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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん、エピローグに至るまで-エピローグに至るまで-03

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 ≪マヨヒガ≫に住み始めてから一月が経った。
 大学まで脅威の徒歩二分、しかもその二分は庭を歩いて門に着くまでの時間だから実質0分だぜうへへへ! なため、盛大に寝坊出来るのが素晴らしすぎてヤバい。
 マジ愛してる≪マヨヒガ≫。
 ≪マヨヒガ≫もこの一月でTさんが見つけたり、ふらりと立ち寄った千勢姉ちゃんが置いてったいくつかの価値がある物の補助を受けて随分と元気になっていた。
 今じゃどこから引っ張って来るのか、電気も水道もガスも電波も完備して現代の生活スタイルに完全に適応している。
 そして今日は生活が一通り落ち着いたってことで、皆が新居祝いに来てくれていた。
 皆律義なもんで、いろいろと手土産を持参している。
 そのそれぞれの手土産がこれまた謎な価値があるらしい何かな為、たぶん≪マヨヒガ≫的には嬉しいんだろうなぁ……。皆曰くのある物品の保管庫とか倉庫とか思って持ってきてんじゃねえだろうな……?
「舞お姉ちゃんどうしたの?」
「ん? いや……いろいろともらってありがたいなぁと思ってな」
 一緒に料理を運んでいるモニカにそう答えて苦笑する。
 この料理を盛っている器も騎士のおっちゃんがくれた銀製の食器だ。≪テンプル騎士団≫の持ちものらしいけど、自分達は大量にあっても死蔵するだけだから使ってくれと言ってきた。
 太っ腹というか、無頓着な……だいたい銀の食器なんて俺もよく保存方法知らねえってのになぁ……。まだ夢子ちゃんが持って来た変な形の杯の方が使いやすそうだ。今度輪君かマスター辺りに保存方法とか訊いとかねえとな。
 モニカとフィラちゃん、そして騎士のおっちゃんは親戚のおじさんと銘、そしてハウスキーパーという設定で地域に潜り込んで割と良好に馴染んでいるらしい。
 モニカも今では永取市の学校に通っている。早くいろんな事を知って行きたいんだそうだ。向上心が素晴らしい……。俺は当時まったく勉強した覚えがねえってのに。
 宴の席は料理を置くスペースが無い程に大量の酒が転がっていた。
 モニカが酒の臭いに顔をしかめる。
 また髪が伸びる黒服さんとか黒服さんに神便鬼毒酒とかいう酒をもらい、千勢姉ちゃんからは黄金の蜂蜜酒とかいう洋酒をもらってTさんは超上機嫌だったしな。巻き込まれて大量に飲まされた奴はかわいそうに。酔い覚ましを作っておくか……と、そういえば。
「あれ? Tさん、どこ行った?」
 Tさんの姿が部屋のどこにも見当たらなかった。


            ●


 各々が酒宴を楽しんでいる。その音を耳にしながらTさんは一人縁側に腰かけていた。
 空を見上げ、上機嫌、といった体でグラスを片手に誰かと会話するかのように言葉を紡いでいく。
「――ああ、舞は大学で都市伝説やそれに至る言い伝えのような話を勉強していくのだそうだ。
 俺は、そうだな……≪マヨヒガ≫に物品を集めたり拝み屋をするなり、そうしていこうと思っている。
 ……舞、そうだ。母さんを紹介した時に一緒にいた娘――ああ、愛しい人だよ」
 そうしてTさんは面映ゆげに笑んだ。
「そうだな、俺は舞を好いている。だからこそ、なにもすぐ傍で共にいる事だけが情の示し方ではないと思い、大事だからこそ、壊れてしまわないように手放そうと、そう思った事もある」
 だが、と言って彼は苦笑した。
「いかんな、俺は相当舞に惹かれていたらしい。舞に告白を受けた時、俺はもう手放せるものかと思ってしまった」
 言い終わったTさんは酒を干して、何者かを送るように言葉をかける。
「もう俺は大丈夫だ。だから逝くといい――――産み、育ててくれてありがとう」
「あ、Tさんこんなとこにいたのか。次の料理が出来たからもう飲まない酒を片付けてくれよ」
 舞が空の酒瓶を手にTさんを見つけてやってきた。
 彼女はTさんとその周囲を見回して、不思議そうに首を傾げる。
「あれ? もしかして誰かいたか? 今日来てる奴は全員部屋にいた筈なんだけど」
「ああ、もう逝ったよ」
 Tさんは正確に意味が伝わる事はないだろうと思いながらそう言って立ち上がる。
 舞がそうなの? と尚も不思議そうにしてくるのに微笑んで応え、
「賑やかだな」
「――ん? うん、そうだな。……気持ちいいくらいに賑やかだ」
 それはこれからもずっと続いていくのだろう。
 それは幸福な事だと、そう思うTさんと同じ事を考えていたのか舞が言葉を紡ぐ。
「幸せだよ、Tさん」
「俺もだ、舞」
 ん、と頷いて舞は酒瓶を置いた。Tさんに向き直って目を閉じ、心持ち上ずった声で言葉を追加する。
「でも、もっと幸せになりたい……かな」
 何をして欲しいか言わず、目を閉じて待っているのは甘えられているという事だろうかとTさんは思い、
「――そうだな、もっと、ずっと幸せになろう」
 それも悪い気はしなかった。




            ●




 ある噂……


 人々の間でいつからか語られるようになったお話――



 ――――何かに困り、あるいは何かに迷い、何かに囚われ、何かに襲われ、何かを踏み外してしまった者が偶然辿りつく事が出来るという一軒の古色蒼然とした、しかし手入れが行き届いている大きな屋敷

 そこには悟りを開いたような落ち着いた雰囲気の青年と、人形を頭に乗せた壮健で快活な少女が住んでいるという

 正反対に見えてとても仲睦まじい二人は、迷い込んだ者の抱える問題を解決する為に話を聞き、場合によっては手を貸してくれるそうだ


 青年は名をTさんと言い、少女は舞、人形はリカちゃんと言う


 迷いが解決した後、平屋を訪ねようとしても何故か辿りつけないそうだ


 そんなお話、彼等が自ら消え行くまで語られ続ける、おまじないのようなおとぎばなし――――





<END> 
















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