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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・幼馴染、二人-03

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 …己の幼馴染は、昔からひどく臆病である
 いつでも隣に居続けたからこそ、イザークはそれをよく理解していた
 幼い頃からいつだってから何かに怯え続け、自分の背中の後ろに隠れ続けていた小さな体
 背は伸びたものの、それでも、自分よりもまだ低いその背、体つきとて、こちらと比べればまだ、細い
 昔と同じように、自分が護ってやらなければ、そう考える

 ただ

「っいやぁああああああああ!!??今、今、あっちに何か見えたっ!?何かいる、絶対何かいるっ!!??いやぁあああああごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい食べないでぇえええええええ!!??」

 ………
 昔は、ここまで大げさなチキンハートではなかったのだが

 そう考えながら、イザークは無言で、手元に出現させた剣の柄でジョルディをぶん殴った



「イザーク、頭がガンガンするよぅ…」
「そう考えるなら、怯えてもいいからせめて叫ぶな」

 力一杯どつかれた後頭部を抑えながらも、ジョルディはおとなしくイザークの後をついていく
 ルビーのような赤い瞳は、痛みのせいかそれとも怯えのせいか、涙で潤んでいた

 …正直、イザークとジョルディが並んで歩く様子は、ほかの「13使徒」達とは別の意味で目立つだろう
 パンク系のファッションに身を包んだドイツ系西洋人と、白い髪に真っ赤な瞳のイタリア系西洋人
 どちらも、「13使徒」の中では珍しく「教会」関係者である事を感じさせないファッションだが、やはり首元には「教会」の一員の証である銀のロザリオが揺れている
 外人が目立ちにくい学校町とは言え、それなりに目立ってしまうのだ

 ……できれば、あまり目立ちたくはないのだが
 そう考えながら、イザークは小さくため息をついた

「…イザーク。歩いても歩いても、僕ら以外の異質な気配が、消えないよ…」
「……この国の言葉では、確か「都市伝説」と呼ばれているのだったか…この街には、それが多いと聞くからな。普通に生活している者も多いようだし、感知能力をオンにしたままでは、いくらでも感知できるだろうな」

 その臆病さ故か、イザークは都市伝説の気配の感知能力が高い
 だからこそ、学校町に着いてからずっと、自分達以外の気配を感じ続けてしまって落ち着かないのだろう
 …正直、その感知能力をいったん、オフにするべきだ
 オフにしていても、強い気配や敵対的な気配は感じ取れるのだから

「もし……もし、この気配が一斉に、ボクらに襲ってきたら…」
「…少なくとも、今はそういうことにならないはずだから安心しておけ」

 そう
 少なくとも、今は……だ


 後になれば、きっと
 ジョルディが感じている気配、その大半を、自分達は敵に回すだろう
 自分達がやらされる事は、そういう事なのだかr


「ほら、早く来い。置いていくぞ?」
「え?……あぁぁああ、待って、置いていかないでよぅ…」

 やや歩く速度を速めたイザークの様子に、ジョルディも慌ててスピードをあげる
 …そんな事をしなくとも、イザークがジョルディを置いていくなど、ありえないのだが

 しばし、学校町の地理を把握する意味も込めて、住宅街を歩いていた二人
 古い屋敷が並ぶ区画を見て回り、別の場所へと移動しようとした、その時

「……っ」

 ぎゅう、と
 イザークの後ろをびくびくしながらついてきていたジョルディが…突然、イザークのジャケットの裾をつかんだ
 それにより、イザークは周囲を警戒し始める

 …何か、来る
 それも、敵対的なものが

 二人の様子に、相手は、動きを見せた
 二人の、前方
 そして、後方の、両者から……白く、ボロボロの衣服を身にまとい、額に三角の形の布を取り付けた、半透明の体をした人間の群れが、姿を現した

「いやあああああああああああああっ!!??ゴ、ゴースト!?」
「そうらしいな」

 ゆっくり、ゆっくりと
 幽霊の群れが、二人を取り囲んでくる

「契約者の気配は!?」
「え、えええええええ、えぇと………あ、あっちの、角の方!」

 ジョルディが指差した、その角は…ダメだ、距離がある
 イザークの能力では、そこまで一気に攻撃を届かせることはできない
 ジョルディが戦闘態勢に入れば別であるが、イザークとしては、ジョルディにはあまりたたかわせたくないというのが本音だ

