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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ケモノツキ-11

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ケモノツキ_11_感謝の言葉



 ―――僕の名前は、橘野悠司です。
 ―――ニーナ…その子を探して日本まで?
 ―――そのニーナって子を探すの…僕も、手伝っていいですか?
 ―――わかりました。この町はいろいろ物騒なので…どうか気をつけてください。

「うう寒っ…。」

 任務を終え、自宅へ到着した悠司。
 雨でびしょ濡れになった服を脱衣所へ放り投げ、乾いた服に着替えて自室へと戻った。

『主様ー、先にお風呂に入ったほうがいいんじゃない?』
「いや、先に報告済ませてから、後でゆっくり入ろうかな…って。」

 雨に濡れた髪をわしわしと拭きながら、携帯を取り出し、黒服に電話をかける。

「橘野悠司、どうしました?」
「えっと、任務を終えたので…その報告を。」
「わかりました。では、報告をお願いします。」
「はい。都市伝説「ひきこさん」が……」

   ・
   ・
   ・

 



「……それで、ひきこさんを…倒しました。」
「わかりました。周辺に被害は出ていませんか?」
「あ…民家の塀が、少し壊れちゃいました。」
「問題ありません。その程度であれば、すぐに修繕、隠蔽可能です。」

 その言葉に安心し、ため息をつく。

「付近に目撃者や被害者らしき人物はいませんでしたか?」

 カインと名乗った青年が、頭をよぎる。

「……はい。僕の他には誰も、いませんでした。」

 嘘。

「わかりました。報告は以上でよろしいですか?」
「…はい。」

 嘘の報告。
 それををあっさりと受け入れる黒服。
 心臓が脈打っているのが聞こえる。

「では、こちらから通達があります。現在、ある大規模な問題が発生しており、「組織」で対応に当たっている状況です。」
「大規模な問題…ですか?」
「はい。準備が整い次第、あなたにも任務に加わっていただきます。」
「それって、具体的にはどんなことを…?」
「口頭では説明しづらいので、詳細は後ほど連絡します。通達は以上です。お疲れ様でした。」

 プツン。
 一方的に告げられ、一方的に通話を切られる。

「…お疲れ様…か。」

 文面どおりにとれば、ねぎらいの言葉。
 だが、あの黒服が言うその言葉は、悠司の心に冷たく響く。
 ただ形式上、そう述べているに過ぎない…そんな感覚を覚える。

 思えば、あの黒服から褒められたり、感謝されたりしたことは、ただの一度も無い。
 それが不満というわけではないが…どこか、寂しく感じる。

『ねぇねぇ主様。えっと…カインだっけ?あいつのことは言わなくていいの?』

 ドクン、と心臓が脈打つ。

「…あの人は、悪い人じゃなさそうだったし…。あの人を、「組織」に巻き込みたく、なかった……から。」
『でも黒服には「契約者や都市伝説は見つけ次第報告するように」…って言われてるじゃん?』
『うだうだ言うなめんどくせぇ。一人や二人ほっといても変わんねーよ。』
『…まぁ、すぐさま問題に繋がるとは考えにくいですし、今回は目をつぶりましょう。』
『ふぅん…。ま、タマモがそう言うなら大丈夫かな?』

 タマモたちの言葉に、ほっと胸をなでおろす。
 もしみんなに、カインのことを報告すべきだと諭されたら…僕は、どうしていただろう。

『主、あの青年はニーナという子を探していると言っていましたが、やはり手伝うのですか?』
「うん。女の子が一人で町をうろついてるなんて、ほっとけないよ。」
『一人かぁ…そのニーナって子、一人でどうやって生活してるんだろ?』
『警察などの保護されるような場所は、彼が既に調べているでしょうね。』
『野宿でもしてんじゃねーの?』
『シスターだったら、どっかの教会に転がり込んでるかもねー。』
「教会か野宿…か。野宿できるところって…川原とか…公園とかかな?」
『公園…ですか。』

 不快そうな声を出すタマモ。

「あれ、違ったかな、タマモ?」
『いえ間違ってはいないのですが…まぁ仕方ありませんね…。』
『もし会ったらまた逃げればいいんだし、多分大丈夫でしょ。』
『即ぶっ倒せばいいだろ。その方が手っ取り早い。』
「え、何を?えっ?」

 悠司を蚊帳の外に置いて、対策を検討する憑き物たち。
 何に対しての対策なのかを悠司が把握することなく、議論が収束する。

『では時間の合間を見てニーナという少女を探す…ということでよろしいでしょうか?』
「う、うん。早くニーナを見つけてあげなきゃ…。」
『でも無理しちゃダメだよ主様。疲れてるときはちゃんと休んでね?』
「ありがとうミズキ。さすがに倒れるまで頑張ったりはしないよ。」
『部活はサボんじゃねーぞ主。今度こそあいつをぶっ倒すんだからよ…!』
「大丈夫だよタイガ。学校も部活も…「組織」の仕事も、今までどおり続けるから…っ。」

 直後、全身にぞくりと震えがはしる。

「ふ…ふぁ……はっくしょん!!」
『…あー、そういえばお風呂まだだっけ?』
『主、風邪をひくといけません。早くお風呂に入って寝ましょう。』
「ぐすっ…う、うん…ありがとう、そうするよ。……ありがとう。」
『主…?どうかされましたか?』
「い、いや、なんでもないよ、タマモ。」

 ありがとう、という感謝の言葉。
 みんなに対して、何度も言ってきた言葉。
 そして、「組織」の仕事をしてきて、初めてかけられた言葉。

 ただ任務として義務として行ってきた、都市伝説を倒すという行為。
 その行為に、彼はありがとうと言ってくれて…初めて、自分の行為を認められたような気がした。

 …また、あの人に会いたいな。
 そのためにも、頑張ってニーナを見つけよう。
 悠司は固く、そう決意した。



ケモノツキ_11_感謝の言葉】    終

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