上田明也の綺想曲Ⅰ~怪異か異界か家族~
「お使いしている時に聞いたのですが近所に幽霊屋敷があるそうですよ?」
「ほ~う……。」
それというのも夜の町はわりと平和だったのでハーメルンの笛吹きとして襲うべき対象も見あたらず、
そのうえ組織からの襲撃も夢の国との戦いの事後処理で忙しいのかパッタリとやんでいた。
「正直言ってかなり暇な所に契約している都市伝説からの噂話。
これに乗らない手は無いのであった~。」
「つかマスター、誰に話しているんですか。あと火葬、マスターのエヴィンカーはこれで破壊です。
マスターのライフももう無いし、黒ウィニーじゃ私のドラゴンは……。」
暇だったのでMTGに嵌っていた。
「誰にって……、読者?
火葬?森をタップして緑のマナを……、巨大化でエヴィンカーは守るぜ。」
「げぇ!巨大化何枚入れてるんですか?」
「フルに入れてるが何か?それより幽霊屋敷の話、聞かせろよ。」
「ああもう……!とりあえずその前にターン終了です。
数週間前の事だそうです。
この近所のとある家に強盗が入ったそうです。
しかし不可解なのがその家の住民の死体が見つからないこと。」
「ほうほう、アンタップアップキープ、ドロー。アンタップとアップキープって逆だったっけ?」
「どうせ私達初心者だし細かいことは良いじゃないですか。
そもそも強盗が入ったのだって血痕が有ったのと金品が無くなっていなければ解らなかった。
不思議ですよね?」
「成る程なあ……、その強盗の手口って俺たちに似ていないか?
5マナで踏み荒らし発動。総攻撃。お前のライフは……もう0か?」
「あ゛………、負けた。
そう、そこなんですよ、私達の鼠を使った犯行とそっくりです。
そのうえ事件の後には家の住人の幽霊が出るって言うんです。夜中に家の灯りが点いているのを見た人も居ます。
さらに面白いことがあってですね。そこの住民の存在を誰一人として覚えてなかったと言うんですよ。」
「覚えていない?どういうことだ?」
「誰かが居たことは覚えているけど誰だったかは覚えていない。
私と契約したでも無しにこれはおかしくないでしょうかね?」
「俺たちの粗悪コピーってか?
調べる価値は大いにありそうだな。良いだろう、やろうじゃないか。」
「ほ~う……。」
それというのも夜の町はわりと平和だったのでハーメルンの笛吹きとして襲うべき対象も見あたらず、
そのうえ組織からの襲撃も夢の国との戦いの事後処理で忙しいのかパッタリとやんでいた。
「正直言ってかなり暇な所に契約している都市伝説からの噂話。
これに乗らない手は無いのであった~。」
「つかマスター、誰に話しているんですか。あと火葬、マスターのエヴィンカーはこれで破壊です。
マスターのライフももう無いし、黒ウィニーじゃ私のドラゴンは……。」
暇だったのでMTGに嵌っていた。
「誰にって……、読者?
火葬?森をタップして緑のマナを……、巨大化でエヴィンカーは守るぜ。」
「げぇ!巨大化何枚入れてるんですか?」
「フルに入れてるが何か?それより幽霊屋敷の話、聞かせろよ。」
「ああもう……!とりあえずその前にターン終了です。
数週間前の事だそうです。
この近所のとある家に強盗が入ったそうです。
しかし不可解なのがその家の住民の死体が見つからないこと。」
「ほうほう、アンタップアップキープ、ドロー。アンタップとアップキープって逆だったっけ?」
「どうせ私達初心者だし細かいことは良いじゃないですか。
そもそも強盗が入ったのだって血痕が有ったのと金品が無くなっていなければ解らなかった。
不思議ですよね?」
「成る程なあ……、その強盗の手口って俺たちに似ていないか?
5マナで踏み荒らし発動。総攻撃。お前のライフは……もう0か?」
「あ゛………、負けた。
そう、そこなんですよ、私達の鼠を使った犯行とそっくりです。
そのうえ事件の後には家の住人の幽霊が出るって言うんです。夜中に家の灯りが点いているのを見た人も居ます。
さらに面白いことがあってですね。そこの住民の存在を誰一人として覚えてなかったと言うんですよ。」
「覚えていない?どういうことだ?」
「誰かが居たことは覚えているけど誰だったかは覚えていない。
私と契約したでも無しにこれはおかしくないでしょうかね?」
「俺たちの粗悪コピーってか?
