「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-39

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【電磁人の韻律詩39~磁界王の蹂躙~】

「はっけよ~い……のこった!」

明日真の小柄な身体が宙を舞う。
数秒後、彼は見事に地面に激突して気絶した。

「弱い、弱いよ明石君!
 本当に叔父さんに刀抜かせたのかい?」
「あっれ……おかしいなあ?
 確かもっと良い動きしてた筈なんだけど……。
 あの能力って意識して使えないのかな?」
「ま~ったやられたのかよアスマー。」
「恋路ちゃん、明石君じゃなくて僕に乗り換えないかい?」
「それはないわぁ。」

明日真が修行を開始してから五日目。
内容は至ってシンプル、河伯癸酉という男と相撲を取り続けるだけだった。
しかし彼は都市伝説『河童』と契約した一族である「河伯」の人間だ。
当然ながら並の人間では勝てない。
だが契約者ならばそれは不可能でもない……筈なのだが?
先ほどからずっと明日真は癸酉と組むことすらできず負け続けていた。
肝心要のマイクロ波が河童の水鉄砲で無効化されるのが戦闘に大きく響いていた。




「…………飽きた、ドーナツ買ってくる。」
「旦那様、勝手な外出は奥様に禁じられてやがりますが?」
「葵には上手く誤魔化しておけ。恋路ちゃんついてくるかい?」
「いえ、遠慮しておきます。ドーナツ以外にも個人的なお楽しみのようですし。」
「杏奈め、余計な事言いやがって。」
「なんのことだか私にはまったくわからないのでありますが。」
「まあ良い、訪問者が来たら適当に追っ払っておけ。
 それじゃあ俺は行ってくるぜ。
 あと明日真!」

明久の声を聞くと気絶していた明日真が跳ね起きる。

「なんですか明久さん?」
「お前、間違いなく強化寄りなんだよ。
 だから河童との殴り合い程度で押し負けるんじゃねえ。
 お前の身体はもっと強い筈なんだ。」
「河童程度って何言ってるんですか叔父さん!」
「すまねえ、今のは失言。
 そういえば癸酉、お前の親父が最近相撲してくれなくて暇なんだけど。」
「あー、年取ってきたから腰がもうきついそうです。」
「だらしねえ……、じゃあ帰ってきたらお前が俺の相手しろ。」
「はっはっは!任せてくださいよ。
 でも明日君の修行が終わってからですからね!
 明日君の修行に付き合う体力が残らない。」
「……あれ?」
「……名前言えてる?」



「どうしたんだい二人ともそんな驚いた顔して。
 流石にもうそろそろ覚えるよ、明日君。」
「新記録だ、癸酉が人の名前覚える速度の自己最高記録を破ったぞ。
 ちょっとお祝いにフレンチクルーラー買ってくる。」
「旦那様がフレンチクルーラー!?
 今晩は槍が降りますね!」
「なんだよみんな、人のこと馬鹿にしやがってぇ!」
「まあまあ落ち着きなさいってば癸酉さん。」
「まあ恋路ちゃんに言われたんなら大人しくするのもやぶさかではない。」

上田明久は車に乗って近所のミスタードーナツに出かけてしまった。
車はポルシェ、やはりそこら辺は明也と親子のようだ。

「旦那様は一度“ドーナツを買いに行く”と長いのでしばらく休みやがってはいかがですか?」
「そうだねー、杏奈ちゃんの言うとおりだ。明久叔父さんのドーナツは長い。」
「……どういうことですか?」
「まあ、察しなよアスマ。」

何となく漂う重たい空気。
明日だけが気付いていない。

「流石所長の親父だよね、うん。」
「気にするな恋路ちゃん、あれでも良い人なんだ。」
「主人としては素晴らしい方ですよ、ええ。」





「まぁ……とりあえず休むかい?
 相撲の間に気付いたこともいくつかあるし。」
「さんせーです。」
「まず明日君、君は電子レンジのマイクロ波発生システムを知っているかな?」
「いやあ、知りませんね。」
「本来マイクロ波は通信の為に使われてきた。」
「ああ、俺も恋路とマイクロ波で話すことはあります。」
「聞かれたくない会話とかはまあアスマとそれで話すね。
 あと私たちの立場って結構グレーで危ういから『組織』に聞かれたくない話もあるし。」
「まあそれは聞かなかったことにしようか。
 電子レンジって真空管に電気を流してマイクロ波を出すことによって作られる訳よ。
 君たちの使っているマイクロ波は最初からマイクロ波状態で身体から出てくる訳じゃない。
 前に似たような都市伝説と戦ったから解るんだけど、
 そういう場合って都市伝説の力を電気エネルギーにする→体内で都市伝説の力を使用してその電気エネルギーをマイクロ波に変換。
 明日君がマイクロ波の出力をあげるとスパークが起きるってのは恐らく明日君の身体がいくらか帯電してたからじゃないかな?
 僕文系だからよく知らないけど。
 で、ここからが僕の提案。
 電気エネルギーとして体内に溜まっている物を戦闘に使わないって手は無いんじゃないか?
 身体に電気を上手く流せば人間の身体の限界を超えた動きが出来ると思うよ?
 あと脳内の情報処理速度も上がったりするかもなあ。
 エンバーミングの究極の九体目みたいなことも限定的にできたりして。」
「エンバーミング?」
「あっ、ごめんね。ジャンプ派じゃないのか。
 叔父さんは週刊少年ジャンプ派で僕はSQ派なんだよね、うん。」
「…………癸酉さん。貴方のことをちょっと見直した。
 意外と中々どうして結構割と鋭いね、ただそれって結構身体に負担かけるからまだアスマに教えてなかったのに。」
「えっ、ほめられた!?じゃあ付き合って恋路ちゃん!」
「それはお断りです。」





「隠してたってどういうことさ恋路?
 幾ら身体に負担かけると言ったって使いすぎなければ……。」
「アスマはいつも無茶するじゃないか!」
「うっ……。」

返す言葉もない、といった感じである。

「だから教えたくはなかったが、まあ癸酉さんの指摘はほとんど正しい。
 まあこうなった以上仕方ないね、明久さんの攻撃を切り抜けた瞬間には完全に制御できてたし……。
 私が教えるよ。癸酉さんは少し休んでてくれ。」
「解った、じゃあ杏奈ちゃん、僕と少し遊ぼう……あれ?」
「ありゃりゃ、何時の間にかお客さんが来てたのか。」

何時の間にか居なくなっていた杏奈。
恐らく来客を追っ払っている最中なのだろうと思った三人は特にそれを気にしなかった。

BANG!

