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連載 - 電子レンジで猫をチン!-40

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【電磁人の韻律詩40~磁界王の恋~】

十年前。

「おいこら馬鹿上司、明久の家に殴り込みに行って良いか?」
「駄目ですよ、まだ幼い子供が二人もいる家に貴方みたいな危険物送り込めません。」
「じゃあ龍之介だ、あいつの家に喧嘩しに行くのは良いだろう?」
「駄目ですね、絶対本気で怒ります。」
「あ゛~、戦いてえなあ……。」
「なんでその二人に執着するんですか?
 ただ戦闘に飢えているだけならば別にアメリカの彼でも良いでしょう?
 あの、ブラックカードの子。」
「だってあいつの戦車は俺の能力で簡単にばらせるし~。」
「……そういえば明久さんの子供。」
「俺も顔見たけどどう見ても雑魚だよ雑魚、弱者側の人間、鷹が鳶だよ。
 会う前はあいつが爺になったらちょっかいだそうかと思ったけどそれには及ばないね。」

金髪碧眼白衣海パンの青年はそのスケ番風女性の言葉を聞いて笑う。

「貴方たちの言う強さとは、とても狭い世界の強さですよ。
 私はその明久さんの子供とは会っていませんが……
 何時か貴方が自分の言葉を訂正しなくてはならない日が来ることだけは予言しましょう。」

くだらねえ、と吐き捨てるように鵲崎は言った。





「……柄にもないな、昔のことを思い出すなんて。」

舞台は現在に戻る。
鵲崎笹木は上司の命令を無視して昔の彼氏の家に押しかけていた。
そして昔の彼氏に自分の本当の気持ちを伝えようと思ったのだがあいにく彼は留守にしていた。
そもそも彼女だって彼が既に妻子有る身なのは解っている。
でも、それでも彼女は自分の気持ちを抑えられなかったのだ。
気持ちを伝える手段が少々バイオレンスなのが気になるが彼女としてはちょっとした少女漫画気分である。
ちなみに思うままに生きろと常に教えていた弟子に会いに行くことを進められたのも大きい。

「俺が物を教えられるなんてね。」

押しかけた昔の彼氏の家では荒ぶる感情のままに知らない子供達と戦闘に突入していたが、
彼女にとってそれは本当に些細なことだった。
鵲崎は少々センチな気分になっていた。

「俺が合わせます癸酉さん!」
「任せたぞ明日君!」

河童の身体能力による近接戦闘。
彼女がそれを厭うて後ろに下がれば電子レンジの都市伝説で蒸発させられる。
見事な連携だ、と目の前の敵に鵲崎は感心する。
とてもじゃないがこの前まで素人だった子供とママゴト程度の護身術しか知らないボンボンの戦い方ではない。
どちらの子供かは知らないがコンビで何かをするということへの適正が人並み外れてあるらしい。
おそらくそれは合わせると叫んだ方の子供だと鵲崎は推測した。




「―――――――――喝!」

癸酉の張り手が鵲崎の頬をかすめる。
常人であればかするだけで肉がえぐれる一撃だが、それを喰らっても鵲坂は身じろぎもしない。
一瞬だけ舞った彼女の血の色は白だった。

「厄介だねえ、只の道場拳法だと思ってたがすごい道場拳法じゃないか。」

これ以上踏み込まれると、組まれると不味い。
鵲崎は何かの近接戦闘技術も修めた訳ではないが、そういう物を使う相手と戦い続けた経験がある。
彼女の経験が組ませたら終わりだということを彼女に伝えていた。

「ちょこまかちょこまかと……!」
「癸酉さんそこで止まって!」

癸酉の動きが止まるや否や彼女の背中に焦げ付くような感覚が走る。
すかさず磁力でバリアーを張ってマイクロ波を防いだ。

「俺をゆっくり消耗させるつもりか?」
「あんたが最初に見せたような力の使い方をしてこない、
 そして力の消耗が激しいと自分で言った言葉が本当ならば今の僕たちの戦い方がベストさ。」

甘い。
相手の言葉を信じるなんて甘い。
彼女はそう思った。
だが彼女としては消耗を避けたいのは事実だった。
なんせこのあと彼女を待ち受けるのは『村雨』の契約者である。