調べる価値は大いにありそうだな。良いだろう、やろうじゃないか。」
丁度、暇だったところだ。
軽く調べてみても良い。
俺はそう思っていた。
「ところで黒に緑タッチって環境的にはきついかな?」
「吸血鬼が強化されるから良いんじゃないですか?それより私の赤青黒が……。」
「三色とかねーよw」
軽く調べてみても良い。
俺はそう思っていた。
「ところで黒に緑タッチって環境的にはきついかな?」
「吸血鬼が強化されるから良いんじゃないですか?それより私の赤青黒が……。」
「三色とかねーよw」
*
幽霊屋敷に向かうと決めてからの行動は速かった。
まずはその幽霊屋敷とやらを訪れてみる。
幽霊屋敷は警察によって持って行かれたのか殆どの家財が無くなっており、
管理する者が居ない為か鍵もかけられていなかった。
誰かが先に侵入している痕跡もなかったが、不審である。
「誰かが住み着いたらどうするんだ?」
当然窓も開きっぱなし、これじゃ正体不明の強盗よりも周囲の人間の無関心の方が怖い。
近所の子供達が落書きしたのだろう、家の中には赤いペンキが濡れていた。
「死」とか「呪」とか「助けて」とか、ありきたりな文字。
ありきたりな廃墟。
まずはその幽霊屋敷とやらを訪れてみる。
幽霊屋敷は警察によって持って行かれたのか殆どの家財が無くなっており、
管理する者が居ない為か鍵もかけられていなかった。
誰かが先に侵入している痕跡もなかったが、不審である。
「誰かが住み着いたらどうするんだ?」
当然窓も開きっぱなし、これじゃ正体不明の強盗よりも周囲の人間の無関心の方が怖い。
近所の子供達が落書きしたのだろう、家の中には赤いペンキが濡れていた。
「死」とか「呪」とか「助けて」とか、ありきたりな文字。
ありきたりな廃墟。
「マスター、生き物の気配も何もありませんね。都市伝説の気配もないですし……。」
「本当に何も無いと思うか?」
「と、言うと?」
「このペンキさ。」
「本当に何も無いと思うか?」
「と、言うと?」
「このペンキさ。」
折しも秋風の吹く10月初頭。
空気は中々乾燥していて唇も少々乾いていた。
リップクリームが欲しいなあ……。
空気は中々乾燥していて唇も少々乾いていた。
リップクリームが欲しいなあ……。
「ペンキ?」
そういってペンキで描かれた文字に触れようとするメル。
ガシッと腕を掴む。
「待て!それに触れるな。お前は気づかないのか?」
「え?」
「なんでペンキがまだ濡れているんだと思う?」
そういってペンキで描かれた文字に触れようとするメル。
ガシッと腕を掴む。
「待て!それに触れるな。お前は気づかないのか?」
「え?」
「なんでペンキがまだ濡れているんだと思う?」
そう、このペンキは塗り立てだ。
ついさっきまで誰か居た。
誰か居たが俺たちはここから誰か出て行くのを見ていない。
出て行った痕跡も残っていなかった。
つまり……
ついさっきまで誰か居た。
誰か居たが俺たちはここから誰か出て行くのを見ていない。
出て行った痕跡も残っていなかった。
つまり……
「まだ“ここ”には誰か居る!メル、気をつけろよ!」
誰か居るならば手を打つのは速い方が良い。
一か八か、すでにこちらの場所はばれているのだ。
「だぁれだぁああああああ!!!」
おもいっきり叫ぶ。
誰か居るならば手を打つのは速い方が良い。
一か八か、すでにこちらの場所はばれているのだ。
「だぁれだぁああああああ!!!」
おもいっきり叫ぶ。
次の瞬間だった。
カタン
物音。
カタン
物音。
何か居る。
銃を撃てば近所に聞こえる。
人に集まられるとこちらも都合が悪い。
銃を撃てば近所に聞こえる。
人に集まられるとこちらも都合が悪い。
腰から普通のナイフを抜いた。
手術用のメスのような細身の一本。
それを物音の方向に向けて投げつける。
手術用のメスのような細身の一本。
それを物音の方向に向けて投げつける。
ドスゥン!
鈍い音をしてそれは空中に突き刺さる。
ビンゴ!やっぱり何か居るんだ。
それを目印に蜻蛉切を抜いて斬りつける。
正体は斬りつけた後に聞けば良い。
ってスーパーナチュ●ルってドラマのお父さんが言っていた。
ビンゴ!やっぱり何か居るんだ。
それを目印に蜻蛉切を抜いて斬りつける。
正体は斬りつけた後に聞けば良い。
ってスーパーナチュ●ルってドラマのお父さんが言っていた。
生々しい肉の切れる感触。
耳に残る骨の軋む音。
甲高い悲鳴。
顔にかかる生暖かい血液。
「きゃああああああああああああ!!!!お父さん助けてえええええええ!!!
