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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ケモノツキ-09

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ケモノツキ_09_かけぬける噂



 噂というものは不思議なものだ。
 ”どこかの誰かが言ってたけれど、あそこで何かがあったらしい。”
 そんな信憑性のかけらも無い情報が、噂という形をとるだけで、あたかも事実であるように語られる。
 だが、”火の無いところに煙は立たぬ”というように、噂には語られる理由がある。
 例えばその噂が噂でなく、事実であったりだとか…。

*



 学校町西区、工業高校。
 悠司が通うこの学校にも、噂は流れている。
 曰く、音楽室にはテケテケが住んでいる。
 曰く、踊り場の鏡に引きずり込まれた生徒が居る。
 曰く、放課後の廊下に女子高生の上半身が浮かんでいた…などなど。

 生徒の話題に上がる噂の題材は、身近なもの――学校にまつわるものが多い。
 だが今現在、この学校を席巻している噂は、学校の外のものだった。

「最近あの道路、首無しライダーが出るんだって…」
「俺の兄貴があそこで首無しライダーとすれ違って…」
「隣町から来た車がそいつらの集団に襲われた…」
「首を切られると奴らの仲間にされる…」

 細かい差異はあるが、根幹は共通している。
 第一に、とある道路に首無しライダーが出るということ。
 第二に、その道路は悠司がターボ婆を討伐した道路であるということ。

『偶然の一致とは言いがたいですね。』
「うん…やっぱり、関係あるのかな…。」

 一日の授業を終え、校舎の屋上で一人たたずむ悠司。
 ボーっと空を見上げながら、首無しライダーの噂と、自分が討伐したターボ婆を思い出していた。
 もし首無しライダーの噂が事実なら、それはターボ婆の討伐と関わっているのかもしれない。
 それを確かめるため、担当黒服――A-No.218に電話をかけた。

「橘野悠司、どうしました?」
「あの…この前僕たちが任務で向かったあの道路に、何か変わったことはありませんか?」
「はい。ターボ婆と入れ替わるように、首無しライダーの集団が現れたとの報告が入っています。」
「それって、僕たちがターボ婆を討伐したから…ですか?」
「詳細は調査中ですが、その可能性は十分考えられます。」

 やはり自分が責任の一端を担っていた。
 その事実に、悠司の胸がズキリと痛む。

「…その首無しライダーたちはどうするんですか?」
「今夜、「組織」の黒服と契約者が処理に向かいます。」
「じゃあ僕も一緒に…」
「いえ。この件に、あなたの力は不要です。」

 悠司の言葉が、黒服の否定に遮られる。

「なっ…なんでですか!?」
「あなたの能力で首無しライダーの集団に対応することは困難です。」
「それは…。」

 タイガとミズキの能力は主に『身体強化』。
 1対1であれば決して引けを取らないが、多を圧倒するほどの力は持たない。
 そしてタマモの能力の発動条件は『目を見つめること』。
 いわずもがな、首無しライダーには全くの無力。

 それを理解しているだけに、悠司は黒服に反論できない。

「契約者の選定は、任務との相性を考えた上で判断しています。今回の場合、あなたは不適当です。」
「…わかりました。」
「私は今夜、その討伐任務のサポートに回ります。私への連絡は極力控えてください。」

 電話を終え、悠司はうなだれる。

「…力になりたいのに力になれないって…悔しいなぁ。」

 自分に責任の一端があるのなら、その責任を取りたい。
 だが、自分の力ではどうすることもできない。
 無力感が悠司を襲う。

『主、なんでも一人で処理しようとするのは悪い癖ですよ。』
『そうそう。他の人がやってくれるなら、そいつに任せちゃえばいいんだって!』
『弱いくせに自分に出来ないことやろうとしてんじゃねーよ。』

 そんな悠司と裏腹に、タマモたちは前向きな言葉を口にする。
 それらの言葉は、悠司の考え方を変えるには十分だった。

「そっか…そうだね。人に頼るのは悪いことじゃないもんね。」

 相手が力で押すならタイガ、速さならミズキが対応できる。
 触れられない相手なら、タマモの幻覚でねじ伏せられる。
 今回はたまたま相性が悪かっただけ。
 そう考え直し、悠司はうつむいていた顔を前に向ける。

「…うん、僕は僕にできることを、精一杯頑張るよ。」

 そう宣言し、すっくと立ち上がる。
 完全に吹っ切れたわけではないが、幾分気が晴れたようだ。
 両手を上に挙げて背伸びをし、大きく息を吐く。

「よし、じゃあ部活に……ぁ。」
『そういえば主、時間は大丈夫ですか?』

 携帯電話を開くと、”16:30”の表示が浮かび上がった。

「遅刻だ…。」
『あれ?確か今日、部長と試合の約束してたよねー。』
「そうだったあああああああ!!!」

 携帯電話をポケットにしまい、屋上の階段を急いで駆け下りる。

 今の悠司に出来ること。
 それは、テニスコートで待っているであろう部長に一刻も早く謝ることだ。
 自分に出来る精一杯のことをするべく、悠司は廊下を全力で駆け抜けていった。



ケモノツキ_09_かけぬける噂】    終

*




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