その銃声を聞くまでは。

「なんだ今の?」
「くそっ、よりによって明久さんが居ない時にこれかよ!」
「明日君、杏奈さんを助けに行くよ!」

戦闘態勢に入る二人に対して、恋路はあくまで冷静だった。

「待って二人とも、一旦隠れるよ。
 相手の狙いが解らない今、私たちが表に出るのは避けないと。」





そう、確かに恋路は冷静だった。
戦場における判断としては間違いではなかっただろう。
だが、あまりにも相手が悪かった。
規格外の敵を相手にして常識的な判断が通じる訳がない。

「おい、そこのボーイズ&ガール。
 お前らの言う杏奈さんってのは……これか?」

コロン
機械の身体が無造作に、彼等の目の前に転がされる。
それは間違いなく杏奈と呼ばれたアンドロイドの残骸だった。

「あー大丈夫大丈夫。
 復元可能な程度にしか壊してないから。
 つーか壊すとアキピーも馬鹿上司も怒るし。」

たっはっはっはっは、と笑う金髪カチューシャのスケ番っぽい服を着た女性。
明日と癸酉はその状況に戸惑うことしかできなかった。
が、彼女は違う。

「馬歩衝捶!」

女性の真横に突然現れた恋路が女性の脇腹に深々と拳を突き刺す。
コンマ一秒遅れて女性の身体が吹き飛び、上田家の建物を破壊する。






「ふん、なんだチェリー共ばっかだと思ってたから居るじゃん。
 そこそこまともに殺し合いできる奴。八極拳使いなんて向こうじゃ会えなかったからうずくねえ。
 でも今回は只の喧嘩、殺し合いではないから安心しろよ。」

瓦礫の中から平気な顔をして起き上がる女性。
カチューシャをつけなおしてロングスカートを整えると恋路に向けて高らかに名乗りを上げる。

「『テンプル騎士団団員』『死海』『磁界王』『絶叫羅針盤』『富士の樹海では方位磁針が狂うの契約者』『鵲崎笹木』!
 あのムカツク侍ポニーテールに喧嘩を売りに来た!
 これからこの家に居座るついでにお前らと遊んでやる!
 河伯の河童、珍しいH№の契約者、八極拳の達人!
 全員ガキだがそこそこ面白そうだ。
 死なない程度にぶちのめすから全員そこになおれ!」

テンプル騎士団の名前を聞いた瞬間に恋路の眉が動く。
だがそれには誰も気付かない。

「どこの誰だかは知らないけれど……、杏奈さんは俺の友達だ。
 だからあんたは敵だ。」
「まったくもって同意見だな、明石君。」
「明日です。」
「まあ良い、行くぜ明日君!」
「おう!」
「あ、二人とも待った、この人なんか変だよ!
 人間の強度じゃないから攻撃には気をつけて……。」

恋路の警告も聞かずに明日と癸酉は鵲崎に飛びかかっていった。






「フェアに戦ってやるそこのチェリー共。
 まず俺の能力は磁力操作。X-Menのマグニートー様を思い出すと良い。
 たとえばね……」

癸酉が河童の力で水を射出。
それに向けて明日がマイクロ波を撃ち込んで鵲崎に熱湯を浴びせかける。
鵲崎はその連携のかみ合い方に少しばかり感嘆したらしい。
優しく微笑んだ。
そして次の瞬間、何故か熱湯は明日達に向けて降り注いできた。

「こういう風に電磁バリアとか張れる訳よ。
 あとS極とN極を反発させて……」

消えた。
熱湯をもろに浴びそうになって二人が慌てて回避行動を取った一瞬の隙に消えた。

「高速移動とかね。」

鵲崎は恋路の真後ろに回り込んでいた。
だが彼女が声を発するまで誰もそれには気付かない。

「はい、まず厄介な奴からノックダウンな。」

恋路の首に当て身を当てると恋路はそのまま意識を失った。

「はっはっは、怒るだろうなあいつもアキピーも!
 あいつら妙なところで紳士的だからなあ!
 お前らも怒れよ、早速仲間がやられちゃったぞー?」






「ちなみに俺の能力の弱点は燃費の悪さ。
 長所は今見たとおりの時期を自在に操れることからの応用力の高さ。
 燃費の悪さはまあそうさな、今みたいな大規模の消費は三分持たない。
 だから……。」

鵲崎はポケットからヨーヨーを取り出す。

「こいつで遊んでやる。」
「馬鹿にしてやがる…………!」
「いきなり人の家に上がり込んで好き放題やりやがって……!」

「さっさと来いよチェリー共!
 俺は能力無しでも強いぞ!」

「お望み通り!」
「やってやる!」

明日と癸酉の呼吸がピッタリと合う。
それを見て鵲崎はわずかに口元を歪めた。
どうやら今回はすこしは楽しめると判断したらしい。
【電磁人の韻律詩39~磁界王の蹂躙~fin】



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