「雨の中、運命の交差点」より
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ケモノツキ_11_感謝の言葉
―――僕の名前は、橘野悠司です。
―――ニーナ…その子を探して日本まで?
―――そのニーナって子を探すの…僕も、手伝っていいですか?
―――わかりました。この町はいろいろ物騒なので…どうか気をつけてください。
―――ニーナ…その子を探して日本まで?
―――そのニーナって子を探すの…僕も、手伝っていいですか?
―――わかりました。この町はいろいろ物騒なので…どうか気をつけてください。
「うう寒っ…。」
任務を終え、自宅へ到着した悠司。
雨でびしょ濡れになった服を脱衣所へ放り投げ、乾いた服に着替えて自室へと戻った。
雨でびしょ濡れになった服を脱衣所へ放り投げ、乾いた服に着替えて自室へと戻った。
『主様ー、先にお風呂に入ったほうがいいんじゃない?』
「いや、先に報告済ませてから、後でゆっくり入ろうかな…って。」
「いや、先に報告済ませてから、後でゆっくり入ろうかな…って。」
雨に濡れた髪をわしわしと拭きながら、携帯を取り出し、黒服に電話をかける。
「橘野悠司、どうしました?」
「えっと、任務を終えたので…その報告を。」
「わかりました。では、報告をお願いします。」
「はい。都市伝説「ひきこさん」が……」
「えっと、任務を終えたので…その報告を。」
「わかりました。では、報告をお願いします。」
「はい。都市伝説「ひきこさん」が……」
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「……それで、ひきこさんを…倒しました。」
「わかりました。周辺に被害は出ていませんか?」
「あ…民家の塀が、少し壊れちゃいました。」
「問題ありません。その程度であれば、すぐに修繕、隠蔽可能です。」
「わかりました。周辺に被害は出ていませんか?」
「あ…民家の塀が、少し壊れちゃいました。」
「問題ありません。その程度であれば、すぐに修繕、隠蔽可能です。」
その言葉に安心し、ため息をつく。
「付近に目撃者や被害者らしき人物はいませんでしたか?」
カインと名乗った青年が、頭をよぎる。
「……はい。僕の他には誰も、いませんでした。」
嘘。
「わかりました。報告は以上でよろしいですか?」
「…はい。」
「…はい。」
嘘の報告。
それををあっさりと受け入れる黒服。
心臓が脈打っているのが聞こえる。
それををあっさりと受け入れる黒服。
心臓が脈打っているのが聞こえる。
「では、こちらから通達があります。現在、ある大規模な問題が発生しており、「組織」で対応に当たっている状況です。」
「大規模な問題…ですか?」
「はい。準備が整い次第、あなたにも任務に加わっていただきます。」
「それって、具体的にはどんなことを…?」
「口頭では説明しづらいので、詳細は後ほど連絡します。通達は以上です。お疲れ様でした。」
「大規模な問題…ですか?」
「はい。準備が整い次第、あなたにも任務に加わっていただきます。」
「それって、具体的にはどんなことを…?」
「口頭では説明しづらいので、詳細は後ほど連絡します。通達は以上です。お疲れ様でした。」
プツン。
一方的に告げられ、一方的に通話を切られる。
一方的に告げられ、一方的に通話を切られる。
「…お疲れ様…か。」
文面どおりにとれば、ねぎらいの言葉。
だが、あの黒服が言うその言葉は、悠司の心に冷たく響く。
ただ形式上、そう述べているに過ぎない…そんな感覚を覚える。
だが、あの黒服が言うその言葉は、悠司の心に冷たく響く。
ただ形式上、そう述べているに過ぎない…そんな感覚を覚える。
思えば、あの黒服から褒められたり、感謝されたりしたことは、ただの一度も無い。
それが不満というわけではないが…どこか、寂しく感じる。
それが不満というわけではないが…どこか、寂しく感じる。
『ねぇねぇ主様。えっと…カインだっけ?あいつのことは言わなくていいの?』
ドクン、と心臓が脈打つ。
「…あの人は、悪い人じゃなさそうだったし…。あの人を、「組織」に巻き込みたく、なかった……から。」
『でも黒服には「契約者や都市伝説は見つけ次第報告するように」…って言われてるじゃん?』
『うだうだ言うなめんどくせぇ。一人や二人ほっといても変わんねーよ。』
『…まぁ、すぐさま問題に繋がるとは考えにくいですし、今回は目をつぶりましょう。』
『ふぅん…。ま、タマモがそう言うなら大丈夫かな?』
『でも黒服には「契約者や都市伝説は見つけ次第報告するように」…って言われてるじゃん?』
