【電磁人の韻律詩61~信じるもの~】
明日真達がハンバーガーレストランでイザークとジョルディに出会った翌日のこと。
町中で突然、“教会”に関係していると思しき契約者が活動を始めた。
その知らせは当然二人にも入る。
だがしかし、二人の意見は真っ二つに割れていた。
町中で突然、“教会”に関係していると思しき契約者が活動を始めた。
その知らせは当然二人にも入る。
だがしかし、二人の意見は真っ二つに割れていた。
「アスマ、私たちは謹慎するように言われている。」
「そんなこと言ってられないだろ!
今も何処かで誰かが傷ついているんだ!
それに……!昨日お前が言った頃が本当なら……!」
「そんなこと言ってられないだろ!
今も何処かで誰かが傷ついているんだ!
それに……!昨日お前が言った頃が本当なら……!」
恋路はため息を吐く。
流石に彼女も「もうこいつには何言っても無駄だ」と学習したらしい。
もはや彼に反論する気もない。
流石に彼女も「もうこいつには何言っても無駄だ」と学習したらしい。
もはや彼に反論する気もない。
「解った、行って来なさい。」
「うん、行ってくる。今晩はすきやきだぜ!」
「うん、行ってくる。今晩はすきやきだぜ!」
話が早くて助かるぜ、と笑顔を見せる明日真。
もう諦めたよ、と苦笑いする恋路。
ライダースーツに身を包み、愛車のカタナに跨って明日真は町に出た。
もう諦めたよ、と苦笑いする恋路。
ライダースーツに身を包み、愛車のカタナに跨って明日真は町に出た。
明日真が町に出て目にしたものは、彼の愛する町を我が物顔で蹂躙する教会の契約者だった。
「組織」の手際良い避難誘導などで人的被害は抑えられているものの、
その光景は彼にとって我慢なら無い物だった。
何故、悪いことをしてない人が傷つけられるのか。
何故、誰かの都合で誰かの幸せを奪わなきゃいけないのか。
そういう身勝手な“悪”に、明日真の精神は熱い怒りを覚えていた。
「組織」の手際良い避難誘導などで人的被害は抑えられているものの、
その光景は彼にとって我慢なら無い物だった。
何故、悪いことをしてない人が傷つけられるのか。
何故、誰かの都合で誰かの幸せを奪わなきゃいけないのか。
そういう身勝手な“悪”に、明日真の精神は熱い怒りを覚えていた。
「ママー!助けて!」
「ルミちゃん!」
「邪魔だどけ!」
「ルミちゃん!」
「邪魔だどけ!」
町を疾走する明日真。
そんな彼の怒りは逃げ遅れた親子連れに襲いかかる教会の契約者を見た瞬間に爆発した。
その怒りに呼応し、彼の懐の“狂骨”の契約書が白く発光する。
彼は左手を腰に当てて右手で髑髏の仮面と一体化したその契約書を天高く掲げ、
そんな彼の怒りは逃げ遅れた親子連れに襲いかかる教会の契約者を見た瞬間に爆発した。
その怒りに呼応し、彼の懐の“狂骨”の契約書が白く発光する。
彼は左手を腰に当てて右手で髑髏の仮面と一体化したその契約書を天高く掲げ、
「変身!」
と叫んだ後に仮面を前に投げつける。
仮面はあわや親子を傷つけんとした契約者に噛みついた後、
ブーメランのように明日真の顔面まで戻っていき、彼と一体化する。
彼の怒りと悲しみを代弁するかのように仮面が慟哭すると、彼の全身を骨のような白い鎧が覆った。
仮面はあわや親子を傷つけんとした契約者に噛みついた後、
ブーメランのように明日真の顔面まで戻っていき、彼と一体化する。
彼の怒りと悲しみを代弁するかのように仮面が慟哭すると、彼の全身を骨のような白い鎧が覆った。
「我が名はライディーン!この町の正義の味方だ!」
彼が名乗りをあげた直後に彼の乗るカタナも骸骨の鎧で覆われる。
バイクは更にスピードを上げ……
バイクは更にスピードを上げ……
「ライダーブレェェェエエエエエエイク!」
教会の契約者と思しき男を派手に撥ね飛ばし、親子の目の前に停まった。
背後からゴシャっと嫌な音がする。
