「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 死ねばよかったのに-01

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 深夜、一台の車が走る
 運転しているのは、まだ20代前後と思われる若者だ
 安全運転で、ゆっくりと車を走らせている

 …車が、やがて心霊スポットに差し掛かった
 ここは、学校町
 心霊スポットなんざ、吐いて捨てるほど存在する
 だからこそ、この運転手も、あまり気にしていなかった

 ---その時
 っふ、と、車の前に、白い影が現れた
 女らしき、姿
 …このままでは、轢いてしまう

 急ブレーキの、耳障りな音が響き渡った
 …何かにぶつかったような衝撃は、ない

 若者は、一度車を降りて、辺りを確認した
 あの白い人影はない
 その代わりにあったのは……崖
 ガードレールが壊れていたのだろう
 ブレーキを踏まなかったら……自分は、車ごと崖を落ちて、死んでいた

 若者は、先ほどの白い影の事を考え…そこで、静かに、幽霊と思わしきその影の冥福を祈った
 車に戻り、再び、車を走らせ出す

 ……と
 ミラーを覗いて、若者は気付いた

 先ほどの白い影が
 女が
 後部座席に座っている、事実に


 と
 暗い、暗い、恨みがましい、声で
 女は、若者にそう告げた



「………」

 その呟きに対して
 若者は、反応を見せたようには、見えなかった
 少なくとも、都市伝説「死ねばよかったのに」には、そう見えた
 そもそも、その若者は、陰鬱に前髪を長く伸ばしていて、目元がよく見えないのだ
 表情の変化は、わからない

「………」

 若者は無言で、車を走らせ続けている
 そのスピードは、どんどん上がっていっていた

「-----っちょ!?」

 「死ねばよかったのに」は、気付く
 …目の前には、急カーブ
 先ほど同じ、崖がある
 ここは、あの場所と違ってガードレールがあるが…
 …このスピードでは、ガードレールをぶち破って、崖から落ちるっ!!??

「ちょっと待ったぁああああああああああ!!??」

 ここで事故ったら、自分が巻き込まれるっ!?
 「死ねばよかったのに」は、慌ててその小柄な体を乗り出し……無理矢理、ブレーキを踏ませた

 先ほどよりも、さらに耳障りなブレーキ音が、響いて

 ………
 …………
 ……………

 …セーフ
 超ぎりぎりセーフ

 車は、ガードレールをぶち破る直前で、止まった

「あ、あああああ、危なかった…」
「………」
「ちょっと!?何、考えてんのよ、あんたはっ!?」

 若者に抗議する、「死ねばよかったのに」
 死ねばよかったのに、と言った癖に色々と矛盾しているのだが、巻き込まれそうになったのだから仕方ない

「………死ねば」
「?」
「死ねば、良かったのだろう?」

 淡々と
 その若者は、「死ねばよかったのに」に、そう尋ねてきた
 中性的な、男か女かはっきりしない声だ

「そうよ!さっきのところで死んでれば良かったのに!そうすれば、私がこんな死にそうな目にあわなかったのに!?」
「………すまない」

 馬鹿正直に謝罪する男
 後部座席の扉を開ける

「?」
「降りればいい」
「え?」
「そうすれば、こちらが一人で死ねる」

 ………
 待て
 ちょっと、待て

「あんた、馬鹿ぁ!?何、死のうとしてんのよ!!??」
「…死ねばよかったのだろう?」
「そうだけどっ!って言うか、そう言われたからって、普通、本当に死のうとする!?ばっかじゃないの!!」

 ものすごい勢いでまくし立てる「死ねばよかったのに」
 若者は、黙ってそれを聞いている

 ぜぇはぁ
 エキサイトして肩で息をしている「死ねばよかったのに」を…どうやら、じっと見つめているようである
 前髪のせいで、よくわからないが

「……それで」
「?」
「…お前は誰で、何をしたいんだ」

 淡々と、若者は「死ねばよかったのに」に、そう告げた
 ふふん、と「死ねばよかったのに」は答える

「私は、都市伝説よ。聞いたことあるでしょ?こう言うシチュエーション」
「…自分が知っているのは、この後、弁当を用意して待っていたという後日談つきだが」
「ツンデレに魔改造されたネタじゃない、それはっ!?これだから何でも萌え化する国民性はっ!?」

 駄目だ、この国の人間
 早く何とかしないとっ!?
 頭を抱える「死ねばよかったのに」
 若者は、やはり、じっと見つめてきているようだ

「…って言うか、あんた。私が怖くないの?」
「……幽霊よりも、現実の人間の心の方が、ずっと怖い」
「リアルな上に嫌な現実突きつけられる発言ね…」

 はぁ、と
 「死ねばよかったのに」は深々とため息をついた
 駄目だ、こいつ
 相手をすればするほど疲れる

「あー、もう、いいわよ。まったく、なんだってのよ、この町の住人。どいつもこいつも、私を怖がらないなんて」
「…怖がられたいのか」
「それが存在理由だもの……だってのに、はぁはぁしてくるキッモイ男もいるし、本当、嫌になるわ」

