ケモノツキ_10_ボーイ・ミーツ・マッスル
学校町の人気の無い道路を歩く、一人の少年。
そして、その少年に迫る影が一つ。
そして、その少年に迫る影が一つ。
「HAHAHA!少年、ゲットデーーース!!」
悠司が振り向くと、2mはあろうかという筋肉の塊――この町では兄貴と呼ばれているもの――が、
悠司を捕らえんと両腕を伸ばしていた。
悠司を捕らえんと両腕を伸ばしていた。
『タイガッ!』
『わかってんよ!!』
『わかってんよ!!』
叫ぶが早いか悠司と入れ替わり、兄貴の両手を受け止めるタイガ。
そのままいわゆるアマレスの組み手の体勢で膠着する二人。
そのままいわゆるアマレスの組み手の体勢で膠着する二人。
「オーゥ、その細腕でワタシと張り合うとは、さてはアナタ、細マッチョですネ?」
「しゃべんじゃねぇ筋肉ダルマ…耳が腐るッ!」
「しゃべんじゃねぇ筋肉ダルマ…耳が腐るッ!」
叫ぶと同時に前蹴りを放つ。
兄貴の手から力が抜けた一瞬の隙をつき、両手を振り払って距離をとった。
さして効いた様子も見せない兄貴を睨みつけるタイガ。
兄貴の手から力が抜けた一瞬の隙をつき、両手を振り払って距離をとった。
さして効いた様子も見せない兄貴を睨みつけるタイガ。
「そんな怖い顔しないでくだサーイ。可愛い顔が台無しですヨ?」
「黙れ筋肉。…主、どうすんだ?」
『黒服さんからは絶対に逃がさず倒せ、って言われてるし…ここで倒そう。』
『あまり主に負担をかけたくないので…タイガ、そのままお願いします。』
「黙れ筋肉。…主、どうすんだ?」
『黒服さんからは絶対に逃がさず倒せ、って言われてるし…ここで倒そう。』
『あまり主に負担をかけたくないので…タイガ、そのままお願いします。』
複数能力を使う負担よりマシであると判断し、タマモはタイガに指示を出す。
『もし主様が襲われたら、絶対あんたを許さないんだからね!』
『え、今もう襲われてるんじゃないの…?』
『言葉のあやです。気にしてはいけません、主。』
『…??えーと、じゃあ頼んだよ、タイガ。』
「頼まれなくてもやってやんよ……力じゃ絶対負けねぇ。」
『え、今もう襲われてるんじゃないの…?』
『言葉のあやです。気にしてはいけません、主。』
『…??えーと、じゃあ頼んだよ、タイガ。』
「頼まれなくてもやってやんよ……力じゃ絶対負けねぇ。」
兄貴は両腕を広げながら、ゆっくりとタイガに歩み寄ってくる。
「さあ、ワタシを受け入れなサーイ!」
「ふざけんな、てめーは死ね。」
「オーゥ、強気な少年を無理矢理というのも、なかなかオツなモノですネェ…。」
『……絶対に殺しきりなさい。』
『タマモ…なんだか怖いよ…?』
「ふざけんな、てめーは死ね。」
「オーゥ、強気な少年を無理矢理というのも、なかなかオツなモノですネェ…。」
『……絶対に殺しきりなさい。』
『タマモ…なんだか怖いよ…?』
兄貴に向けて猛然と駆け出すタイガ。
両腕を広げて悠然と構える兄貴。
両腕を広げて悠然と構える兄貴。
「カモン少年!レッツ・新世界!!」
「てめぇ一人でどこへでも行ってろッ!!」
「てめぇ一人でどこへでも行ってろッ!!」
がら空きの腹部に、タイガの拳がめりこむ。
油断してたのか予想以上の威力だったのか、その一撃に兄貴がよろける。
油断してたのか予想以上の威力だったのか、その一撃に兄貴がよろける。
「オォゥ…?なかなかイイ筋肉持ってるじゃないですカ。」
「てめぇなんざに褒められたくもねぇんだよ!!」
「てめぇなんざに褒められたくもねぇんだよ!!」
続けて放たれるタイガの拳。
直撃は危険と判断し、兄貴は腕でガードする。
二撃、三撃と、拳と蹴りが続けざまに放たれる。
