「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-37

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集


(裂邪>ここの園長と親父が幼馴染でさ。それで教えてもらったんだ
(蓮華>それにしても意外でしたよ、貴方が植物に興味があったなんて

裂邪と蓮華は2人話しながら、クラシック音楽が流れる植物園の中を歩いていた

(裂邪>一応、将来の夢は生物学者だったからね
    流石に今はそんな大それた夢、見ちゃいないけど

元気に咲く花々に迎えられながら、歩を進める2人
パッと見、完全にデートなのだが、それにはたった1つだけ、要素が欠けていた

(蓮華>・・・ところで、言えないのなら構いませんが
    先程から聊か元気が無いように見えますが?
(裂邪>やっぱり分かっちゃう? 俺としては、誤魔化してたつもりなんだけどなぁ

笑みの無い表情を浮かべ、裂邪は何処か物寂しそうに空を見上げて口を開いた



            †回想開始†



今日は、ホントはミナワと一緒に来る筈だったんだけどさ
そのミナワが、今朝・・・

(裂邪>ミ、ミナワ、大丈夫なのか!?
(ミナワ>は、はい・・・申し訳ありません、ご迷惑をおかけして・・・

突然熱が出て、気分が悪いと訴え出した
でも、風邪みたいに咳とかは出なくて・・・俺にはさっぱりだった
流石に、病人を放置する訳にはいかないから、俺は彼女の傍にいるつもりだったんだけど

(ミナワ>ご、ご主人様・・・どうか、私を置いて、1人で行ってください・・・
(裂邪>そんな、気にするなよ。一緒に見に行こうって約束したじゃん
    お前放っといて1人でなんて行けないよ
(ミナワ>でも・・・何十年に1度の、凄いことなんですよね?
     ご主人様は、今日という日を、とても楽しみにしてたじゃないですか
     その気持ちを、壊したくないんです
(裂邪>ミナワ・・・
(ミナワ>・・・早く、行ってください・・・私が、泣いちゃう前に・・・



            †回想終了†



(裂邪>―――っつぅわけで、俺はミナワを置いて1人で来ちまったのさ
    ミナワに元気になってもらう為に、写真ぐらいは撮っておこうと思ってね
    で、ここに着いた時に君が植物好きだったのを思い出して、現在に至る、と

粗方説明し終えて、ふと、蓮華の表情を伺う裂邪
心無しか、複雑な顔をしているように見える

(裂邪>どうかしたのか?
(蓮華>・・・いえ、別に

何となく、原因が分かった気がしたが
空気を読んで黙っておこうと、彼女は言おうとしたことを心の奥に閉まった

(裂邪>お、あったあった、多分あれ―――――――――って、早ッ

裂邪が、目的の物を指差すその前に
蓮華はそちらに辿り着いていた
淵が白みがかった、平状脈の大きな葉
放射状に生えたその葉の中央から、塔の如く聳え立つ茎があり、
そこには、細かい筒状の黄色い花が無数に集まったものが、1つ、2つ・・・と咲いている
裂邪は、ただ目を見張って、蓮華は、恍惚とした表情で、その花を見上げていた

(裂邪>うっはぁ・・・すげぇ、言葉も出ないや
(蓮華>・・・『アガベ』・・・和名『リュウゼツラン』・・・
    数十年という開花の遅さ故に、『センチュリープラント』とも呼ばれる一稔性植物・・・
    これは多分、アオノリュウゼツランでしょうか
(男性>ほぉ、詳しいねぇ

後ろから声がしたので振り向くと、白衣を着て、眼鏡をかけた男性がそこにいた
爽やかな笑顔を浮かべ、リュウゼツランの花を見上げる

(男性>私もリュウゼツランの花を見るのは初めてでね
    ここまで丁寧に育ててきた甲斐があったよ
(裂邪>貴方はもしかして・・・
(男性>おっと、この植物園の園長、柊 音哉(ヒイラギ オトヤ)だ
(裂邪>やっぱり。黄昏 裂邪です。父がいつもお世話になってます
(音哉>タソガレ・・・光彦の子か! しかし娘がいたとは聞いていないが?
(裂邪>いえ、こっちは・・・
(蓮華>六条 蓮華と申します
(音哉>・・・ほぉ、そうかデートか
(裂+1>違います
(音哉>そこまで念を押さなくとも・・・
    しかし驚いたな、彼の息子が契約者だったとは
(裂邪>えぇ、まぁ・・・・・・・へ?

