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連載 - 電子レンジで猫をチン!-34

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【電磁人の韻律詩34~ある正義の味方の死・後編~】

「サンジェルマン……でしたね。
 立場が対立して殺したというのはどういう事ですか?」

太宰紫はサンジェルマンの言葉にも冷静を装って質問をする。

「えーと、今まで100人を越える人々の命を無自覚なままに奪った少女が居ます。
 龍之介は彼女を悪人と認定して殺そうとしました。」
「その少女が、……今のお前の実験材料か?
 まあ旧式よりは新型の方がお前も都合が良いわな。」
「嫌な言い方しないでください。ギリギリまで交渉する気は有ったんです。」

コホン、と太宰紫が咳払いをする。

「サンジェルマン、今聞いた話から判断する限り貴方は実験材料の保護の為に父を殺したのですね?」

彼女は真っ直ぐにサンジェルマンの目を見て問うた。
まるで悪戯を見つけられた子供みたいにサンジェルマンは目をそらす。

「ええ、そうです。」
「そうですか。」






「ではもう一つ質問です、これから貴方は私たちに危害を加える気はありますか?」
「いいえ、ありません。貴方のお父上との関係はそもそもあの対立さえ無ければ良好でした。」
「明久さん、彼の言葉は本当ですか?」
「ああ本当だ、この前まで三人+一人で一緒にフレンチクルーラー喰ってた。
 オールドファッションが何故無いのか四半刻悩まされたけどな。」
「明久さん、彼の今までの言葉の信用性はありますか?」
「こいつは正直者だが良くも悪くも研究しか頭にない。
 研究の都合次第では簡単にひっくり返る。
 ……が、こいつの研究が俺たちの安全を脅かす可能性は無いな。
 こいつは単に人間の可能性の拡張と、死者の蘇生にしか興味は無い。」
「それは少し違いますよ明久さん。
 正確には“異常”と呼ばれる契約過剰適合及び物理法則無視体質の人間の遺伝子と、
 その人間がストレスなく暮らせる素敵な社会の実現、
 そして死者蘇生の新しい方法論についてです。」
「成る程、解りました。それでは私から貴方と話したいと思うことはもうありません。」
「太宰さ……。」

おかしい。
話があまりにもとんとん拍子にすすみすぎる。
そもそも太宰さんは自分の父を殺したという男が憎くないのか?
明日真は何か不自然さを感じて口を開こうとした。

「まあ待てよ明日少年、大人の話し合いに首突っ込んじゃいけないぜ。
 もう少し空気ポジションに甘んじていろ。」

開こうとしたが一瞬で止められた。
だが彼はまだ納得できない様子だった。





「私からも話したいことはありません。
 強いて言えば彼との殺し合いはあくまで意見の対立からの物で私怨はありませんでした。
 ……と言うことだけです。
 あと、ビルの破壊についてはもう既に直してきました。」
「では早々にお引き取り願えますか?
 私も病院に戻らなくてはいけないものですから。」
「…………。」
「どうしたサンジェルマン、まだ何か用があるのか?」
「いえ、もっと激しく何か言われることを予想していたのですが……
 何も無かったものですから。」
「はっ、そりゃあ誰だってお前みたいな異常な奴と関わりたくないもん。
 俺は“友達”同士の喧嘩に首突っ込む気はないし。
 お前が喧嘩したいって言うなら買うけど違うだろう?」
「好きの対極は無関心、とは良く言ったものですよね。
 ならば良いんです、私は帰ります。」
「俺の息子によろしく言っておいてくれ。馬鹿だし馬鹿だが救いようもない馬鹿だ。
 それに人様にも迷惑かけ続けている、でもまあ俺の息子だ。」
「解りました、ところでそこの少年。」
「……俺か?」
「明日真、でしたねえ。H-№に余計なこと言ったら殺しますよ。」

サンジェルマンの視線が一瞬だけ明日真に投げかけられる。
それだけで明日真の足はすくんだ。
蛇のようだ、と彼は思った。

「お前そんな事言っていると俺に殺されるぞ?」
「…………冗談ですよ、すいませんでした。貴方が居ると力ずくの手段がとれないから困る。」





忌々しげに呟き、サンジェルマンは明日達に背を向ける。
そして彼は斎場から雨の町へ消えていった。

「…………行ったか。」
「お疲れさま、紫ちゃん。」
「明久さん、一体何なんですかあの男は?
 なんていうか本当に、本当に気持ち悪い。
 ラジオ、そうです微妙にチューニングがずれているラジオのような。
 何時でもノイズがかかっていて訳がわからない。」
「だろうな、あいつとまともに意思を疎通させられるのは狂人だけだ。
 あいつと出来るだけ関わらないという紫ちゃんの選択は百点満点の正解。
 俺だって暴力を使えばあいつをなんとか出来るが……
 逆に言うと暴力以外じゃあいつを抑える方法が無い。」

