麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル SSまとめwiki

SSまとめ(元スレ31~35)

最終更新:

luckycomestrue

- view
だれでも歓迎! 編集

スレ内に投稿されたSSまとめ(31~35スレ目)

ここは麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタルスレ内に投稿されたSSをまとめるページ(元スレ31~35)です。

トップページへ




麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 31スレ目

≫10 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:10:32
カノープスとテイオーの頂上決戦後の存在しない記憶。投稿します。
筆が乗りすぎて、やたらと長いので、お目汚し失礼します。


1, テイオー

 ボクはもう―――、走れない。
 アレから、ボクは何度も同じ夢を見る。目の前で、兄弟が殺される夢。目の前で兄を殺されて、絶望に染まる弟の夢。そして、脚が砕け、助けに行くことも出来ずに、叫ぶしかない自分自身。
 憧れの人と決別して、自分ならできると根拠の無い自信を抱いて―――、結局、ボクの手元に残ったのは、慢性的な睡眠不足と、その原因の悪夢。そして、折れて動かなくなった右脚。
 偉大なる航路の片隅、ゴミ溜めの様なスラムで、動くこともままならず、膝を抱えて蹲る。

「全く、世の中とはよくできているもんで、身ほど知らずの小娘の末路としては、ひたすらに面白くもないほど順当だこと―――――。
 なんて―――、あたしの芸風パクったようなこと、考えてるんじゃないでしょうね?」

 突然、頭上から降ってきた聞きなじんだ声に、はじかれたように、顔を上げた。

「………ネイ、チャ―――?」
「おいっす。こんなとこで何してんの? テイオー」

 赤銅色の髪を二つに括った海賊は、かつてと変わらない表情で、テイオーに手を差し伸べた。

≫13 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:11:17
2.マチカネタンホイザ

 カノープス海賊団。船長ツインターボが率いる4人のウマ娘と1人の男からなる、小規模な海賊団だ。
 活動方針は、ピースメイン。海賊を狩る、海賊である。
 悪名轟く四皇や、超新星のように現れたスーパールーキー―――、麦わら海賊団のような話題性はないが、その実力は決して侮れず、四皇ですら「亡ぼすことは容易いが、その場合に予想されうる損耗は無視できず、その隙を他の四皇につかれ、攻め入られてはたまらない」と、政治的判断を優先させ、彼女らによる被害を黙認しているフシがある。
 無論、わずかでも許容範囲を越えれば、意地と面子の生き物である海賊。さらにそのトップに君臨する四皇は、全てのリスクを許容して、彼女らを亡ぼしに来るだろう。しかし、カノープスは現在でも、変わらず活動を続けている。
 そのことに、副長ナイスネイチャは「いや~、正直言って綱渡りの連続ですよ」と乾いた笑みを浮かべる。
そして、
「ミナミザカって、ああ見えて凄いからねぇ」
 どこか間延びした口調で、自身の隣を歩くテイオーに語るのは、カノープスの台所番、コックのマチカネタンホイザであった。
「いったいどこから、獲物の情報を持ってきてるんだろうねぇ、早いし正確だし―――」
 タンホイザが、カノープスの黒一点かつ唯一の人間の船員について語るものの、テイオーの頭には、その情報を受け入れる余裕がなかった。
 二人が歩いてるのは、スラム街。しかも、中身がたんまりとつまった寸胴鍋(30L)を、片手に一つずつ4つ持ち歩いている。スラムの通りに調理済みの食料の匂いが流れ、それにつられた住人が、ぞろぞろと長蛇の列をつくり、ひたひたと彼女らの後を追っていた。
「ねぇ、マチタン……」
「―――この間も……って、どうかしたテイオー? あ! 鍋が重かった? 病み上がりなんだから、無理しちゃだめだよ?」
「いや、そうじゃなくて、うしろ」
「?」
「いや ? じゃなくてさ、良いの? これ」
「?????」

≫14 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:12:30
「ダカラ?????ジャナクテ!」
「今日もいっぱい集まったね?」
「キョウモ!?」
「うん。恒例の炊き出しだよ? みんなお腹空かせてるから、キバって配ってね、テイオー」
「エ?」
 何してるんだ海賊。の一言が頭の中を駆け巡るテイオーを他所に「でも、無理しちゃだめだよ」と満面の笑みを浮かべるマチカネタンホイザだった。


