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連載 - 電子レンジで猫をチン!-57

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【電磁人の韻律詩57~戦い終わって夜が明けて~】

「久し振りだな姉さん……。」
「ああ、超久し振りだな弟。元気にしてたか?」
「そっちこそ良く死んでなかったなって感じだよ。」
「私は基本的に世界を股にかけるA級国際ライダーだからな。
 ちょっとやそっとのことじゃ死なないよ。」
「そうか……。」
「ところで其処の小さくて可愛らしい女の子は誰なんだい?」
「お初にお目にかかります。雪絵と申します。」
「おいあんた、私の妹になれよ。」
「え?」
「いや丁度妹欲しかったのよね。小さい頃はこの弟に女物の服を……」
「ああ、あの女体化事件の時の雰囲気かな。」
「うわあああああああああああああああああ!」
「どうしたのですかおにいさん?」
「やっぱ嫌いだこの女。そして夜行さんまで……。」
「可愛かったなあ……、写真残ってれば良いんだけど。」
「いやぁ、真君だと気付かなかったら危なかったね☆」
「おにいさんの小さい頃の写真は興味有りますね。」
「だろ?是非とも見せてやりたい。」
「是非とももう一度みたい。」
「頼むから止めてくれ。夜行さんも。」
「でもまあその子が話に聞くフランケンシュタインの子だろ?
 なら私と一緒に一度世界を回って見聞を広めるのも悪くないよ。
 人間だった頃の記憶は一度リセットされている訳だし。
 どうだい?お姉さんと一緒に楽しい世界旅行。」




「世界か……。」

雪絵は興味深そうに呟く。

「なんだよー、雪絵連れてくなよ姉さん。」
「えー、だってお前には恋路ちゃん居るじゃん。ずるいじゃん。」
「そう言う問題じゃないだろうがよ……。」
「でも旅するって良いんだよ真くん。
 俺もアフリカの方を母さんとしばらく一緒に旅したことがある。」
「ああそうだ、夜行あんたお母さんには会えたの?」
「会えましたよ、なんか用事があるって行っちゃったけど。」
「ふぅん、きな臭いねぇ。」
「まあ何時ものことですから。そういえば俺、就職が決まったんですよ。
 なんか警備会社で働くことになりました。」
「お、ホームレス脱出おめでとうございます。」
「母さんの友達が仕事探してくれたのよ。なんだっけ、河伯財閥の系列だそうで。」
「大企業じゃん。おめでたいねえ。」
「まあ人間なんて明日のパンツと少しのお金があれば生きていけます。」

明日のパンツと聞いた瞬間明日姉弟がぎょっとした表情で夜行を見る。
意図を理解した夜行が苦笑いをする。
雪絵が三人のやりとりの意味に気付いて可愛らしく笑う。
そんな時、彼女が遠くにいるイザークとジョルディを見つけた。

「あ、あの二人組は一体誰でしょうか?」
「ああ、イザークさんとジョルディさんだよ。」

二人に気付いた明日は彼等に駆け寄る。






「いっやああああああああああああああ!!??まだ動く!絶対また動き出すんだ!!僕らが油断した隙に一斉に起き上がって襲い掛かってくるんだぁあああああああああっ!!??」
「せいっ!」
「あぅっ!?」

イザークが騒ぐジョルディを叩いて気絶させている。
その様子を見てジョルディが残念なイケメンだったのかと明日晶は頭を抱える。

「……あぁ、お前達、無事だったか」
「今、思い切り突っ込みたい光景を見た気がするが、まぁ、無事だ」
「…救い出したい相手は、救い出せたようだな」
「あぁ」

明日真が雪絵の手を強く握りしめる。
そんな彼を見るイザークの眼差しに明日は気付かない。

「………救い出せたのならば、早く、この街を離れるのだな」
「え…」
「言っただろう?良くない事が起きる、と………その大切な者達を連れて、急いでこの街を離れたほうがいい」
「…探しものが見つかり次第、行動は起こされる。「誰が実行者になるか」は、俺にはわからない。ただ、この街を滅ぼせるだけの力を持つ者が、今、この学校町に来ている」
「………物騒だね、ずいぶんと。でも、この街はそこまで甘くないよ?」

この町の物騒な姿をよく見ていた晶は断言する。
彼女自身が10年前はこの町の物騒な騒ぎのただ中に居たのだ。
そう簡単に町が滅びるとは思えなかった。

「……そうだな。だが、あの男相手では、この街の手練れとて。敵うまい」

晶はふと、彼女が知る中でもっとも強かった人間の顔を思い浮かべる。






「で、でも、皆で力を合わせれば…」
「……数をそろえてどうにかなるなら、アレはとっくに殺されているだろうよ」

明日晶はその男を倒す算段を頭の中で組み立てる。
彼女が第一線で戦っていた時代はそれを代行してくれる男が居たのだが、それが居ない事実に彼女は時の流れを感じていた。

「あれには、攻撃は届かない。届いても、それは意味がない………命を、生み出すも殺すも自由自在。さまざまな奇跡を起こし、自分は神だと自称する化け物。
 この街に災厄を運んできたのは、そんな化け物と、その部下だ」

