灰色のパスの輝きが失われると、ビオの姿はそこになかった
元々何も無い広間だったが、あの巨体が消えただけで景色ががらりと変わったかのような錯覚に見舞われる
元々何も無い広間だったが、あの巨体が消えただけで景色ががらりと変わったかのような錯覚に見舞われる
「ガラクタと契約して何になると言うんだね?」
「……シェイド、ミナワ、理夢、ウィル、ナユタ
悪いがこいつは……“俺達”に殴らせろ」
「……シェイド、ミナワ、理夢、ウィル、ナユタ
悪いがこいつは……“俺達”に殴らせろ」
何も言わず、各々はただ頷き、彼に賛同の意を示した
裂邪はそれを分かっていたのだろう、振り返らずにパスを構えた
裂邪はそれを分かっていたのだろう、振り返らずにパスを構えた
「行くぞ、ビオ」
パスをバックルに翳した瞬間、《ミドガルドシュランゲ》という機械音声が流れ、
彼の手からパスが離れ、再び眩く輝き始めた
四角形が徐々に小さな蛇の形へと変化し、さらにそれは徐々に、徐々に大きくなっていき、
光が消えると同時に、姿を現した
彼の手からパスが離れ、再び眩く輝き始めた
四角形が徐々に小さな蛇の形へと変化し、さらにそれは徐々に、徐々に大きくなっていき、
光が消えると同時に、姿を現した
「ッ!? 馬鹿な、「生命エネルギー」は残っていない筈……!?」
「都市伝説が生きてんのは誰かに命を貰うからじゃない……
“誰かが生きてると信じている”から生きているんだ!」
《弾薬装填完了,照準確認,全砲一斉射撃用意…………Boss,指示ヲ》
「よし、ビオ! ありったけの弾丸を叩きこんでやれ!!」
《Yes,Boss》
「都市伝説が生きてんのは誰かに命を貰うからじゃない……
“誰かが生きてると信じている”から生きているんだ!」
《弾薬装填完了,照準確認,全砲一斉射撃用意…………Boss,指示ヲ》
「よし、ビオ! ありったけの弾丸を叩きこんでやれ!!」
《Yes,Boss》
機関銃が一斉に放たれる
弾丸の雨を受けぬよう、β-No.0は走り出した
さらに右腕のレーザーブレードを使い、弾丸を弾いて防ぐ
弾丸の雨を受けぬよう、β-No.0は走り出した
さらに右腕のレーザーブレードを使い、弾丸を弾いて防ぐ
「忘れたのかい? そのガラクタは僕が作ったんだよ?
自分の作ったものの性能くらい、覚えているさ」
「だったら教えてやろうか、生まれ変わったビオの力をな……ビオ!」
《Yes,Boss》
自分の作ったものの性能くらい、覚えているさ」
「だったら教えてやろうか、生まれ変わったビオの力をな……ビオ!」
《Yes,Boss》
裂邪がビオに触れた直後、ビオの機体は見る見る内に小さくなり、
やがて人間大のサイズになると、蛇のように連なったユニットがばらばらになって、
それぞれ裂邪の身体に装着されて鎧となる
右腕には4基のドリルが唸り、両肩にはランチャーパックが装備され、
身体中の機関銃が目標を定めて動いている
余ったユニットは裂邪の背後に尾のように連なっており、その姿はムカデを想起させる
やがて人間大のサイズになると、蛇のように連なったユニットがばらばらになって、
それぞれ裂邪の身体に装着されて鎧となる
右腕には4基のドリルが唸り、両肩にはランチャーパックが装備され、
身体中の機関銃が目標を定めて動いている
余ったユニットは裂邪の背後に尾のように連なっており、その姿はムカデを想起させる
「……『デウスXマキナ』………そう呼ばせて貰う、であります」
地面に刺さっていた黄金の鎌が黄金色のバズーカ砲となり、
彼はそれを左手に掴み、銃口をβ-No.0に向けた
彼はそれを左手に掴み、銃口をβ-No.0に向けた
「ターゲットロックオン、戦闘開始……最初に宣言する。自分は、か・な・り、強靭であります」
「……ほう、噂には聞いていたが、驚いたね……それが都市伝説との“融合”か」
「モウココマデ来ルト“合体”ダナ」
「外野は黙っていろ、であります」
「既に捨てたものとはいえ、僕の傑作を台無しにされるのは見ていられないな」
「……ほう、噂には聞いていたが、驚いたね……それが都市伝説との“融合”か」
「モウココマデ来ルト“合体”ダナ」
「外野は黙っていろ、であります」
「既に捨てたものとはいえ、僕の傑作を台無しにされるのは見ていられないな」
パチン、とβ-No.0が指を鳴らすと、頭上から何かががちゃん、がちゃんという金属音と共に降ってきた
異形の生命体のような上半身、大きな車輪のある下半身
「ミュータント」のサイボーグ達だ
異形の生命体のような上半身、大きな車輪のある下半身
「ミュータント」のサイボーグ達だ
「仕留めろ」
《G………G………Z………G………Z………》
「卑劣……だが無駄、であります」
《G………G………Z………G………Z………》
「卑劣……だが無駄、であります」
向かい来る1機の「ミュータント」の胸部を、ドリルで貫いて返り討ちにする
全身の砲台から放たれる機関銃の弾丸が、「ミュータント」達を蜂の巣にする
左手のバズーカから伸びた光条が次々と「ミュータント」を串刺しにしてゆき、
