「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-89

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
恐らく俺は気がついたらしい
心成しか、長い眠りについていた気がする
どういう訳か右半分が真っ暗だ
失明でもしたのだろうか
あちこちに痛みを感じる身体を、俺は無理に起こした
一瞬、右目に光が入った
これは……髪か? こんなに長かっただろうか
起きる前に何をやっていたのか、考えた
そうだ、俺は……

「ご主人様ぁ!!」

突然、身体を強く抱きしめられた
痛みで呻きそうになったが、その姿を見て痛みどころではなくなった

「………ミナワ……なのか?」
「そうッですよぉ…もぉ、無茶ばっかり、してぇ……ばかぁ……」
「…すまなかった。俺の為に考えてくれたんだよな……有難う」

泣きじゃくるミナワをそっと抱きしめ、俺は彼女の頭を撫でた

「…本当に奇跡ですわね」
「一時はどうなるかと思ったが」

ふと見れば、ローゼちゃんが安堵を浮かべた表情でこちらを見ていた
隣にいるのは黒いローブを羽織った、黒い長髪に浅黒い肌、赤い瞳の妙齢の女性

「……ん? お前……」

初めて見た筈なのに
俺はそれが誰なのか、分かった気がした

「やっとヒーローが目覚めやがったか」
「無理もありゃせん、あれだけの事をしなすったんでい」
「ま、大馬鹿者も良い所だね」
「ボス、身体の具合は、宜しい、でありますか?」

次々に視界に入ったのは、
白い毛皮のジャケットを着た、白髪で碧眼の、八重歯が目立つ十代くらいの少年
赤い袴を着て黄色い扇子を持った、赤髪で細目の二十代くらいの男性
紫色のジャンパーを着て金の柄の剣を持った、紫の長髪を後ろで縛った小学生くらいの少年
灰色の迷彩服を着た、灰色のセミショートで感情の薄い10代くらいの少女

「……何?」
「あ、えっと、ご主人様、この方達は―――」
「理夢、ウィル、ナユタ、それにビオ……なのか?」
「へぇ、分かるもんなのか。流石は主だぜ」
「覚えて頂き光栄、であります」

白髪の少年――理夢は、腕を組んで満足そうに言い、
灰髪の少女――ビオは敬礼しつつ、ポーカーフェイスで言った

「いやーしかし、まさか人間になっちまうたぁ思いやせんでしたねぇ」
「おほほほ、全くですわ♪」
「ムギュ……き、君、僕の事を嫌っていた筈じゃなかったかね?」
「貴方が子供なら話は別ですわ♪ あぁん可愛らしい♪」

赤髪の男性――ウィルは扇子を広げて笑い、
紫髪の少年――ナユタはローゼちゃんに抱きしめられて苦しそうにしていた
と、いうことは……

「…お前……シェイドか」
「あぁ。意外そうだな?」
「女だと思ってなかったからな」
「……我々には、性別の概念がなかった…筈なのだが」
「でも、どうしてこうなったんだ?」
「その説明に至る前に、他に話さなければならないことがあります」

ばたん、とドアを閉めて現れたのは蓮華ちゃんだった
その表情から察するに、状況はあまり宜しくないようだ

「……話、というのは?」
「まず最初に…とんでもないことをやらかしましたね」

アタッシュケースを開けて彼女が取り出した袋には、
金と紫、灰色の、3つのパスの破片が入っていた
不意に己の胸元に手を当てると、そこには金色の枝のペンダントになった「レイヴァテイン」が提げられていた

「貴方が融合を解いた時、貴方の傍に落ちていました
 これが破壊されているという事は、今の「レイヴァテイン」、そしてナユタとビオは、仮契約では無く本契約されている
 つまり…貴方は7つの都市伝説と本契約を結んでいる状態だということになります」
「…皆が無事で俺も生きているという事は…成功してた訳か」
「いえ、そうでもありません」
「何?」
「じ、実は……あの後、私達はすぐに目を覚ましたのですが、ご主人様は……」
「7つの、しかも実際はトータルで14の都市伝説と本契約を結んでるんですよ?
 器が耐えられる訳がありません……現に、貴方も飲まれる寸前でした」
「なっ……!?」
「ですが、裂邪さん自身が抵抗し、ギリギリ保っている状態でした
 が、放っておけば飲まれ……消滅していたかも知れません
 まぁ、御存知の通り今は大丈夫です。ちょっと手古摺りましたけど…」