頭を掻いていた裂邪が、ピシリと固まる

(蓮華>・・・ということは、貴方も?
(音哉>あぁ。「植物に音楽を聴かせると成長が早くなる」・・・
    ほら、今もかけているだろう?
(蓮華>・・・なるほど、園内の雰囲気を作ると同時に能力を使って植物達を・・・
(音哉>流石、「組織」の方は頭が切れるなぁ
(裂邪>ちょ、そ、そこまで分かるんすか?
(音哉>いや、こんな小さな子供がスーツを着ることなんて早々ないだろう?
(裂邪>ですよねぇ・・・
(蓮華>ここにあるのは、我々が求めている平穏・・・
    貴方のような人が、沢山いてくださればいいのですが・・・
(音哉>ははは、確かにそう願いたいが、それは幾分か無理があるだろうなぁ
    食物連鎖の関係のようなものだよ
    下層の生き物がいるから、上層の、つまり肉食動物達が存在できる
    悪人がいるからこそ、それと比べられる善人が存在できるんだ
(裂邪>光と影、か・・・

裂邪は、逆光から目を覆いながら、リュウゼツランの花を見上げてポツリと呟いた
雲一つ無い真っ青な空を背に、黄色い花がよく映えて見えた



    †    †    †    †



2人は植物園内にある食堂で、昼食を済ませていた

(裂邪>・・・なぁ、1つ訊きたいんだけどさ
(蓮華>何でしょう?

少し、囁くような小声で話を進める裂邪

(裂邪>レクイエム、って子、R-No.にいるだろ?
    あの子について詳しく聞きたい

レクイエム
その名を聞いて、彼女は少し悲しそうな目をした

(裂邪>・・・あ、言えないようなことだったらいいよ、悪ぃ
(蓮華>彼女は、R-No.で唯一、過激派や強行派寄りの思想を持っている人です

グイ、とお茶を飲み、さらに続ける

(蓮華>契約していた都市伝説は、「お憑かれ様」と・・・もう一つあるらしいのですが、そちらは分かりません
(裂邪>“分からない”? 同じ「組織」なのに?
(蓮華>彼女は文字通り神出鬼没な人物で、他人とは一切関わろうとしない人ですから
    素性や理由などは殆ど明らかになってません
(裂邪>まるで深海の生物みたいだな・・・
(蓮華>近いかも知れませんね。彼女に会えただけ、貴方は運が良かったと言えます
(裂邪>ウヒヒ・・・それが吉なのか凶なのか知りたいよ

その時だった
外から聞こえた、女性の叫び声

(蓮華>ッ!! 都市伝説のようです
(裂邪>凶じゃないかよチクショウ・・・!

裂邪は外に向かって走り出した

(蓮華>なっ、貴方、どうするつもりです!?
(裂邪>止めるに決まってる!蓮華ちゃんは「組織」に連絡してくれ! その方がいいだろ!?

言い残し、彼は飛び出してしまった
この状況では、彼が正しかったのかも知れない

(蓮華>{・・・学校町南区の植物園にて、都市伝説の襲撃事件発生
     至急、事後処理班・防衛班・救護班の派遣を要請します}

日本語ではない暗号のような言葉で、彼女は「組織」にそう伝えた



    †    †    †    †



俺はウィルと契約した時に得た能力を使い、都市伝説が暴れている現場に向かった
幸い、リュウゼツランのあった温室ではなく、花時計のある庭園だった
が、犠牲者と思われる人が、何人か

(裂邪>・・・脈はある、まだ生きてるみたいだ

犠牲者は「組織」の連中に任せよう
俺は再び走り出すと、それはすぐに見つかった
30代ぐらいの男が、子供を追い詰めていた
その男の口から、長い舌が伸びるのを見た瞬間に、俺は子供を抱えてそれを避けた

(男>んぁ? 何だガキィ?
(裂邪>ほら、今の内に逃げろ!
(子供>あ、ありがとう!

逃げる子供を追うように伸びる舌を踏み潰した
が、舌で足首を巻かれてそのまま投げ飛ばされてしまった

(裂邪>くっ、ここが芝生で良かったぜ・・・
(男>何だって訊いてんだ、こっちはよぉ! 「組織」の契約者かぁ?
(裂邪>残念、俺はフリーだよ。でもだからって邪魔しちゃいけないって理由にはなんねぇだろ?
(男>ッハ、違いねぇ!

