「はぁ、っはぁ……な、何とか、逃げ切れたみたいね…」
「どう、やらっ、そうらし、な……ぜぇ……ぜぇ……」
「…息切れすぎじゃない?」
「何分、体力がっ、無いもんで、ね……」
「どう、やらっ、そうらし、な……ぜぇ……ぜぇ……」
「…息切れすぎじゃない?」
「何分、体力がっ、無いもんで、ね……」
住宅地の狭い路地の中
呼吸を荒くしつつも必死に息を潜める2人の裂邪の姿がそこにあった
どうやら、「UFO」と契約した裂邪から逃れる事が出来たらしい
呼吸を荒くしつつも必死に息を潜める2人の裂邪の姿がそこにあった
どうやら、「UFO」と契約した裂邪から逃れる事が出来たらしい
「……それより、さ…」
思い出したように、深呼吸して一度落ち着かせてから裂邪は少女の裂邪に尋ねた
「さっきお前が出した奴…あれ、ブラックホールだよな?」
「ッ……うん、そうよ。 私が契約したのは「ダークマター」だから
規模は小さいけど、ブラックホールも作り出せるの」
「なるほど、「ダークマター」か…」
「ッ……うん、そうよ。 私が契約したのは「ダークマター」だから
規模は小さいけど、ブラックホールも作り出せるの」
「なるほど、「ダークマター」か…」
少女裂邪の契約した「ダークマター」とは、「暗黒物質」の事であり、宇宙空間の大半を占めている物質である、とされている
実際そんな物質がどんなものなのか、そもそも存在しているかどうかさえ不明である架空の物質だ
その正体として挙げられるものにブラックホールが含まれているのだ
尤も、彼女の言う通り、地球上では規模の小さなものしか生成できないのだが
実際そんな物質がどんなものなのか、そもそも存在しているかどうかさえ不明である架空の物質だ
その正体として挙げられるものにブラックホールが含まれているのだ
尤も、彼女の言う通り、地球上では規模の小さなものしか生成できないのだが
「じゃあ、違う質問だ
何でお前は泣いてるんだ?」
「……え?」
何でお前は泣いてるんだ?」
「……え?」
彼女はそっと目元を指でなぞる
己の指先がしっとり濡れている事を確認した瞬間に、さらに涙が溢れてきた
己の指先がしっとり濡れている事を確認した瞬間に、さらに涙が溢れてきた
「ブラックホール使ってからずっとそうだった
まさか敵に同情してるとは思えないし、目にゴミが入った訳じゃないだろ?
推測だけど…何か嫌な事を思い出したんじゃないのか、って」
まさか敵に同情してるとは思えないし、目にゴミが入った訳じゃないだろ?
推測だけど…何か嫌な事を思い出したんじゃないのか、って」
両手で顔を覆うが、涙も声も漏れだしてしまう
そうして暫く彼女は泣き続けて、ようやく口を開いた
そうして暫く彼女は泣き続けて、ようやく口を開いた
「…私っ、には……お父さんと、お母さんが、居たの……
「マッドガッサー」に女にされても……、都市伝説と契約した事を話してもっ…
普通に接してくれた、とても、とっても優しいっ、人達だった……
それが……今日、突然UFOに乗ったあいつが、現れて…………」
「マッドガッサー」に女にされても……、都市伝説と契約した事を話してもっ…
普通に接してくれた、とても、とっても優しいっ、人達だった……
それが……今日、突然UFOに乗ったあいつが、現れて…………」
再びしゃくり上げそうになる彼女の背を、裂邪は優しく摩った
「…もう良い。悪かった、無理するな」
「ううん…ありがと。まだ、大丈夫っ、だから……」
「ううん…ありがと。まだ、大丈夫っ、だから……」
数回深く息を吸い、彼女は話を続ける
「……あいつらは、お父さんとお母さんを捕まえてっ……私に脅迫して……
お父さん達は『逃げろ』って、叫んでた……
でも、私っ…お父さん達を助けたかったの……助けたかった、だけなのに……
…気がついたら、私はブラックホールを作り出してた…
全部消えちゃった……私が、消したの……UFOと一緒に、お父さんもお母さんも………ぅ、ぅぁ……」
お父さん達は『逃げろ』って、叫んでた……
でも、私っ…お父さん達を助けたかったの……助けたかった、だけなのに……
…気がついたら、私はブラックホールを作り出してた…
全部消えちゃった……私が、消したの……UFOと一緒に、お父さんもお母さんも………ぅ、ぅぁ……」
そのまま、彼女は壁にもたれてへたり込んでしまい、声を上げて泣き出してしまった
「……サイテー、だよね……今日までっ、私に優しくしてくれた人を……助けるどころか殺しちゃうなんて……
こんなっ……こんな力があるから……こんな力を持ってるから………
人を殺すことしかできない力なんていらない………!