「なあカシャシャ、ササ、ジャギ…………。」
「笹木で良いよ。」
「笹木…………さん。」

明日は鵲崎の名前を呼ぼうとして盛大に噛んでしまった。
流れる気まずい空気。
彼の顔が恥ずかしさから赤く染まっていた。

「ま、まあ明久さんが恨みを買っていて復讐の為にとりあえず目についた俺たちを殺すっていうなら解る。
 でも笹木さんってそういうのじゃない。
 最初は杏奈さんも恋路も派手にやられたって印象があったから気付かなかったけど……。
 全部全部最低限の破壊で納めているじゃないか。
 恋路は気絶のみ、杏奈さんだってよく見たらねじの一本さえ破壊されてない。
 ただ単に機械を分解したってだけのレベルだ、破壊ですらないかも知れない。
 これじゃあ俺が明久さんから受けた修行と真逆だ。」
「はっ、じゃあなんだい?
 俺が実はアキピーに頼まれてお前らの修行を手伝ったとでもいうのか?
 何の利益でだ?
 実は俺が腐女子でお前ら二人が仲良く戦う姿を見て妄想の材料にしようとしてましたってオチでも無い限りそれはないぞ!」
「……失礼二人とも、婦女子ってなんだ?
 女性一般に対して使う名詞の類じゃないのか?」
「癸酉さん……。」
「……忘れろ。」

一気に空気がゆるむ。
たるむ、ぐだぐだになる。
じのぶんにおける漢字のわりあいもさがってわりあいなれあいびみょうなくーき。






「ったく、やる気が萎えちまった。
 おらおら、そこの女中を俺に寄越せ。
 そんくらいなら直してやるよ、別にお前らが思ったより強くて気に入ったとかそういうんじゃねえからな!」

むしろこいつらじゃ俺には勝てない、と鵲崎は確信していた。
連携は素晴らしいレベルだった。
中々このレベルの連携を出来る人間は居ない。
だがそれこそが彼女にいわせれば彼等の弱者の証明だった。
群れて戦うことにセンスがあるという時点で彼等のうちどちらかは生まれつきの弱者にすぎない。
それが鵲崎の結論だった。

「……できあがり。
 機械は全部俺の能力で好きに出来るからな。
 家のテレビが壊れたら俺に連絡するといい。」
「…………ほわっ!?」
「おおー、杏奈さん復活した。」
「器用だな姉ちゃん。」
「姉ちゃん?良いなそれ、もっと姉ちゃんって呼べ。」
「姉ちゃん。」
「うおおおお、俺気に入ったぞそれ。なんだか知らんが可愛いなお前ら。
 弱いけど気に入ったよ。
 あと女中さん、いきなり攻撃してゴメンネ。
 俺明久に会いに来たんだけど帰るわ。」
「旦那様に伝言等ございますか?」
「無い。」
「またのお越しをお待ちしております。」

解体されたにもかかわらず至って事務的な反応、アンドロイドらしいなと思って鵲崎は笑った。






「そこのお嬢ちゃんもあと少ししたら眼を覚ますから暖かい場所で寝かしてやりな。
 人肌で暖めてやっても良いかもしれないなあ~。
 どうだいチビ少年。彼女を暖めてくるってのは?」
「いや、俺たち別に其処まで深い仲ではないというか……。」
「そうか、それなら良かった。」

鵲崎は一瞬で明日真の前まで瞬間移動して明日真の頭をがっしり掴む。
そして――――――――思い切りキスをした。
舌まで入れて口の中をぐりぐりと蹂躙していった。

「と言う訳でチビ少年の純情は俺が頂いていく。女の子のやるぶんには性犯罪じゃない。
 これから二週間ほどは俺の唇の感触を夜な夜な思い出して切ない気持ちになると良い。」
「”%#$”&%##$#”!!!?」
「はっはっは、声にもならないか。
 あんまり甘酸っぱい関係続けてるとこんな感じで思わぬ展開に持って行かれるから、
 とりあえずさっさとはっきりさせておけよ。
 ……ハッキリさせないで惨めな思いをしてるオネーサンの忠告だ。」
「お姉さん僕の唇も奪って!」
「駄目、お前なんかプリティーさが足りない。
 あと服の趣味が悪い。日本だとそういうの受けないぜ。」
「そんなっ!?」
「お、車の音。ま~だポルシェ使ってるのか。それじゃあな。」

遠くから響くポルシェのエンジン音を聞きつけて鵲崎は本当に空を飛んで帰っていった。
こうして明日真と彼にとって今までと違う意味での最大の難敵の初対面は終わったのであった。
【電磁人の韻律詩40~磁界王の恋~fin】




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