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連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦以降-24

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 柄じゃない
 正直、そう考えた
 企業の策略だのなんだの、そんな考えがない訳でもないが

 ……こういう時でもなければ、自分は正直に伝える事もできないのか

「恵」
「………辰也?」

 部屋をノックして声をかけると、返事が返ってきた
 そっと、扉を開けられる

「……ど、した?」
「ほら、これ」
「…くけ?」

 ぽす、と
 それを、恵の手に押し付けた
 きょとん、と恵はそれを見つめる

「………?」
「…ホワイトデーだろ。バレンタインの、お返しだ」
「………ぁ」

 今年のバレンタイン、恵は葵や留美と共にチョコを作って、こちらに渡してきた
 だから、そのお返しだ

「いらなかったら、マリにでもやってくれ。あいつなら何でも食うだろうし」
「………ううん」

 ふるふると
 恵は小さく首を左右に振ってきた
 こちらを見上げ、微笑んでくる

「………ありがとう。嬉しい」
「…そうか」

 ……まったく
 元は、男だったはずだと言うのに
 生まれてくる性別を間違えていたのだろうか
 女の姿の方が、自然に見えるとは

「……一緒、に、食べよ?」
「いいのか?お前にやったんだから、一人で食べてていいんだぞ?」
「………一緒の、方が、いい………辰也は、一緒じゃ、嫌、か?」

 嫌なはずがない
 ぽふ、と頭をなでてくると、きょとんとした顔をしてくる

「わかった。一緒に食べるか」
「………ん」

 そっと、手を握られた
 細い、小さな手
 壊さないように握り返す


 ………かつて
 自分には、恋など無縁であると考えた事があった
 自分のような生い立ちの者が、まともな恋などできるはずもない
 誰かを愛する事などできるはずもない

 だから、余計にただ、目先の欲に走った
 それが、自分にはちょうどいいのだと

 だが
 自分のような存在でも
 誰かを愛する事が、許されると言うのならば


「…恵」
「………ぅ?」

 見上げてきた恵の額に、口づけて
 その細い体を、抱きしめた

「…愛してる」
「……ん…俺、も……愛している」


 そして
 自分のような存在を、愛してくれる存在がいるのならば

 その愛おしい存在を
 いつまでも、いつまでも
 護り続け愛し続けたいと
 そう、強く願い、誓うのだ




fin







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