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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・万能の魔法使い-02

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 …ひら、と
 視界に、黒い蝶の姿が見えたような気がした

 ソニー・ビーン一家の子供達が襲ってくる光景を、スローモーションのように感じながら、ただ呆然と見ていた梨々
 その視界に、その蝶は入り込んできて

「…え」

 黒い
 漆黒の蝶の、群れが
 一箇所に集まって…消え去った瞬間、そこには人間がいた

 いや、正確には、人間の形をした者、と言うべきか
 長身の、ぶかぶかのローブを着て、フードを深く被った男
 その身長よりも高い、2m近い長さの杖を持っている
 まるで、魔法使いのような格好

 男が現れても、ソニー・ビーン一家の子供達の動きは止まらない
 数では、自分達が勝っている
 負けるはずがない、そう考えているのかもしれない

 男が、杖を振る
 何もない虚空に、光が走る

 くるくる、くるり
 光が螺旋を描いた、その後に

 人形みたいな形のクッキーが、現れていた
 クッキーマンとでも呼ぶべきだろうか
 ぴょこぴょこ動くそれらが、ソニー・ビーン一家の攻撃を受け止めた
 ばりん、ばりんばりんばりりん
 クッキーマン達は、無残に砕かれていく

 砕かれたクッキーマン
 そのカケラ、一つ一つが…ふわり、ふわり、浮かび上がる
 カケラがめちゃくちゃに辺りを飛び回り、ソニー・ビーン一家の子供達を翻弄した

 そして
 ぽん、ぽん、ぽぽぽぽん

 カケラ一つ一つが、初めに出現したクッキーマンと同じくらいの大きさに、なって

「-----っ!!??」

 …ソニー・ビーン一家達は
 完全に、取り囲まれた
 無感情な笑顔を浮かべたクッキーマン達は、縦に重なり合い、壁のようになって立ちふさがっている
 逃げ出そうにも……そう簡単に、逃げ出すことは出来まい

