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連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-15

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黒服Hと呪われた歌の契約者 15

三面鏡の少女より)

 三面鏡の少女の怪我が治ったとの事で、迎えに来た
 呪われた歌と契約している彼女は、今はシックな黒のワンピースを身に纏っている
 ……ちなみに、ワンピースの下は、彼女を担当している黒服の趣味により縄である

「あ…む、迎えに来てくれたんですか?」
「えぇ……怪我、本当に大丈夫?」

 心配そうに、彼女は少女を見つめた
 …少女が襲われたのは、彼女と別れた後
 家まで少女を送っていれば、あんな事にならなかった
 彼女はそう考え、責任を感じているのだ
 大丈夫です、と少女はそんな彼女を安心させるように笑ってきた

「先生からも、もう大丈夫、ってお墨付きもらってますから」
「あぁ、彼女は、もう大丈夫だよ」

 少女の背後から、ドクターが姿を現す
 …その姿を見て、彼女は複雑な感情を抱かざるを得ない
 黒服Hが、気にしていた存在
 …意識しない訳にはいかない、様々な意味で

「……この子を助けてくださって、ありがとうございます」

 丁寧に、彼女は頭を下げた
 このドクターが何者であれ、少女を助けてくれた事実に変わりはないのだ

「いや、いいんだよ。当然の事をしたまでさ」

 にこり、ドクターは笑ってくる
 彼女は、じっと、そのドクターを見つめた

 ……黒服にとって、有害な存在と、なりえるか、否か
 それを、確認するかのように

「あの…?」

 が、その観察は、少女に声をかけられた事によって、終了した
 はんなりと、彼女は少女に微笑みかける

「それでは、車を用意していますので…家まで、お送りしますね。あなたを襲った存在は、既に「始末」されましたが……この街は、都市伝説が多いですから」
「ぁ……」

 …自分を襲った存在が、既にいない
 その事実に、少女はほっとしながらも…「始末」と言う単語に、少々、背筋に寒い物を感じたようだ

「また、物騒な言い方をするね」

 どうやら、ドクターも少女と似たような感想でも抱いたのか、小さく苦笑してくる
 柔らかく微笑みながら、彼女はそれに答えてみせる

「だって、その通りなんですもの。この子に手を出すから、あの方が怒ったのですわ」
「え……もしかして、黒服Hさんが?」

 きょとん、としている少女
 彼女は、あの黒服が目の前で戦っているところを見た事がない
 能力は知っていても戦っているところを見た事がないから、ピンとこないのかもしれない

「えぇ、そうですよ。だから、もう大丈夫」

 あなたを狙っている存在は、もういない
 そう、少女に伝える
 そうじゃなければ…またいつ襲われるかもわからぬ恐怖に、囚われてしまうかもしれないなら

「それでは、私たちはこれで…ありがとうございました」
「あ、先生、ありがとうございました」

 彼女と少女は、ドクターに改めて、頭を下げて
 彼女が運転してきた車に乗り込み、診療所を離れた
 ゆっくり、安全運転で車を走らせていく

「…車の運転、できたんですね」
「あら、意外かしら?」

 くすり、助手席に座っている少女に微笑みかける
 …何せ、売れない歌手である
 マネージャーが車を運転してくれる、なんて事はない
 だから、免許はきちんと取っているのだ
 これでも、バイクの免許だって、持っている

「……あの」
「はい?」
「…あ、あの、生首の夢、見ました?」
「あぁ…将門様の、夢ですわね?」

 「首塚」平将門による、宴の招待
 その夢は、彼女も見た
 黒服からは、あまり参加しないで欲しい、とは言われているが…

「あなたは、どうなさるの?」
「え?」
「宴に、参加なさるの?」

 赤信号で、車が止まっている間に…彼女はじっと少女を見詰め、問い掛けてみた

 う~ん、と、少女は考え込んでいるような表情を浮かべている

「…「組織」って、「首塚」と仲が悪いんですよね?」
「えぇ…一応、「首塚」からの祟りはある程度なされたらしい、とは言われているけれど」

 それでも、仲が悪い事に変わりはないだろう
 まぁ、今回、「首塚」は「組織」の人間でも構わず、招待しているようではあるが…

「…でも、参加してはいけないという強制力は、「組織」にはないそうですわ」
「あ、そうなんですか?」
「えぇ…もし、参加なさるのなら、私に連絡してくださいな。私もご一緒しますわ」

 …黒服Hは、どんな理由があっても、宴に参加しない方針でいる
 「首塚」には、関わらないつもりらしい
 ……だから、こそ
 少女が参加するのなら、自分が傍に付いていなければならない
 もしもの時は、自分が少女を護ろう
 ……それが、黒服のためにもなるから

「わかりました…でも、先生にも参加するなら付いていく…みたいなこと、言われてますけど」
「あら……」

 …「第三帝国」が、「首塚」に接触するつもりか?
 ……黒服に、後で報告した方がいいかもしれない

「先生の好意を、無碍にするのもいけませんわね。あとで、先生ご自身とも相談してきめましょうか?」
「は、はい」

 ……さて、どうしようか
 宴への、参加
 …まぁ、参加する事になったら、手料理くらいは持っていこう
 そんな事を考えながら、青に変わった信号に反応し…彼女はゆっくり、車を走らせて行くのだった



fin



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