背後からゴシャっと嫌な音がする。
「今、この町は危険です。早く逃げてください。」
「あ、ありがとうございます!お名前は……」
「名乗るまでもありません、当然のことをしただけです。
さあ行って!」
「あ、ありがとうございます!お名前は……」
「名乗るまでもありません、当然のことをしただけです。
さあ行って!」
さっき高々と名乗りを上げていたことはこの際気にしてはいけない。
親子連れが逃げたのを確認すると明日真は再びバイクのアクセルを踏み込む。
彼を阻むようにして数人の契約者が立ちふさがっていた。
親子連れが逃げたのを確認すると明日真は再びバイクのアクセルを踏み込む。
彼を阻むようにして数人の契約者が立ちふさがっていた。
「行くぞ!」
カタナの空冷4ストロークDOHC直列4気筒エンジンがうなりを上げる。
狂骨の司る怒りや憎しみの感情を燃料にして、明日真というエンジンも更に強く燃焼を始める。
だがしかしその怒りや憎しみに明日真は決して囚われない。
彼の強い正義の心はそれを許さないのだ。
だから今彼が懐く怒りは純然たる悪への怒り。
罪を憎んで人を憎まず、正義の心がギアをトップまで持っていく。
ウイリーをした状態のまま狂骨の鎧を信じて契約者達に突撃を仕掛ける。
それでまず二人仕留めた。
残り四人。
空中に骸骨でできた道を作り出して明日真はバイクと共に宙を舞う。
その道に沿ってバイクが右から、明日真は電信柱を足場にして左から敵に飛びかかる。
明日真の蹴りを防いだ契約者は後ろから来たバイクに挽き潰される。
そしてその契約者をすんでの所で踏み台にして軽く跳躍すると明日真は再びバイクに乗り込む。
残りは一人。
狂骨の司る怒りや憎しみの感情を燃料にして、明日真というエンジンも更に強く燃焼を始める。
だがしかしその怒りや憎しみに明日真は決して囚われない。
彼の強い正義の心はそれを許さないのだ。
だから今彼が懐く怒りは純然たる悪への怒り。
罪を憎んで人を憎まず、正義の心がギアをトップまで持っていく。
ウイリーをした状態のまま狂骨の鎧を信じて契約者達に突撃を仕掛ける。
それでまず二人仕留めた。
残り四人。
空中に骸骨でできた道を作り出して明日真はバイクと共に宙を舞う。
その道に沿ってバイクが右から、明日真は電信柱を足場にして左から敵に飛びかかる。
明日真の蹴りを防いだ契約者は後ろから来たバイクに挽き潰される。
そしてその契約者をすんでの所で踏み台にして軽く跳躍すると明日真は再びバイクに乗り込む。
残りは一人。
「う、うわああああああ!」
悪魔のような姿で飛びかかってきた生き残りの契約者の攻撃を、バイクをギリギリまで横に倒すことで回避。
そのまま契約者の脚を掴み、明日真はその契約者の身体をアスファルトに押しつけたままアクセルをふかす。
気絶するまでアスファルトで契約者を紅葉おろしにするとその契約者をそこらへんに投げ飛ばして彼は走り出す。
彼にとって“覚えのある気配”が近かった。
そのまま契約者の脚を掴み、明日真はその契約者の身体をアスファルトに押しつけたままアクセルをふかす。
気絶するまでアスファルトで契約者を紅葉おろしにするとその契約者をそこらへんに投げ飛ばして彼は走り出す。
彼にとって“覚えのある気配”が近かった。
「おっと!待ちな!」
「俺たちの仲間のお礼だぜ!」
「俺たちの仲間のお礼だぜ!」
しかし明日真は再び契約者達に囲まれる。
「くそっ……!」
「そこまでよ!多勢に無勢なんて卑怯じゃない!」
「そこまでよ!多勢に無勢なんて卑怯じゃない!」
その時、明日真の後ろから良く透き通った声が響いた。
声の方向に明日真が振り返ると彼と同じ位の歳の隻眼隻腕の痛々しい姿をした少女が居た。
声の方向に明日真が振り返ると彼と同じ位の歳の隻眼隻腕の痛々しい姿をした少女が居た。
「何処の誰か知らないけど、正義の味方なんでしょ?
