美緒と影守(と、ついでに希)が真剣に資料を見ている様子を、カラミティはじっと見つめている
その様子は、どこか、テストの結果を親に見せて、反応をうかがっている子供の様子か……宿題やドリルを終えて、答え合わせをしてもらっている間の子供の様子に、似ていなくもない
……まぁ、とどのつまり、カラミティはお子様ということである、外見以外が
その様子は、どこか、テストの結果を親に見せて、反応をうかがっている子供の様子か……宿題やドリルを終えて、答え合わせをしてもらっている間の子供の様子に、似ていなくもない
……まぁ、とどのつまり、カラミティはお子様ということである、外見以外が
「その情報、役に立つか?」
「…まぁ、正直、何もわからない状態よりは、ずっとマシだな」
「…まぁ、正直、何もわからない状態よりは、ずっとマシだな」
カラミティの質問に、そう答える影守
正直、「教会」とは互いに不干渉であろうとしたせいもあるのか、「組織」はあまり情報を集められないのが現状だ
「教会」とて、「組織」以上に秘密主義と言われる集団だ
そう簡単に、情報を渡してはこないし、知られないようにしている
それでも、「組織」ならば、時間をかければ、今回、カラミティが持ってきた情報は手に入るだろう
正直、「教会」とは互いに不干渉であろうとしたせいもあるのか、「組織」はあまり情報を集められないのが現状だ
「教会」とて、「組織」以上に秘密主義と言われる集団だ
そう簡単に、情報を渡してはこないし、知られないようにしている
それでも、「組織」ならば、時間をかければ、今回、カラミティが持ってきた情報は手に入るだろう
………そうだ、「時間をかければ」だ
短時間では、ここまでの情報を集めるのは無理だ
短時間では、ここまでの情報を集めるのは無理だ
カラミティが利用しているという情報屋が、優秀すぎる
そして…そんな人材との人脈を持っているというカラミティ、その行動が役に立ったと言わざるを得ない
優秀な人材との人脈、コネ
それもまた、貴重な武器の一つなのだ
そして…そんな人材との人脈を持っているというカラミティ、その行動が役に立ったと言わざるを得ない
優秀な人材との人脈、コネ
それもまた、貴重な武器の一つなのだ
「あ、そうだ。それと、これ」
「………?」
「………?」
じゃらり
カラミティが、懐から、何か取り出す
カラミティが、懐から、何か取り出す
……それは、ビーズでできた……人の手を象った物
手の中央に、目が描かれている、そんな形をした……アクセサリーのようなもの
手の中央に、目が描かれている、そんな形をした……アクセサリーのようなもの
「それは?」
「「ファーティマの手」。ほら、その資料、エイブラハムには「魔眼」の力があるって書いてあるだろ?」
「確かに、書いてるね」
「「ファーティマの手」。ほら、その資料、エイブラハムには「魔眼」の力があるって書いてあるだろ?」
「確かに、書いてるね」
影守の持つ資料を覗き込み、答える希
……腕だけの姿でどうやって見てるんだとか突っ込みたくなるところだが、突っ込んだら負けだ
……腕だけの姿でどうやって見てるんだとか突っ込みたくなるところだが、突っ込んだら負けだ
「「ファーティマの手」には、その手の能力を防ぐ効力もあるからな。ちゃんと持ってろよ?」
そう言えって、カラミティはファーティマの手を、それぞれ、美緒、影守……そして、希の三人に、手渡した
へ?と、希がやや意外そうな声を出す
へ?と、希がやや意外そうな声を出す
「私も受け取っていいの?」
「?当たり前だろ?」
「?当たり前だろ?」
希の言葉に、カラミティは小さく首をかしげた
どうして、そんな事を聞くのか?
そうとでも言うように、心底不思議そうに
どうして、そんな事を聞くのか?
