、なんだこいつ・・・いくらぶっ壊しても増えて・・・うわあああああ・・・・・・・。」

いきなりドサリと下男は倒れた。自分に何が起こったかも分からず、耳に付いてる物にも気づかずに。

絆「えっと・・・もう大丈夫なんですか?めりーさーん(棒)」
メ「はい。失礼いたしました。もう無力化したので、ご安心ください。」
絆「コイツなんなの?」
メ「都市伝説、ベッド下の男です。聞いたことはあると思います。」
絆「ああ、お泊り会でベッド使えなかった奴が気づいてってやつね。」
メ「この辺りはどうも多いんですよ。都市伝説が。私もですが。」

私は一通りこの町や都市伝説について教えて貰った。

絆「で、さっき下男がいきなり倒れたのは?」
メ「メリーさんの能力の拡大解釈です。共感覚ってご存知ですか?」
絆「ああ、とある科学の超電磁砲でやってたわね。」
メ「それです。彼の耳にワイヤレスイヤホンを付け、私の二つの携帯で通話状態を作るんです。
  片方がワイヤレスイヤホンに繋がっているわけです。これなら相手が電話に出ないという事もありません。
  そして、強制的に聞かせた音声は共感覚性を使って、対象の複数の感覚に働きかけ、脳に[私、メリーが作った情報を現実と錯覚]させるんです。
  要は対象を思い通りにできるんです。心臓を止めたりもできますよ。
  あ、このベッド下の男は10時間は起きれない貧血にしておきました。」

事もなさげに恐ろしいことを口にするメリーさん。
何でも、元は視覚をコントロールしてメリーさんに背後を取られたと錯覚させるだけだったのだが、
その力を使っていくうちにできることがどんどん増えたんだそうだ。
人間の思い込みで、本来見えないものが見えたりしたりするっていう、思い込みの力もさらに利用しているらしい。

で、基本的には直接出向かずに共感覚を利用した幻覚で「メリーさんに後ろを取られた」と錯覚させ、都市伝説力を蓄えるのだが、
今回は気まぐれに直接脅かしに来たところ、私に出会ってしまったらしい。

とりあえず下男はお巡りさん呼んで回収して貰った後、私達は二度寝した。




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