さらに男は舌を伸ばしてくる
俺はそれを難なくかわしてゆく
どうやら、いつだかの修行のお陰で・・・ダメだ、思い出したくないもんまで思い出しちまった
顔に目掛けてきたそれを掴み、引っ張って男を蹴り飛ばした
男は怯んでいる。今だ

(裂邪>シェイド!『シャドーサイス』!

パチン、と俺は指を鳴らした
黒い鎌が、俺の右手に携えられる


筈、だった


(裂邪>・・・え?

『シャドーサイス』が、出てこない
というより、シェイドの気配が感じられない

(男>はぁ?何やってんだクソガキがぁ!!

男の舌に巻きつかれ、再び投げ飛ばされた
今度は木の幹に激突した
背骨にモロに響いたが、今はそれどころじゃない
状況を整理しなければ
ここは外
屋根は無い
空は晴天
雲は無い
ならば、太陽とは逆の方向に、俺の影はできる筈―――――――ッ!?

(裂邪>な・・・無い! 影が無い!?

他の犠牲者を見た
無い、無い、無い・・・どれもこれも、影が無い
光あるところに必ずできるはずの、影がどこにもなかった

(裂邪>・・・お前、「影食い」か!
(男>やっと気づいたのか? そうさ、俺は「影食い」と契約したぁ!

「影食い」
その名の通り、人の影を食うという、至ってシンプルな都市伝説
どうやら、さっきから鞭のように使っていた長い舌で影を捕らえて食うらしい

そして、どうやら俺は一番相性の悪い奴に出くわしてしまったようだ
俺の契約している「シャドーマン」のシェイドは、俺の影が無ければ出現できない
無論、影を通して、家にいる理夢やウィルを呼び出すこともできない


故に
俺は今、何の力も持っていない状態に立たされていることになる


尚も伸ばされる長い舌を避けながら、俺は作戦を考える

(男>どうしたぁ?契約者なら何かしてみろぉ!
(裂邪>ッヒヒ・・・舌伸ばして、影喰うだけなら、能力なんて、必要ない、だろ?

勿論ハッタリだ
それと同時に、他に能力が無いかを確かめる
が、その瞬間、男の上半身の衣服がはちきれ、毛だらけの筋肉が露出し、
両手の爪も鋭くなり、顔もまるで獣のようになった
そう、狼のような

(裂邪>「狼男」! 多重契約者か!?
(男>じゃなきゃ単身で襲ったりしねぇ・・・よ!!

狼男の蹴りが入った
俺は腹を攻撃されるのが好きらしい
Mに目覚めた覚えは無いのだが
蹴飛ばされた俺は、また木の幹に激突した
黄色く染まった葉が舞い、木の実が僅かに落ちる
そして、微かに聞こえた、何かにおびえるような少女の声

(裂邪>ん?
(男>余所見してんじゃねぇ―――――
(蓮華>『イポメア』

飛び掛ってきた狼男を、植物の蔓が弾き飛ばした

(裂邪>蓮華ちゃん!
(蓮華>お待たせしました。どうかしたんですか?「シャドーマン」は?
(裂邪>あいつに影を食われてね・・・悪い、ちと頼んだ!
    君、立てるか!?
(少女>あ、う、うん!

木の裏にうずくまっていた少女に声をかけ、手を引いて一旦立ち去ろうとした時だった

(蓮華>ぁっ!?

蓮華ちゃんが、がくりと膝をついた
手から生えていたアサガオの蔓も消滅してしまった
嫌な予感がした
それを見事に当ててしまう自分が嫌いだ
既に、彼女の影が食われていた

何故、影を喰われただけで蔓が消滅してしまったのか
そもそも「影喰い」とは、「影を喰われた者は、影が薄くなる」という話だ
「影が薄い」とは、「存在が薄い」ということ
そして、蓮華ちゃんは既に飲まれて、都市伝説そのものとなっている

存在が薄くなるということは、都市伝説にとって致命的なことだ

(裂邪>蓮華ちゃん!大丈夫か!?
(蓮華>くっ・・・ま、さか・・・力を、奪われるなんて・・・
(男>チッ、フリーの癖に「組織」とつるんでんのかよ・・・めんどくせぇ奴だな

狼男がこちらに近づいてくる
何とかしないと・・・ん?この木は確か・・・

(裂邪>ところで蓮華ちゃん、他の「組織」の奴らはいつ来る?
(蓮華>少し、時間がかかりそうです・・・
(裂邪>そっか、なら仕方ない
    動けるなら、できるだけそこのお嬢ちゃんと遠くへ逃げてくれ!

