もげろ
前方の宏也の様子に、そう心の中で突っ込む辰也
とりあえず、玄関先でイチャつくんじゃねぇ
こっちが進めないだろうが
前方の宏也の様子に、そう心の中で突っ込む辰也
とりあえず、玄関先でイチャつくんじゃねぇ
こっちが進めないだろうが
「……出血多量で死にかけていた癖に」
佳奈美の前で、さも平気そうに振舞っている宏也だが
ほんの数時間前まで、死にかけていた事は、事実
体内に仕込んでいた、未完成の賢者の石の力で、無理矢理に再生を繰り返していた宏也
その体にかかった負担、そして、傷が再生するとは言え、力が尽きかけていた流れ出た出血まではどうにもならなかったのか
倒れた宏也は、完全に意識を失っていた
その体内に、もはや賢者の石は残ってはおらず
死ねば……もはや、そこまでという状況
ジャッカロープの乳と、ヘンリエッタの応急処置がなかったら、それこそ、命を落としていただろう
ほんの数時間前まで、死にかけていた事は、事実
体内に仕込んでいた、未完成の賢者の石の力で、無理矢理に再生を繰り返していた宏也
その体にかかった負担、そして、傷が再生するとは言え、力が尽きかけていた流れ出た出血まではどうにもならなかったのか
倒れた宏也は、完全に意識を失っていた
その体内に、もはや賢者の石は残ってはおらず
死ねば……もはや、そこまでという状況
ジャッカロープの乳と、ヘンリエッタの応急処置がなかったら、それこそ、命を落としていただろう
そんな状況まで陥ったにも、関わらず
意識を取り戻した宏也が最初に望んだのは、佳奈美の元へ向かう事だったのだ
…そこまで、佳奈美を愛しているということなのだろう
まったく、見せ付けてくれる
意識を取り戻した宏也が最初に望んだのは、佳奈美の元へ向かう事だったのだ
…そこまで、佳奈美を愛しているということなのだろう
まったく、見せ付けてくれる
「…辰也」
「ん?」
「……大丈夫、か?」
「ん?」
「……大丈夫、か?」
考え込んでしまっていた辰也の顔を、心配そうに覗き込んでくる恵
大丈夫だ、と笑いかけてやる
大丈夫だ、と笑いかけてやる
……いや、辰也とて、疲労やら何やらの蓄積で、気を抜けば倒れかねない状況ではある
ただ…これ以上、恵を心配させたくはない
少しでも、恵を安心させたかった
ただ…これ以上、恵を心配させたくはない
少しでも、恵を安心させたかった
「お前こそ、大丈夫か?疲れてないか?」
「……ん…平気、だ……」
「……ん…平気、だ……」
…よく言う
疲れきって、少しうとうとしている癖に
早く、恵を休ませてやらないと
辰也が、そう考えた時
疲れきって、少しうとうとしている癖に
早く、恵を休ませてやらないと
辰也が、そう考えた時
視線を感じた
やたらと、ニヤニヤした視線が
やたらと、ニヤニヤした視線が
「おい、こら、てめぇら。何好奇心剥き出しの目で見ていやがる」
「いやぁ?」
「べっつにぃ?」
「いやぁ?」
「べっつにぃ?」
ニヤニヤ、ニヤニヤ
集中してきている、視線
家の中から出てきたマッドガッサー達が
外で待機していたマリと誠が
ニヤニヤと、こちらを見てきている
集中してきている、視線
家の中から出てきたマッドガッサー達が
外で待機していたマリと誠が
ニヤニヤと、こちらを見てきている
「へぇ、いつの間にそんな仲に?」
「そうか、ようやくお前も新世界の扉開けきったか」
「これはこれから、恵やんに色々教えなあかんなぁ」
「…………くけ??」
「好奇心剥き出しで首突っ込もうとしてくんなっ!?そして、恵に余計な事は吹き込まなくていいっ!?」
「そうか、ようやくお前も新世界の扉開けきったか」
「これはこれから、恵やんに色々教えなあかんなぁ」
「…………くけ??」
「好奇心剥き出しで首突っ込もうとしてくんなっ!?そして、恵に余計な事は吹き込まなくていいっ!?」
えぇい、こいつらは!?
恵を庇うように抱きしめた辰也の様子に、マッドガッサー達の笑いは深くなる
そして
恵を庇うように抱きしめた辰也の様子に、マッドガッサー達の笑いは深くなる
そして
「さて…俺達に言う事、あるだろ?」
………あぁ
わかっている
ニヤニヤ笑いをしながらも、こちらを見てきている視線で
……わかっている
わかっている
ニヤニヤ笑いをしながらも、こちらを見てきている視線で
……わかっている
「………悪かった。心配かけて」
「…くけ…………勝手、に、動いて………ごめん」
「よろしい」
「まったく。辰也も恵も……心配したのよ?」
「…くけ…………勝手、に、動いて………ごめん」
「よろしい」
「まったく。辰也も恵も……心配したのよ?」
巻き込みたくなかった
だから、一人で動いた
だから、一人で動いた
……だが、結局
周囲を心配させただけ、か
周囲を心配させただけ、か
自身のどうしようもなさに、辰也は小さく苦笑する
……こんなにも、頼れる仲間がいると言うのに
それを失う恐怖が強すぎて、それに頼る事ができなかった
……こんなにも、頼れる仲間がいると言うのに
それを失う恐怖が強すぎて、それに頼る事ができなかった
………こんな、どうしようもない自分にも
皆は、こうやって、手を差し伸べてくれるのか
皆は、こうやって、手を差し伸べてくれるのか
「……ただいま」
「おかえり」
「おかえり」
差し伸べられた手をとる
…自分の帰る場所
仲間という、家族のいる場所
…自分の帰る場所
仲間という、家族のいる場所
自分には、帰る場所がある
……まだ、生きる事が、許される
それを実感して、辰也は小さく、笑った
fin