肩のランチャーパックから撃たれたチタンの嵐が「ミュータント」をスクラップにする
何時の間にか、立ち上がっている「ミュータント」は1体もいなくなっていた
振り返ろうとした瞬間に殺気を感じ、ドリルでレーザーブレードを制した
全身の砲台から放たれる機関銃の弾丸が、「ミュータント」達を蜂の巣にする
左手のバズーカから伸びた光条が次々と「ミュータント」を串刺しにしてゆき、
肩のランチャーパックから撃たれたチタンの嵐が「ミュータント」をスクラップにする
何時の間にか、立ち上がっている「ミュータント」は1体もいなくなっていた
振り返ろうとした瞬間に殺気を感じ、ドリルでレーザーブレードを制した
「……最初から貴官が戦った方が早かった、であります」
「どうやらそのようだ、ね!」
「どうやらそのようだ、ね!」
レーザーブレードとドリルが激しくぶつかり合う
β-No.0が距離を置き、レールガンを放ったが機関銃の弾幕によって撃ち落とされた
そのお返しと言わんばかりに裂邪はバズーカを放った
まるで見切っていたかのように、β-No.0は悠然と黄金の光条を避けた
が、裂邪はバズーカから光線を発射したまま、機関銃とチタン製ベアリング弾を添えて足のキャタピラで前進し始めた
人の形をした戦車、否、寧ろ移動要塞とも取れるそれは、β-No.0に向かって進み続ける
躱せるものは躱し、防げるものは防いでゆく
だが、これだけの攻撃を全て避けきり防ぎきるには、彼の装備は足りなさすぎた
β-No.0が距離を置き、レールガンを放ったが機関銃の弾幕によって撃ち落とされた
そのお返しと言わんばかりに裂邪はバズーカを放った
まるで見切っていたかのように、β-No.0は悠然と黄金の光条を避けた
が、裂邪はバズーカから光線を発射したまま、機関銃とチタン製ベアリング弾を添えて足のキャタピラで前進し始めた
人の形をした戦車、否、寧ろ移動要塞とも取れるそれは、β-No.0に向かって進み続ける
躱せるものは躱し、防げるものは防いでゆく
だが、これだけの攻撃を全て避けきり防ぎきるには、彼の装備は足りなさすぎた
「これが……貴官が“ガラクタ”と称した者の力、であります……!!」
「くっ…フフ、なるほど、流石に――――」
「くっ…フフ、なるほど、流石に――――」
瞬間、ぐらりと彼の視界が傾いた
数多の攻撃によって床が抉られて出来た穴で、足が縺れてしまったのだ
この機を裂邪は逃さなかった
β-No.0の背を、4本のドリルが貫いた
数多の攻撃によって床が抉られて出来た穴で、足が縺れてしまったのだ
この機を裂邪は逃さなかった
β-No.0の背を、4本のドリルが貫いた
「ッ――――――――!?」
「全砲門………一斉射撃……!!」
「全砲門………一斉射撃……!!」
バズーカ、ランチャー、マシンガン、全てが動けぬβ-No.0に向けられた
彼の身体は爆煙に包まれながら、壁に叩きつけられた
尚も攻撃が続き、遂にはがらがらと鈍い音を立てて壁が崩れて大穴が空いた
爆破音と共に、穴から黒煙が溢れ出た
彼の身体は爆煙に包まれながら、壁に叩きつけられた
尚も攻撃が続き、遂にはがらがらと鈍い音を立てて壁が崩れて大穴が空いた
爆破音と共に、穴から黒煙が溢れ出た
「……任務、完了……であります」
呟き終えると同時に、裂邪を纏う鎧が解除され、連なって元のビオに戻った
待機していたミナワ達が、彼等の元に駆け寄った
待機していたミナワ達が、彼等の元に駆け寄った
「ご主人様! お身体は御無事ですか!?」
「あぁ、今のところは何ともない。心配かけて悪かった」
「何時の間にやら丈夫になりやしたねぇ」
「つぅか馬鹿じゃねぇのかテメェ、何処の世に都市伝説7つと契約しやがる奴がいんだよ、普通ならとっくに飲まれてんぞ!」
『ま、仮契約なら契約者への負担も少ないのだろう』
「ウヒヒヒ……それより、」
「あぁ、今のところは何ともない。心配かけて悪かった」
「何時の間にやら丈夫になりやしたねぇ」
「つぅか馬鹿じゃねぇのかテメェ、何処の世に都市伝説7つと契約しやがる奴がいんだよ、普通ならとっくに飲まれてんぞ!」
『ま、仮契約なら契約者への負担も少ないのだろう』
「ウヒヒヒ……それより、」
裂邪は振り返って、ビオの頬に当たるであろう、先頭車両の側部を撫でた
「ありがとうビオ。てかやっぱお前強ぇなw」
《礼ハ,不必要,デアリマス……Bossハ,自分ヲ二度救ッテクレタ………友達、デアリマス故》
《礼ハ,不必要,デアリマス……Bossハ,自分ヲ二度救ッテクレタ………友達、デアリマス故》
ビオがそういうと、くすっ、と裂邪は小さく笑った
「バーカ、お前はもう友達なんかじゃねぇよ」
裂邪は笑ってそう言った
ビオは恐らく首を傾げたようだったが、シェイド達はその意味を解したらしく、
それぞれ呆れるなり微笑むなりしていた
ビオは恐らく首を傾げたようだったが、シェイド達はその意味を解したらしく、
それぞれ呆れるなり微笑むなりしていた
「……ビオ。お前は今日から……俺の“家族”だ」
...To be Continued