私の大事な人を殺したっ……都市伝説、なんて……私、なんて……大ッ嫌い……!!」
「待てよ!!」
こんなっ……こんな力があるから……こんな力を持ってるから………
人を殺すことしかできない力なんていらない………!
私の大事な人を殺したっ……都市伝説、なんて……私、なんて……大ッ嫌い……!!」
「待てよ!!」
裂邪がしゃがみ込んで、彼女の肩を掴んで身を起こした
少女の裂邪の潤んだ瞳は、鳩が豆鉄砲を食ったかのようだった
少女の裂邪の潤んだ瞳は、鳩が豆鉄砲を食ったかのようだった
「人を殺すしかできない? じゃあお前がさっき取った行動は何だったんだ!?
俺を助けてくれたんじゃなかったのか!?
そりゃ確かに、この世には人を殺す為だけに作られた道具や兵器、科学技術が沢山ある!
でもな、使い方さえ正せば、誰かを救う事だってできるんだ!
さっきお前がやってみせたのだってそうだろ!?」
「ッ………」
「それと! 何があっても『自分が嫌い』だとか絶対に言うな!
お前自身を嫌ったら、誰がお前を好いてくれんだよ! 誰がお前の味方してくれんだよ!
そんなんでお前の父さんや母さんが喜ぶとでも思ってんのか!?」
「だ…だってッ……お父さんも、お母さんも、私が殺したんだから……
私のことなんて、嫌いに決まってるじゃない――――」
「じゃあお前は! 親が嫌いだから殺したのか!?」
「ッ違う! 私は、2人を助けたかった!」
「そうだろ!? それくらいお前の両親も分かってる筈だ!
何で2人がお前に『逃げろ』って言ったか分かるか!?
お前に生きて欲しかったからだろ! それだけお前に死んで欲しくなかったんだ! 愛してたんだよ、お前の事を!!
男から女になっても、妙な力を手に入れても、愛し続けてたからこそお前に逃げて欲しかったんだ!
捕まったら殺される事ぐらい、2人も分かってた筈だ!
お前の父さんと母さんはなぁ! 自分の命よりも、お前の命を優先したんだ! 他でもない、愛する娘の命を!!」
俺を助けてくれたんじゃなかったのか!?
そりゃ確かに、この世には人を殺す為だけに作られた道具や兵器、科学技術が沢山ある!
でもな、使い方さえ正せば、誰かを救う事だってできるんだ!
さっきお前がやってみせたのだってそうだろ!?」
「ッ………」
「それと! 何があっても『自分が嫌い』だとか絶対に言うな!
お前自身を嫌ったら、誰がお前を好いてくれんだよ! 誰がお前の味方してくれんだよ!
そんなんでお前の父さんや母さんが喜ぶとでも思ってんのか!?」
「だ…だってッ……お父さんも、お母さんも、私が殺したんだから……
私のことなんて、嫌いに決まってるじゃない――――」
「じゃあお前は! 親が嫌いだから殺したのか!?」
「ッ違う! 私は、2人を助けたかった!」
「そうだろ!? それくらいお前の両親も分かってる筈だ!
何で2人がお前に『逃げろ』って言ったか分かるか!?
お前に生きて欲しかったからだろ! それだけお前に死んで欲しくなかったんだ! 愛してたんだよ、お前の事を!!
男から女になっても、妙な力を手に入れても、愛し続けてたからこそお前に逃げて欲しかったんだ!
捕まったら殺される事ぐらい、2人も分かってた筈だ!