3.イクノディクタス

今の世の中、スラムは珍しくない。時はまさに大海賊時代。秩序の内側で生きる事の出来ない人間が、海にあふれ出した無法の時代。
 海が荒れれば、陸も荒れる。ところが、荒れた陸を収める能力も、その気も、為政者にはない。所詮は天竜人の奴隷頭、ご主人様の機嫌取りを疎かにしては自分が殺されるし、うまくおだてれば、お駄賃を貰える。
 故に、自分の命と財布に関わらないことに注力する為政者など、悪魔の実より希少であり、畢竟、海のあちこちに、こうした『見放された土地』が生まれ、犯罪の温床になる―――。

「まぁ、本来はただの貧困地域をスラムと呼ぶだけで、スラムの住人=犯罪者予備軍と言うわけではないんですけどね」

 と、したり顔で解説するのは、まごう事なき犯罪者、カノープス海賊団の脳筋船医、イクノディクタスである。
 キミガイウカ? と如実に語る顔面をよそに、イクノはテイオーの負傷部分を診察し、
「さすが、鍛えているだけはありますね。回復速度も優秀です」
 ぶすりと注射をぶち込んだ。

≫17 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:13:46
 盛大な悲鳴を上げるテイオーを放って、注射器を医療ゴミ箱に放りこみ、何食わぬ顔でカルテに記入する
「ッッッッッッッ―――! ………。あのさ、前からちょっと聞きたかったんだけど?」
 不意打ち注射の衝撃が薄れ、声を出せるほどに復帰したテイオーが、口を開く。
「なにか? 因みにこれからリハビリもかねて、子供たちと追いかけっこでもしてもらいますが」
「ボクノイシハ!?」
「ありませんが? 怪我人病人は、主治医に絶対服従なさい。それがルールです」
「ワケワカンナイヨー!」
 叫ぶテイオーなぞどこ吹く風、イクノディクタスは、マイペースに話を続ける。
「それで、私に訊きたい事とは?」
 次の診察が控えているから、早く言え。と、急かす。
「……。あのさ、君ら海賊でしょ?」
「はい。総賞金額18億3696万ベリーの海賊団です」
「それは知ってる。それが、なんで、こんな所で慈善事業なんかやってるのかってのを聞きたいのさ」
「故郷ですから」
「は?」
「故郷ですから」
 眉毛一つ動かさず、イクノは告げた。
「私とタンホイザさん、そしてターボさんは、物心つく前にさらわれて、この国の貴族に売られまして、さらにそこから逃げだして、このスラムで生活していたんです」
「………」
「まぁ、酷いものでしたよ、文字通りに腐肉を喰らい、泥水をすする、そんな生活でした。誰もかれもが貧しいですからね、他人を助ける余裕なんてありません。それからしばらくして、ネイチャさん、ミナミザカさんと出会い、彼女たちとカノープス海賊団を立ち上げたわけです。
 主な活動内容は、海賊相手の略奪、および密貿易で、後者の対象は世界政府加盟国並びに非加盟国、海軍、海賊なんでもござれ。
  ネイチャさんがおっしゃる通り、綱渡りの毎日ですが、コツは本気で潰しに行く方が面倒くさいと思わせる事ですね。
 もちろん、1回の実入りは少ないですから、その分数をこなさないといけません。過密スケジュールこれに窮まれりですが、ミナミザカさんのマネジメント能力は非凡なモノですので、何とかこなせています」

≫18 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:14:22
 立て板に水に語られる、カノープスの内情に、テイオーは驚きを隠せない。
「……なんで?」
「なんで? ああ、今は陸地で活動している理由ですか? 頂上決戦の所為です。海の情勢がいまだに落ち着かないので、立ち回りの方針がまだ固まらないのです。食料も医薬品も余裕があるとはいえ限りがあるので、早めに固めないといけません」
「違う。 なんで、そんな目に遭っても、ここを故郷だと思って守れるの?」
 テイオーの問いに、イクノはしばし沈黙し、
「なにか、勘違いしているようですね」
 まっすぐ、テイオーの目を見つめる。
「奪わなければ、奪われるのです。大海賊時代とは、そういう時代なのです」
「……」
「出来ることをやって、状況の一部になる。やらなければならない事をやって、責任を果たす。そして、やりたい事をやれるように努力する―――」
 学も無かった奴隷に、出来ることなどたかが知れている。ウマ娘として持って生まれた腕っぷしで、外敵を排除する事だけ。それをする事で。スラムの仲間として生存を許された。
 そして、スラムを守り続ける責任を、私掠と密輸で他勢力との関係性を築き、世界の一部になる事で果たしている。
 そうしなければ、何もできずに、とっくの昔に死んでいた。ただ、それだけの事なのだと、イクノは言う。

