裂邪は混乱していた
突然空から性転換した自分が振ってきたと思えば、
今度は超巨大なUFOから、軍服姿の自分(今度は男だが)が降りてきたのだ
突然空から性転換した自分が振ってきたと思えば、
今度は超巨大なUFOから、軍服姿の自分(今度は男だが)が降りてきたのだ
「…き、今日は一体何の日だ?」
訳が分からなくなり、とうとう訳の分からない事を呟く裂邪
軍服姿の裂邪は「UFO」から奇妙な光に包まれながら、
重力を無視してゆっくりと地上に降り立った
彼が浮かべる他人を見下すような笑みは、万人が“邪悪な笑み”と評価するだろう
軍服姿の裂邪は「UFO」から奇妙な光に包まれながら、
重力を無視してゆっくりと地上に降り立った
彼が浮かべる他人を見下すような笑みは、万人が“邪悪な笑み”と評価するだろう
「今日は本当に良い日だなぁ…これで6人目だ」
「まずいっ……は、早く逃げて!」
「いや逃げるったって――――」
「まぁそう焦んなよ、どうせお前らは俺に殺されんだ…ウヒヒヒヒヒヒ」
「まずいっ……は、早く逃げて!」
「いや逃げるったって――――」
「まぁそう焦んなよ、どうせお前らは俺に殺されんだ…ウヒヒヒヒヒヒ」
不気味に笑う軍服裂邪
状況を飲み込めていないが、敵意を感じた裂邪は、大儀そうに立ち上がると少女裂邪の前に出た
状況を飲み込めていないが、敵意を感じた裂邪は、大儀そうに立ち上がると少女裂邪の前に出た
「えっ、ちょっとあんた…」
「なぁ、そこの偉そうな俺
さっきもこいつから聞いたんだが、どうやら俺達を殺そうとしてるらしいな
俺は自分の事を馬鹿だって知ってる
けど幾ら馬鹿でも異世界の自分を殺してまわろうなんて狂った発想はできない
どういう思惑か是非聞いてみたいんだが」
「今から殺されるってぇのにヤケに冷静だな?」
「だったら冥土の土産にくれてもいいんじゃないか?」
「なぁ、そこの偉そうな俺
さっきもこいつから聞いたんだが、どうやら俺達を殺そうとしてるらしいな
俺は自分の事を馬鹿だって知ってる
けど幾ら馬鹿でも異世界の自分を殺してまわろうなんて狂った発想はできない
どういう思惑か是非聞いてみたいんだが」
「今から殺されるってぇのにヤケに冷静だな?」
「だったら冥土の土産にくれてもいいんじゃないか?」
裂邪の提案に、わざとらしく驚いてみせる軍服裂邪
傍から見れば、その光景はまるで鏡の世界に迷い込んだかのようだった
傍から見れば、その光景はまるで鏡の世界に迷い込んだかのようだった
「…違いねぇ、なら教えてやるよ
見て分かる通り、俺はあの「UFO」と契約した契約者だ
しかしこの能力はただ『UFOを操る』だけじゃない」
見て分かる通り、俺はあの「UFO」と契約した契約者だ
しかしこの能力はただ『UFOを操る』だけじゃない」
彼は真っ直ぐに、先程まで自分が乗っていた巨大UFOを指し示した
「あの母艦には、俺以外に何万人もの「エイリアン」、何百匹もの「ミュータント」が搭乗している!
小型船舶にも当然数十人ずつ……分かるか?
軍隊! 移動要塞! そして光学、火薬、生物問わず兵器の数々!
「UFO」と契約する事で、俺は一瞬にして軍事的勢力を手に入れた!
そして……俺は小学生の時から見た夢をこの手で叶えた」
小型船舶にも当然数十人ずつ……分かるか?
軍隊! 移動要塞! そして光学、火薬、生物問わず兵器の数々!
「UFO」と契約する事で、俺は一瞬にして軍事的勢力を手に入れた!
そして……俺は小学生の時から見た夢をこの手で叶えた」
くっ、と口角を上げ、軍服裂邪はまたも笑う
少女裂邪は何の事か分からなかったようだが、裂邪は背筋が凍る思いがした
少女裂邪は何の事か分からなかったようだが、裂邪は背筋が凍る思いがした
「………まさか……世界征服か!?」
「ビィ~~ンゴォ!! 流石は俺だ、よく分かっている!
「組織」、「首塚」、「怪奇同盟」、「アメリカ政府の陰謀論」、「第三帝国」!!
全ての邪魔な勢力を滅ぼし、俺は学校町や日本に留まらず、世界全てを手中に納め、
『地球』という惑星自体を『惑星レツヤ』に改名させた!
人間や都市伝説は全員俺の奴隷、逆らう奴は皆殺し! 何もかもが俺の思い通りになった!
――――――――だが、」
「ビィ~~ンゴォ!! 流石は俺だ、よく分かっている!
「組織」、「首塚」、「怪奇同盟」、「アメリカ政府の陰謀論」、「第三帝国」!!
全ての邪魔な勢力を滅ぼし、俺は学校町や日本に留まらず、世界全てを手中に納め、
『地球』という惑星自体を『惑星レツヤ』に改名させた!
