「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-83

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
「ようこそ、歓迎するよ…黄昏裂邪くん?」

かつ、かつ、と右腕に重々しい機械を装備した白衣の青年が歩み寄る
ある程度距離を置いて止まると、彼はまた口を開いた

「僕の作った兵器達はどうだったかな?…まぁ、君に壊された以上“失敗作”としか言い様が無いけどね
 それでもβNumberless-Cyborg-Mutant+Panjandrum-PlasmaCannon-Land-1960はなかなかの傑作だと言えるかな
 異世界の君には本当に感謝するよ、お陰で兵器の開発が捗った」
「誰だ?」
「…フフフ、せっかちだね君も……では自己紹介と行こうかな」

青年は左腕を胸に当て、丁寧に軽く御辞儀をしてから話を再開した

「初めまして、僕はβ-No.0
 君が先日配属になったR-No.と同じ「組織」の一員さ」
「ッ……「組織」のNo.0ぉ!?」
「もう一つ聞こうか。何故俺のことを知ってるんだ?」
「その筋に詳しい者がいてね……他にも知ってるよ?
 「シャドーマン」のシェイド、「童謡シャボン玉」「くるくる回るシャボン玉」に飲まれた元契約者ミナワ
 「獏」の理夢、「鬼火」のウィル、そして……」

くすっ、と彼は小さく笑って
再び、彼等を見据えて言葉を放った

「…久しぶりだね、ディシリオン・ダークナイト」

聞き慣れない名前
だがその名に唯一反応したのは、ナユタだった

『なっ……何故その名を知っている?』
「まさか生きていたとね…“彼女”のことは、残念だったよ」

邪悪と形容しても差し支えない笑みを見せるβ-No.0に向かって、
ナユタは裂邪の手を離れて真っ直ぐに飛んでいった

「お、おい!待てナユタ!」
『はあああああああああああああああああああああああぁ!!!』

がきぃん!!と甲高い音が響く
ナユタの「ティルヴィング」と、β-No.0の右腕の機械から伸びるレーザーブレードが、火花を散らしてぶつかった

「おやおや、暴力的なのは昔と変わらないね」
『答えろ! アルを……アルケミィ・エインシェントをどうしたぁ!?』
「僕に聞かれても困るな、あれは僕の管轄外で…ね!」

かぁん!と弾かれ、「ティルヴィング」は床に投げ飛ばされた
からん、からから、と剣がスピンし、暫くして止まった
β-No.0はレーザーブレードの切っ先を飛んでいったナユタに向けたかと思えば、
光の剣は消え、代わりに発射口から雷光が瞬く

『くぅっ!?』
「よく無事で生きていたものだ……死んでくれても構わなかったのに」
「させるか!」

雷光を纏った鉄の弾が、ナユタ目掛けて射出された
が、間一髪のところで巨大なシャボン玉によって防がれる
さらに裂邪が黒い鎌と黄金の鎌を持ってβ-No.0に攻撃を仕掛ける
β-No.0は光の剣を振るい、黒と金の刃を弾きながら、白衣を翻してひらりと後方へ飛んだ

「ナユタ、無事か!?」
「こっちは大丈夫です!」
『……すまない』
「ほう、君が謝るなんて珍しい事もあるんだね
 契約者が出来て心に変化でも訪れたのかい、ディシリオン・ダークナイト?」
「黙れ! お前、ナユタの何を知ってる!?」
「そうだね、君達には話しておこうかな」

薄ら笑みを浮かべ、彼は光の剣を消して両腕を背に回した
――――笑ってるのに感情が全然感じられないな…
裂邪は背筋に嫌なものを感じた

「今から40年程前の話だ……当然君達は生まれてもいないが、これは「組織」が出来る前の話でもある」
「「組織」結成より前…?」
「ある人物を中心に、僕達は都市伝説と人間の繋がりについて研究をしていた
 “XADOMEN(ジャドーメン)計画”……これは被験者のコードネームから取ったものだ」
『…身寄りのなかった僕達に善人を装って歩み寄り…そして私利私欲の為に僕達を弄んだ…!』
「人聞きが悪い…親も家もなかった君達に帰る場所を与えてやったのは僕達だよ?
 尤も、僕は君や“彼女”のお陰で、この研究から退いたけどね」

はふ、と溜息を吐いたβ-No.0
その目からは蔑みの念が読みとれた

「“XADOMEN計画”は順調に進んだ……筈だった
 しかしアルケミィ・エインシェント、ディシリオン・ダークナイトの両名が失踪し、研究に支障が出た
 失望したよ……人間達の脆さに、ね」
「ふざけんな!」

2本の刃が床に突き刺さった
軽やかに躱し、宙に飛んだβ-No.0を、理夢の爪が襲い掛かった
が、光の剣によって爪を防ぎ、体勢を整えて着地する
追撃してきた火の鳥の突撃もひらりと避けたが、白衣が黒く染まった
燃え始めた白衣を、β-No.0は、ばさ、と投げ捨てた

「人間が脆いだと? こいつを、ナユタを見てまだそんな戯言が言えんのか!?
 こいつが飲まれた理由をお前は知ってんのか!?
 お前みたいな馬鹿の所為で、こいつがどんだけこの世に絶望したか知ってんのか!?」
『ッ…マスター……』
「知らないよ、知る必要も無いしね
 僕が興味を持ったのは、そんな人間の感情なんかじゃない
 もっと便利なものだよ」

パチン、と指が鳴らされると、
彼の背後の床が開いたかと思えば、エレベーターのように何かが上昇してきた

「友、仲間、家族………人間なんて、“生きている”から失われてしまうんだよ
 だけど、そもそも命の概念の無い機械なら、失われるものは何もない
 例え壊れてもまた作り直せば良い………機械は永遠の兵器だよ」

現れたのは、蛇型の巨大ロボットだった
曇った鏡のような装甲を持ち、77個のキャタピラ付きユニットが連なっている
頭部のように擡げた先頭車両には、4基のドリルと2つのランチャーパックが装備されていた
忘れもしないその姿は、裂邪が探していた“友達”のものと同一のもの

「……ビ、オ………」
「行け、β10-MidgardSchlange-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land&Sea-1935228
 脆く儚い人間達を始末しろ」



   ...To be Continued

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