「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-61

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 さて、自分達の部屋はどこだったか?
 ユグドラシル内で、うっかりと迷子になってしまった裂邪とミナワ
 …部屋番号、ちゃんと覚えておくべきだったか
 どうしようか、彷徨いながら歩いていて

 ……ふと
 視界に、小さな女の子の姿を、見つけた

 おかっぱ頭に白いブラウス、真っ赤な吊りスカート姿の、少女
 世界樹内の通路に添えつけられたベンチに腰掛け……とろん、とした眼差しで、半分眠りかけているようだ
 うとうと、うつらうつらしているその様子は……どこか、幻想的でも、あって
 思わず、裂邪とミナワは、その姿に引き寄せられた

 うとうと
 うつらうつら…
 ……こっけん

「「あ」」

 あ
 そのまんま、横に倒れた

 ぱちり
 その衝撃で、目を覚ましたのだろうか?
 可愛らしい瞳が見開かれ、裂邪とミナワを視界に納める
 そして

「………みぃ?」

 ………鳴いた
 そのまま、にぱ~、と笑みを浮かべてくる
 まるで、天使のような、笑顔
 ロリコンの裂邪でなくとも、ついつい、見とれてしまうというものだ

「…都市伝説の、気配?」
「みー??」

 ふと
 ミナワが、それに気付いた
 少女から感じる、都市伝説の、気配
 都市伝説契約者ではなく、都市伝説、そのものの…

「み?おねーちゃんは都市伝説で、おにーちゃんはけーやくしゃ?」

 少女も、ミナワが都市伝説である事を
 そして、裂邪が、契約者である事を、見抜いたようだ

 …COA内に、そして、ユグドラシル内にいる、都市伝説
 すなわち…恐らくは、COA事件解決に動いているものの一人なのだろう
 そう、あたりをつけた裂邪
 この少女と、接触を取ってみることにした
 ミナワの手を引き、少女に近づく

「はじめまして、えぇと…」
「私は、花子さんなの」

 ぴ!と元気に少女は名乗ってきた
 なるほど、「トイレの花子さん」か
 確かに、そのようなイメージの服装をしている

 裂邪とミナワも、花子さんに名前を名乗った
 …その間、花子さんの視線が、ミナワに集中していたのは気のせいだろう、多分
 ちょっと羨ましそうに見えたのも気のせいだろう、多分きっと

「裂邪おにーちゃんとミナワおねーちゃんは、ここに引っ張り込まれたの?それとも、自分達から入ったの?」
「俺達は、自分達の意志で、だな」
「み!なら、けーやくしゃと一緒なの」

 けーやくしゃ
 どうやら、花子さんには契約者がいるようだ
 しかし、その姿が…見えない

「花子さんの契約者さんは、どこにいるんですか?」
「けーやくしゃは、今、ここの「組織」の人達と、難しいお話をしてるの。だから、花子さんはここで待ってるの」
「…難しい話?」
「そうなの。無力な一般人を預けるのだから、本当に信頼できるかどうか見極めなくちゃいけない、って、けーやくしゃは言ってたの」

 ちょっぴり難しい事を、花子さんはさらりと言い切った
 ……確かに、花子さんの言う通りだろう
 恐らく、その契約者は、事件の被害者を保護して、ここにたどり着いたのだ
 それを預けるからには、絶対の信頼がある相手でなければなるまい

「ここに、悪い人達が来て暴れないか、とか、色んな事をチェックしなくちゃいけないの。特に…」
「……ここを管理している者が。他者の命をどのように見ているか…………少なくとも、他者の命を物のようにしか扱わない奴や…………他人を平気で実験材料にするような奴がいるならば。任せたくはない」

 聞こえて来たのは、高校生くらいの少年の、声
 見れば、前髪で目元がよく見えない少年が、近づいてきていた

 っぱ、と
 花子さんが、満面の笑みを浮かべる

「けーやくしゃ、お話、終わったの?」
「……あぁ、待たせて、すまない」

 花子さんの言葉に、その少年は答える


 ……何故、だろうか
 その少年を、見た瞬間
 ぞくり、悪寒を感じたのは?


「…?」

 少年が、裂邪とミナワを見た……の、だろう
 目元は見えないが、顔を向けてきた事で、それを感じ取る

「けーやくしゃ、このおにーちゃん達も、事件を解決するために動いてるんだって」
「……そうか」

 花子さんの言葉に、少年の反応は………薄い
 興味を持っていないような
 関わる事を、避けているような……そんな、気配
 事実、少年は花子さんの手を引いて、さっさと立ち去ろうとしているようだった

 だが

「…?お知り合い、ですか?」

 ふと
 虚空を見て、誰かと会話したように…見えた
 それは、現実世界と、ボイスチャットで会話でもしているような、様子で

『裂邪、ミナワ?聴こえるか?』
「え?」
「へ?…翼のにーちゃん?」
『あぁ、良かった、そっちにも繋がったか』

 そして
 現実世界からのボイスチャットの声が、裂邪とミナワにも、届いた

『龍一、この二人は、信用しても大丈夫だ』
「………わかりました、翼さん」

 翼の言葉に、龍一が頷く
 くるり、裂邪達に向き直った

「………はじめまして。獄門寺家 若頭 獄門寺 龍一………契約している花子さんと共に、今回、事件の解決に、動かせてもらっている」

 小さく頭を下げ、そう名乗った龍一
 頭を上げた、瞬間……その長い前髪の間から、高校生にしては鋭すぎる眼光が、見えて

 その、目に
 裂邪は一瞬………何か、不吉にも似た、重苦しい気配を覚えたのだった






to be … ?





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