「……。君たちが、そこまでして、やりたい事って何なの?」
「ワンピースに決まっているでしょう? 海賊ですよ、私たちは」
「……そりゃ、そうか」
「では逆に、あなたは、これからどうしたいのですか? テイオーさん」
 沈黙。
それが、テイオーの迷いを、克明に語っていた。
「時間はあります。少し考えてみるといいでしょう」
 さしあたっては――、と戸口の先を指で示し
「あの子たちと遊んでいらっしゃい、主治医命令です」
 イクノは、パワフルキッズにもみくちゃにされる未来へと、テイオーを蹴りだした。
「ワケワカンナイヨー!!」

≫19 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:15:20
4.ツインターボ
 逃亡者。
 こと、ウマ娘に関してその言葉の意味は、字義より大きく乖離する。
 ウマ娘武術には、型と呼ばれる4種の戦闘スタイルがある。
 その内の一つ、二蹴の型。最初から全力をぶつけ、敵を打ちのめす超速攻の型。
 その戦いが、どういう光景を描き出すのか? その答えが今、カノープス海賊団船長ツインターボによって証明された。

 甲高い、鉄を高速でこすりつけるような音が、空間に溢れていた。
 30人いた完全武装の仲間は、既に3人にまで減っていた。
 その海賊の親玉は、目の前の現実を理解できなかった。
 理解できないまま、部下がさらに一人減った。

 彼が、依頼を受け、このスラムを焼き払おうと、ついでにカノープスのシノギを奪おうと、ガキどもと戯れるウマ娘2匹に襲撃をかけてから、まだ2分と経っていない。だというのに、既にすべての部下は、ただの肉塊に成り下がり、血の海を作って転がっていた。

「ふざけんなよ……」

 音がやまない。
 とても耳障りな甲高い音。鼓膜から脳味噌を、ヤスリで削るようなイヤな音。
 この音を出しているのは、一人のウマ娘だ。青い髪を二つにくくった、チンチクリンのガキが音源だ。
 しかし、彼の目には、スラムのガキどもをかばう、栗毛のウマ娘しか映らない。
 理解が追い付かない。騒音に思考がかき乱される。
 最後の部下がやられた。もう残るは自分ひとりだ。破れかぶれで構えた武器が、あっさりと跳ね飛ばされる。
 恐怖に踵を返し、逃げようとする。
 その最後の瞬間。漸く彼の視覚は、騒音の元を捉えることが出来た。

―――狂気に冒された双眸。三日月に嗤う口。ぬらりと光る乱杭歯。

≫20 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:15:58
 その所為で、死ぬまでの僅かな時間を、魂の底から恐怖に震えることになり、結局、3分かからず、31人の海賊が、地面の染みに生まれ変わったのだった。

「ターボ疲れた!」
 そんな一方的に戦いを終わらせて、青いウマ娘は不平を漏らす。
 ツインターボ。カノープス海賊団の船長にして、超一流の二蹴使い―――逃亡者の異名をもつウマ娘である。
「相変わらず、速いね」
「ターボはいつも全力! だって気持ちいいもん!」
 肩で息をしながら、それでもドヤ顔でピースサインを決める。
「あいつら、何者なんだろう」
 おびえる子供たちをなだめながら、テイオーは疑問を口にした。
「しんない! だからミナミザカの所に行こう!」
 単純な回答で、先陣を切るターボの後を、テイオーは慌てて追った。