人間や都市伝説は全員俺の奴隷、逆らう奴は皆殺し! 何もかもが俺の思い通りになった!
――――――――だが、」
ふっ、と軍服裂邪の表情が変わり、笑顔が消える
心が感じられない、冷たい無の表情
心が感じられない、冷たい無の表情
「15時間前、母艦のマザーコンピュータが空間の歪みを感知した
試しに小型船舶で、歪曲した空間に向けてハイパースペース航行をさせたら………ビンゴだ
俺の住む世界とは全く違う世界―――「並行世界」、「パラレルワールド」、『異世界』が存在した」
試しに小型船舶で、歪曲した空間に向けてハイパースペース航行をさせたら………ビンゴだ
俺の住む世界とは全く違う世界―――「並行世界」、「パラレルワールド」、『異世界』が存在した」
突然、彼は怒気を帯びた表情を作り出す
「その瞬間、俺は初めて恐怖を覚えた……もし、異世界というものが、この宇宙に散らばる星々と等しく無数に存在したら、
そして、もし俺と同じく世界征服に成功し、異世界間を移動する手段を持っていたら……
ならばやるべき事は1つだ
“俺の世界”は征服した…次は“違う俺の世界”を征服する!
だがまずは危険因子である“俺自身”を皆殺しにする!
流石に手強かったぞ……ある世界では「異常者(アブノーマル)」だのという妙な力の持ち主が跋扈していてなぁ
“その世界の俺”は都市伝説と契約していないにも関わらず非科学的な能力を使ってきたが、我が母艦の光学兵器で焼き尽くしてくれたわ
愉しかったぞ? あの世界の俺は醜い奴だった、敵である俺に命乞いをしてきた時は……ウヒヒヒヒヒヒ」
「…酷い……そんなの、人間のやる事じゃない!」
「ヒハハハハハハハハ!! 契約者ってのはなぁ、契約したその日から人間を捨ててるようなもんなんだよぉ!!
力に溺れて簡単に化け物になっちまう!
人間や都市伝説を殺す事に快感を覚え、自分をコントロールできなくなる! お前らもそうだろ!?」
「違う! そんなこと――――」
「いや、案外当たってるかも知れない」
そして、もし俺と同じく世界征服に成功し、異世界間を移動する手段を持っていたら……
ならばやるべき事は1つだ
“俺の世界”は征服した…次は“違う俺の世界”を征服する!
だがまずは危険因子である“俺自身”を皆殺しにする!
流石に手強かったぞ……ある世界では「異常者(アブノーマル)」だのという妙な力の持ち主が跋扈していてなぁ
“その世界の俺”は都市伝説と契約していないにも関わらず非科学的な能力を使ってきたが、我が母艦の光学兵器で焼き尽くしてくれたわ
愉しかったぞ? あの世界の俺は醜い奴だった、敵である俺に命乞いをしてきた時は……ウヒヒヒヒヒヒ」
「…酷い……そんなの、人間のやる事じゃない!」
「ヒハハハハハハハハ!! 契約者ってのはなぁ、契約したその日から人間を捨ててるようなもんなんだよぉ!!
力に溺れて簡単に化け物になっちまう!
人間や都市伝説を殺す事に快感を覚え、自分をコントロールできなくなる! お前らもそうだろ!?」
「違う! そんなこと――――」
「いや、案外当たってるかも知れない」
裂邪が口を開いた
放たれた言葉が意外だったのか、少女裂邪が驚くと同時に怒鳴った
放たれた言葉が意外だったのか、少女裂邪が驚くと同時に怒鳴った
「あ、あんた何言ってんのよ!? あんな奴の味方するの!?」
「俺も昔はそうだったよ、都市伝説と契約して、その力に酔いしれて
襲ってきた都市伝説もそうでない都市伝説も皆葬ってきた
正直それが生甲斐だとさえ感じたよ、あの頃は」
「俺も昔はそうだったよ、都市伝説と契約して、その力に酔いしれて
襲ってきた都市伝説もそうでない都市伝説も皆葬ってきた
正直それが生甲斐だとさえ感じたよ、あの頃は」
また何か言おうとした少女裂邪を、彼は「だけど、」と言いかけて静止した
「俺はこの町に来て色んな人に出会ったんだ
お前が潰したって言う「組織」や「首塚」の人も、俺の友達だ」
「……友達、だと?」
「あぁ、一緒に戦ったり笑い合ったり、色んな時間を過ごしてきた人達だ
そんな人達と出会って思った――――『俺は間違ってるんじゃないか』、ってね」
お前が潰したって言う「組織」や「首塚」の人も、俺の友達だ」
「……友達、だと?」
「あぁ、一緒に戦ったり笑い合ったり、色んな時間を過ごしてきた人達だ
そんな人達と出会って思った――――『俺は間違ってるんじゃないか』、ってね」
一歩、また一歩と、裂邪は軍服裂邪に向かって歩を進めた
「今じゃもう都市伝説にさえ友達がいるよ
世界征服なんてしなくたって、奴隷なんかにしなくたって、困った時が助けてくれる優しい奴等が沢山
