「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と-32a

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「………むぅ」

 携帯の通話を切り、直希は小さくため息をついた
 吐き出した息が白い
 朝から降り続ける雪は、いつまでもやむ様子を見せない
 学校町は、今年もたっぷりと雪が積もりそうだ

「はて、この白い雪が、赤く染められることにはなってはほしくないのだが。さて、どうなるか……」

 にぎやかな繁華街
 「13使徒」の一部の目撃情報があったそこをうろつく
 ……もうそろそろ、日が暮れる時刻だ
 学校町は、広い
 目撃情報に頼っても、目的の人物を見つけ出すのは難しい

 「教会」の者が、学校町に集まっている
 それも、強硬派筆頭エイブラハムと、その部下「13使徒」
 ついでに、連中の使い捨ての子飼いが多数

「…せめて、目的がわかれば良いのだが」

 ………そうだ、目的
 学校町には不介入の立場をとっていたはずの「教会」が、今になって…それも、強硬派連中が入り込んできた、理由
 しかも、正体を隠そうともせずに、だ

 誰かに、自分達の存在をアピールしている?
 だとしたら、一体誰に?
 何の為に??

「……むぅ。せめて、「13使徒」の誰かとでも接触できればよいのだが…」

 もっとも、自分が接触するとなると……「教会」から異端認定されている自分の身は、少々危険なことになる可能性もある
 だからと言って、別の人物に危険なことをさせたくはない

 …結局は、自分が動くのが一番だ
 直希は、そう結論付ける
 もう、二度と、自分の判断で誰かを棄権に陥れたくない
 もう、二度と………自分の判断が原因で、誰かが命を落とすなどということがあってはならない

 新島 愛美の死は、玄宗 直希と言う青年の心をどこまでも痛めつけ、いつまでもいつまでも癒える事のない傷をつけてしまった
 愛美の予想などはるかに超えて、そして、彼女の娘である新島 友美の予想すらもはるかに超えて
 どこまでもどこまでも、自分のせいだと責任を抱え続け
 己の残り寿命の半分すら平気で差し出してしまうほどに、己の身を投げうち続ける

 もし
 もし、己が死んだ場合
 周囲に、どのような影響を与えてしまうのか
 …それにすら、気づかずに

「…………さて」

 携帯を懐にしまい
 直希は、小さくため息をつく

「そろそろ。僕の背後をぴょこぴょこついてくるのはやめてくれるとありがたいのだが。周囲からの視線的に」
「あぁっ!やっと気づいてくれましたね、愛しい人!!」
「むしろ、最初から気づいていたのだが、関わりたくなかったので放置していたのが真相なのだが」
「放置プレイ…っ!それもいい……!」
「いっそ、最後まで放置すべきだったかと、若干後悔しなくもない」

 ぴょこぴょこと、己の後ろをついてきていたノースリーブミニスカサンタ服の少女に声をかけた直希
 …直後、激しく後悔したが、声をかけねば話が進まないので仕方ない

「何か、用件でもあるのかね?」
「愛しの人のそばにいることが用件ですっ!」
「うむ、聞いた僕が馬鹿だった」

 歩きながら少女……マゾサンタとやり取りしつつ、直希は資料を取り出す
 …新島 友美に与えた物と、同じ資料
 それを、マゾサンタに押し付けた

「…?これは?」
「本日、学校町に入り込んできた「教会」の者達の資料だ。正直、まだ情報不足故、必要最低限の情報すらそろってはいない」

 本当に、必要最低限の情報
 エイブラハム・ヴィシャスの外見と、「教会」での立場
 その部下が「13使徒」である事、「13」使徒とはいえ、その中には双子が含まれており、二人で一人前扱いのようで14人いる事
 その程度だろうか
 …それと

「あぁ、それと。君は、携帯電話を持っているかね?ならば、メールアドレスを教えてもらいたい。追加で手に入れた情報をそちらに送る」
「あ、はい!喜んでお教えします!」

 メールアドレスを聞きだし、先ほどの通話相手から即座に送られてきた、エイブラハムと「13使徒」の情報を、そちらに転送する
 同じ情報を、後で友美にも送る予定だ
 本来なら、そちらに先に伝えるべきなのかもしれないが…彼女には、もう少し情報を煮詰めてから送りたい
 あちらも、独自ルートである程度の情報は手に入るだろうから、彼女にはもっと、詳しい情報を

「……あの」
「何かね?」

 じ、と
 見つめてきたマゾの様子に、直希は小さく首をかしげた
 いえ、とマゾは言葉を濁してきて、直希はもう一度首をかしげる

 …直希を見続けてきたマゾだから、気づいただろう
 直希が、このところ随分とやつれていることに
 直希を追いかけ続けていたマゾだから、気づいただろう
 ………今回、直希がいつものように、天使を召還して容赦なくマゾを攻撃してこなかった事実に
 攻撃する余裕すらないほどに、直希が焦燥しているのだ、と
 …気づいたのだろう

「…まぁ、良い。とにかく、その資料に顔が乗っている者に対しては、なるべく警戒したまえ。顔がわかっていない者も、その資料に写真を載せているロザリオをつけている可能性が高い」
「……危険、ですか?」
「あぁ。特に、カイザーと言う者。その気になれば、この学校町を滅ぼすことも可能な能力だ」

 そういう者も、来ているからこそ
 友美には、学校町を離れろと言いたいのだが
 きっと、彼女は逃げないだろう

「……できれば、君の契約者達と共に、学校町から離れたまえ。学校町で、何かが起こる。その可能性が高い」
「…直希様は、どうなさるんですか?」
「僕は、逃げられんよ。翼や誠達は逃げないだろうし、それに……」

 小さく、笑う
 自分が、目標の可能性が少しでもあるならば
 自分が逃げることで、被害が広がる可能性があるならば

「………護るべき相手がいるというのに、逃げる事などできんよ」

 己に、選択肢など存在しない
 自分は、逃げない
 自分が目標なのか、そうではないのか

 自分が、奴らの目標ではなかったとしても
 この街で、何かをやらかすというのなら

「僕は、全力で迎え撃つまでさ」


 自分は、翼程優しくない
 友美のように、優しくない

 敵ならば、容赦なく迎え撃つ
 容赦なく、殲滅する

 大切な者を
 護るべき者を
 害しようとしてくる、その相手に


 己は、ただ
 死という名の刃を向けて
 その命を刈り取るだけ


 そして
 もし、その過程で返り討ちにあったならば
 所詮、自分はそこまでだった
 ただ、それだけの事なのだ






to be … ?




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