「12人か、これならちょうどいいな」

 ニヤリと、その男が笑った
 残酷に、残酷に
 両手を広げて、笑う

 直後
 ソニー・ビーン一家の子供達の体が……真っ赤な液体に包み込まれた

「お前ら、ちょっと俺様の練習相手になれ。久々に本気で戦わなきゃいけなくなるかもしれねーからな。戦う感覚取り戻したいんだよ」

 赤い液体の中でもがき苦しむソニー・ビーン一家の子供達を相手に、その男は一方的に、そう言い放った

 それは
 あまりにも唐突で、理不尽で、残酷な死刑宣告

「狩りの練習は、子供相手から、ってなぁ?あぁ、そうそう、練習台になってもらうんだから、残酷な殺し方はしねーよ」

 …今、溺死させようとしているのは、充分残酷じゃないか?
 痛みで身動きできぬ状態で、梨々はどこか他人事のように心の中で突っ込んだ

「どうせ溺死するなら、ただの水とか汚水じゃあ死にたくねぇだろぉ?どうせなら、ワインとか、そんな物で溺れ死んでみたいだろぉ?」

 夢があるようで残酷な話をするな
 …既に、息絶えた子供の姿も見える
 このままでは、さほど時間もかからず全滅だろう

「ん…あ、そうか」

 ぽん、と
 男が、何かに気づいたように手を打った

「悪ぃ悪ぃ、餓鬼にワインは早かったよなぁ?」

 ぱちん、と指を鳴らす男
 直後…ワインの様子が、変わった
 アルコール臭い匂いが消えていく

「お子様には、ジュースの方がいいよなぁ?悪ぃ悪ぃ、久しぶりだから、やっぱ勘が鈍ってるみてぇだな」

 一生、取り戻さない方が良い勘だと思うのだが
 再び、心の中で突っ込む梨々

 そうしている間に…ソニー・ビーン一家の子供達は
 全員、ジュースの海の中で溺死した

「あぁ?もう死んだのかよ」

 つまらなそうに、男は言う
 つい、と男が杖を軽く振ると、ジュースの海が消え去り、辺りには甘ったるい匂いと、ソニー・ビーン一家の子供達の死体が残される

「……思い出せ、お前達がどう在ったのか。思い出すがいい、お前達が生きていた、その姿を」

 歌うように、男が口にしたのは、呪文を唱える

 それは、奇跡を現実にする呪文
 奇跡を現実にする魔法の力
 それを、男は残酷な目的で使う

「-----ッガハ!?」
「ゲホ…っ!?」

 げほげほと、咳き込みながら
 死んだはずのソニー・ビーン一家の子供達が…全員、蘇生した

 死者を蘇らせる
 神ですら完全には扱いきれぬ、奇跡の力
 万能であり、世界すら歪ませる奇跡の力
 男はそれを、自分の勝手な目的で、惜しみなく使う

 ソニー・ビーン一家の子供達が、男に狙いを定めた
 されど、男の笑みは消えない

 向けられた攻撃は、男に当たらない
 男の体は漆黒の蝶の群れへと変わり、辺りに散らばった

 …そして、その、蝶が飛び回る、その軌跡から
 ぽん
 ぽんぽん、ぽぽぽん
 お菓子が、生み出される

 キャンディ、マシュマロ、チョコレート、コンペイトウもある
 無数のお菓子が生み出され、それは勝手に、ソニー・ビーン一家の子供達の口の中へと飛び込んだ
 突然与えられた、あまぁいお菓子
 それに、ソニー・ビーン一家の子供達は戸惑う

 お菓子は
 勝手に、子供達のおなかへと、納められて

「ハッピーハロウィイン?って、時期はずれか、ま、いいや。素敵な魔法を使ってやるよ」

 再び、漆黒の蝶が一箇所に集まって、男の姿を形作る
 つい、と男が指を軽く降った、その瞬間

 ビクンッ!と
 一人の子供が、小さく痙攣した
 ぷちゃ、と 
 その腹が、赤く、染まりだして

「一つのお菓子を百に増やす魔法、素敵だろぉ?」

 たくさんのお菓子を飲み込んだ子供達
 おなかに、ほぼそのままの形で納められたお菓子
 それらが、一斉に百に増えたら?