それらは全てガードされているが、兄貴の足が徐々に後ろに下がる。
直撃は危険と判断し、兄貴は腕でガードする。
二撃、三撃と、拳と蹴りが続けざまに放たれる。
それらは全てガードされているが、兄貴の足が徐々に後ろに下がる。
「フゥーム、なかなかやりますね…。ではワタシも少々本気を―――」
「させるかよッ!!」
「フォゥアァッ※☆×◆!?!?」
「させるかよッ!!」
「フォゥアァッ※☆×◆!?!?」
奇声を上げて股間を押さえ、悶絶する兄貴。
そこにタイガの後ろ回し蹴りが入り、兄貴の体が吹っ飛んだ。
そこにタイガの後ろ回し蹴りが入り、兄貴の体が吹っ飛んだ。
『タイガ、それは…。』
『あんな存在に慈悲など不用です。』
『そのとーりっ!使えるものは何でも使わないとね。』
『いやそうなんだけど…でも……ちょっと…やっぱり…。』
『あんな存在に慈悲など不用です。』
『そのとーりっ!使えるものは何でも使わないとね。』
『いやそうなんだけど…でも……ちょっと…やっぱり…。』
とは言っても、悠司も男だ。
あの一撃には本能的な抵抗を覚える。
そんな悠司の苦悩はお構い無しに、タイガは地面にうずくまる兄貴に近づく。
あの一撃には本能的な抵抗を覚える。
そんな悠司の苦悩はお構い無しに、タイガは地面にうずくまる兄貴に近づく。
「オゥフ…アソコはひきょオブッ!?」
「うるせぇ黙れ。」
「うるせぇ黙れ。」
後頭部に踵落しを喰らい、アスファルトに頭をめり込ませる兄貴。
ぐぐっ、と起き上がろうとするが、再び踵落しによってアスファルトに叩きつけられる。
その後も起き上がろうとする度に頭を地面に叩きつけられる。
そしてついには、ピクピクと震えるだけの筋肉と化した。
ぐぐっ、と起き上がろうとするが、再び踵落しによってアスファルトに叩きつけられる。
その後も起き上がろうとする度に頭を地面に叩きつけられる。
そしてついには、ピクピクと震えるだけの筋肉と化した。
「こんだけ弱ってりゃ、もう大丈夫だろ…。」
そう呟くと足を振り上げ、地面にうずくまる兄貴の首へと踏みおろす。
ゴキャッ
嫌な音が響き、その筋肉はピクリとも動かなくなった。
「終了、っと。おい主、体返すぞ。」
『えっ、ちょっと待って早―――』
『えっ、ちょっと待って早―――』
悠司が言い終わる前に、体に悠司が戻る。
それと同時に体中に激痛がはしり、思わず地面に膝を付いてうずくまった。
それと同時に体中に激痛がはしり、思わず地面に膝を付いてうずくまった。
「あぐっ…ちょ、ちょっとは心の準備くらい、させてよ…。」
『めんどくせーし待ってらんねーしメンドいし、それくらい我慢しろ。』
「面倒って二回言ったっ!?…ッ、いたたっ…うぅ…。」
『少しは主様を気遣いなさいよ馬鹿犬!』
『こればかりはどうしようもないですからねぇ…。』
「た、戦うのはみんなだし…これくらいは僕が引き受けるよ…っ。」
『めんどくせーし待ってらんねーしメンドいし、それくらい我慢しろ。』
「面倒って二回言ったっ!?…ッ、いたたっ…うぅ…。」
『少しは主様を気遣いなさいよ馬鹿犬!』
『こればかりはどうしようもないですからねぇ…。』
「た、戦うのはみんなだし…これくらいは僕が引き受けるよ…っ。」
全身にはしる筋肉痛に耐えながら、ゆっくりと起き上がる。
塀に手を付き体を気遣いながら、一歩ずつ自宅へと歩き始めた。
その悠司の背後では、うっすらピンク色をした光が空中へと消えていった。
塀に手を付き体を気遣いながら、一歩ずつ自宅へと歩き始めた。
その悠司の背後では、うっすらピンク色をした光が空中へと消えていった。
【ケモノツキ_10_ボーイ・ミーツ・マッスル】 終