 その時。一発の銃弾が、ツインターボを捉えた。
 鈍い音を発て、命中する弾丸。
 糸の切れた人形のように、ツインターボは崩れ落ちた。

「ターボ!?」
 子供たちの悲鳴をかき消すかのように、下卑た笑いが響き渡る。
「二蹴ウマ娘を始末するには、やっぱりこの手に限るなぁ!」
 先手必勝超速攻を旨とする二蹴には、スタミナ切れと言う明確な弱点が存在した。
「お前っ!」
「おーっと、動くなよ。別動隊は俺だけじゃねぇんだぜ」
 わらわらと、物陰から出てくる重武装の海賊たち。
「国のゴミ溜めを焼却処分しにきたんだ、テメェらごと灰にするのは造作もねぇ」
 しかし、と男は舌なめずりする。
「女子供に、ウマ娘は高く売れる。焼いちまうのはもったいねぇ。
 だから動くなと、火炎放射器が槍衾の様にテイオーに突き付けられた。

≫21 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:17:05
「………くそっ」
 小さく毒づく。自分一人なら、本調子ではない今でも、十分にこいつらを制圧できるだろう。しかし、子供たちがいるこの状況では、それもままならない。
 屈辱と自責が、炎となってテイオーを焼く。
「安心しろ、他のカノープスの連中も、まとめて俺の財布の肥やしにしてやるからなぁ」

―――甲高く、異音が轟いた。
 海賊の一人が、己の炎にまかれ、火達磨になる。

「いま、なんていった?」

 また一人、海賊が燃える。

「イクノやマチタン、ネイチャをどうするって?」

 仲間への害意を高らかに宣言され、怒りでイグニッションしたエンジンが、うなりを上げる。

「ターボ!」
「てめぇっ! なんで生きてやがる!」
 海賊の絶叫を無視し、再点火したツインターボは告げる。
「テイオー、子供たち連れて、みんなの所へ」
「でもっ」
「ターボを信じろ」

 煌々と燃え上がる狂った瞳が、テイオーの反駁を封じ込めた。

「……ッ みんなっ、逃げるよっ!」

 子供たちを走らせ、テイオーは最後にその後を追う。追手はいない、駆け出す前に、首が胴から離れている。
「ちぃっ、まずはコイツからぶっ殺せ!」

≫22 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:18:22
 火炎放射器が業火を吐き出した。
 しかし、炎よりもターボの方が速い。容赦なく間断なく、髪に一筋の焦げ跡すら残さず、海賊たちを、地面の染みに加えてゆく。まず1秒、次は0.7秒、更に次は0.5秒、そのさらに次は―――、ターボの動きは加速を続ける。
 これは異常だ。
 二蹴の弱点はスタミナだ。すでに一戦終えているターボには、もはやひとかけらのスタミナも残っていないはずだ。

 ならば、
速く、速く、速く、速く―――。
強く、強く、強く、強く―――。
 一体何を燃料に、加速を続けるのか。

 酸素欠乏に軋む肺、無謀な酷使に悲鳴をあげる筋肉。肉体は既に限界に達し、それでも限界などないと、ベタ踏みされたアクセルに従い、命をすり減らし、ただ破滅へ向かう。
 ツインターボは、その速度で海賊どもを轢き殺し、しかし、最後の一人の前で、遂に逆噴射した。

「―――、―――、―――、―――、―――、」

 膝をつき、動きを止め、大きく肩で息をするツインターボ。
 唇を割って漏れる音を、呼吸音と呼ぶには―――、それは、余りにも終わっていた。

「くそっ、脅かしやがって」

 九死に一生を得た海賊は、悪態をつき、ターボの胸倉を掴み上げる。
「クソガキが、一人でイキってこのザマだ」
 皆殺しにしなければ、逆に殺される。一人で戦うのはこういうことだと、ターボの頭に銃口を突きつけた。
「てめぇを始末して、すぐにもう一人も後を追わせてやる」
 冷たい銃口に突き動かされ、うなだれていた顔が、表情を晒す。
 甲高い吐息は既に潰え、煌々と輝いていた狂気の瞳は、鈍く。体にみなぎっていた覇気も、今では小さく、弱弱しい。
 それでも、乾いた唇は、三日月の様に嗤っていた。

≫23 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:18:34
「何がおかしい」
ターボは嗤っている。可笑しくてたまらないと哂っている
「おまえ、ばかだなって」
くすくすと狂ったように嘲っていた。
「ターボもテイオーも、ひとりじゃないんだ」