 場所が悪い
 そうとしか、言いようがない
 ここは学校町
 超常現象など、日常茶判事な街
 彼女程度の存在など、恐れられるどころか、むしろ萌えられる悲しい現実である

「………」

 愚痴を言う「死ねばよかったのに」の言葉に、若者は耳を傾けているままだ
 特に口出ししてくる訳でもなく、反論するわけでもなく、ただ、聞いて来るだけ

 …何なのだろう、こいつは

「…お前は」
「?」
「怖がられることを存在理由として。だが、怖がられないのならば……お前は、その存在理由に反していることになる」
「……悪かったわね」
「それならば、何故、存在し続ける?存在理由に反したならば、生き続ける理由があるのか?」

 ぷちん
 容赦ない言葉に、「死ねばよかったのに」はあっさり、切れた
 彼女、割合短気である

「うっさいわね!!仕方ないでしょ!?私はこう言う存在!都市伝説なんだから、仕方ないのよ!!あんた達人間が、私の存在を語り続ける限り、私は消えない、死ねないのよ!」

 語らえる限り
 都市伝説は、生き続ける
 死んでも、何時の間にかまた生まれ
 語られ続ける限り、永久にそれを繰り返す

「私だって!!好きでそんな存在でいる訳じゃないわよ!ぶっちゃけ、無意味だし!!怖がられても、どうせいつかは忘れられる!!さほどトラウマになんてできないわよ、私みたいなチンケな存在!!」
「………」
「それでも、他に生き方がないんだから、仕方ないじゃないの!!」

 …ぜぇはぁ
 再び、肩で息をする「死ねばよかったのに」
 こんなに、他人と話したのはずいぶんと久しぶりだ
 普通は、「死ねばよかったのに」と告げた後、さっさと姿を消すはずなのだから

「…他に」
「?」
「他に生き方があれば、他の存在理由ができるのか?」
「……まぁね。契約者でもできれば、そっちを守るとか、そんな存在理由ができるんだろうけど」
「…契約者?」
「そうよ。私達都市伝説は、人間と契約できるの。人間との契約により存在を強固にし、さらなる力を得る。もっとも、契約者の人生に、私達都市伝説って言う「異物」をめり込ませて人生を歪ませる行為だけどね」

 ……若者は、その説明を、じっと聞いて
 どうやら、何か考え込んでいるようだ
 …しばし、考えた後
 また、車を走らせ続ける

「…どうしたのよ」
「……シートベルト」
「?」
「つけないと、危ない」

 …そう言えば、「死ねばよかったのに」は、シートベルトをつけていなかった
 もそもそと、シートベルトをつける
 ……って

「…そう言えばどうして私、車に乗ったままなのよ…」
「………」

 さっさと、降りればよかったのに
 車は、静かに走り続けている

「…詳しく」
「え?」
「契約者について、もっと、詳しく」

 車を走らせながら
 若者は淡々と、「死ねばよかったのに」に、問い掛ける

「もっと、知りたい」
「…知ってどうするのよ」
「……場合によっては、契約しても構わない」

 淡々とした、若者の言葉に
 「死ねばよかったのに」は、きょとんとする

「はぁ?…何、馬鹿言ってるのよ。さっきの簡単な説明、聞いてなかったの?あんたの人生、歪むわよ>」
「……場合によっては、だ」
「だとしてもよ…」
「……むしろ、歪んだ方がよい場合も、ある」

 ゆっくり、ゆっくり
 車は、走り続ける

「いっそ、歪んだならば………その方が、若の力になれるかもしれない」
「…何、それ」
「本家の力になれるならば、光栄だから」

 訳がわからない
 「死ねばよかったのに」は、関わる相手を間違えた、と後悔した

「……ま、いいわ。私をどこに連れていくのか知らないけど。あの場所を離れたら、今の私はただの無力な存在だしね…丁寧に扱いなさいよ」
「………」

 若者は答えない
 一応、「死ねばよかったのに」に、危害を加えようとする気配は、感じられない
 人間をどの程度信用できるものか、彼女はまだよく知らないが

「…そう言えば、あんた、名前は?」
「……名前?」
「そう。あんた、って呼ぶのじゃ味気ないもの。「死ねばよかったのに」なんて、名前らしくない名前の私の言えるセリフじゃないかもしれなけど」

 「死ねばよかったのに」の、その問いかけに
 淡々とした声に…かすかに、感情らしきものがともった

 それは
 かすかな誇りを感じる、声

「……獄門寺。獄門寺分家の……………獄門寺 菊だ」


 全ては偶然にして必然
 必然にして偶然

 この出会いもまた、偶然であり必然
 必然であり偶然

 このささやかな出会いが、後に何に繋がっていくのか
 それはただ、神のぞみぞ知る………                               




fin



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