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連載 - 僕は小説が書けない-06

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匿名ユーザー

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「ジルリン!」

 僕はそう叫んで家の中に入る。
 家の中はホコリだらけで、朝だというのに薄暗くてどこか不気味だ。
 ピチャリという水音が背中を撫でる。
 僕の背後で水滴が落ちた。
 振り返るか?振り返らないか?いったい何がある?

「おい、何処に行った!」

 そうやって彼女を探しながら僕は一歩前に進む。
 不意に床が沈んだ。
 足元を見る。
 小さな悲鳴を上げて俺はその場にへたり込んでしまった。
 床が沈んだのではなかった。
 俺が床だと思っていたのは……人の肉体の様々な器官に今まさに分化せんとする肉塊だった。
 それは黒く、あるいは鮮やかな虹色で、そして思い出したように赤くなる。
 不気味な肉塊は今生まれたばかりの口で僕に対して何事か恨み事を呟く。
 僕には何を言っているのか解らない。
 分からないから、怖い。
 声にならない叫び声を上げて僕は玄関へと走る。
 だがその目の前で、何の前触れもなくドアは独りでに閉ざされた。
 ドアに身体を叩きつける。
 鈍い痛みが走る。

「Ah―――aaaaaaaaAAAhhhhHHHHHH!」

 肉塊は何事か呻きながら迫ってくる。
 逃げ道は無い。
 もうダメだ。
 死にたくない、僕はまだやりたいことが有る。
 やらなくちゃいけないことが有る。
 こんなトコロでこんな訳の分からない生き物に殺されたくは……

「――――やれやれ、やっぱ私が居ないと駄目っぽいな」

 声がする。
 天井を見上げる。
 其処には一人、少女が張り付いていた。
 そのスカートはめくれていて、豪快に漆黒のパンツを露出していた。
 ガンプク!
 そして彼女はヒラリと天井から舞い降りて僕の隣を駆け抜けて闇へと奔る。
 薄闇に閃く刃、それが僕の前に迫っていた肉塊を肉片へ、肉片を塵芥へと分解する。
 肉塊はうめき声を上げる間もなく活動停止した。

「一丁上がり、かな」

 刃の主はそう言いながら指でナイフをクルクル回して血振りをして、その後事も無げに肉片の残骸を踏み潰す。

「……ジルリン!」

 それは消えた筈のジルだった。

「何してたんだよ心配したぞ! なんで僕が入った時に居なかったんだよもう!」

「…………ウケ狙い」

 ジルがニヤリと笑った所を無言で頬をつねる。

「ふぎゃあああう! やあめえろおよぉ!」

 ピィピィ鳴くので離してやった。

「……ひどいことするな、暴力に訴えかけるのは私の役目だろ
 これじゃあ一体どっちが都市伝説かもわからない」

「うるせえ馬鹿、行くぞ」

 こいつ僕のテンションに適応し始めてやがる。
 恐るべき才能だ。しかも何の役にも立たない。
 僕はしてやったりみたいな顔をしている彼女を後ろに連れて屋敷の奥に進むことにした。


    ※    ※    ※


「ここがキッチン、噂じゃあここで強盗は被害者の肉を調理して喰ったらしい
 前に来た時は普通だったが今回は出端からあんな目に遭ったからなにか見つかるかもな」

 僕たちは廊下を抜けてすぐのところにあるキッチンに到着していた。
 やはり年数が経っているだけあってそこら中がボロボロになっている。
 ピンク色のタイルはくすみ、ステンレスにもあちこちシミのようなものができている。
 どことなく異臭がする辺り、ここには本当に血が染み付いているのかもしれない。

「ふーん……美味しいもんな」

 ジルちゃんは鼻をひくつかせる。

「……ん?」

 よし、僕は何も聞かなかった。

「え?」

「いやなんでもない、なんでもないぞ!」

「変な悲喜だなあ……
 それより今前に来た時って言っていたけど……」

「ああ、前にもここに不法侵入したことが有ってね
 心霊写真とか撮れたよ」

「撮れたの!?」

 素っ頓狂な声を上げるジルりん。

「お化けみたいな存在のくせして驚くなよ」

「いやだって私幽霊とか見たこと無いし」

「えええぇぇぇぇ……」

 久しぶりのがっかり感である。
 買っておいたお菓子をうまい棒コーンポタージュ味だけを残して弟に全部食われた時のようながっかり感だ。
 しかたがないので

「お前それでも都市伝説かよぉ!?」

 と叫びながらジルに掴みかかってみる。

「ひぃ!」

 ジルりんビビりすぎです。
 あんたその気になったら僕ボコボコにできるじゃないですか。

「オカルトそのもののくせによぉ……!」

 彼女の肩を掴みながら崩れ落ち、そのまま低く声を押し殺して静かに咽び泣く……振りをする。

「うぐっ……くそっ……俺は、何のために……」

 しばらくすると彼女が俺を抱き起こしてそっと告げた。

「……悲喜、ごめんな。でも、うぜえ!」

 弧を描くような美しいハイキックが飛び出る。

「ほぉう!」

 直撃、美少女の顔面キックありがとうございます!
 俺の身体は見事に宙を舞って台所の壁にたたきつけられた。

「毎度毎度良い蹴りだ、愛してるぜ」

「やっぱうぜえ!」

 そう言われても生まれつきこれなのでどうしようもない。
 僕はボロ雑巾のように地面に倒れてジルりんのスカートの中を覗こうとするが今回はどうやら無理そうだ。

「それよりちゃっちゃと探索しようぜ」

 諦めの良い僕はさっさと起き上がり、探索を開始する。

「分かった」

「運が良ければ幽霊くらいは居るかもしれない」

 そこら辺の戸棚を二人で開け閉めしながらそんな事を言ってみる。
 実際、この前ここを探した時は幽霊が居た。
 除霊もした。
 生まれつき僕は霊感が強いのでお経を唱えたり塩をばら撒いてみたら意外といけちゃうのだ。

「そういえばさっき僕が逃げようとしたら急にドア閉じたよね
 アレもお前やったの?」

「あれ、そうだっけ? 私それ知らないぞ」

 ……これアカン奴や。

「ちょっと引き返そうか」

「なんだよ、調査はこれからだろ?
 まだ向こうの方に部屋やら庭やら有るみたいだし……」

「良いから、引き返そう」

 しかしこういう場合、お約束としてもう手遅れである。

「な、なんだそんな怖い顔して……解ったよ
 あんたが其処まで言うなら少し戻るくらい構わない」

 僕たちは急いで玄関の方へ戻る。
 僕はそのままドアを開けようとしたがやはりノブが戻らない。

「ジルりん、そこのドアを切り裂け。とにかくここから出るぞ」

「そんなに出たいなら窓から出れば良いじゃん」

「――――あっ」

 先に言えよ。

「じゃあ……」

 そう言いかけた瞬間、階段を下る音がした。
 そしてそれは少しずつ速度を上げていく。
 迫ってくる。

「な、なんだ……?」

 音が聞こえてくる廊下の奥の方を伺う。
 ジルりんはナイフを抜いて俺の前に立つ。
 廊下からゆっくりと近づいてくる。
 底冷えがするような不気味な声で、意味の通じない文言を呟きながら。

 廊下の向こうから、なにか来る。

 生まれたばかりの赤子のような体格の影が遠くに見えた。

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