「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-56

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【電磁人の韻律詩56~鵺野夜行の戦い~】

「ほらぁ!おらおらおらおらあ!」
「おっと、あぶねっ!」

お久しぶり、ラプラスの魔だ。
時間は少々巻き戻り、水月というフランケンシュタインと鵺野夜行との戦いから物語は始まる。
そもそも鵺野夜行の能力は知識の範囲内で野生動物の身体能力を模倣するという物だ。
とにかくバランスが良く、どんな戦闘においても彼が手詰まりになったことはない。
だがその能力にも致命的な弱点がある。

「貴方のその能力のネタは理解したわ!」
「ちっくしょ!今までばれたこと無いのに!」

彼の能力の発動時には模倣する動物の写真やその動物の身体の一部を刻印した硬貨が必要なのだ。
しかも写真などは使うとすぐに灰になるので使い捨てである。
わずかな戦闘の間にそのことに気付いた水月はその伸びる手足で変身用の写真をあらかた奪い取ってしまったのだ。

「くそったれ!びゅんびゅん伸びやがって面倒だな!」

能力を封じられた夜行は懐から拳銃を取り出して水月に対抗していた。

「あら?あら!能力を封じられてても中々戦えるのね!
 強くて良い男!キライジャナイワ!」
「だああああああ!うるせええええええ!」

伸びてくる腕を銃把で殴り飛ばし、わらわらとたかってくるフランケンシュタインを銃撃で薙ぎ払う。
銃をまるで近距離戦の武器のように振り回す独特の戦法だ。







「あらぁ?あらぁ?マニアックな戦い方するのネッ!」
「説明をする必要は無いぜ。」
「でも能力が使えなければ貴方もただの人!
 ジリ貧ヨォ~ん!」

鵺野夜行が使っている戦闘術は俗にガン=カタと呼ばれている。
ガン=カタは第二次世界大戦以降も集積されている膨大な戦闘データを某国の戦術研究所が解析した結果組み立てられた、
常に相手の死角に移動して最小限の動きで攻撃を回避し、自分は最小限の動きで攻撃を急所に当てる理論である。
ガン=カタはマスターすれば、飛躍的に戦闘力が上がるとされているが、
基礎の動きをマスターするだけでも攻撃力は少なくとも120%上昇、一撃必殺の技量も63%上昇する。
そんなガン=カタを鵺野夜行は三年の修行でほとんど物にしていた。

「あら、それはどうかしら?」

雷が落ちると共にその場に一人の女性が現れる。
長い髪、切れ長の瞳、全身が触れれば切れる剃刀のような怜悧な雰囲気を持った女性。

「あんた誰よぅ?」
「母さん……、何処行ってたのさ?」

女性は問いに答えず右手の人差し指を唇に当てる。
そしてそのまま右手の中に隠していたコインを投げつける。

「夜行、これを使いなさい。」

そのコインを全て受け取ると、鵺野は再び鵺の力を解放した。






「カジキ!トビウオ!イカ!」

夜行の声がテーマパークに響く。
その声と同時に一瞬で夜行の姿が人間離れした物に変わる。

「あらぁ?さっきとまた違う変身ね。」
「さっきとは一アジ違うぜ。」

夜行がクラウチングスタートの姿勢を取る。
彼の肩に翼のような物が見えた。
しかし見えたのは其処までだった。

「仰るとおりだわあああァッー!」

緑色の光を纏った夜行の頭部が水月の腹を捉える。
尖ったデザインになっているそれは水月の腹を突き破る。

「これで終わりだ。……と、ありがとう母さん。」
「いやいや、これくらい当たり前だ。あたしの居ない間もしっかり頑張っていたみたいで。」

変身を解除して人間の姿に戻った夜行はコインを鵺に返す。

「木野……ちゃん。」

水月は最後にそう呟いて灰になって消えた。




「それじゃああたしは少し用があるから、じゃあな。」
「もう行っちゃうのかよ?」

夜行は甘えた声で鵺に尋ねる。
これだけ見ると幼い子供のようだ。

「もうすぐ帰ってくるよ。それまでの辛抱だ。」
「うん……。」
「ほら、このコインを預けておいてやる。もう奪われるなよ?」
「解った……。」

夜行にフクロウとツルとウミワシのコインを渡すと鵺は何処かに歩き去っていった。
こうして夜行は明日達と合流するために城の中に入るのである。




数分後。
鵺はこの遊園地の唯一の出入り口に居た。
遠くから赤い影が鵺の方に向かってくる。

「ああ、……来たか。」

鵺は凶暴そうに口角を開ける。

「口封じはきっちりしないとなあ……!」

門を塞ぐように鵺はその影の前に立ちふさがる。

「……貴方は誰ですか?」
「答える必要は無いよ。」

走る雷鳴。
男を抱えたその赤い影に直撃する。
一撃、二撃、惨劇、人間にも都市伝説にも耐えられない雷。
何度でも、何度でも、雷の速度に人間は反応できない。
見えた瞬間に当たっているのだから。
それに対応するには奇跡を起こすしか打つ手はない。
何も無い、灰になるまで彼女は雷を起こし続けた。
何時しか激しい雨が降っていた。





因果応報。
全ての事象には原因があり、全てが原因で事象を生み出す。
それがラプラスの悪魔を支えている理論。
人を殺せば殺される。
物を盗めば盗まれる。
眼には眼を歯には歯を。
誰もが納得できる単純で明快な理論。
ラプラスの悪魔のみならずこの世に生きる大抵の存在がこの因果の中で生きているのだ。
そして私の見る世界の中に今日もまたその理論に取り憑かれた人間が一人……。

「人間をそれだけ殺したんだ。素直に死ねよ。」

鵺はその凶暴な笑みを隠すように自らの顔に触れる。
少し時間が経つと彼女の表情は人殺しの化け物のそれから優しい母の顔に変わっていた。

「私は好きにやらせて貰うよ、化け物だから。
 人間を狩るのは化け物の仕事、化け物を狩るのは人間の仕事。
 仲良く殺し合って今日も世界はこともなし。
 天下太平一件落着。」

鵺の背後から足音が近づく。

「……間に合いませんでしたか。彼女を直すのに少し時間をとられましたね……。」
「なぁ、これで世界は平和だろ、サンジェルマン?
 ―――――――今日こそ貴様は殺してやる!」

もう一度、雷が落ちた。
【電磁人の韻律詩56~鵺野夜行の戦い~fin】



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