痛い!!痛いよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
血が出てる!嫌だ!何これ?死にたくない!死にたくないよぅ………。」
蜻蛉切で真っ二つになったらしい。
断末魔の悲鳴と
――――ゾル、と零れた内蔵の手触りと
顔に嫌でもかかる血液の存在だけが確認できる。
メルは謎の事態に動揺している。
しかしもっと動揺しているのは俺だ。
俺は今、「透明人間」を斬っている。
ドスン!と斬ったときの勢いで物置らしいところに透明人間をたたきつけると、
そこのドアが開き、むぁっと血の臭いが広がる。
この女の血の臭い以外の臭い。
耳に残る骨の軋む音。
甲高い悲鳴。
顔にかかる生暖かい血液。
「きゃああああああああああああ!!!!お父さん助けてえええええええ!!!
痛い!!痛いよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
血が出てる!嫌だ!何これ?死にたくない!死にたくないよぅ………。」
蜻蛉切で真っ二つになったらしい。
断末魔の悲鳴と
――――ゾル、と零れた内蔵の手触りと
顔に嫌でもかかる血液の存在だけが確認できる。
メルは謎の事態に動揺している。
しかしもっと動揺しているのは俺だ。
俺は今、「透明人間」を斬っている。
ドスン!と斬ったときの勢いで物置らしいところに透明人間をたたきつけると、
そこのドアが開き、むぁっと血の臭いが広がる。
この女の血の臭い以外の臭い。
「マスター!」
「あの物置の中は見るなよメル、鼠を呼べ。この家全体を調査させる。」
「マスター、それをさっきからやっているんですが……。」
「どうした?」
「この家の外に鼠の気配を確認できません。
此処は都市伝説によって制作された異界です!!」
「あの物置の中は見るなよメル、鼠を呼べ。この家全体を調査させる。」
「マスター、それをさっきからやっているんですが……。」
「どうした?」
「この家の外に鼠の気配を確認できません。
此処は都市伝説によって制作された異界です!!」
バタンバタンバタンバタン!!
開け放されていた窓が次々と閉じられる。
これは不味い……!
銃を撃ち込んでみたが窓ガラスは割れない。
そうだ、俺たちはこの中に完全に閉じ込められた。
開け放されていた窓が次々と閉じられる。
これは不味い……!
銃を撃ち込んでみたが窓ガラスは割れない。
そうだ、俺たちはこの中に完全に閉じ込められた。
「あらぁ、お父さん。久しぶりのお客様よ。もてなして差し上げないと。」
「そうだね、母さん。家の娘の相手もしてくれたようだし丁寧に相手してあげようか。」
「そうだね、母さん。家の娘の相手もしてくれたようだし丁寧に相手してあげようか。」
二階から誰か降りてくる。
誰だ?
この家は幽霊屋敷などではない?
透明な人間。
情報が多すぎる。
殺人鬼。
見えない敵とは戦えない。
ハーメルンの笛吹き。
死体無き殺戮。
unknownな正体。
新しく完成した都市伝説。
死体のない殺人が形を与えた。
君の隣に潜んでいる。
学校町。
一般大衆。
幽霊屋敷ではない。
幽霊屋敷ではなく
幽霊屋敷ではなく
幽霊家族?
違う。
ホラ、アノイエハオカシイカラ
足音は迫る。
時間がない。
相手は透明な殺人鬼。
「メル!お前が噂を聞いた相手って……、そのお使い先以外で、いやそうじゃない。
“その一回以外”にこの町でその相手を見たことはあるか?」
「――――――!!!」
誰だ?
この家は幽霊屋敷などではない?
透明な人間。
情報が多すぎる。
殺人鬼。
見えない敵とは戦えない。
ハーメルンの笛吹き。
死体無き殺戮。
unknownな正体。
新しく完成した都市伝説。
死体のない殺人が形を与えた。
君の隣に潜んでいる。
学校町。
一般大衆。
幽霊屋敷ではない。
幽霊屋敷ではなく
幽霊屋敷ではなく
幽霊家族?