そうとでも言うように、心底不思議そうに
「だって、お前は影守の契約都市伝説だろ。美緒は、影守の事を心から愛しているから。影守の契約都市伝説であるお前の事だって、たくさん心配してるんだぞ」
「ッカ、カラミティ!?」
「ッカ、カラミティ!?」
カラミティの発言に、美緒は頬を染め上げる
が、カラミティはそんな事さっぱり気にせず、さらに言葉を続けた
が、カラミティはそんな事さっぱり気にせず、さらに言葉を続けた
「まぁ、その点を省いても、美緒はお前の事を心配してるけどな。お前に何かあったら、美緒が悲しむ。友達が悲しむのは、俺様嫌だぞ」
「私の事を心配してくれてるってよりかは美緒を心配してる率の方が高いけど……まぁ、いいか」
「私の事を心配してくれてるってよりかは美緒を心配してる率の方が高いけど……まぁ、いいか」
じゃらり
ビーズでできたそれを、希も受け取る
腕だけのその姿で、腕に巻きつけるように身に着けた
ビーズでできたそれを、希も受け取る
腕だけのその姿で、腕に巻きつけるように身に着けた
「あ、でも。私都市伝説本体な訳だけど、これ、使えるわけ?」
「俺も、正直、その手の都市伝説とは相性がいいとは言えないぞ」
「……私の場合、多分、器が足りないと思います。兄の上司の言葉によりますと、どうやら私は、血筋的に都市伝説と相性が悪いようですので…」
「大丈夫だぞ。ファーティマの手は、身に着けてあるだけで効果があるから。魔眼以外にも、呪いとかの攻撃にも耐性があるしな」
「俺も、正直、その手の都市伝説とは相性がいいとは言えないぞ」
「……私の場合、多分、器が足りないと思います。兄の上司の言葉によりますと、どうやら私は、血筋的に都市伝説と相性が悪いようですので…」
「大丈夫だぞ。ファーティマの手は、身に着けてあるだけで効果があるから。魔眼以外にも、呪いとかの攻撃にも耐性があるしな」
それに、と
カラミティは、笑って続ける
カラミティは、笑って続ける
「俺様が、願いを込めて作った物だから、効果は保障するぞ」
………
…………
……………
…………
……………
は?
「…手作り?」
「あぁ」
「カラミティの?」
「そうだぞ」
「あぁ」
「カラミティの?」
「そうだぞ」
…数秒の沈黙
その間、影守達の脳裏には、ちまちま、ビーズを糸に通して、ファーティマの手を作っているカラミティの姿が浮かんだ
その間、影守達の脳裏には、ちまちま、ビーズを糸に通して、ファーティマの手を作っているカラミティの姿が浮かんだ
「どうして笑いをこらえてるんだ?」
「い、いえ、気になさらないでください」
「い、いえ、気になさらないでください」
うん
その、結構シュールだ
その、結構シュールだ
「それこそ、お得意の魔法使ってぱぱっと作ればいいだろうに」
「ダメだぞ。その手のマジックアイテムは、強い想いをこめて作る必要がある。魔法でぱぱっとじゃ駄目なんだよ」
「そういうもんなの?」
「ダメだぞ。その手のマジックアイテムは、強い想いをこめて作る必要がある。魔法でぱぱっとじゃ駄目なんだよ」
「そういうもんなの?」
そういうものだぞ、と真剣に言ってくるカラミティ
「魔法」に飲まれ、「魔法」そのものを体現する存在であるカラミティが言うのだから、そういうものなのだろう
「魔法」に飲まれ、「魔法」そのものを体現する存在であるカラミティが言うのだから、そういうものなのだろう
「ちゃんと、ビーズも古い、呪術的価値の高い物を使ったし、色や形の組み合わせや順番だって、全て魔法的な意味があるんだからな」
「なるほど……そうやって力の強い物だからこそ、契約しなくとも効果がある程度保障されるのか」
「あぁ、その通りだ」
「なるほど……そうやって力の強い物だからこそ、契約しなくとも効果がある程度保障されるのか」
「あぁ、その通りだ」
なるほど、と納得しながら、ファーティマの手を懐にしまう影守
……これがあれば、万が一エイブラハムと遭遇して戦闘状態になっても、魔眼攻撃は無効化できそうだ
…このファーティマの手の効力を信じ切るなら、だが
……これがあれば、万が一エイブラハムと遭遇して戦闘状態になっても、魔眼攻撃は無効化できそうだ
…このファーティマの手の効力を信じ切るなら、だが
「本当は、昨日のうちに渡したかったけど、昨日はカインに渡す分で手一杯だったんだ。御免な」
「いえ、謝る必要はありませんよ……ありがとうございます。私達の為に、これを作ってくれて」
「いえ、謝る必要はありませんよ……ありがとうございます。私達の為に、これを作ってくれて」
小さく微笑み、カラミティに礼を述べる美緒
その感謝の言葉に、カラミティは嬉しそうに笑った
その感謝の言葉に、カラミティは嬉しそうに笑った
感謝されたのが、嬉しい
そんな表情だ
そんな表情だ
「美緒は友達だし、影守は美緒の大切な人だから。お前達の為なら、俺様は頑張るぞ。他にも何かわかったらどんどん情報を持ってくるし、使えそうなマジックアイテムがあったら、また持ってくるからな」
そう、どこか無邪気に言ってくるカラミティの表情は………「もっと褒めてほしくて仕方ない」と思っているような、子供っぽい表情だった
to be … ?