俺は誰かに頼ってしか戦えないし、生きていけない自信がある
でも、それでも誰かに頼られるような人間になりたいと思った
誰かを助けられるような――――――“あの馬鹿”みたいな英雄になりたかった」
「話が見えてこねぇな……何が言いたい?」
「はっきり言ってやろう。今がその時だろぉ!!」
世界征服なんてしなくたって、奴隷なんかにしなくたって、困った時が助けてくれる優しい奴等が沢山
俺は誰かに頼ってしか戦えないし、生きていけない自信がある
でも、それでも誰かに頼られるような人間になりたいと思った
誰かを助けられるような――――――“あの馬鹿”みたいな英雄になりたかった」
「話が見えてこねぇな……何が言いたい?」
「はっきり言ってやろう。今がその時だろぉ!!」
バックルのボタンを押してゆく
《ドリーム》《ファントム》《バブル》《シャドー》の音声が響き、裂邪は右手を構えた
《ドリーム》《ファントム》《バブル》《シャドー》の音声が響き、裂邪は右手を構えた
「全員集合ォ!!」
勢い良く、バックルに右手を翳した―――――“右手だけ”
「……………あれ?」
右手を動かしてみる
その後、ベルトのホルダー、ズボンのポケット、あらゆる場所をぱたぱたと叩いてみる
無い
何処にも無い
その後、ベルトのホルダー、ズボンのポケット、あらゆる場所をぱたぱたと叩いてみる
無い
何処にも無い
「ど、どうしたの?」
「……やばい、さっきまで持ってたのに!?」
「探し物はこれか?」
「……やばい、さっきまで持ってたのに!?」
「探し物はこれか?」
軍服裂邪が汚いものを摘むようにして手にしたものを見せつけた
金色の、薄い直方体の物体
金色の、薄い直方体の物体
「ッ! 俺のパス! いつの間に!?」
「ここに落ちていたのを拾っただけだが?」
「しまった、あの時にうっかり手を離しちまったか!?」
「ね、ねぇ、もしかしてあれ大事なものだったの?」
「あれが無いと戦えねぇんだよ俺ァ!!」
「それは良い事を聞いた……なら早めに仕留めさせて貰うぞ!!」
「ここに落ちていたのを拾っただけだが?」
「しまった、あの時にうっかり手を離しちまったか!?」
「ね、ねぇ、もしかしてあれ大事なものだったの?」
「あれが無いと戦えねぇんだよ俺ァ!!」
「それは良い事を聞いた……なら早めに仕留めさせて貰うぞ!!」
再び怪しげな光に包まれ、軍服裂邪は金のパスを持ったまま母艦の中に入っていった
その直後、編隊の内2、3機が裂邪達の前に飛来した
その直後、編隊の内2、3機が裂邪達の前に飛来した
《目標補足シマシタ》
《エネルギー充填開始シマス》
《ヒハハハハハハ! 短い間だったが、お別れだ!》
「ちっくしょう、万事休すか!?」
《エネルギー充填開始シマス》
《ヒハハハハハハ! 短い間だったが、お別れだ!》
「ちっくしょう、万事休すか!?」
小型のUFOの砲口から雷光が発生する
逃げようと思い立った裂邪だったが、すぐに何かを思い出した
腰のホルダーに入っていた、紫のパスに手を触れる
逃げようと思い立った裂邪だったが、すぐに何かを思い出した
腰のホルダーに入っていた、紫のパスに手を触れる
「…ちっ、これだけは使いたくなかったんだけどな……!」
暫く躊躇していたが、止むを得ずそれを手に取り、
バックルの水晶体にそれを翳そうとしたのだが、腕を引かれて妨げられる
バックルの水晶体にそれを翳そうとしたのだが、腕を引かれて妨げられる
「っな、おい何するんだ!?」
「ごめん、もうこれしか方法がないの」
「方法って…お前、俺に助けを求めてたんじゃ―――――」
《エネルギーMAX》
《レーザー発射》
「ごめん、もうこれしか方法がないの」
「方法って…お前、俺に助けを求めてたんじゃ―――――」
《エネルギーMAX》
《レーザー発射》
砲口から一直線に伸びる光条
だがその光は、真っ黒な闇の塊の中に消えていった
だがその光は、真っ黒な闇の塊の中に消えていった
《なっ……!? 何だあれは――――っがぁ!?》
UFOの艦隊が、闇の塊に吸い寄せられていく
機体が傾き、艦内はパニック状態に陥っていた
機体が傾き、艦内はパニック状態に陥っていた
《おい! 何があった!?》
《黒イ物体カラ強力ナ重力場ヲ感知シマシタ。ソノ引力ノ影響デス》
《重力だと……まさかっ!? あの女ァァァァァァァ!!》
《黒イ物体カラ強力ナ重力場ヲ感知シマシタ。ソノ引力ノ影響デス》
《重力だと……まさかっ!? あの女ァァァァァァァ!!》
軍服裂邪の声が響く
その当の本人達の姿は、もうそこにはなかった
その当の本人達の姿は、もうそこにはなかった
...To be Continued