違う。
ホラ、アノイエハオカシイカラ
足音は迫る。
時間がない。
相手は透明な殺人鬼。
「メル!お前が噂を聞いた相手って……、そのお使い先以外で、いやそうじゃない。
“その一回以外”にこの町でその相手を見たことはあるか?」
「――――――!!!」
完全に嵌められた。
「こいつらは都市伝説『人食い家族』か?」
「こいつらは都市伝説『人食い家族』か?」
ねえ知っている?
こんな噂がある。
アノイエデハマイバンヒトゴロシがある
怖いよね
怖いよね
クルッテルカラ幾ら殺しても気付かれないんだよ
怖いよね
俺の友達の友達が先週あの家に行ってから帰って来れない
コワイヨネ
殺された人間は食べられて居るんだって、家族でも死ねば食うんだ
オオコワイコワイ
こんな噂がある。
アノイエデハマイバンヒトゴロシがある
怖いよね
怖いよね
クルッテルカラ幾ら殺しても気付かれないんだよ
怖いよね
俺の友達の友達が先週あの家に行ってから帰って来れない
コワイヨネ
殺された人間は食べられて居るんだって、家族でも死ねば食うんだ
オオコワイコワイ
「まずは逃げるぞ!」
「何処へ!?」
「良いから来い!」
まずは一階のリビングから逃げ出す。透明な敵を相手になんかしていられない。
そこら辺に転がっていた新聞紙を取る。
「何処へ!?」
「良いから来い!」
まずは一階のリビングから逃げ出す。透明な敵を相手になんかしていられない。
そこら辺に転がっていた新聞紙を取る。
「あら?逃がさないわ。」
「そうだよ、逃げたって無駄なんだ。」
声だけが距離を詰める。
「そうだよ、逃げたって無駄なんだ。」
声だけが距離を詰める。
走る、走る、走る。
探しているのはキッチン。
俺はアレを持っていないんだ。
アレさえあれば……アレさえ……。
探しているのはキッチン。
俺はアレを持っていないんだ。
アレさえあれば……アレさえ……。
「マスター!危ない!」
正面からボウガンの矢が飛んでくる。
ブービートラップ。
正面からボウガンの矢が飛んでくる。
ブービートラップ。
ドスン!
左肩に突き刺さる。
じっくり弱らせるのが目的なのか?
薬でもぬってあるのかもしれない。
じっくり弱らせるのが目的なのか?
薬でもぬってあるのかもしれない。
それでもなんとか俺たち二人はキッチンに辿り着いた。
「あら、居たわ。」
「気絶しているようだね、丁度良い。」
男女が二人、キッチンに入ってくる。
「しかしひどい男だね、勝手に家に入ってきて娘を斬りつけるなんて。」
「ええ、たっぷり仕返ししないとね。」
上田明也は目をつぶって頭を垂れていた。
その服には矢が突き立っている。
キッチンの奥でだらしなく眠っているのだろうか。
何かの薬が効いているようである。
「ねえママ、そういえばもう一人居なかった?」
「知らないわ、私達はあの子の悲鳴を聞いてきたんだもん。
それ以外には男の叫び声しか聞こえなかったわ。」
「なら良いんだけど……、そういえばなんか焦げ臭くない?」
「あら、そうね?よく見るとずいぶん煙が……。
視界が悪いわ。シチューに火をかけっぱなしだったかしら?
あらやだ、新聞紙やら食材やらが燃えているわ!この男が何かしたのかしら。」
「まあ良いさ、この男もさっさと絞めようか。
今日は沢山の肉が手に入るねえ。
おや、煙で君の姿が見えているぞ?」
「え?困ったわ。」
「まあ良い、この煙はあとでなんとかしよう。」
「気絶しているようだね、丁度良い。」
男女が二人、キッチンに入ってくる。
「しかしひどい男だね、勝手に家に入ってきて娘を斬りつけるなんて。」
「ええ、たっぷり仕返ししないとね。」
上田明也は目をつぶって頭を垂れていた。
その服には矢が突き立っている。
キッチンの奥でだらしなく眠っているのだろうか。
何かの薬が効いているようである。
「ねえママ、そういえばもう一人居なかった?」
「知らないわ、私達はあの子の悲鳴を聞いてきたんだもん。
それ以外には男の叫び声しか聞こえなかったわ。」
「なら良いんだけど……、そういえばなんか焦げ臭くない?」
「あら、そうね?よく見るとずいぶん煙が……。
視界が悪いわ。シチューに火をかけっぱなしだったかしら?