俺は地面に散らばった木の実を掴み、狼男の顔に向けて投げた

皆、俺からの忠告、聞いてくれ
銀杏は素手で触っちゃダメだ

(男>グアァ!? な、なんだこの臭いはぁ!?

銀杏の厄介なところその1、触れるとかぶれる
銀杏の厄介なところその2―――――悪臭がしつこくつきまとう

(裂邪>「狼男」なんかにならなかった方がよかったなぁ!

悪臭に悶える狼男の腹に蹴りを喰らわせた
とてつもなく硬い
俺の力が弱すぎるのだろうか
でも何もやらないよりはマシだ
せめて、蓮華ちゃん達が逃げ切れるまでは時間を稼g

(裂邪>ガァッ!?

しまった
目を潰すのに失敗したらしい
横っ腹を引き裂かれた

(男>っんのガキャァ・・・何してくれんだぁ!?
(裂邪>ア゙ァッ!?

裂かれた傷を蹴られる
何度も、何度も、何度も
感覚が麻痺しそうだ

(男>・・・へっ、くたばったか? じゃあ先にあの娘共を喰ってくるか・・・
   あぁ、別な意味で喰っちまうのもいいよなぁ? ヘッヘッヘ・・・
(裂邪>・・・お、い

フラつく身体を無理に起こす

(男>・・・あ?まだ生きてたのか
(裂邪>・・・お前の、周り・・・見てみろ
(男>はぁ?草だらけじゃねぇか
(裂邪>お前みたいな、汚れた人間が見りゃぁ、ただの雑草と大差ねぇよな・・・
    でもな、この植物達は・・・お前と同じ、都市伝説の契約者が、大切に育ててきたモンなんだ
    都市伝説だってなぁ、使い方さえ正しけりゃ、
    この植物みたいに・・・誰かを笑顔にすることだってできるんだ
    ・・・今、なら・・・今ここで改心するなら、許してやる
    それでも腐った人間のまま、生きたいと言うんなら・・・
    俺がここで、お前を滅ぼす!!

その時だった
突然、狼男と俺の間に割って入った、眩い光
これは・・・金色の、枝?

(裂邪>な、なんだ?
(蓮華>いけません!

声のする方を見た
凄い形相でこちらを睨む蓮華ちゃん
彼女の足元には、アタッシュケースの中身が散乱していた

(蓮華>それは、未だに調査段階の都市伝説です!
    今まで動き出すことなんてありませんでした・・・
    だから、それに決して触れてはなりません!

これも、都市伝説か・・・

今、俺の手元には何も無い
シェイドも
ミナワも
理夢も
ウィルも
誰も、俺の元には来られない
俺は無力だ
だから、俺は力が欲しい
目の前にいる狼男を倒せるような
すぐ近くにいる、蓮華ちゃん達を守れるような
その為なら

(裂邪>・・・俺と、契約しろ

眼前に浮いている、金色に輝く枝に、手を触れた
刹那、左手を介して、熱いものが流れてくる
俺の口から、生温いものが込み上げてきた
緑の芝生を、赤いものが染める

頭が痛い

腕が折れそうだ

足が言うことを聞かない

目が霞んできた

耳が聞こえない

脈が異常な速さで鼓動する

よくよく考えたら
これで5つ目の都市伝説になるのか

シェイドが俺のこと「飲まれかけてる」って言ってたっけ

でも飲まれるってこういうことなんだろうか



もしかして俺
このまま消えちまうんじゃないだろうか








―――――――ふざけんな!





あの時決めた筈だ

もう、誰かを失って誰かが悲しむ姿は見たくない!
もう、俺の前では誰も失わせない!


(裂邪>言う、ことを・・・聞きやがれぇ!
    たった今から・・・俺が、お前の、所有者だ!
    頼むから、少しだけで良い・・・俺に、お前の力を貸してくれ!!


在る時は一薙ぎで世界を滅ぼし
在る時は所有者に勝利を与える
今ここで、この地でその力を解き放て




お前の名は、“破滅の枝”




(裂邪>―――――――――「レイヴァテイン」!!





視界が開けた
心なしか、身体が軽い
あれだけのことがあったというのに、何故だか心も清々しい
ふと、俺は左手を見た
そこには、さっきまでの金色の枝は無かった
黄金色に輝く、大きな鎌
確か、「レイヴァテイン」の伝承は―――――いや、これが「レイヴァテイン」だ!

