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連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦以降-20

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 ……血の匂いがしたのだ


「…辰也?」

 立ち止まった辰也を、恵が心配そうに見つめる

 …かすかな、血の匂い
 それが漂ってくる方向に視線をやる
 恵が、それを追うように、そちらに視線を向けて

 ……風向きが変わったのだろうか
 血の匂いが、濃くなる

 関わらない方がいい
 そうに決まっている
 危険から遠ざかるには、面倒事に関わらない事が一番なのだから

 だが

「………」
「気になるか?」
「……っくけ」

 ……恵らしい
 辰也は小さく苦笑すると、恵の前を歩き出す

「俺から離れるなよ」
「………ん」

 ジャッカロープが入っている鞄を抱きかかえ、頷く恵
 辰也は、血の匂いの方向へと進んでいく

 ……それは、すぐに見付かった

 全身傷だらけの、血塗れの男が倒れていた
 恐らく、上質の物だったであろうスーツが、真っ赤に染まっている
 血溜まりは、どんどん広がっていっている
 ……このままでは、致死量を超えるだろう

「……ッジャッカロープ……」

 辺りの人目を確認する事もなく、恵が鞄をあけて、ジャッカロープを飛び出させる
 ジャッカロープは傷だらけの男に近づき、ふんふんふん、と匂いを嗅いで……治癒の為の、万能薬である乳を精製し始める

「…こいつ、都市伝説……元人間の、飲み込まれた存在か」

 辺りに人目がない事を確認しつつ、倒れている男を改めて観察し、そう呟く辰也
 …元は黒かったであろうスーツ
 それは、「組織」の黒服を思わせる

 だが、「組織」所属ではあるかもしれないが、「組織」の黒服と言う存在ではないだろう、と推理する
 「組織」の黒服にしては、スーツが上等すぎる
 恐らくは、元人間の…………上層部メンバー

 そうであろう者が、こんな場所で、血塗れで倒れている
 ……明らかに、厄介事だ

 それでも…恵が、助けようとしているのなら
 どうにかするべきなのだろう
 辰也は軽くため息をつくと、携帯を取り出した

「……あぁ、マッド。マリか誠、いるか?………ちょいと、こっちに寄越してくれ。人目につかずに、回収したい相手がいる」

 二言、三言やり取りして、通話を切る
 見れば、恵が傷だらけの男に、そっと、ジャッカロープの乳を飲ませていた
 僅かでも飲む事ができれば、傷は癒えていく
 ゆっくりと癒えていく傷を、恵は心配そうに見つめていた

「…マリがこっちに来る。マリにそいつを回収させるぞ」
「……ん………辰也、この人…」
「…何があったかは知らないが、また厄介な事が起きている、ってところだろ」

 …上層部メンバーが、現場に出る可能性は、低い
 ならば、何故、ここまで傷ついているのか?

 恐らくは、「組織」内部での抗争が原因だろう
 暗殺でもされかかったのかもしれない
 覚えのない顔だが、過激派や強硬派ではないはずだ
 あちらの方の上層部の顔は…本来ならば、自分では知る事などできないはずだったが、宏也によって教え込まれている
 この男の顔は、それに該当しない
 穏健派であるならば…保護する価値はある

(…日和見派や中立派だったら………まぁ、その時はその時だ)

 …今は、情報が欲しい
 そう遠くない先………あの男と、戦う為に


 H-No.1、ハンニバル・ヘースティングスを、殺す為に
 少しでも、自分が抜けた後の「組織」の、特にハンニバル達強硬派の中でも研究班に属している連中の情報が、欲しいのだ




 かくて、E-No.0こと、エーテルは、マッドガッサー一味によって治療され、回収された
 これが、後に様々な出来事に、どのような影響を及ぼすのか


 それは、まだ、誰にもわからない





to be … ?



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