「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 陛下と僕と獣の数字-07

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陛下と僕と獣の数字 第七話】

「……疲れた顔してどうしたの?」

「ハッハッハ、二人共眠れなかったのか?
 はしゃぎ過ぎてしまって眠れないなんて中々可愛い所があるではないか!」

「……いや、その、あれだ」

「なんでもないです、ええ」

 約束の日、遊園地に現れた二人は妙に疲れた表情をしていた。
 いったい何があったのだ。
 一晩中どこかでゴミ拾いのボランティアでもさせられたような顔してやがる。
 クラスメートとして純粋に九郎くんの心配がしたくなるよ、うん。

「そうかそうかならば良い!今日は同じクラスに居る契約者同士親睦を深めようと思ったのだ!
 まずはあの遊園地に行こうではないか!安心しろ、私は四人分の年間フリーパスを持っている」

「な、いつの間に……!?」

「この前雑誌についてたはがきを送ったら当たった」

 まさに皇帝特権である。

「さあクロウ、そして謎の都市伝説よ!」

「いや、あの、大声で都市伝説と言われても……」

「おお済まなかった、お前の名前を聞かせてくれ
 私の名前は……」

「もうお聞きしました、私はトトと呼んで下さい」

 少女の名前はトトさんというらしい。
 まあ髪の色や肌の色は変わっているが外国人の多いこの街ではそれほど目立たない。
 陛下に対しても中々堂々とした態度である。
 都市伝説には無意味に傅く輩が多い中で、彼女は礼を尽くしながらも威厳は保っている。
 陛下に大声で名乗らせなかったのは気遣いからだろう。

「ところで陛下」

「ふむ、クラウディアでよい」

「ではミス・クラウディア」

「なんだ?」

 男連中置いてけぼりである。
 僕は鷲山に話しかけようと思い口を開きかけた。

「貴方は何故尾行をそのまま放っておいているのですか?」

 え?

「我が威光に惹かれて寄ってくる羽虫程度、一々構っていられないからな
 攻撃態勢に移ったらそこで排除すれば良いが……
 お前が鬱陶しく思うならば掃除させよう」

 陛下の服の袖から赤い光が漏れる。

「いえ、それには及びませんわ。どうせ殺した所でまた湧いてくるでしょう
 九郎、そいつらは警戒する必要はないよ」

「解った」

 え?

「うむ、良きかな良きかな」

 置いていかれているのは“俺”だった!
 ていうか鷲山お前一般人じゃねえのかよ!
 お前まで何当然みたいな顔で参加してるの?

「クラウディア、お前家でもこんな感じなのか?」

「あー……いや、流石に学校と家の半径50mくらいになると結界がきつくなるからな
 あの手の奴らも忍び込めはしないよ」

「通学路は?」

「ふん、襲われた所で倒せばいいだけだ」

 結界ってなに?
 寺か、寺の力か。画面の前のお前!俺が寺生まれだからって何でも知ってると思うなよ!?
 ていうか我が家にも結構危険が迫ってたんですね!

「ま、あれだ。細かいことは気にせずにお互いに親睦を深めようではないか!」

 陛下豪快すぎます。
 トトさんも九郎くんも苦笑いじゃないですか!

「ほれ、まずはあのスプラッシュマウンテンとやらだ!」

 僕達を引っ張ってガンガン進む陛下。
 休日だけに混んでいたが少し待っていたら僕達の順番が来た。
 回転率は良いらしい。
 スタッフの方からレインコートを渡された。

「ふむ、これはなんだ?衣服にしては透明だし……」

 首を傾げる陛下。

「レインコートだよ、濡れるからね」

「成程成程」

 鷲山の方を振り返ると……

「ほら、トトバンザイしろバンザイ」

「ば、ばかにするな!これくらい一人で……」

「はいばんじゃーい」

「バカバカバカァ!」

 兄妹か、貴様ら兄妹か。
 くっ、妬ましい!あんな可愛い妹が居たら……くそっ!
 いや実の妹とか言うんじゃなくてそう見えるだけだけどさ!
 むしろ血の繋がらない妹の方が色々と……ファック!
 ファック!何故だ!何故俺には朝っぱらから
 “おにいちゃーん、早く起きないと遅刻するよ?”
 とか
 “おにいちゃーん、お弁当作ってきたから一緒にたべよ?”
 とか
 “おにいちゃん、黙っていたけど私、魔法少女プリティチャイムなんだ!”
 とか
 “そんな!?おにいちゃんがダークネビュラの幹部だったの!?”
 とか
 “どうして私をかばったのよお兄ちゃん!”
 とか
 “お兄ちゃん……大好きだよ。だから死なないで!”
 とか
 “おにいちゃあああああああああああああああん!”
 とか言ってくれる妹が……あれ?

 お れ 死 ん だ ?

 なんで!何が悲しくて妄想で死ななきゃいかんのだ!
 俺は妹なんぞ要らぬ!妹故に人は悲しまねばならなくなる!
 妹故に人は苦しまねばならなくなる!
 ならば俺は妹なぞ要らぬ!
 うわあああああああああああああああ!

「おい、どうしたんだ金子?」

 僕を現実に引き戻したのは鷲山の声だった。

「え?」

「さっさと座らないと」

「ちょっと考え事していたんだ、すまんすまん」

 僕はそう言ってさっさと座席に座って安全装置を下ろす。
 しばらくすると水の上にプカプカ浮かぶジェットコースター的なあれが動き始める。
 スプラッシュマウンテンの始まりだ。
 ゆっくりと坂を登っていく機体。
 頂点まであと少し。
 ……そういえば、陛下はどうした?
 さっき考え事をしていた僕に声を掛けたのは鷲山だった。
 つまり陛下は僕に声をかけていなかった。

「コワイコワイコワイコワイヤッバイコレマジムリヤメルベキダッタヨモウシヌッテシンジャウッテゲンカイゲンカイ」

 ん?

「ウワアトチョットジャナイカモウチョウシニノルンジャナカッタカモワタシモマダマダダナアフハハハハ」

 あれ、もしかして陛下って……

 ガクン

 その時、すごい勢いで機体が下り坂を進み始めた。
 えーっと、確か腕をあげるんだったっけ。
 じゃなくて陛下だ。

「…………」

 返事がない、ただの高校生のようだ。
 無論、僕はカメラ目線で両腕をあげてましたが。
 そりゃああんた千葉県民ですよ?
 こういうところにも来慣れていますよ。
 水を被るのも慣れたもんです。
 機体が止まる頃には陛下も息を吹き返し、何事もなかったような顔をしていた。

「いやー楽しかったな!」

 偶然僕達の前に座っていた鷲山達は気づいていない。
 陛下と楽しそうに話している。
 くっ……どうするおれ!
 どうする!

「じゃあ次はあれなんてどうかな?」

 そんな中、鷲山が指さしたのはお化け屋敷であった。
 僕の悩みなんか知らない皆はそうしようかと言ってニコニコ笑いながら歩き出した。

【陛下と僕と獣の数字 第七話 つづく】

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