僕は車のトランクに詰めていたジュラルミンケースを手に取る。
この中には光線銃やスタンガン、特殊警棒が入ってたりする。
厨二真っ盛りの頃に通販で買って改造してそのまま趣味になってしまったのだ。
僕は助手席側のドアを開けてジルりんについてくるように促した。
この中には光線銃やスタンガン、特殊警棒が入ってたりする。
厨二真っ盛りの頃に通販で買って改造してそのまま趣味になってしまったのだ。
僕は助手席側のドアを開けてジルりんについてくるように促した。
「猫股邸、それはこの街では有名な幽霊屋敷だ」
開けっ放しの大きな門を通りぬけ、誰も手入れしてない朽ちた庭園を歩きながら、僕は彼女に語る。
「この屋敷の主人、猫股冬二は大の猫好き
彼以外の家族も、唯一人の例外を除いて皆猫が好きだったそうだ
彼の家の周りには沢山の猫が住み着いて、そこの住民と仲良く暮らしていたそうだよ」
彼以外の家族も、唯一人の例外を除いて皆猫が好きだったそうだ
彼の家の周りには沢山の猫が住み着いて、そこの住民と仲良く暮らしていたそうだよ」
「私も……猫は嫌いじゃないな
いつもは猫くらいしか私と遊んでくれなかったし」
いつもは猫くらいしか私と遊んでくれなかったし」
泣けるねえ。
「だがある日のこと、家に強盗が入ってきて彼らを皆殺しにした
死体はそれは惨たらしいものだったそうだ
警察も最初は怨恨の線で捜査したそうだが犯人の男と家族の繋がりは見つからなかった」
死体はそれは惨たらしいものだったそうだ
警察も最初は怨恨の線で捜査したそうだが犯人の男と家族の繋がりは見つからなかった」
「犯人から何か聞き出せば良いんじゃないのか?」
「それがこの事件の奇妙なところでね
運良く帰りの遅れたその家の末っ子が他の家に助けを求めた時、男は既に白骨遺体と化していたんだ」
運良く帰りの遅れたその家の末っ子が他の家に助けを求めた時、男は既に白骨遺体と化していたんだ」
「……え?」
「ありえないだろう、仮に殺されていたとしても数時間で死体が白骨化するなんてありえない、あってはならない
何故犯人と思しきその男が死んだのかは不明のまま、警察も結局捜査は切り上げた」
何故犯人と思しきその男が死んだのかは不明のまま、警察も結局捜査は切り上げた」
「……それってもしかして末っ子が契約者だったとかじゃないか?
男は罪をなすりつけられるための哀れなスケープゴート
末っ子の方が実は……
なあ、悲喜。さっき言っていたネコ好き家族の例外ってまさにその末っ子だったりしないか?」
男は罪をなすりつけられるための哀れなスケープゴート
末っ子の方が実は……
なあ、悲喜。さっき言っていたネコ好き家族の例外ってまさにその末っ子だったりしないか?」
「その通り、思ったより頭が働くねえジルリン」
「ジルりんってなんだそれ」
「ジルってのだと味気ないだろう。可愛い者には可愛い呼び名が要る
君にとってのそれがジルリンだったというだけのことだ」
君にとってのそれがジルリンだったというだけのことだ」
「可愛い……? そ、その、可愛いっていうのをやめろ! 私は怖いんだからな!」
「オーケーそれは解ってる。だがその君が恐怖を与えるべき相手は俺じゃあない
この館に巣食っているかもしれない怖い怖いお化けだ
推理ごっこは小休止、お化けの相手はお化けたる君に任せるよ」
この館に巣食っているかもしれない怖い怖いお化けだ
推理ごっこは小休止、お化けの相手はお化けたる君に任せるよ」
僕はそう言って屋敷のドアに手をかける。
ノブをひねり、ドアを引く。
ノブをひねり、ドアを引く。
ガチャッ!ガチャッ!
鍵がかかっていた。
考えてみれば当然だ。
弟が知り合いから頼まれたってだけで何勇み足かましているんだ僕は。
考えてみれば当然だ。
弟が知り合いから頼まれたってだけで何勇み足かましているんだ僕は。
「む、まさかトラップ!?」
「……その可能性も有る。少し下がっていろ。巻き込まれたくないだろう?」
「だがそれじゃあ悲喜が――――」
「今はまだお互いにお試し期間だ。この程度のヘマでやられるような男ならお前も契約相手にしたくないだろ?」
「…………分かった」
訂正します。この娘やっぱお馬鹿です。
でもいいんだ。アホの子ラブ、俺大好きだよこういう素直な子。
僕はまるで何かを警戒するように、いや実際に周囲の様子に気を配りながらゆっくりとドアノブから手を離す。
その時、ドアの奥からほんの僅かな物音がしたのを僕の耳は捉えた。
粘着質の液体が這いずるような不快な音色。
何かが来る、そう思ってしまったせいだろうか。指の先からゆっくりと寒気が登ってくる。
でもまだ僕は否定する。
まさか、そんな筈が無い。
気のせいだ。気のせいに決まっている、ここで情けない声なんてあげて飛び退いたら。
―――――ペロリ、と首筋を何かが撫でた。
でもいいんだ。アホの子ラブ、俺大好きだよこういう素直な子。
僕はまるで何かを警戒するように、いや実際に周囲の様子に気を配りながらゆっくりとドアノブから手を離す。
その時、ドアの奥からほんの僅かな物音がしたのを僕の耳は捉えた。
粘着質の液体が這いずるような不快な音色。
何かが来る、そう思ってしまったせいだろうか。指の先からゆっくりと寒気が登ってくる。
でもまだ僕は否定する。
まさか、そんな筈が無い。
気のせいだ。気のせいに決まっている、ここで情けない声なんてあげて飛び退いたら。
―――――ペロリ、と首筋を何かが撫でた。
「うわあぁっ!?」
僕は思わず情けない悲鳴を上げながら後ろに飛び跳ねた。
「何か有ったのか?」
ジルりんは不思議そうに僕を見る。
「え、あ、いや……その、気のせいだったらしい」
そう言って彼女に曖昧な笑みを向ける。
「悲喜、下がってろ」
だがその時には既に彼女はこちらを向いていなかった。
彼女が見ているのは今僕が飛び退いてきた扉の方向。
彼女が見ているのは今僕が飛び退いてきた扉の方向。
「……あんた、戦闘については素人だと思ってたけどそうでもないのかもな」
扉の方を見たまま、彼女はそう続ける。
「ここから先は化け物同士の時間だ
こんな良い場所、頂けるなら頂いておきたい――――」
こんな良い場所、頂けるなら頂いておきたい――――」
彼女の会話を遮るように扉が開く。
「――――行くぞ!」
そう言って彼女は二本のナイフを振り回して扉の向こう側へ突貫する。
中で陶器の割れる音と小さな悲鳴、そして壁の砕け散る音が聞こえた。
僕もケースから光線銃を取り出して彼女の後に続く。
中で陶器の割れる音と小さな悲鳴、そして壁の砕け散る音が聞こえた。
僕もケースから光線銃を取り出して彼女の後に続く。
「おい、ジルリン!」
扉を足で蹴り開けて中に入る。
驚くべきことに、そこには誰も居なかった。
静寂だけが屋敷の中に広がっていた。
驚くべきことに、そこには誰も居なかった。
静寂だけが屋敷の中に広がっていた。