 ぐちゃ
 ぐちゃ、ぐちゃ、びちゃ


 血の匂いと、甘ったるい匂いが混じりだす
 ソニー・ビーン一家の子供達のおなかが……裂けた

 中から飛び出すのは、内臓と、たくさんのお菓子
 そして、真っ赤な真っ赤な、血飛沫

「あっははははははははは!!!何だよ、その程度食いきれねぇのかよぉ?餓鬼ってのは、体も胃も小せぇなぁ」

 けらけらと、残酷に男は笑う
 …と
 お腹を裂かれて散らばった子供達の数は、11人
 一人、足りない

「おぉっと」

 一人
 何とかお菓子を飲み込まずに済んだ、子供が
 この場から、逃げ出そうとしていた

「逃がすかよ」

 男が杖を振る
 ひょこり
 辺りで壁になっていたクッキーマン
 それらが、一斉に…生き残ったソニー・ビーン一家の子供に、襲い掛かった

「ッヒ…!?」

 クッキーマンの群れに囲まれる、ソニー・ビーン一家の子供
 く、と、クッキーマンは無邪気に子供の手をとった

「ほぉら?可愛いだろぉ?お前の可愛い友達さ。一緒に遊んでやってくれよぉ?」

 男が杖を振る
 現れたのは、巨大なオーブン

「こいつらは、まだちょいと生焼けなんだ、だから……オーブンの中で一緒に仲良く遊んでやりなぁ!!」

 逃げようとする子供
 だが、クッキーマン達は、子供を離す事はなく


 -----バタン、と
 無情にも、オーブンの扉が、閉まってしまった
 子供の絶叫が、辺りに響き渡る


「っくく、あっはははははははははははははははは!!!うん、いいよな、こんな感じでいいよなぁ?}

 くるり
 男が、梨々に振り返った
 楽しくて楽しくて仕方ない
 そんな、表情
 久々に、思いっきり遊ぶ事が出来た、子供のような表情

 甘ったるいお菓子の匂い
 撒き散らされた血の匂い
 そして、人肉が焼けていくような、匂い

 それらが充満している中で
 その惨状を作り上げた男は、楽しげに笑い続ける

「なぁ、こんな感じでいいよな?やっぱ、ただ殺すのはつっまんねぇもんなぁ。素敵に楽しく、ポップに残酷に残虐に殺さねぇとな!!」

 けらけら、けらけら
 笑い続ける男

 …あぁ
 この男は、狂っている

 どうする?
 このままでは、自分も殺されるのではないか?

「何だよ、何か言えよ?」

 どうする?
 どうするどうするっ!?

 相手の思考を読み取る
 …駄目だ、このままだと、自分が新たな「練習台」にされる
 逃げないと…
 男が、梨々に杖を向ける
 不味い、不味い、不味いっ!?

 梨々が、今度こそ、死を覚悟した、直後
 男に、背後から飛び掛る影が、見えて

 その小さな影が、巨大な十字架を男に叩きつけるのと、ほぼ同時
 男はまた、漆黒の蝶の群れに姿を変えた

「大丈夫デスかっ!?」

 それは、少女
 カソックを身に纏った、幼い少女だった
 巨大な十字架を構え、少女は漆黒の蝶の群れを睨みつける

「邪悪なる悪魔の使い!!私が、天罰を与えてやるのデス!!!」

 果敢に、果敢に、叫ぶ少女
 姿を現した男は、その少女を見下ろして…酷く、楽しそうに、残酷に、笑う

「…天罰?そいつぁ、誰の意志による天罰なんだ?」
「神の意志に、決まっていマス!」
「……神、ねぇ?」

 くっくっく、と
 男は、小馬鹿にしたように少女を見下ろす

 ひらひら、ひらひら
 男の周りを、無数の漆黒の蝶が舞う
 気まぐれに飛び回り、時折、ソニー・ビーン一家の死体や、そのお腹から溢れ出したお菓子や血に群がるその様子は、死を運び撒き散らす不吉な存在に見えた

「本当、「教会」の連中は神様神様鬱陶しい。てめぇらの信じる神が実在しているって、そんな証拠でもあるのかぁ?………実在していたとして、あんな我侭で残酷で残虐で嫉妬深い、自分を信じる奴以外はみぃんな地獄に落ちろって言う糞野郎のどこがいいのかねぇ?」
「この………っ悪魔の、手先め!!」

 ぶん!と
 少女が、巨大な十字架を振るう

 だが、男には届かない
 漆黒の蝶の群れに姿を変えて、ひらひら、まるで馬鹿にしているように、その攻撃を避ける

「っく!?」

 撒き散らされる、漆黒の燐粉
 それが、少女の視界を奪っていく
 少女は十字架を振り回すが、蝶の群れに掠りもしない
 馬鹿にしたように、頭の上に一頭止まったままの事実にも、少女は気付かぬままだ

「ほらほら、どうしたぁ?殺してみろよぉ!!」

 ひらり
 宙に浮かんだ状態で、男が姿を現す
 虚空に腰掛け、足を組んで、少女を馬鹿にしたように見下し続けている

「ウッドドック伝説、その力をさっぱり使いこなせていない、100年も生きてない人間の餓鬼に、この俺様が………大魔法使いのカラミティ・ルーン様が、殺される訳ねぇだろぉ?俺様の素敵な魔法は、万能で最強だ。誰にも俺様を殺せる訳がねぇんだからなぁ!!」

 けらけら、けたけたと、その男…カラミティ・ルーンは笑い続ける
 少女と梨々を見下ろして、見下して
 お菓子と血と、肉が焼け焦げた匂いが充満しているこの場の支配者であるかのように
 その男は、そこに君臨しているのだった





to be … ?





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