『うだうだ言うなめんどくせぇ。一人や二人ほっといても変わんねーよ。』
『…まぁ、すぐさま問題に繋がるとは考えにくいですし、今回は目をつぶりましょう。』
『ふぅん…。ま、タマモがそう言うなら大丈夫かな?』
タマモたちの言葉に、ほっと胸をなでおろす。
もしみんなに、カインのことを報告すべきだと諭されたら…僕は、どうしていただろう。
もしみんなに、カインのことを報告すべきだと諭されたら…僕は、どうしていただろう。
『主、あの青年はニーナという子を探していると言っていましたが、やはり手伝うのですか?』
「うん。女の子が一人で町をうろついてるなんて、ほっとけないよ。」
『一人かぁ…そのニーナって子、一人でどうやって生活してるんだろ?』
『警察などの保護されるような場所は、彼が既に調べているでしょうね。』
『野宿でもしてんじゃねーの?』
『シスターだったら、どっかの教会に転がり込んでるかもねー。』
「教会か野宿…か。野宿できるところって…川原とか…公園とかかな?」
『公園…ですか。』
「うん。女の子が一人で町をうろついてるなんて、ほっとけないよ。」
『一人かぁ…そのニーナって子、一人でどうやって生活してるんだろ?』
『警察などの保護されるような場所は、彼が既に調べているでしょうね。』
『野宿でもしてんじゃねーの?』
『シスターだったら、どっかの教会に転がり込んでるかもねー。』
「教会か野宿…か。野宿できるところって…川原とか…公園とかかな?」
『公園…ですか。』
不快そうな声を出すタマモ。
「あれ、違ったかな、タマモ?」
『いえ間違ってはいないのですが…まぁ仕方ありませんね…。』
『もし会ったらまた逃げればいいんだし、多分大丈夫でしょ。』
『即ぶっ倒せばいいだろ。その方が手っ取り早い。』
「え、何を?えっ?」
『いえ間違ってはいないのですが…まぁ仕方ありませんね…。』
『もし会ったらまた逃げればいいんだし、多分大丈夫でしょ。』
『即ぶっ倒せばいいだろ。その方が手っ取り早い。』
「え、何を?えっ?」
悠司を蚊帳の外に置いて、対策を検討する憑き物たち。
何に対しての対策なのかを悠司が把握することなく、議論が収束する。
何に対しての対策なのかを悠司が把握することなく、議論が収束する。
『では時間の合間を見てニーナという少女を探す…ということでよろしいでしょうか?』
「う、うん。早くニーナを見つけてあげなきゃ…。」
『でも無理しちゃダメだよ主様。疲れてるときはちゃんと休んでね?』
「ありがとうミズキ。さすがに倒れるまで頑張ったりはしないよ。」
『部活はサボんじゃねーぞ主。今度こそあいつをぶっ倒すんだからよ…!』
「大丈夫だよタイガ。学校も部活も…「組織」の仕事も、今までどおり続けるから…っ。」
「う、うん。早くニーナを見つけてあげなきゃ…。」
『でも無理しちゃダメだよ主様。疲れてるときはちゃんと休んでね?』
「ありがとうミズキ。さすがに倒れるまで頑張ったりはしないよ。」
『部活はサボんじゃねーぞ主。今度こそあいつをぶっ倒すんだからよ…!』
「大丈夫だよタイガ。学校も部活も…「組織」の仕事も、今までどおり続けるから…っ。」
直後、全身にぞくりと震えがはしる。
「ふ…ふぁ……はっくしょん!!」
『…あー、そういえばお風呂まだだっけ?』
『主、風邪をひくといけません。早くお風呂に入って寝ましょう。』
「ぐすっ…う、うん…ありがとう、そうするよ。……ありがとう。」
『主…?どうかされましたか?』
「い、いや、なんでもないよ、タマモ。」
『…あー、そういえばお風呂まだだっけ?』
『主、風邪をひくといけません。早くお風呂に入って寝ましょう。』
「ぐすっ…う、うん…ありがとう、そうするよ。……ありがとう。」
『主…?どうかされましたか?』
「い、いや、なんでもないよ、タマモ。」
ありがとう、という感謝の言葉。
みんなに対して、何度も言ってきた言葉。
そして、「組織」の仕事をしてきて、初めてかけられた言葉。
みんなに対して、何度も言ってきた言葉。
そして、「組織」の仕事をしてきて、初めてかけられた言葉。
ただ任務として義務として行ってきた、都市伝説を倒すという行為。
その行為に、彼はありがとうと言ってくれて…初めて、自分の行為を認められたような気がした。
その行為に、彼はありがとうと言ってくれて…初めて、自分の行為を認められたような気がした。
…また、あの人に会いたいな。
そのためにも、頑張ってニーナを見つけよう。
悠司は固く、そう決意した。
そのためにも、頑張ってニーナを見つけよう。
悠司は固く、そう決意した。
【ケモノツキ_11_感謝の言葉】 終