助太刀してあげる。さっさと行きなさい。」
「誰かしら無いけどでも……!」
「安心しなさい、私は“不死鳥”の契約者よ。貴方の十倍くらいは強いわ!」
助太刀してあげる。さっさと行きなさい。」
「誰かしら無いけどでも……!」
「安心しなさい、私は“不死鳥”の契約者よ。貴方の十倍くらいは強いわ!」
明日真の目の前で、彼女は無くなっている腕の部分から翼の生えた炎の腕を出してみせる。
「あんた名前は……?」
「――――ユカって呼んで、組織の人間に言うんじゃないわよ。」
「恩に着るぜユカ!」
「――――ユカって呼んで、組織の人間に言うんじゃないわよ。」
「恩に着るぜユカ!」
走り出した明日真の背後で真っ赤な炎が上がった。
曲がり角を曲がって少し走ると、明日真はその気配の源にたどり着いた。
「………俺達の邪魔をしに来たんだな?」
明日真はバイクから降り、仮面から返り血をしたたらせたままイザークとジョルディに歩み寄る。
碧く燃え上がる感情の炎が、その眼からは伺えた。
碧く燃え上がる感情の炎が、その眼からは伺えた。
「なぁ、明日 真」
「…今、街がざわめているのは…あなた達のせい、なんだな?」
「自分勝手な上司が、今日中に街を焼き尽くすんだそうだ………だから、逃げろと言ったのに」
「あなたは、止められなかったのか!?」
「……止められる訳もない」
「…今、街がざわめているのは…あなた達のせい、なんだな?」
「自分勝手な上司が、今日中に街を焼き尽くすんだそうだ………だから、逃げろと言ったのに」
「あなたは、止められなかったのか!?」
「……止められる訳もない」
事情が有るのだろう。
それくらいのことは明日真にだって解る。
それくらいのことは明日真にだって解る。
「……ジョルディ、下がってろ」
「で、でも」
「大丈夫」
「で、でも」
「大丈夫」
イザークが明日真に剣を向ける。
仮面の下の彼の表情は誰にも伺えない。
仮面の下の彼の表情は誰にも伺えない。
「俺は、俺の大切なものの為ならば………悪だろうが、悪の手先だろうが、何にだって成り下がってやる」
「大切な物を守る為に、誰かを犠牲にして良いのかよ!
こんなことやめてくれ!」
「止めるわけにはいかないんだ!」
「事情くらい話してくれよ!」
「……君を巻き込むわけにはいかない。危険すぎる。」
「じゃあ、俺があなたを倒したら……事情くらいは話してくれよ。」
「大切な物を守る為に、誰かを犠牲にして良いのかよ!
こんなことやめてくれ!」
「止めるわけにはいかないんだ!」
「事情くらい話してくれよ!」
「……君を巻き込むわけにはいかない。危険すぎる。」
「じゃあ、俺があなたを倒したら……事情くらいは話してくれよ。」
明日真はバイクの中からもう一つの契約書を取り出す。
これは橙・レイモンから貰った“クリスタル・スカル”の契約書だ。
狂骨を更に強化するための付属パッチとして渡されているが明日真はその性能を詳しく知らない。
だが彼は迷わずそれを使った。
使わねばならない強敵だと、確信していた。
イカズチを模したシール――契約書――を狂骨の仮面に貼り付けると仮面が透き通った青色に変わる。
これは橙・レイモンから貰った“クリスタル・スカル”の契約書だ。
狂骨を更に強化するための付属パッチとして渡されているが明日真はその性能を詳しく知らない。
だが彼は迷わずそれを使った。
使わねばならない強敵だと、確信していた。
イカズチを模したシール――契約書――を狂骨の仮面に貼り付けると仮面が透き通った青色に変わる。
「どうやら本当に言っても無駄らしいな。」
「行くぞイザークさん!」
「行くぞイザークさん!」
明日真の拳がイザークの剣とぶつかる。
丸みを帯びたデザインが絶妙に刃を受け流し、明日真の手にダメージはない。
つぎに低い姿勢からの蹴りを繰り出す明日真。
だがイザークはそれを鎬で受けると柄で彼を殴る。
丸みを帯びたデザインが絶妙に刃を受け流し、明日真の手にダメージはない。