 …仕方ない
 どういう意図でか、相手がこちらを襲撃しようというのならば…迎え撃つのみ

 ぽぅ、とイザークの体が、光に包み込まれる
 彼の契約都市伝説…天使「シムキエル」の力が、発動する

「っひ!?」

 幽霊の一体が、ジョルディに手を伸ばす
 その幽霊に向かって……イザークは炎を生み出し、投擲した
 幽霊は一瞬で炎に包みこまれ、浄化されていく

「何者かは、わからぬが」

 いくつも
 いくつもいくつもいくつもいくつもいくつもいくつもいくつも
 イザークの周囲に、炎が生まれる
 死者の魂を浄化するといわれる炎が

「幽体の存在で俺達を襲おうなど、百年早い」

 その炎は、二人を取り囲んでいた幽霊達に襲い掛かり、容赦なく焼き尽くす
 実体なき者だけを燃やす炎、周囲の塀や地面には、焦げ跡すら残らない

「ジョルディ、ここから動くな………」
「--っだ、ダメ!来る、また来るよ!!」

 ジョルディを残し、己は幽霊達をけしかけてきた相手へと向かおうとしたイザーク
 しかし…再び、幽霊が集団で現れ、二人に迫ってくる
 ……よくよく見れば、幽霊達は塀の下の方に書かれている、小さな鳥居のマークから出現しているようだった
 「町中にある奇妙な位置の鳥居のマークは、そこが霊の通り道であることを示している」という都市伝説だ
 その契約者が書いた鳥居のマークから、無数に霊が生み出されているのだろう
 ……契約者を倒さなければ、キリがない!

 ぎゅう、と、イザークのジャケットの裾を握りしめ続けているジョルディ
 今は、まだ幽霊に怯え続けているだけだが……このまま戦闘が続けば、「スイッチ」が入る可能性がある

 どうする?
 イザークが、やや焦りだした、その時

「っひぎゃあ!?」

 聞こえてきた悲鳴
 びくーーん!!と、ジョルディの体が跳ね上がる
 悲鳴は、ジョルディが契約者の気配を感じると指差した方向から、聞こえてきて

 どさ、と
 片腕を、まるで水分が蒸発したかのように干からびさせた男が、倒れてきた

「怪我はないか!?」

 そして
 その男に、攻撃した主であろう、まだ少年と思われる声の人物が、その角から顔を出した

「………いっやあああああああああ!!??変な人が出たぁああああああっ!!??」
「え!?俺、変な人!?」

 その姿を見てのジョルディの悲鳴に、その少年は盛大にショックを受けた声を上げる
 助けられておいて「変な人」と悲鳴を上げたジョルディも悪いかもしれないが、まぁ、彼だけの責任ではあるまい
 何せ、その少年は……顔に、髑髏の仮面をつけていたのだから
 何らかの都市伝説能力による仮面だろう、とイザークは判断した
 そうでもないのにそんな仮面をつけているとなると、ジョルディの言う通り、変人の可能性があるからだ

「…こいつの悲鳴はさておき、こちらに怪我はない」

 男が倒れた事で、幽霊達が消えた
 その事実にほっとしつつ、イザークは答える

「あぁ、なら、良かった」

 二人に怪我がないことを知り、少年もほっとしたようだった
 そして、倒れこんでいる男を、連行しようとでもしたのか、手を伸ばし

「「組織」の狗がっ!!そう簡単に、つかまってたまるか!」
「!?」

 男が…いつの間にか、懐から油性ペンを、取り出し
 それで、道路に鳥居のマークを描こうとしている
 あの位置でマークを描き、幽霊を召還したならば…仮面をかぶった少年が、その攻撃を、避けきれない

 イザークは小さく舌打ちすると、手元に剣を生成
 一気に踏み込み……男の手に、剣を突き立てた

「ぐぎゃっ!?」
「っち……!?」

 いや
 正確には、「突き立てようとした」
 が、やや無理な体勢から踏み込んでいったせいか、狙いを外し、その切っ先は男の手をかすっただけで終わってしまった
 男は、まだ鳥居のマークを書こうとしている

