「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-63

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
《ちっ……まだ使える都市伝説があったのか》
「その“使える”って意味によるけどな
 使用できる都市伝説ならこの通り、今の時点では俺の切り札だ
 便利な都市伝説は残念ながら手元に無い」
『そんな言い草は無いだろう? まぁ、君のような単細胞契約者は一生かかっても僕を使いこなせないだろうがね』
「何だとぉ!? 人殺ししか脳に無いお前よりは遥かにマシだろうが!!」
「け、喧嘩は止めなよ!」

喧嘩とは言え、傍から見れば剣に向かって裂邪が一方的に八つ当たりしているようにしか見えない
それに、一見すると黄金の柄の剣が口を聞いているように思えるが、実際は剣にとり憑いている紫の霊魂だ
「ティルヴィング」、「憑依霊」、「エルクレスの塔」、「ヴァルプルギスの夜」、そして「神出鬼没」
5つの都市伝説に飲まれた元人間である、裂邪の6つ目の都市伝説―――ナユタ
元々は人から人へ憑依して回り、他人の命を奪って愉しんでいた姿無き快楽殺人鬼だったが、
それを止める為に裂邪が強制的に仮契約を行った為、このような現状になっているのだ

《だが何を使えようが関係ない、俺は並行世界をも支配する男だ!
 例え別世界の俺だろうと、たった1人の契約者が止められる訳がない!!》

周囲の小型UFOが砲撃の準備を開始する
その数、凡そ20機ほど

「……おい殺人鬼、ここは一時休戦と行こうぜ」
『本当は即刻取り下げたいところだが…仮契約だか何だが知らないが、それでも君との繋がりは深いらしい
 君に死なれると僕が消える……それだけは避けたいからね』

裂邪が「ティルヴィング」を前方に構える
きらり、と切っ先が光を反射して輝いた

『言っておくが、足手纏いにはならないでくれたまえ』
「お互い様だろ馬鹿野郎……行くぞ、ナユタ!」
『…仰せのままに』
《撃てぇ!!》

UFOから、裂邪に向けてレーザーが一斉に発射される
それらは全て彼に被弾した――――と思いきや、逆に放射状にレーザーが放たれ、20機のUFOが撃墜された

《何っ!? どういう事だ!?》
「ヒハハハハハハ! 「エルクレスの塔」は光を反射して敵軍を焼き払った「アレクサンドリアの大灯台」の縮小型だ!
 だったらもう分かるよな? レーザーも光だろ!?」
《こ、小癪な……余り目立つ事はしたくなかったが、構わん! 全軍、黄昏裂邪を撃ち殺せ―――――》

命令されたと同時に、傍のUFOが両断され、爆音と共に木っ端微塵になった
何事か、と軍服裂邪が確認しようとした次の瞬間に1機、また1機と墜ちてゆく

《ええい、今度は何が――――――ッ!?》

彼はそこでようやく気付いた
先程まで地上にいた筈だった裂邪が、そこにいなかったのだ
では、何処に行ったのか?
何気なく視線をやった先に、彼はいた
今まさに、小型UFOを真っ二つにせんとしている
あ、と言う間もなく断ち斬ると、その瞬間に彼の姿が消える
「神出鬼没」による、擬似的なテレポーテーションだ

《消えた……!? 違う能力か!?》
《レーダーニ反応アリ。敵ハ303号機ニ乗ッテイマス》
《ちっ、550号機、753号機! 奴を303号機ごと撃て!!》
《《了解》》

指示通り、2機のUFOから再びレーザーが放たれる
しかしその真っ直ぐ伸びる光条は、紫色に怪しく燃え上がる炎によって掻き消された
邪念の篭った攻撃を容赦なく祓う「ヴァルプルギスの夜」である

「あーぁ…良い具合にチートだよな、お前」
『素直に喜びたまえよ、今は君の力なのだから』

「ティルヴィング」を振り下ろし、UFOを撃墜すると、瞬間移動して先の2機も分断し、
飛んできたレーザーを全て跳ね返して確実に撃ち落とす
気がつけば、飛んでいるUFOは母艦だけだった

「ウヒヒヒヒ…おーい、世界の支配者さんよーぃ
 まさかこれで終わりとは言わねぇよなぁ?」
《……成程、腕は確かなようだ。ならこれはどうだ?》

母艦から謎の光が伸び、不気味な影が降り立った
全身は緑、脚は2本だが、鋭い爪を持った腕が6本あり、先端が棍棒になっている尻尾も2本伸びている
珍しく翼は生えてなく、代わりに胸部には赤く輝く結晶体が埋め込まれていた
目は左右に4つずつ、口はX字に裂けており、滴る涎がアスファルトを溶かす

「ジ・ジ・ゼ・ジ・ゾ……」
《今度はその「ミュータント」が相手だ》
「わお、これどこの三流RPGよ、何故か血が騒ぐぜ」
『子供かね君は』
「男はずっと子供なんだよ、馬鹿みたいに大人びるからあんなことになるんだ」

呟きながらも「ミュータント」の地面を穿つ攻撃はしっかりと回避する
と言うより、本人が意識せずに、勝手に身体が動き出していた

「……おい、契約者には憑依できないんじゃなかったのか?」
『さぁね、仮とはいえ、契約したお陰じゃないかな?』

ナユタの本体は「憑依霊」だ
過去には契約者や都市伝説には憑依できず、一般人に憑依して戦闘を行っていたが、
どうやら今は裂邪に憑依できるらしく、彼の身体能力を底上げしているようだ

