「ウィル、目的の場所には着きそうか?」
「かなり近付いてきやした、もうちょっとの辛抱でい」
「かなり近付いてきやした、もうちょっとの辛抱でい」
緑に燃える火の玉を先頭に、ぞろぞろと列を成す4つの影
裂邪一行はローゼからの指令を受け、極寒の地――南極へと足を運んでいた
運が良い事に今は晴れており、吹雪に見舞われるようなことはなかったが、
それでもこの白しか存在しないところでは一度でも道を間違おうものなら後で大変な目に遭う
そこで、道案内を誰よりも得意とし、自ら光を放つ事が出来るウィルを先頭に置いたのだった
裂邪一行はローゼからの指令を受け、極寒の地――南極へと足を運んでいた
運が良い事に今は晴れており、吹雪に見舞われるようなことはなかったが、
それでもこの白しか存在しないところでは一度でも道を間違おうものなら後で大変な目に遭う
そこで、道案内を誰よりも得意とし、自ら光を放つ事が出来るウィルを先頭に置いたのだった
「……トコロデ裂邪、聞イテモ良イカ?」
「ん、どうした?」
「オ前寒クナイノカ?」
「ん、どうした?」
「オ前寒クナイノカ?」
シェイドがそう問うのも無理はない
ミナワでさえも少し軽めであるが、白いコートに白い耳あて、水色のマフラーに青い手袋と、完全防備と言っていいのに対し、
裂邪は長袖のTシャツの上に黒の上着を羽織った程度で、軽装も良い所である
ミナワでさえも少し軽めであるが、白いコートに白い耳あて、水色のマフラーに青い手袋と、完全防備と言っていいのに対し、
裂邪は長袖のTシャツの上に黒の上着を羽織った程度で、軽装も良い所である
「寒いってか?」
「主、ここがどこか理解してるバクか? 南極バクよ!?
気温が常にマイナス何度っていう場所バクよ!?」
「私は何とか大丈夫です……蓮華さんの言う事が本当なら、私には元々耐性があるんだと思いますけど」
「ソノ格好ナラ普通凍死シテルゾ」
「主、ここがどこか理解してるバクか? 南極バクよ!?
気温が常にマイナス何度っていう場所バクよ!?」
「私は何とか大丈夫です……蓮華さんの言う事が本当なら、私には元々耐性があるんだと思いますけど」
「ソノ格好ナラ普通凍死シテルゾ」
暫く考え込むように黙り込む裂邪
何分経っただろうか、ようやく出た言葉が
何分経っただろうか、ようやく出た言葉が
「寒ッ!?」
「「「「今更!?」」」」
「いや死ぬほど寒くは無いが俺は大丈夫だ
理由は分からんが寒さを感じないみたい」
「オ前ソレデモ人間カ?」
「ヒヒッ、もうそろそろやばいかもな―――」
「旦那!つきやしたぜ!」
「「「「今更!?」」」」
「いや死ぬほど寒くは無いが俺は大丈夫だ
理由は分からんが寒さを感じないみたい」
「オ前ソレデモ人間カ?」
「ヒヒッ、もうそろそろやばいかもな―――」
「旦那!つきやしたぜ!」
目の前が白から青に塗り替えられてゆく
広がる海に浮かぶのは、僅かな流氷と巨大な氷山
その氷山がどうやら怪しかった
広がる海に浮かぶのは、僅かな流氷と巨大な氷山
その氷山がどうやら怪しかった
「…あれだな」
「気ヲ付ケロ裂邪、恐ラク――――」
「“都市伝説(そのもの)”だな……一応侵入してみるか」
「気ヲ付ケロ裂邪、恐ラク――――」
「“都市伝説(そのもの)”だな……一応侵入してみるか」
その時だった
幾つもの連続した銃撃音と共に足元の積雪が弾け飛んだ
思わず雪除けに顔を伏せた裂邪達が腕を退けると、上空に2つの機影が見えた
1つはまるでロケットのような形をしており、くるくると辺りを旋回していた
もう1つは綺麗な二等辺三角形で、その場にホバリングして留まっていた
幾つもの連続した銃撃音と共に足元の積雪が弾け飛んだ
思わず雪除けに顔を伏せた裂邪達が腕を退けると、上空に2つの機影が見えた
1つはまるでロケットのような形をしており、くるくると辺りを旋回していた