 ……もう一度!
 その手を手首から切り落とそうと、イザークは剣を滑らせ……

「そこまでっ!!」

 じゅっ!と音が鳴って、ペンを持っていた男の腕が、カラカラに蒸発した
 男は悲鳴おあげて、ペンを手放す

「な、に……」
「おとなしく、気絶していろっ!!」

 少年の拳が下りて……男はそのまま意識を奪われ、地面に這いつくばったまま、意識を失った

 ……今度こそ、終わった
 イザークと少年がため息をついたのは、ほぼ、同時だった

「…ありがとう、助かった」
「いや、こちらこそ」

 仮面の下で、少年が小さく笑ったようだった
 …戦闘に慣れていないのか、それとも優しい性格なのか、はたまた、詰めが甘いだけなのか、少年は男にとどめを刺そうという様子はない
 だからこそ、先ほども不意打ちを受けそうになったのだが

「イ、イザーク!」
「…ジョルディ」
「大丈夫?大丈夫??怪我、してない?そ、そっちの変な人も、大丈夫?」
「……変な人……」

 変な人呼ばわりに、orzになっている少年
 イザークは小さく苦笑して、少年の肩をたたいた

「…すまない。こいつは、見慣れない者に対する警戒心が強いものでな。お前の仮面が、怖くて仕方ないようだ」
「……そんなに怖いかな、これ」

 首をかしげている少年
 声の印象などから、素直な少年なのだろう、と感じ取る

「この国の……都市伝説契約者、か」
「あぁ」

 すくり
 ひとまず、orz状態から立ち直った少年
 仮面を外してあらわれた顔は、イザークが想像した通りの、素直そうな顔立ちの日本人だった

「俺は、明日 真。「電子レンジの猫」の契約者だ。あなた方は…」
「…イザーク・シーフェルデッカー。俺も、この国の人間が都市伝説などと呼ぶ存在の契約者だ」

 名前だけ、名乗っておく
 今は、こちらを助けてくれた少年とも……数日後には、敵対するかもしれない可能性
 それを考え、何と契約しているかまでは、告げない

「あ、えと……ジョルディ・ムダーラ。ボクも、契約者だよ」

 イザークの名乗りに合わせるように、ジョルディも名前だけ名乗っておく
 ……契約者である点も、ジョルディは力を使ったところを見せていないのだから、名乗らなくともよかったというのに

「あ、二人とも都市伝説契約者か………もしかしたら、俺、余計なお世話、だった?」
「いや、正直、助かった」

 …明日 真というこの少年のおかげで、ジョルディを戦わせずにすんだ
 その事実に、イザークは感謝する

「えぇと……旅行者、かな?だとしたら、この街はちょっと気を付けたほうがいい。契約者が多いから、さっきみたく襲撃される事が、後でもあるかもしれない」
「………あぁ、それは、よくわかっている」

 真の言葉に、イザークは頷いた
 わかっている、知っている
 …ジョルディは真の言葉に、怯えたように体をはねらせたが……その可能性は、把握している
 そのうえで
 自分達は、自由行動を許されたのだ
 ……自分達「13使徒」がこの街に来たことをアピールするかのように行動することが許されている、事実
 のちに、自分たちがやらされるであろうことを考えると……正直、憂鬱だ

「また襲われるかも………また………いやぁあああああっ!?ボクは食べてもおいしくないっ!?肉付きよくないしおいしくないからっ!?イザークも正直筋肉質だから、食べてもかたくておいしくないと思みぎゃっ!?」

 ごがっ!!と
 また何を想像したのやら悲鳴を上げだしたジョルディを、イザークは剣の柄で力一杯殴って黙らせた
 きゅう、とジョルディは意識を失う

「っちょ、い、いいのか?」
「…こうして黙らせるのが早いんだ、困った事に」

 本当なら、俺もやりたくはない
 そう呟きながら、イザークは、気絶したジョルディを抱え上げて……彼が気絶している、その隙に、真に告げる

「……早いうちに、学校町を離れたほうがいい」
「え?」
「…よくない事が起きる、確実に」
「……どういう、事だ?」

 首をかしげてきた真に
 しかし、すべてを伝えることはできず……イザークは、小さく首を振る

「………詳しくは、知らない方がいい。ただ、大切な者を連れて、学校町を離れたほうがいい。せめて、大切な相手だけでも逃がしておけ………助けてくれた礼だ。せめて、それだけは告げておく…これ以上は、言えない」

 すまない、と小さく苦笑して
 イザ-クは気絶したままのジョルディを抱えたままその場を後にしたのだった






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