つぎに低い姿勢からの蹴りを繰り出す明日真。
だがイザークはそれを鎬で受けると柄で彼を殴る。
「刃だけが剣ではないぞ。」
「……やっぱ強いなあ!」
「……やっぱ強いなあ!」
明日真が乗り捨てていたバイクが再びうなりを上げる。
骸骨が象の牙やクワガタのアギトが如く角の形を為してイザークに襲いかかる。
骸骨が象の牙やクワガタのアギトが如く角の形を為してイザークに襲いかかる。
「ほう、それがお前の武器か。」
イザークは羽を羽ばたかせて空高く舞い上がる。
それを追う形で明日真はバイクに乗り込み、骸骨で出来た道を駆け上がる。
日の光を受けて、水晶髑髏の都市伝説が力を発揮する。
マスクの目の部分から何十発ものレーザーが射出された。
それを追う形で明日真はバイクに乗り込み、骸骨で出来た道を駆け上がる。
日の光を受けて、水晶髑髏の都市伝説が力を発揮する。
マスクの目の部分から何十発ものレーザーが射出された。
「――――何!?」
「何だ今の!?」
「何だ今の!?」
間一髪でイザークは乱れ飛ぶレーザーの隙間をかいくぐっていく。
高く飛び、低く飛び、宙返りをし、きりもみ回転で再び落下したかと思えば地を蹴り再び飛び上がる。
そんなことを繰り返して彼はどうにかレーザーを全て躱しきった。
突然の出来事に明日真自身も驚いていた。
高く飛び、低く飛び、宙返りをし、きりもみ回転で再び落下したかと思えば地を蹴り再び飛び上がる。
そんなことを繰り返して彼はどうにかレーザーを全て躱しきった。
突然の出来事に明日真自身も驚いていた。
「まだ完全にそれの性能を把握していないのか。」
「うっ……ばれた!」
「うっ……ばれた!」
やれやれ、とイザークはため息を吐く。
彼は空中で身を翻すとバイクに向けて斬りかかる。
バイクに出来た牙と剣が正面から激突。
火花を散らす。
明日真が更にアクセルを強く踏み込む。
彼は空中で身を翻すとバイクに向けて斬りかかる。
バイクに出来た牙と剣が正面から激突。
火花を散らす。
明日真が更にアクセルを強く踏み込む。
「隙あり!」
イザークは二本目の剣をどこからか取り出して明日真に放り投げる。
剣は鎧を貫通して明日真の肩を深々と貫いた。
彼はそのままバイクと共に地面に落下していく。
剣は鎧を貫通して明日真の肩を深々と貫いた。
彼はそのままバイクと共に地面に落下していく。
「うぐっ……!」
バイクの下敷きになってうめく明日真。
イザークはそんな彼に近寄って呼びかける。
イザークはそんな彼に近寄って呼びかける。
「素直に諦めろ。」
「嫌だ!」
「嫌だ!」
バイクは自ら明日真を気遣うかのように起ち上がる。
それにもたれかかりながら明日真も起ち上がる。
それにもたれかかりながら明日真も起ち上がる。
「誰かが傷つくことを……、俺は我慢したくない!」
右腕を前に突き出し、左腕を腰に当て、構えを取る。
右手を覆う手甲に純白の輝きが満ちる。
右手を覆う手甲に純白の輝きが満ちる。
「誰かが傷つかなきゃいけないのだとしても……、
俺はそんなの認めない!
最後まで足掻いてやる!」
俺はそんなの認めない!
最後まで足掻いてやる!」
明日真は特別強い都市伝説を持っているわけではない。
その上、容量が大きいわけでもない。
戦闘の才能が有るわけでも長年の修行をしたわけでもない。
でも彼は折れない。目の前の悪に決して屈しない。
だから彼は正義の味方だ。都市伝説と戦うために都市伝説と契約した能力者だ。
その上、容量が大きいわけでもない。
戦闘の才能が有るわけでも長年の修行をしたわけでもない。
でも彼は折れない。目の前の悪に決して屈しない。
だから彼は正義の味方だ。都市伝説と戦うために都市伝説と契約した能力者だ。
「さあ!勝負の続きだ!」
肩に刺さった剣にも構わず、明日真は再びイザークに飛びかかっていった。
【電磁人の韻律詩61~信じるもの~fin】
【電磁人の韻律詩61~信じるもの~fin】