紫は少し考え込むような顔をしてからため息を吐く。

「明久さん、少し疲れました……。
 父はいったいどんな世界で生きていたのか私は訳がわかりません……。
 お話は後日でよろしいでしょうか?」
「良いけど、帰り道は大丈夫かい?」
「ああ、迎えが来ますので大丈夫です。」
「なら良いんだ。それじゃあな。」

弱々しく微笑むと紫も外に出て行ってしまった。







「さて、やっとお前らのターンだ。太宰龍之介について質問は?」

上田明久はくるっと振り返って明日達を見下ろす。
先に口を開いたのは恋路だった。

「多分太宰さんの遺書に書きたいことは書いてあると思うので、
 それを読んでから質問はしたいと思います。」
「ああ、そこは恋路に賛成。」
「おいおい真少年、彼女に主導権渡してて良いのかぁ?」
「姉さん女房ですから。」
「奇遇だな、俺の家もそうなんだよ。」
「ところで明久さん、私からお願いがあります。」
「なんだ恋路嬢。」
「アスマ鍛えてやってくれませんか?
 暴力で組織の№0に対抗できるんですよね?」
「隠居している俺は暇だから良いが、真少年の気持ち次第だな。」
「えっ、そんなこと言われても困るぞ恋路!?」
「冷静に考えてアスマ、君は弱い。雑魚っ雑魚だ!
 ぶっちゃけ所長ともまともに戦えて居ないじゃないか!
 私は何度も言うけど別に彼に恨みはない、むしろアスマと会う切っ掛けになったから感謝している。
 人質として捕まった時もすげえ良い奴だったしね。
 でも君は違うだろう?
 君は友人を殺された恨みがある!
 彼の精神操作ですっかり忘れているが君だって最初は彼への復讐心は有ったじゃないか!
 アスマは彼にごめんなさいも言わせられていない!
 勝てとは言わないが負けっ放しはアスマだって嫌だろう!」





「う……、ていうか俺精神操作されてたの!?」
「ああ、まあ我が息子なら三分で常人の感情の一部を封じるとか楽勝だわな。」
「ていうか明久さん、息子さんの殺人については……。」
「だってあいつ昔から悪いことばっかりしてたもん。
 もう驚かねえよ、それで酷い目に遭ってるのに懲りないんだから何言っても無駄無駄。
 あいつピュアボーイだけどド変態で唯我独尊なんだよね、マジ迷惑。」
「お、親に其処まで言われるなんて……。」
「中学の頃は二股発覚→意識不明の重傷→意識を取り戻すと同時に看護師さんにナンパ
 →リアル官能小説展開→俺に発覚
 まで見事に決めてくれたしよぉ……。
 ばれてないと思っているんだろうかあいつは。
 あいつ調子に乗ってたらこのことちらつかせて脅しても良いよ。」
「うわ、今と変わってない……!」
「期待以下の最低っぷりだった……!」
「何故か集合写真では真ん中で楽しそうにはしゃいでたり
 何故かクラスの役員に選ばれたり
 何故か卒業アルバムで良いお婿さんランキングで一位になってたけど……
 あいつはばっちり最低だ!
 …………育て方間違えたのかな?」
「いや、ある意味育て方は正解だったんじゃないですか?
 あれはあれで……うん。」

恋路がフォローしようしたが見事に失敗した。
そして空気はよりいっそう重たくなる。





「と、とにかく!
 今日はアスマを連れ帰って言い聞かせるので!
 決まったらどうぞ宜しくお願いします!」
「あ、ああ解った。」
「俺の意志は!?」
「強くなりたいって前言っていたじゃん!」
「まあ……。」
「ほら、もう時間も遅くなってきたし急いで帰るよ!」
「はーい。」
「それでは失礼いたします。ほら、アスマもちゃんと挨拶!」
「え、ああ、お先に帰らせて頂きます。」
「おう、じゃあな。」


「嬢ちゃん。」
「へ?」

明久が恋路に耳打ちをする。

「あんまりお人形さんみたいな扱いしちゃあ少年も可哀想だぜ?
 まあ過保護にしたくなるのは解りすぎるくらい解るけどな。」
「うぅ…………。」
「まあ、今はまだ良いさ。老人の妄言だ。あんま気にするな。それじゃ。」

恋路はもう一度頭を下げてから明日真と一緒に斎場を出た。
【電磁人の韻律詩34~ある正義の味方の死・後編~fin】


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