と、蓮華ちゃんが俺の布団を勢い良く剥ぎ取った
俺が見たのは、俺の腰に巻かれたベルトだった
『ウルベルト』のようだが、少し違う

「……新しいベルトか?」
「壊したり、外したりできないように設計してありますが…絶対にしないで下さいね?
 もしこのベルトが貴方の身体を離れたら、その時は死ぬと思って下さい」
「物騒だな…」
「今までのものは都市伝説召喚機に過ぎませんでしたが、
 こちらは都市伝説制御装置になりますからね」
「だが、パスはどうするんだ?」
「パスの代わりに、これを使います」

手渡されたのは、黒をベースに金のラインが入ったスマートフォンだった
良く見れば、俺のXperiaに似ている

「貴方の故障したスマートフォンを改造しました
 使い方は後程改めて説明致しますが、主な用途は3つ
 1つ目は都市伝説の呼び出し
 2つ目は都市伝説との繋がりの調節
 3つ目は都市伝説との融合」
「繋がりの調節?」
「「教会」のロリス・カスティリオーニから頂いた、契約を司る天使「メタトロン」の羽を用いて、
 契約都市伝説の繋がりの強弱を調節し、契約者への負担を和らげます」
「ほう…ん、融合もこのベルト頼みか?」
「当たり前です。これまでのように直接すると一気に飲まれます
 代わりに、融合時の負担も軽くなりますので」
「へぇ……有難う、後で詳細も宜しくな」
「はい」
「で、こいつらがこうなった理由だが」

俺はシェイド達を見回した
ウィルは顔を顰めて紫の扇子を煽いでいる。感情で扇子の色が変わるのか
ナユタは未だにローゼちゃんに抱きしめられていた。いい加減苦しそうだな

「私も断言はできませんが……
 恐らく、貴方が7つの都市伝説と同時に、情報が混ざってしまったんだと思います」
「混ざった?」
「成程、要は裂邪が都市伝説に近くなった代わりに、
 我々が裂邪から“人間”の情報を得た……ということか?」
「そんなところですね」
「待て、じゃあ「レイヴァテイン」はどうなる? これだけは今まで通りなんだが」
「これも憶測ですが、貴方と一番繋がりが深くなったのだと思います
 簡単に言えば、「レイヴァテイン」は貴方自身であり……貴方は「レイヴァテイン」の一部でもある、と」
「……有難う、大分理解できた
 あぁそうそう、この髪なんだが―――」
「やっと気付きましたね! そこなんですよ私が気になってたのは!」

やけにテンションが上がる蓮華ちゃん
この子こんなキャラだったか?

「やはり推測の域を出ませんが、一度全ての契約を解除したことで止まっていた成長が進行したんだと思います
 何せこれも初めて見た現象なので、まだ何とも言えないんですよ」
「そういや主、背も伸びてたぜ」
「本当か?」
「はい、測ったら何センチか伸びてました」
「確かに興味深いな……そんなこともあるのか」

実際どれくらい伸びたのだろうか…後で調べておかねば
ふと天井を見ながらそんなことを考えていると、視界に黒髪の女性が映った

「どうした、シェイド?」
「誰も口にしないから敢えて言うが…お前何日寝てたか知ってるか?」
「へ?……おい今何日だ?」
「11月5日土曜日…丸5日眠っていた、であります」
「しまった……学校は!?」
「ご安心を。御両親に報告した上で、ルートちゃんに頼んでインフルエンザ感染を理由とした出席停止の処置を取らせて頂きましたの」
「…ふぅ、良かった……」
「何処がだ!! この5日間、我々がどれだけ心配したか分かってるのか!?
 少しは自分の身の安全を考えて行動しろ!!」

