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連載 - 死ねばよかったのに-05

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だれでも歓迎! 編集
 鬼の血を引いている訳ではない
 だが、鬼へと化しやすい

 その心は修羅に近く、近く
 容易く、そちらに堕ちかねない

「大丈夫、です」

 それは、己もまた同じ
 分家とは言え、元の流れは同じ血だ

「若は、鬼にはなりません、決して」

 それを、わかっていながらも
 己は、彼にそう告げた
 あの人は、小さく笑って

「……ありがとうな…………だが」

 それを、口にした時
 彼は、10にも満たぬ歳だった
 しかし……向けてくる視線は、真剣そのもので

「もし、俺が鬼と化したならば…………お前になら、斬られてもいい」

 どこまでも、真剣にそう告げてきた彼に
 あの頃の自分は、頷く事が出来ず

「ならない。若、は……鬼には、ならない」

 思ったのだ
 この人を、鬼にはさせないと

「若、が……鬼を滅する為に剣を振るい、鬼に近づくと言うのならば」

 そのくらいならば
 いっそ

「…ならば。自分も…鬼を、滅する。若にだけ、させない」
「……だが」
「本家様の、お役目を支える。それが、分家の役目だから」

 …自分に果たせる、分家の務め
 それを、自分はこの時、見つけたのだ


 だから
 自分は、力を振るう
 あの人を、鬼へと近づけないために





 ……徐々に、徐々に、少女の体が隠れていく。
 スコップを使い、穴へと落とした少女の体に土をかけていく男性

 男性は、気付けなかった
 その作業に、集中していたから
 己の背後に、近づく気配に
 それを振るわれる一瞬まで、気づけずに

「-----っ!?」

 気付き、振り返った時には
 目の前に、先ほど己が少女に向けて振るった、角材が……迫って、きていて

「っぐ!?」

 慌てて避けたものの、頭部を掠った
 衝撃に、脳が揺れる
 それでも、何とか倒れることなく、攻撃してきた相手を睨みつける

「………」

 じっと、男性に視線を向けてきている相手
 ……20代前後程だろうか
 長い前髪で目元が隠れていて、中肉中背
 パンクなファッションに身を包んだ、中性的な人間だ
 …男性の、見知っている相手では、ない

「……もう、一回」

 ぼそ、と
 その人物が、小さく呟き
 角材を、振り上げる

 ぶぅん、と
 轟音を、立てて
 角材が、容赦なく男へと叩きつけられようとする

「っち!?」

 先ほどよりも、早い
 今度は、角材が肩を掠った
 ただそれだけで、肩の骨にヒビが入ったような衝撃
 見た目よりも、筋肉がついているようだ、力強い

「誰だ……邪魔をするな」
「……菊」
「は?」
「…名前。獄門寺 菊。邪魔は、する」

 ぼそぼそと
 その人物…菊は、男の問いに、さらりと答えた
 予想外の事に、男は呆然としてしまい

「………今度、こそ」

 ぶぅん!と
 菊が三度、角材を振るってきた、その動きに、反応しきれずに

「---が、はっ!?」

 横殴りに振るわれたそれを、まともに腹部に喰らってしまい、叩きとばれる
 倒れた男に、菊はゆっくり、近づいて…さらに、角材を振るう
 狙ってきたのは、脚
 容赦なく叩きつけられ、骨が折れる音が響く

「ぁ………が……」
「……」

 ぺい、と角材を投げ捨てる菊
 足を折った、もはや、男性は逃げられない

 男を見下ろしたまま、菊は携帯を操作し、どこかに電話する

『はい、総本部長。どうかなさいましたか?』
「………沈める。準備」
『はい、了解しました』
「…それと、車……怪我人。先生に、治療を」
『了解しました。30分以内に、そちらに到着いたします』

 短いやり取りを終え、携帯を切った菊
 男は、菊を睨みあげる

「き、さま………何故、邪魔をする……っ人柱を立てる事で、水害が減るんだ。水害が減ったのは、人柱の……」
「違う」

 ぽそぽそと、菊は、男の言葉に反論する

「……河伯家が、商売をし、街を潤す。日景家が、街に力を呼び、整える………それらの結果、河川は、整備された」

 人柱の効果は、なかった訳ではないだろう
 だが

「…人柱を、立てずとも。水害は、減る。減らしている。旧家が、街の住人が、力を合わせ、それを願い、実行した。お前だけの力ではない」
「だがっ!!人柱をたて、水害が減るのならば!!!俺は、もう女房や子供のような、水害で死ぬ被害者を出さない為に…」
「……それを」

 菊の前髪が、かすかに揺れる
 男を見下ろす、菊の目は
 まるで
 慈悲を許さぬ、羅刹のようで


「それを………水害で、命を落とした者は。望まない、喜ばない」

 淡々と、容赦なく
 菊は、続ける

「お前は、学校町を護らない。学校街の住人を傷つける」
「違う違う違うっ!!!多数の犠牲者を生まぬ為にも!!多少の犠牲など……」
「それは…人の思いに、非ず…………人の理に非ず。鬼の理」

 ……車の音が聞こえてきた
 それは、男へ送る、地獄への片道キップの如く

「鬼の理に飲まれた者は……もはや、人に非ず。その身を鬼へと変えるのみ…………鬼が増えたら。若の仕事、増える」

 ぐ、と
 菊は、倒れていた男の首根っこを掴み、持ち上げた
 首がしめられる形となり苦しむ男に構わず…到着した車のトランクに、男を放り投げた

「………若が、鬼にならない為に……鬼は、先に、滅する」

 冷たく、男を見下ろして
 ばたん、と
 車のトランクは、無情にも閉じられた




 小林 樹里が目を覚ました時
 彼女は、個人経営の小さな病院の病室のベッドの上にいた
 戸惑う彼女に、そこを経営している医師は、優しく声をかける

「河川敷に掘られていた穴に、落ちていたそうだよ。誰だろうね、イタズラでそんな穴を掘って……頭を打っていたみたいだったが。自分の名前とかは言えるかい?」
「え…と……小林 樹里、です」
「うん、大丈夫そうかな。正確には、もうちょっと大きな病院で検査してもらった方がいいと思う。親御さんに連絡するけど、構わないかな?あぁ、それと。この鞄、多分、君のだよね?なくなってる物がないか、一応、チェックしといた方がいいと思うよ」

 つらつらと医師に言われ、樹里はまだふらふらする頭で、こくりと頷く

「いやぁ、対した怪我じゃなくて良かった。発見が遅かったら、ちょっと危なかったかもしれないね。発見者が急いで運んできてくれたお陰もあるんだけど」
「あの……誰が、私を、ここまで運んでくださったんですか?」

 せめて、お礼は言わないと
 そう考え、医師に尋ねると
 医師は、樹里の親に電話をかけようと受話器をとりながら、答えた

「あぁ。繁華街にある「カナリア」の店長さんだよ」

 …あぁ、あの店なら、知っている、何度か行った事があるから
 あの、性別不詳の店長さんか

 今度、お店に行った時、お礼を言わないと
 ぼんやりとそう考えながら、樹里は鞄を開き、貴重品の有無を確認しはじめたのだった


 数ヵ月後
 東京湾から、ドラム缶に入れられたコンクリート詰めの、身元不明の死体が発見されたのだが
 ついに、その身元が割れる事はなかったのだと言う







to be … ?





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