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連載 - ぼくの物語-05

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sougiya

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だれでも歓迎! 編集
《人面犬》

 ぼくの父親は厳格な人だった。
 悪いことをした日にはすぐに拳骨が飛んできたものだ。
 ただ、悪いことであっても父親のルールに抵触しなければ咎められることはなかった。
 いじめられっ子を庇い、いじめる同級生を病院送りにした時は、やりすぎだと前置きがあった上で良くやったと褒められたこともある。
 曲がったことが大嫌いな人だったのだろう。
 そんな父親を尊敬していたし、誇りにも思っていた。

 母親に酌をしてもらいながらの晩酌が唯一の楽しみだと、珍しく酔った父親が当時高校生のぼくにしみじみと呟いたことがある。
 当時遅れた反抗期を迎えていたぼくは聞き流していたが。

 そんな父親が、今、ぼくの目の前にいる。
 息子との対面は別に珍しくもなんともない。――脳溢血で死んだはずの父親でなければだ。

 正確には父親の顔をした犬がいる。
 こんな都市伝説が確か居たような気もするが、あれは何て名前だったろうか。

 犬は父親の声で喋る。
 皆に変わりはないか。
 母さんは元気でやっているか。
 困ったことはないか。

 それ以上喋るな。
 それ以上、父親の顔で口調で声色で。
 喋るな。

 父親が死んだ今、未熟ながらもあの家の家長はぼくだ。
 大した格式を持つわけでもないが、あの家を守るのは男であるぼくの役目だ。

 お前は脳溢血で死んだことになっているんだ。
 再びぼくらの前に顔を出すな。

 そうして、ぼくは鉄パイプを振り上げる。
 父親の顔をした犬に向かって。
 仮にも父親の顔を持つ犬へと。
 悲哀と畏敬と後悔と、一握りの殺意を込めて。
 今度こそ、生き返らないようにと。
 もう一度、父親へと振り下ろす。

 ぐちゃり

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