お前の父さんと母さんはなぁ! 自分の命よりも、お前の命を優先したんだ! 他でもない、愛する娘の命を!!」
彼女は言葉が出なかった―――否、声が出なかった
喉が枯れそうになるまで泣き続ける彼女の身を、裂邪はそっと抱き寄せた
喉が枯れそうになるまで泣き続ける彼女の身を、裂邪はそっと抱き寄せた
「……もう、泣くのは止めろよ。だからって、笑えとは言わないけどさ
でも約束してくれ。これで生き残ったら、見せてくれよ、お前の笑顔
お前の父さんも母さんも、きっと元気なお前の姿を、天国で見たがってるだろうからさ
それまで、俺が絶対にお前を守ってやる。お前の両親の代わりに」
でも約束してくれ。これで生き残ったら、見せてくれよ、お前の笑顔
お前の父さんも母さんも、きっと元気なお前の姿を、天国で見たがってるだろうからさ
それまで、俺が絶対にお前を守ってやる。お前の両親の代わりに」
裂邪の胸の中で、彼女は啜り泣きながら、こくん、とゆっくり首を縦に振った
「よし、」と呟いて、彼は優しく、彼女の頭を撫でた
「よし、」と呟いて、彼は優しく、彼女の頭を撫でた
《お涙頂戴シーンどうも有難う……これからは血も涙もない殺戮シーンだぜぇ?》
エコーのかかった声が響く
裂邪が路地裏から飛び出すと、案の定そこには巨大なUFOの母艦が浮いていた
目を凝らせば、正面のコクピットのキャノピーから漆黒の軍服を着た裂邪が、不敵な笑みを浮かべているのが見えた
裂邪が路地裏から飛び出すと、案の定そこには巨大なUFOの母艦が浮いていた
目を凝らせば、正面のコクピットのキャノピーから漆黒の軍服を着た裂邪が、不敵な笑みを浮かべているのが見えた
《探したぞ異世界の俺……今度こそ殺してやるからなぁ?》
「うるせぇ! お前如きに殺される気は毛頭ねぇ!!
俺には大切な人も、守るべき人もいる……負けられねぇんだよぉ!!」
「うるせぇ! お前如きに殺される気は毛頭ねぇ!!
俺には大切な人も、守るべき人もいる……負けられねぇんだよぉ!!」
裂邪は腰のホルダーから、紫色のパスを取りだした
ちっ、と一瞬舌を打った後、振り向いて少女裂邪に話しかけた
ちっ、と一瞬舌を打った後、振り向いて少女裂邪に話しかけた
「さっき偉そうな事言ったけどさ、俺も持ってるんだよ、嫌いな力」
「………え…?」
「絶対に使いたくなかった、邪悪な力……だから、これでおあいこだろ?」
「………え…?」
「絶対に使いたくなかった、邪悪な力……だから、これでおあいこだろ?」
にっ、と笑い、彼は向き直ってパスを高く上げる
《さっきからごちゃごちゃと口の減らない奴だ……茶番は終わりだ! 殺れ!!》
軍服裂邪が指示を出した事で、小型のUFO数機からレーザーが放たれる
標的は無論、裂邪だった
標的は無論、裂邪だった
「さあ来やがれ馬鹿野郎! 今日は特別だ、俺の力になれ!!」
《ディシリオン》
勢い良くパスを翳すと、機械音声が鳴りバックルの水晶体が紫の光を放つ
その直後、裂邪の周りを紫色の炎が包み込み、UFOの攻撃を掻き消した
その直後、裂邪の周りを紫色の炎が包み込み、UFOの攻撃を掻き消した
《何っ……!? 都市伝説か!?》
炎の中から、声が聞こえる
『ギハハハハハハハ……久しぶりの外の空気……あぁ、僕の「ティルヴィング」が血に飢えているのがよく分かるよ』
「喋るな、耳障りだ」
「喋るな、耳障りだ」
紫の炎が飛び散り消えた
その中から現れたのは、紫のもやに包まれた黄金の柄の剣を構える裂邪だった
その中から現れたのは、紫のもやに包まれた黄金の柄の剣を構える裂邪だった
...To be Continued