連載 - はないちもんめ-14 - 「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

もう日付が変わり数時間が経過した深夜
どこにでもありそうな平凡な家に、ソレは侵入した
全身黒尽くめで顔にガスマスクをした男
ソレは何時もの様にホースを手に取る
「そこまでだ」
「やっと、見つけましたよ、マッドガッサー」
誰も居なかったはずの部屋で、後ろからかけられた声にマッドガッサーと呼ばれたソレは振り返る
そこには全く同じ容姿をした二人の金髪の女性が居た
「私達都市伝説の平穏の為に」
「殲滅させてもらうぞ！」
その言葉を引き金に片方の女性が駆け出しマッドガッサーに詰め寄る
マッドガッサーもそれに応じてホースからガスを噴出させ応戦する
頭痛、吐き気、痙攣を引き起こすガス
吸えばこの女も倒れるだろう
そう考え噴出させたガスは
女が消えた事でその役目を果たすことなく空気中に霧散した
「消え「ここだ」
声がした方、つまりは下を向く
そこに居たのは女では無く金色の毛に白い顔をした･･･
「九尾！？」

九本の尻尾の狐
「ご名答」
「『白面金毛九尾の狐』それが私達の名です」
先ほどからずっと傍観していた女の言葉にマッドガッサーは目を見開く
『白面金毛九尾の狐それが私達の名』
あの女はそう言った
私達、つまりは奴も『白面金毛九尾の狐』という事になる
冗談じゃない、かつて三国一の大妖怪と伝えられた化け物二体を相手に自分のような一介の都市伝説がかなう筈が無い
そう判断したマッドガッサーは即座に思考を応戦から逃亡へ切り替えた
「逃げる気か！」
狐に道をふさがれかけるがそうは行かないと再びホースからガスを噴出させる
今度は攻撃用のものでは無く目を眩ませる為のものを
「な！？」
「見えねぇ！？」
そのガスでキツネの視界が塞がった隙にマッドガッサーは家から飛び出していった

最悪だ
あの狐どもに邪魔をされた
今晩は他の家には入らない方が良いだろう
ここ毎日続けていた仕事を邪魔されたマッドガッサーは内心怒り狂っていた
すると、人通りの少ない夜道に女が一人いるのが目に入った
大丈夫、金髪じゃない普通の黒髪の女
気晴らしにはちょうど良いとマッドガッサーは音も立てずにその女の背後に忍び寄りホースを向け･･･「おバカさん」
振り向いた女に顔面を蹴り飛ばされた
「！？」
鼻を押さえて女を睨むが女は気にした様子も無く愉快そうに笑う
「少し考えたら良かったのに、『白面金毛』は女に化け様々な人物を騙し世を乱した妖怪、私達が姿を変えれる位は予想できるでしょう？」
女の姿が一瞬で変化し、先ほどの金髪になる
マッドガッサーはもう一度ガスを噴射しようとするが
「もう遅ぇよ」
空から落ちてきたもう片方に、両足で踏み潰され絶命した

「お二人ともお疲れ様です」
マッドガッサーを始末した後、二人の前に現れたのは禿た黒服の男
この二人の『九尾の狐』のかつての契約者
「久々の割には大したことない仕事でしたね」
「もっと骨があるのと戦りたかったぞ、私は」
「ハハ、確かに･･･では早速次の仕事ですが、彼がスリーピー･ホロウにやられた傷でまだ本調子ではないので彼のフォローを頼みたいのですが･･･」
黒服の言葉に二人は怪訝そうな顔をした

二匹の狐と青年が再会するのはもう少し後の話