あらやだ、新聞紙やら食材やらが燃えているわ!この男が何かしたのかしら。」
「まあ良いさ、この男もさっさと絞めようか。
今日は沢山の肉が手に入るねえ。
おや、煙で君の姿が見えているぞ?」
「え?困ったわ。」
「まあ良い、この煙はあとでなんとかしよう。」
そう言ってパパと呼ばれた男が上田の首に手をかけようとした瞬間だった。
タタタタタッ!タタタタタタタタタタタタッ!タタタタタ!
サブマシンガンの銃声。
狙いは滅茶苦茶。
でも距離が近ければ当たる。
ビチャ!ビチャ!
肉の飛び散る音。
真っ赤に染まったキッチン。
「やっぱりそうだ……、私に見覚えは無かったんですかね?お使いの時のオバサン。」
サブマシンガンの銃声。
狙いは滅茶苦茶。
でも距離が近ければ当たる。
ビチャ!ビチャ!
肉の飛び散る音。
真っ赤に染まったキッチン。
「やっぱりそうだ……、私に見覚えは無かったんですかね?お使いの時のオバサン。」
銃口から光と煙を噴き上げるMP5
そしてそれを扱うのは見た目10才前後の少女。
返り血がピチャ、と音を立てて頬に飛んでいった。
彼女の服には薄く赤色が滲んでいる。
これは夫妻の血などではない。
ボウガンのわずかに突き立った跡。
背中には小さくLOLIQLOと書かれていた。
そしてそれを扱うのは見た目10才前後の少女。
返り血がピチャ、と音を立てて頬に飛んでいった。
彼女の服には薄く赤色が滲んでいる。
これは夫妻の血などではない。
ボウガンのわずかに突き立った跡。
背中には小さくLOLIQLOと書かれていた。
「終わったか?メル。」
のそりと俺は起き上がる。
服にわざと刺しておいた矢を引き抜く。
「はい、私に偽の情報を吹き込んで居たのは彼女らみたいです。
しかしこのLOLIQLO……、丈夫だ。」
死んだことによって見えるようになった夫妻の首を蹴り飛ばして呟く。
「あそこでかばってくれなきゃ正直やばかったわ。」
「マスターは人間ですからね。まあ今回はLOLIQLO様様です。」
そう、ボウガンの矢が飛んできた瞬間、メルは俺のことを庇っていたのだ。
俺があの矢に刺された訳ではない。
のそりと俺は起き上がる。
服にわざと刺しておいた矢を引き抜く。
「はい、私に偽の情報を吹き込んで居たのは彼女らみたいです。
しかしこのLOLIQLO……、丈夫だ。」
死んだことによって見えるようになった夫妻の首を蹴り飛ばして呟く。
「あそこでかばってくれなきゃ正直やばかったわ。」
「マスターは人間ですからね。まあ今回はLOLIQLO様様です。」
そう、ボウガンの矢が飛んできた瞬間、メルは俺のことを庇っていたのだ。
俺があの矢に刺された訳ではない。
「しかしなんであいつらは透明になる能力を手に入れたのか……?」
「都市伝説の特性じゃないですかね?」
「噂が追加されるとどんどん変化するってか?」
「それです。恐らく人を殺して食ってる都市伝説が私達のそれとごっちゃになったんでしょう。
私の場合もマスターが表に立ってくれないとハーメルンの笛吹き男にならないですし。」
「俺がみんなの前で堂々と犯罪を行えばハーメルンの笛吹き男って名乗れるのか?」
「ええ。」
「適当だな。」
「そんなもんです。」
「帰るか、久しぶりに疲れた。」
「またMTGやりますか?私のドラゴン+αデッキが火を噴きます。」
「黒と緑のウィニーとかでぼこってやんよ。」
「都市伝説の特性じゃないですかね?」
「噂が追加されるとどんどん変化するってか?」
「それです。恐らく人を殺して食ってる都市伝説が私達のそれとごっちゃになったんでしょう。
私の場合もマスターが表に立ってくれないとハーメルンの笛吹き男にならないですし。」
「俺がみんなの前で堂々と犯罪を行えばハーメルンの笛吹き男って名乗れるのか?」
「ええ。」
「適当だな。」
「そんなもんです。」
「帰るか、久しぶりに疲れた。」
「またMTGやりますか?私のドラゴン+αデッキが火を噴きます。」
「黒と緑のウィニーとかでぼこってやんよ。」
コンコンパチィン!
拳を二回合わせてからハイタッチ
日に日に息が合うようになっている気がした。
拳を二回合わせてからハイタッチ
日に日に息が合うようになっている気がした。
【上田明也の綺想曲Ⅰ~怪異か異界~ fin】