もう1つは綺麗な二等辺三角形で、その場にホバリングして留まっていた
「戦闘機……バクか?」
「ご主人様、この気配って…!」
「あぁ…ビオにそっくりだ」
《β04-Sanger-Stealth-MachineGun-Sky-1936,目標確認》
《β05-AvengerII-Stealth-MachineGun-Sky-1991,目標確認》
《《攻撃開始》》
「ミナワ!!」
「ご主人様、この気配って…!」
「あぁ…ビオにそっくりだ」
《β04-Sanger-Stealth-MachineGun-Sky-1936,目標確認》
《β05-AvengerII-Stealth-MachineGun-Sky-1991,目標確認》
《《攻撃開始》》
「ミナワ!!」
再び放たれる機関銃の弾丸を、無数のシャボン玉がぽよん、ぽよんと弾き返す
「今「ゼンガー」と「アヴェンジャーⅡ」って言ったよな!?」
「確かに言ってやしたが、何か御存知で!?」
「どっちも計画は存在したが、開発されないままに終わった兵器だ…
「ミドガルドシュランゲ」と同じな」
「何だか展開が読めてきたバクよ…」
「とにかくさっさとあの蚊蜻蛉を叩き落として――――――」
「確かに言ってやしたが、何か御存知で!?」
「どっちも計画は存在したが、開発されないままに終わった兵器だ…
「ミドガルドシュランゲ」と同じな」
「何だか展開が読めてきたバクよ…」
「とにかくさっさとあの蚊蜻蛉を叩き落として――――――」
どっと強い風が吹いたかと思えば、
彼等の周囲に浮いていたシャボン玉が、突風に巻き込まれて吹き飛ばされてしまった
それはどうやら自然の風ではなく、意図的に起こされたもの
彼等の周囲に浮いていたシャボン玉が、突風に巻き込まれて吹き飛ばされてしまった
それはどうやら自然の風ではなく、意図的に起こされたもの
「何だ!?」
《β06-Monster-TornadoCannon-NapalmBallet-Land-1943,援護行動開始》
《β06-Monster-TornadoCannon-NapalmBallet-Land-1943,援護行動開始》
今度は地上、キュラキュラと甲高い音を響かせ、巨大な重戦車が姿を現す
地形に合わせたのか、その装甲は雪のように真っ白にペイントされていた
地形に合わせたのか、その装甲は雪のように真っ白にペイントされていた
「「モンスター」…こいつも計画のみに終わった兵器だ…
しかも今のはドイツで計画されていた「竜巻砲」!」
「今のところ気配はこれだけ…どうしますか!?」
「ミナワは理夢に乗って「ゼンガー」を墜とせ!」
「OKィ!」
「はい、ご主人様!」
「「アヴェンジャーⅡ」はウィルと……行け、ナユタ!」
しかも今のはドイツで計画されていた「竜巻砲」!」
「今のところ気配はこれだけ…どうしますか!?」
「ミナワは理夢に乗って「ゼンガー」を墜とせ!」
「OKィ!」
「はい、ご主人様!」
「「アヴェンジャーⅡ」はウィルと……行け、ナユタ!」
紫のパスをバックルに翳してひょいと投げると、
それは紫色のもやを纏った剣となる
それは紫色のもやを纏った剣となる
『仰せの儘に』
「がってんでい!」
「「モンスター」は俺がやる…行くぞシェイド!」
「了解シタ」
「がってんでい!」
「「モンスター」は俺がやる…行くぞシェイド!」
「了解シタ」
さらに金色のパスを翳すと、それは裂邪の手の中で黄金の鎌に変わる
そしてシェイドが黒い鎌に変化すると、裂邪はそれを携えて重戦車へ向けて走り出した
重戦車は砲口を彼に向け、2、3の砲弾を発射した
軽く跳び上がり、黒と金2本の鎌を持ってくるりと身体を宙で捻りながら全ての砲弾をスパッと両断する
と、斬られた弾はぼう!と勢い良く燃え上がった