『ま、憑依してはいるが、君の意識が残っているのはちょっとショックだよ』
「ざまぁみろ、好き勝手にゃさせねぇよ!」

尻尾の棍棒を「ティルヴィング」で弾き返し、爪による斬撃を「ヴァルプルギスの夜」で無力化する
「神出鬼没」で背後に周り、背中から襲いかかる
すぐに気付いた「ミュータント」も尻尾で応戦し、何とか背中の一撃は免れたものの、
その代償として尻尾の先が、鮮血を散らして空に舞う
小さくガッツポーズを決める裂邪だったが、体液を飛び散らせて再生した尻尾を見て萎える

「やっぱ再生すんのか…厄介な」
『再生しないように細かく斬り刻むか、焼くしかないようだ』
「殺しに関しては天才だな、お前」

次の瞬間、「ミュータント」の胸部の水晶体から、赤い光線が放たれる
またレーザーかよ、と文句を垂れて「ティルヴィング」の切っ先を向け、「エルクレスの塔」の能力で光線を跳ね返す
光は水晶体もろとも焼き焦がし、「ミュータント」の身体に風穴が空く
咆哮を上げ、「ミュータント」は一瞬怯んだ

「っし、ナユタ、数撃手伝え!」
『言われなくともそのつもりだ』

裂邪は居合の構えで「ミュータント」に飛びかかる
すれ違いざまに目にも止まらぬスピードで剣を振り、軽やかに地に足を付けた
ぼと、ぼとぼと、と化け物は細切れになり、溶けて消えて無くなった

「………す、すごい……あんな化け物を、一瞬で……!」

路地裏から戦いを見ていた少女裂邪は、密かに感動を覚えていた
同時に、腹の底から湧き起こるようなとてつもない感情に、徐々に気付きつつあった

「ヒハハハハハハハ、そ~ら、もう終わりか?
 何だったら遠慮なくその無駄にデカい船をぶっ壊させて貰うぞ!」

意気込む裂邪だったが、実は少しばかり体力の限界が近づいていた
殆どナユタの憑依による自動操縦状態だったが、裂邪は運動嫌いで且つ体力は同年齢の平均以下
UFOからUFOへと飛び回っていれば、その減り具合も納得である

《……ふん、安心しろ、まだ用意してある》

再び怪しげな光が出現し、先程の「ミュータント」が現れた
ここまでは同じだが、問題はその数である
全部で、5体……流石の裂邪も、顔に出してしまう程の多さである

『もう体力切れか? 全く、よく多重契約なんて出来たものだ、呆れを通り越して…やはり呆れるね』
「どうも有難う、それよりまずいぞ、何とかしたいが……ん?」

目の前には、水晶体にエネルギーを溜める6体の「ミュータント」
恐らくこの後、先程のように胸から光線を出すのだろう
裂邪はポケットからスマホを取り出し時間を確認した後、空を見上げ、にやりと笑った

「問題です、雲の上には何がある?」
『は?』
「あぁ全く常識問題だ、答えは太陽
 あの雲さえ退ければ、太陽が見られる訳だ」
『それがどうした――――――――あぁ、そういう事か』

5体の「ミュータント」が同時に光線を発射する
一つになって巨大化した光線を、裂邪は「ティルヴィング」の切っ先で天に向けて反射させた

《血迷ったか、何処を狙っている?》
「見りゃわかるだろ、雲だよ!
 そして、俺が狙ってるのは、その先に在る希望だ!」

反射した光線は雲を貫き、空に巨大な穴を開ける
その穴から、眩い光を放つ神の目玉が、ぎょろりと覗いた
町中が、光に包まれる
町に、そして裂邪の背に、“影”が生まれる

「…ッヒヒ、やっぱ用意が良いな……来い!シェイド!ミナワ!理夢!ウィル!」
「了解シタ」
「はい、ご主人様!」
「OKィ!」
「がってんでい!」

裂邪の影から、黒いローブを纏った人影、青い髪の少女、白い毛並みの獣、赤い人魂が次々と飛び出した
「シャドーマン」のシェイド
「シャボン玉」のミナワ
「獏」の理夢
「鬼火」のウィル
全て、裂邪の契約都市伝説
これまで彼を支えてきた、仲間であり―――家族

《ッバカな!? 一体幾つと契約しているんだ!?》
「都市伝説が……4つも増えた!?」

驚愕する2人の裂邪だったが、この光景はもはやお馴染みなので当の裂邪も半笑いである

「お前ら、状況は分かってるな?」
「全テ影ノ中デ見テイタ……ソコノ少女ノ事モナ」
「もぉ、厄介事に巻き込まれすぎですよ、ご主人様は」
「ついこの間まで誰かと入れ替わってたテメェが言う事かよ?」
「違ぇねぇ、結局は『都市伝説は引かれ合う』って奴でい!」
『のんびり話している暇があるなら前を見たまえ、来るぞ』

「ミュータント」が爪を立て涎を垂らし、ゆっくりと前進してくる
ふん、と裂邪は鼻で笑うと、右手を前に差し出した

「まずは奴らの撃破……戦闘開始だ!」

ぱちんっ、という指の音と共に、彼等は一斉に行動を開始した


   ...To be Continued

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