(男>な、何だってんだ!?
(裂邪>ウヒヒヒヒ、例を言わせて貰うぜおっさん
    俺はまだ・・・強くなれる!

俺は立ちはだかる狼男に斬りかかった
避けられたが、何とか左腕を掠めた
狼男は着地と同時に俺の左腕も爪で引き裂こうとした
普通なら、俺はここで左腕を持っていかれている
俺がこいつと・・・「レイヴァテイン」と契約していなければ

(男>った・・・・んだとぉ!?

驚くのも無理はないか
俺が今左手に持ってるのは鎌じゃない
大きな盾だ

(裂邪>「レイヴァテイン」・・・北欧神話に伝わる伝説の武器
    しかし名称の記述はなされているのに関わらず、その実態はどこにもない
    つまり、「レイヴァテイン」は剣、斧、鎌、盾―――俺が願えば、どんな武器にもなるんだよぉ!

盾から槍に変化させ、狼男の身体を突く
流石に効いたらしい、右肩に穴が開いた

(男>グアッ!?
(裂邪>ヒハハハハハ!今度は右目でも貫こうかぁ!?
(男>このっ・・・クソガキぃ!!

狼男は、既に忘れかけていた「影喰い」の長い舌を使う
鬱陶しい

(男>~~~~~~~~~~っ!?

槍を再び鎌に戻し、俺は奴の舌を両断した
悶え苦しむ狼男
そろそろ終わらせるか
俺は狼男を蹴り飛ばし、奴に飛び掛る
すれ違い様に、身体を回転させて横っ腹を鎌で斬り裂いた
声にならない声が、小さく耳に残った

(裂邪>・・・ッヒヒ、『スコルピオ』とでも名づけようか

血を噴き出しながら、狼男―――いや、既に人間に戻った男が、どさりと倒れた
緑の大地に赤い血を見てると、目がチカチカして嫌になる

(裂邪>・・・ふぅ、終わttん?

不意に足元を見ると、
切り落とした舌が、尚もクネクネと動いている
それどころか、ここから立ち去ろうと蛇行している
まさか、「影喰い」の本体がこっちに移ったのか?
まぁ何にせよ

(裂邪>これで最後(レッツト)

俺は刃を舌に突き立てた
暫くミミズのようにのた打ち回ったそれは、やがて光となって消えた
その直後

(シェイド>貴様馬鹿カァァァァァァァァァ!?

怒号
そして胸倉を掴まれた
どうやら影が戻ったらしい
しかし何故怒られているのだろう

(裂邪>く、苦しい、シェイド、下ろしてくれ
(シェイド>知ラン! 貴様ガコレ程マデニ愚カダトハ思ワナカッタゾ!?
      5ツ目ノ都市伝説ト契約ダト!? モシ飲マレデモシタラドウスルツモリダッタノダ!?
      後先考エズニ突ッ走ロウトスルナァ!!

 ・・・何でだろう
思わず、笑ってしまった

(シェイド>何ガ可笑シイ!?
(裂邪>・・・いや、なんか、親に怒られてる気分がしてさ

嘘偽り無く正直に話すと、
シェイドは溜息を吐きながら、俺を下ろした

(シェイド>全ク、貴様トイウ奴ハ・・・
(裂邪>ウヒヒヒ・・・また、心配かけさせちまったな
(シェイド>イヤ、ソレヨリ大変ナコトg
(蓮華>裂邪さん

と、シェイドが最後までいう前に蓮華ちゃんが割り込む

(蓮華>危険な都市伝説で無かったから良かったものの・・・なんて無茶なことを・・・!
(裂邪>いや、ごめんな蓮華ちゃん、この「レイヴァテイン」は俺が責任持tt
(蓮華>責任を持ってこちらが回収します
(裂邪>そう、そちらに・・・へ?

蓮華ちゃんは、俺の右手を持つと、何やら包丁のようなものを構え

(蓮華>えい

薬指を・・・少しだけ、切った
ちくりと痛みが走ると同時に、俺の中で何かが、ぷつん、と音を立てて切れた

(裂邪>・・・あれ?

鎌から、小さな金色の枝に戻る「レイヴァテイン」
繋がりが・・・切られた?