成る程、こいつらはその一味か。
だが罪悪感を感じている。
となるとその首領に何か弱みを握られているのか?
明日晶の頭は高速で回転し始める。

「せっかく救い出した者を、また危険な目に合わせたくないだろう?」

雪絵は首をかしげる。
彼女の幼い精神は危険とか恐怖という物を十全に理解出来ていない。

「できる限り、学校町から遠く離れろ。巻き込まれないように」
「……それじゃあ、あなたは、どうするんだ?」

一緒に町を破壊するんだろ?
と晶は言いたくなっているがそこを堪える。

「俺達に、警告してくれるけれど。じゃあ、今、学校町に来ているあなた達は、どうするんだ?ちゃんと、そのよくないことが起きる前に逃げるのか?」
「………俺達は」




一瞬イザークはジョルディの顔に視線を落とす。
まるで恋人だな、なんて晶は考えていた。

「…俺は、護るべきものを守るために、行動するだけだ」
「そうか」

夜行は何も言わずにその様子を見守っている。
どうやら夜行も抜けていそうな外見に反して晶と同じ推測にたどり着いているらしい。
一瞬だけ晶と夜行の目が合う。

「それじゃあ、俺も、俺が護るべきものを守るために、行動する……正義の味方として」
「………そうか……後悔、するなよ?」

そう言って、イザークはジョルディを抱えたまま夜の空に飛び立っていった。
もう朝が近くなっていた。

「それじゃあ私も行くよ、次の仕事があるからね。」
「じゃあな、姉さん。今度はゆっくりしていけよ。」
「お前が事件に巻き込まれてなかったらね。」
「あー、そんじゃ俺もそろそろ行くよ。」
「夜行さんも行くんですか?」
「うん、さっきのお城に戻って一眠りしないと。」
「そこで寝るんだ!?」
「夜行さんは大胆すぎるのですよ。」
「大丈夫大丈夫!」

十字路にさしかかる、晶と夜行は左右真逆の方向に歩き去っていく。
明日は困ったように雪絵と恋路を連れて真っ直ぐに歩いていった。







「……困ったなあ。」
「おや、久し振りだね。随分困ったような顔してるじゃないか。」
「ああ、困ってるよ。」

明日晶の目の前に現れたのは赤黒いコートに身を包んだ男。

「依頼失敗じゃないか。サンジェルマンにすら黙って行動してたのに。」
「ふふ、真が絡むと委員長は何時も失敗するじゃないか。」
「委員長なんて呼んでくれるな。そんなだから俺はお前の攻略対象にならんのだ。」
「興味無いね。」

男はやれやれといった風情でため息を吐く。
それから少し躊躇ってから口を開いた。

「なんか、……すまないな。色々と。」
「構わないよ、しかし君が居なかったのはそういう伏線だったとはね。」
「可愛い妹のためだ、一肌脱ごうと思ってたんだけどね。」
「これからも精々頑張りな、君を愛してくれる人の為に。」
「……何故お前は幸せにならないのかとね。」
「さぁ、神様に愛されてるんじゃないか?
 ……そうだ、ちょいと調べて欲しいことがある。」
「聞かせろよ。」
「ああ、アメリカで最近流行っているドラッグが有ってね……。」

本筋に何ら関わることなく、物語が一つ始まる。





「ったく、血なまぐさくてしょうがないな。これじゃあろくに眠れないや。」
「その声は夜行……、夜行、居るのかい?」
「――――母さん!」

先ほどまで戦場になってた城の中、夜行の視界の隅に血まみれになった鵺が居た。

「済まないね、こんなみっともない状態で会わなきゃいけないなんて……。」
「あんまり喋らないで!今急いで応急処置するから!」
「いや、これくらい放っておけば治るさ。
 だから……、あたしが居なかった間の話でも聞かせてくれよ。
 あー、でもなんか腹は減ったかもなあ。」

最近人を食わないせいで鵺は弱っていた。
先ほどまで彼女が戦っていた“本来ならばダメージを受けない筈の相手”からの予想外の打撃を受けて、彼女はかなりの深手を負っていた。

「誰にやられたんだ!?
 まさかまだフランケンシュタインが……。」
「いや、違うよ。組織の黒服、F-No.だ。」
「あいつらか……。」
「まさかNo.1が出てくるとは思わなかった。
 良いかい夜行、もしNo.1に会っても戦っちゃ駄目だよ。
 ……迷わないで、逃げなさい。」
「そいつがやったんだな……?」

夜行の心の片隅に、夜を押し固めたような黒い感情がどろりとわき上がっていた。
彼は正義の味方ではない。彼は中庸に立つ人間だ。
だからこそ、大事な人を傷つけられれば彼は…………。
【電磁人の韻律詩57~戦い終わって夜が明けて~fin】



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