ネコミミを取られた
一瞬の油断で、ネコミミを取られてしまった
ネコミミのない上田など、ただの上田だ
一瞬の油断で、ネコミミを取られてしまった
ネコミミのない上田など、ただの上田だ
「…修行、第一段階、終了。一旦休憩だな」
意味不明な事を考えつつ、とりあえず、ネコミミを取られてテンション低めの上田はそう宣言した
その
上田の、頭上に
デジタル的な、エフェクトが、かかって
上田の、頭上に
デジタル的な、エフェクトが、かかって
-----ごがっ!!
「あだっ!?」
そこに、角の生えた兎…ジャッカロープが、前足でコップを抱きかかえた状態で、転送されてきて
上田は見事に、ジャッカロープのヒップアタックをくらってしまい、地面に倒れた
上田は見事に、ジャッカロープのヒップアタックをくらってしまい、地面に倒れた
ぴすぴすぴす
意図せずして、上田にヒップアタックをくらわせたジャッカロープは、鼻を鳴らしながら首をかしげている
意図せずして、上田にヒップアタックをくらわせたジャッカロープは、鼻を鳴らしながら首をかしげている
『龍一、ジャッカロープを転送させた。その左腕、乳で治しておけ』
ボイスチャットで語りかけてくる、声
翼ではなく、辰也だ
自ら左腕を切り落とし、その出血でやや顔色の悪い龍一は、その言葉に、小さく頭を下げた
翼ではなく、辰也だ
自ら左腕を切り落とし、その出血でやや顔色の悪い龍一は、その言葉に、小さく頭を下げた
「…お手間かけます、広瀬さん」
「み!腕を治すの!」
「み!腕を治すの!」
てちてち
花子さんが、ジャッカロープに近づき、その乳を搾っていく
花子さんが、ジャッカロープに近づき、その乳を搾っていく
「……あのジャッカロープ?って生き物、無くなった、腕も…治せるん、ですか?」
『ジャッカロープの乳は、万能薬と言われている。その拡大解釈で、欠損した四肢や体の一部も再生可能だ』
『ジャッカロープの乳は、万能薬と言われている。その拡大解釈で、欠損した四肢や体の一部も再生可能だ』
正義の言葉に、辰也が答える
花子さんが、ジャッカロープの乳を入れたコップを、龍一に渡した
龍一が、一気にそれを飲み干して
花子さんが、ジャッカロープの乳を入れたコップを、龍一に渡した
龍一が、一気にそれを飲み干して
「----っ」
一瞬の、苦痛の表情
その直後……本当に、一瞬で、無くなった左腕が再生した
手を握ったり広げたりを繰り返し、龍一は再生した左腕の動きを確認している
その直後……本当に、一瞬で、無くなった左腕が再生した
手を握ったり広げたりを繰り返し、龍一は再生した左腕の動きを確認している
「凄い…本当に治った」
「なるほど、たいした治癒能力だ」
「なるほど、たいした治癒能力だ」
感心した様子の、正義と大王
ぴすぴす、ジャッカロープはやや誇らしげだ
ぴすぴす、ジャッカロープはやや誇らしげだ
「ぐ……この、わざと俺の頭の上に転送したな?」
『そうだが、何か問題でも?』
『そうだが、何か問題でも?』
むくり、ヒップアタックのダメージから回復した上田が起き上がり、後頭部に乗ったままだったジャッカロープがころん、と地面の上に転がった
突然起き上がった上田に抗議するように、ぺちぺち前足パンチを繰り出している
ジャッカロープが上田に蹴り飛ばされる前に、その小さな体を望が抱き上げた
そうして、上田に対する軽い嫌がらせを否定しようともしない辰也に、尋ねる
突然起き上がった上田に抗議するように、ぺちぺち前足パンチを繰り出している
ジャッカロープが上田に蹴り飛ばされる前に、その小さな体を望が抱き上げた
そうして、上田に対する軽い嫌がらせを否定しようともしない辰也に、尋ねる
「対応が早いわね。怪我を確認してすぐ、送ってくるなんて」
『すぐでもない。一応、その訓練が一旦終わるまで待っただろう』
『すぐでもない。一応、その訓練が一旦終わるまで待っただろう』
望の問いかけに、そう答える辰也
…ん?と
望は首をかしげる
…ん?と
望は首をかしげる
「……ちょっと、待って。訓練が終わって、そこで様子を確認して送ってきたんじゃないの?」
『念の為言っておくが、訓練中の様子も、こっちから見えてたぞ。だから、ジャッカロープにスタンバイさせておいて、訓練が一旦終わると同時に、スーパーハカーに転送させたんだからな』
『念の為言っておくが、訓練中の様子も、こっちから見えてたぞ。だから、ジャッカロープにスタンバイさせておいて、訓練が一旦終わると同時に、スーパーハカーに転送させたんだからな』
ぴしり
辰也の答えに、硬直する望
つまり、だ
辰也の答えに、硬直する望
つまり、だ
「………翼も、見てた?」
『しっかりとな。お前の動きが封じられた直後辺りまでは、翼がずっと、お前達の様子を見ていたしな』
『しっかりとな。お前の動きが封じられた直後辺りまでは、翼がずっと、お前達の様子を見ていたしな』
………
…………
……………
…………
……………
うん
後で、大樹さんに言わないよう、しっかり釘をさしておかないと
拳を握り締め、望はそう、決意する
後で、大樹さんに言わないよう、しっかり釘をさしておかないと
拳を握り締め、望はそう、決意する
「……っと。ところで、一人足りないな?」
「!そうだ、お兄ちゃん!」
「!そうだ、お兄ちゃん!」
…そう
上田と正義の、言う通り
先ほどから、裂邪の姿が、見えない
どうやら、上田達とは、まったく違うルートに入ってしまったらしい
上田と正義の、言う通り
先ほどから、裂邪の姿が、見えない
どうやら、上田達とは、まったく違うルートに入ってしまったらしい
「おいおい、このダンジョンの中で探せ、ってか?」
『もし、あの餓鬼がダンジョン内で迷って見つけられず餓死したら、監督役のお前の責任だな』
「限りなく不吉な事を言うなっ!?んな事になったら、俺が愛美さんに殺されかねんわっ!?」
「と、とにかく、お兄ちゃんを探さないと!」
『もし、あの餓鬼がダンジョン内で迷って見つけられず餓死したら、監督役のお前の責任だな』
「限りなく不吉な事を言うなっ!?んな事になったら、俺が愛美さんに殺されかねんわっ!?」
「と、とにかく、お兄ちゃんを探さないと!」
辰也の、上田に対する嫌がらせ交じりの言葉に、あわあわと慌て出す正義
落ち着け、と大王に諭されている
落ち着け、と大王に諭されている
一連の、その騒ぎを
龍一は、左腕の状態を確認しながら、黙って聞いていて
龍一は、左腕の状態を確認しながら、黙って聞いていて
「みー、契約者、どーするの?」
「……探すべきだろう。奥からは、あまりよくない気配もする。そちらと遭遇していたら、危険だろうしな」
「み!」
「……探すべきだろう。奥からは、あまりよくない気配もする。そちらと遭遇していたら、危険だろうしな」
「み!」
一度ダンジョンの外に出る、その前に
裂邪を探す、という大仕事が、一同には残されていたのだった
裂邪を探す、という大仕事が、一同には残されていたのだった
to be … ?