両肩を掴まれ、部屋が静かになるほど怒鳴られた
あまりに唐突すぎて、思わず視線を反らしてしまった

「…わ、悪かった、シェイド……心配させてごめん―――」

そう言いかけた直後だった
初めて、俺はシェイドに抱きしめられた
心が安らぐような、優しい匂いがした

「……え?」
「もう、私に心配をかけさせるな……馬鹿息子」

言われて、心の奥底から、何かが溢れそうになった
今この瞬間に、彼女に―――シェイドに伝えたいことが、湧水のように、幾多も溢れ出す
その多くが、上手く言葉にならずに霧散して消えていった
ただ一つだけ、言い出せたのは

「………母、さん………」

それ以上は何も言えなかった
涙を隠す為に顔を埋めると、ぽん、と頭を撫でられた
優しく、温かな感触だった

「はーいストップストップ!」

突然、シェイドが引き離され、入れ替わるようにミナワに抱きしめられた
いつになく、強い力で

「ミ、ミナワ? どうかしたのか?」
「どうもこうもありませんよ! 不毛すぎます!
 シェイドさん、今私の裂邪を誘惑しようとしてたでしょ!?」
「なっ!? ば、馬鹿違うっ!?」
「だって裂邪の顔を胸に押しつけてたじゃないですか!
 ただでさえ大きいのにやめてくださいよ! ねぇ裂邪♪」
「ミナワ、」
「何ですふぁっ!?」

俺はミナワの頬を抓った
もっちりとした幼い肌はよく伸びた

「い、いふぁいいふぁい! ふぁ、ふぁんふぁんふぇふふぁ!?」
「お前が何なんだ、あの状況で割り込まないだろ普通
 あとシェイドに限ってそういう気を起こす訳が無い事はお前も解ってる筈だ」
「ほ、ほふぇんふぁふぁいぃ~!」
「解れば良い……ッヒヒ」

頬から手を離すと、俺はミナワを強く抱きしめ返した
「ふえ!?」と驚いたようにあげた声が久しぶりで、一層愛おしく感じた

「言っただろ? 俺はこの世で唯一お前だけを愛してる。お前だけが俺の女だ」
「えっ、や、やだっ、そんな、皆の前でッ……れ、裂邪ぁ……///」
「…なぁ、なんか主、いつもと違ってねぇか?」
「そうだね、契約の副作用か何かかも知れない」
「? ボスはボス、であります」
「あー、ビオの姐さん、そういう訳じゃ―――」
「あのぉ…そろそろ良いかしら?」

完全に蚊帳の外だったローゼちゃんが、冷や汗をかきつつ訊ねてきた
蓮華ちゃんは、膝を抱えて回転椅子に座ってくるくる回っていた……何かあったのか?

「えっと、これから裂邪さんのコードネームを発表しようと思いますの」
「コードネーム?」
「『Rangers』のメンバーには、任務の時はコードネームで活動して頂く決まりですの
 本当は初任務の時に言い渡す予定だったのだけれど、いつものノリで……てへっ♪」
「いや忘れてたんじゃねぇか」
「コードネームでござんすか、なかなか「組織」らしくなってきやしたねぇ」
「……それで、俺のコードネームは?」

ふふん、と勿体ぶったような顔で、ローゼちゃんは鼻を鳴らし、
ハイヒールの音を響かせて俺の方に歩み寄った

「…裂邪さん、これからは「組織」として、様々な任務をこなして頂く事になりますわ
 でも、貴方なら……いいえ、“貴方達”ならきっと、どんな困難にも立ち向かえると、ワタクシは信じています
 “七つ”の都市伝説を使役し、“七つ”の色に“変化”する………」

彼女は立ち止ると、右手を、す、と挙げ、
ビシッ、と勢い良く俺を指差した

「裂邪さん……いいえ、貴方の名は…………」





   ...To be Continued



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