そしてシェイドが黒い鎌に変化すると、裂邪はそれを携えて重戦車へ向けて走り出した
重戦車は砲口を彼に向け、2、3の砲弾を発射した
軽く跳び上がり、黒と金2本の鎌を持ってくるりと身体を宙で捻りながら全ての砲弾をスパッと両断する
と、斬られた弾はぼう!と勢い良く燃え上がった
「ナパーム弾か、厄介な……だが当たらなきゃ問題ない!」
突如裂邪は重戦車の真横に回るように進路を変え、尚も距離を詰める
「モンスター」と呼ばれるその戦車は、重量1,500t、全長42m、全幅18m、全高7m、
その大砲も80cmと何もかもが巨大であった
しかしそれ故に砲を旋回できず、新たに狙いを定めようにも動きが鈍重過ぎて即座に対応できない
「モンスター」と呼ばれるその戦車は、重量1,500t、全長42m、全幅18m、全高7m、
その大砲も80cmと何もかもが巨大であった
しかしそれ故に砲を旋回できず、新たに狙いを定めようにも動きが鈍重過ぎて即座に対応できない
「そぅら取ったぞ!」
早くも接近し、「モンスター」に上った裂邪
真上に来られては流石に何もしようが無い
ここで「モンスター」は砲身を上に向けた
そもそも「竜巻砲」は対空兵器としてドイツで構想されたものである
上空で戦う「ゼンガー」や「アヴェンジャーⅡ」を援護しようという算段だろう
真上に来られては流石に何もしようが無い
ここで「モンスター」は砲身を上に向けた
そもそも「竜巻砲」は対空兵器としてドイツで構想されたものである
上空で戦う「ゼンガー」や「アヴェンジャーⅡ」を援護しようという算段だろう
「だから真っ先に潰しに来たんだよ」
スパン!スパン!スパン!
小気味の良い音が鳴り、砲身は雪に落ちて装甲は無惨にも斬り裂かれる
その後も裂邪は二振りの鎌で斬り続け、とうとう重戦車はうんともすんとも言わなくなった
代わりに火花が散り始めた為、早々に裂邪が飛び降りると、その亡骸は黒煙を上げて爆発した
小気味の良い音が鳴り、砲身は雪に落ちて装甲は無惨にも斬り裂かれる
その後も裂邪は二振りの鎌で斬り続け、とうとう重戦車はうんともすんとも言わなくなった
代わりに火花が散り始めた為、早々に裂邪が飛び降りると、その亡骸は黒煙を上げて爆発した
《装填完了……発射》
「ゼンガー」から次々に撃たれる弾丸を、理夢はひょいひょいと避けてゆく
その上では、ミナワが小さなシャボン玉を作り出していた
既に空中では、雲と呼んでいい程に大量のシャボン玉が浮かんでいた
その上では、ミナワが小さなシャボン玉を作り出していた
既に空中では、雲と呼んでいい程に大量のシャボン玉が浮かんでいた
「これだけあれば大丈夫です!」
「よしっ、反撃すんぞ!」
「よしっ、反撃すんぞ!」
急ブレーキをかけ、追ってきていた「ゼンガー」に迎え撃とうとする理夢
だがその瞬間、「ゼンガー」がパッと消えてしまい、何処にも見当たらなくなった
だがその瞬間、「ゼンガー」がパッと消えてしまい、何処にも見当たらなくなった
「なっ……消えた!?」
「多分「ステルス技術」……SFなんかでよく出る見えなくなる技術ですね……でも!」
「多分「ステルス技術」……SFなんかでよく出る見えなくなる技術ですね……でも!」
ぼん!とシャボン玉が破裂したかと思えば、
消えた筈の「ゼンガー」がその機体から白煙を漏らしながら飛んでいた
消えた筈の「ゼンガー」がその機体から白煙を漏らしながら飛んでいた
《機体損傷……30%……》
「えへへ、見えなくてもシャボン玉の動きで分かるんですよ♪」
「なるほど、シャボン玉の使い方にかけては天才だ、な!」
「えへへ、見えなくてもシャボン玉の動きで分かるんですよ♪」
「なるほど、シャボン玉の使い方にかけては天才だ、な!」
瞬時に「ゼンガー」に接近し、長い鼻を叩きつける理夢
「ゼンガー」はコントロールを失い、そのまま地上目掛けて急降下した