(裂邪>っちょ、何したんだよ蓮華ちゃん!?
(蓮華>「刃物は縁を切る」、ですよ
    お分かりだと思いますが、「レイヴァテイン」と貴方の繋がりを切りました
(裂邪>何でそんな・・・
(蓮華>5つの都市伝説と契約し、さらに貴方の戦闘スタイルを考えに入れると、
    この先間違いなく都市伝説に飲まれます
    我々のように、飲まれて都市伝説化すればまだいいかも知れませんが、
    必ずそうなるという保障は残念ながら何処にもありません
    そもそも、それは「組織」の所有物です
    易々と民間人に引き渡す訳には――――――
(音哉>おぉい!!

向こうから、柊さんが慌ててこちらに走ってきた
その前に早々と影の中に帰るシェイド
契約者だと教えても良かったのだが、面倒くさいからいいや

(音哉>ハァ、ハァッ・・・だ、大丈夫か!?
(裂邪>え、えぇ、まぁ、この程度ですから
(蓮華>十分重傷です
(音哉>つい先程、「組織」の方々が来てくれた
    君も治療してもらうといい
(裂邪>そうですか、有難うございます
(音哉>礼を言いたいのはこちらの方だ
    君のお陰で、多くの人が守られたんだ
    代表して、私から礼を言わせてもらうよ
(裂邪>そんな・・・俺はただ・・・
(音哉>何か、形だけでも渡したいのだが・・・
(裂邪>い、いやいや、そんな気を使ってまで――――――えっと、リュウゼツランの種ってありますか?

ん?と僅かに首を傾げる柊さん

(音哉>んむぅ・・・む、少しだけなら、多分あると思う。一度見てみよう
    しかし種なんてどうするんだね?これから育てるのかい?
(裂邪>いやぁ、ちょっと、ね

蓮華ちゃんにウィンクしてみせた
その時の彼女の顔は、とても無邪気で、見ていて安らぐものだった



    †    †    †    †



治療を終え、事後処理も済ませた「組織」は、先程の契約者を連行して植物園から撤退し、
俺も柊さんに種を貰ったので、そろそろ帰ることにした

(裂邪>はい、これ。リュウゼツランの種と・・・「レイヴァテイン」
(蓮華>ありがとうございます

蓮華は、リュウゼツランの種だけを受け取った

(裂邪>あれ?蓮華ちゃん、こtt
(蓮華>まさかあの未知の都市伝説が自らの意思で動き出すとは予想外でした
    あれは一体なんだったのでしょうか? 気になりませんか、裂邪さん?

彼女も、俺にウィンクをしてきた
今度は竹の花でも見に行こうかな

(裂邪>・・・あぁ、俺も知りたかったぜ
(蓮華>では、私はこれで
(裂邪>今日は有難う。楽しかったよ
(蓮華>私もです。・・・・あ、ミナワさん、でしたよね? 大切にしてあげてくださいね
(裂邪>ほえ? ねぇ、それどういうこと?

彼女は答えないまま、空間に開いた扉の向こうに帰っていった

(裂邪>・・・ん~?
(シェイド>ソウダ危ウク忘レルトコロダッタ。早ク来テクレ!!
(裂邪>え?おい、ちょっ、待っ!?

俺は半ば強引に、影の中に引きずり込まれた



    †    †    †    †



(シェイド>連レテ来タゾ
(裂邪>ミナワ!大丈夫・・・か・・・

泣きそうになった
俺のベッドが血塗れになっていた
そして、その上で血塗れになったパジャマのズボンを穿いて泣きじゃくっているミナワの姿が

(ミナワ>ひっぐ・・・ご主人様ぁ・・・わたし・・・わたしぃ・・・ぐすん・・・
(リム>主ィィィィ!! お姉さんは!!お姉さんは病気バクか!?
(ウィル>姐さんは死んじまうんですかい!? うおぉぉぉぉぉぉん姐さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!

頭と腹を押さえた
きりきりと締まるように痛い

(シェイド>・・・トイウ訳ダ・・・私ガ説明シヨウトシテモ聞カンノデナ
      後ハ貴様ニ任セル
(裂邪>なっ、ちょ、おまっ

置いていかれた
どうしよう、普通に「女の子なら誰だってなるんだよ☆」で通じるかなぁ・・・
 ・・・そうか、蓮華ちゃんが言っていたのはこういうことだったのか

(裂邪>・・・はぁ、不幸だ

溜息を吐くと、俺の胸に提げられた金色の小枝が、窓から入る西日で輝いた

   ...To be Continued

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