「ゼンガー」はコントロールを失い、そのまま地上目掛けて急降下した
「『ハイストレーネ』!!」
シャボン玉がぱちん!ぱちん!と弾け始め、
出来た欠片が凍り、ガラスの破片のようになって落下する「ゼンガー」に追い打ちをかける
既にボロボロになった「ゼンガー」は地上に激突、激しく爆発した
出来た欠片が凍り、ガラスの破片のようになって落下する「ゼンガー」に追い打ちをかける
既にボロボロになった「ゼンガー」は地上に激突、激しく爆発した
「あーぁ勿体ねぇ、あの装甲美味そうだったのに」
「ダメですよ、理夢さんは悪い夢だけ食べてれば良いんです」
「……ミナワ、テメェ段々主に似てきたぞ?」
「ダメですよ、理夢さんは悪い夢だけ食べてれば良いんです」
「……ミナワ、テメェ段々主に似てきたぞ?」
「『プロミネンス』!!」
火の龍がうねりながら「アヴェンジャーⅡ」に襲い掛かる
が、「アヴェンジャーⅡ」はそれを躱したかと思えば、その姿がパッと消える
が、「アヴェンジャーⅡ」はそれを躱したかと思えば、その姿がパッと消える
「ちっ、また消えちまいやしたぜ……」
『……ふむ、見えないと幾ら追っても無駄だね』
『……ふむ、見えないと幾ら追っても無駄だね』
見えない場所から機関銃による銃撃が襲う
だがウィルは霊体であるが故、糠に釘も良い所で、
ナユタは「ヴァルプルギスの夜」で防御している為、一切の攻撃が効かない
とは言え、今は互いに攻撃が封じられているようなもの
先に対策を練られた方が勝者である
今回勝利の女神が微笑んだのは―――
だがウィルは霊体であるが故、糠に釘も良い所で、
ナユタは「ヴァルプルギスの夜」で防御している為、一切の攻撃が効かない
とは言え、今は互いに攻撃が封じられているようなもの
先に対策を練られた方が勝者である
今回勝利の女神が微笑んだのは―――
『む、ウィル君と言ったか? 確か分身して辺りに散らばれた筈だね』
「あぁ出来やすぜ!」
「あぁ出来やすぜ!」
あっと言う間にウィルは増殖し、辺りには赤い火の玉が散乱した
「「「「これでどうするんでい?」」」」
『そのまま強く輝きたまえ』
『そのまま強く輝きたまえ』
「がってん!」と答え、ウィルの群れはナユタの要望通り強い輝きを放った
そして、ナユタはその刀身に光を宿した
そして、ナユタはその刀身に光を宿した
『さぁ、照時間(ショウタイム)だ』
あらゆる光を跳ね返し、己の攻撃とする「エルクレスの塔」
それは幾つもの光源からの光を反射し、幾つもの方向に光条が伸びていった
無差別な光の槍は姿を晦ましていた「アヴェンジャーⅡ」に突き刺さった
それは幾つもの光源からの光を反射し、幾つもの方向に光条が伸びていった
無差別な光の槍は姿を晦ましていた「アヴェンジャーⅡ」に突き刺さった
「「「「お、お出でなすった!!」」」」
『今だ!』
『今だ!』
全てのウィルが集結し、ナユタを纏うと、
「ティルヴィング」を嘴に見立てて火の鳥の形となった
「ティルヴィング」を嘴に見立てて火の鳥の形となった
「『天照』!!」
火の鳥によっていとも容易く撃ち抜かれた「アヴェンジャーⅡ」は、
空中で轟音と共に無惨にも爆散した
空中で轟音と共に無惨にも爆散した
「終わったみたいだな」
理夢とミナワ、ウィルとナユタの無事を確認すると、
裂邪はもう一度、巨大な氷山を見据えた
裂邪はもう一度、巨大な氷山を見据えた
「先程ノ兵器ハ警告ダト受ケ取ッテ良イダロウ……“近寄るな”、ト」
「あぁ。つってもここで下がる訳にゃ行かないんでね
絶対に……ビオを助けだしてみせる」
「あぁ。つってもここで下がる訳にゃ行かないんでね
絶対に……ビオを助けだしてみせる」
彼の意志は固く、再び氷山へと歩き始める
とある野望の渦巻く、敵の懐へ
とある野望の渦巻く、敵の懐へ
...To be Continued