海賊は、引き金を引く暇も、疑問の声を上げる間もなく、

「えい、えい、むん!」

放り投げられた巨大なガラクタに、潰された。

「ターボ大丈夫?! 無茶しすぎ!」
「マチタァン! ターボむちゃくちゃ疲れたー!」
「もう、一人で暴れまわるからだよ! とりあえずこれ食べて、イクノの手伝いに行くよ!」
「わーい、ターボ、マチタンの料理大好き~」
 マチカネタンホイザ謹製、暴食の森の食材を加工した栄養食にかじりつき、ターボは先に駆け出した彼女の後を追うのだった。

≫25 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:20:05
5.ナイスネイチャ

 ―――これはいったいどうしたことだ。

 彼は貴族で、この事態の黒幕だ。
 そして、彼は混乱していた。
 彼の計画では、雇った海賊にスラムを放火させ、暴徒鎮圧の目的で、私兵を投入、カノープス海賊団を始末し、その略奪、密輸ルートを手に入れ、ついでに雇った海賊の口を封じ、国家のゴミ掃除が完了する手はずであった。
そうすれば、彼の派閥は一気に力を増し、権力の中枢へより一層食い込むことになる。

 しかし、計画の初歩。ゴミ捨て場を焼き払うための炎すら、いまだに上がらず、偵察にはなった部下も依然として戻らない。
 計画が進まない苛立ちを抑えきれず、護衛を伴い現場を確認するためにやってきた彼を、スラムの入り口で待ち構えていたのは、

 一人のウマ娘と、地面に転がる部下たちであった。

「おいーす。そこそこ元気なネイチャさんでーす」
「きさまっ、スラムに巣食うゴミムシが何をしている!」
「うわっ、スゴイ嫌われよう。これでも私らの納税額って結構多いんだけどねぇ」
「薄汚い海賊風情が、ゴミ溜めの中を這いずっていればいいものを」
「あー……。おじさん。あたしの話聞いてないね」
 困ったもんだと、頭をかくナイスネイチャだったが、まぁあいいかと、懐から書類束を取り出し、投げつけた。
「それ、読んでみなよ。面白いから」
 不遜な態度をとる海賊に激高し、今にも飛び掛かろうとする彼を、護衛の一人が引き留める。彼の震える手には、ネイチャが寄越した書類が握られていた。
 差出がましい部下を怒鳴りつけようとした彼だが、書類に捺された印章に手を止め、すぐさまひったくるように、それを部下から奪い取った。
「貴様っ、これは!」
「そ。アンタを捕縛しろって言う、ココの王様の命令書。ついでに、命令先は、アンタの敵対派閥」

≫26 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:20:45
「なぜだ!?」
「いや、海賊を雇い入れて、自国で暴れさせるなんて、どっからどう見たって、騒乱罪と外患誘致罪よね
 あ、因みに、私らカノープス海賊団がアンタとアンタが雇った海賊の始末を請け負ったから。1千万ベリーで」
「っっっっっっ! この件はっ! 国王がっ! お許しに! なった筈だ!」
「あー、その事ね……」

 ナイスネイチャは、心底哀れんだ貌で―――、

「―――ハメられたのよ、アンタ」
「……。なん、だと―――」
「マリンフォード頂上決戦で、世界の勢力図が変わった。アレは、どんな田舎でも、その余波が押し寄せるレベルの大事件だもの。だからアンタたちみたいに、これを機に自分の財布を膨らませようってやつは、どこにでもいるって事よ」

 ―――権力闘争と言う名のレースに、お前は負けたのだと、ただの事実を告げた。

「………。おのれぇ……」

 ただの事実。しかし、不都合な真実。それをすんなり受け入れられる人間は、そう多くはない。
 そして煮えたぎる怒りと絶望を、何かにぶつけたがるのが、追い詰められた人間の性。
 貴族の男は、懐から取り出した銃を、ネイチャに向けて発砲した。
 乾いた音が奔る。弾丸は過たず標的を目指し、

 鈍い音を発て、突如割り込んできたテイオーに、弾き飛ばされた。

「ネイチャ!」
「お疲れさんテイオー。―――今度は、間に合ったじゃない」
「・・・・・・っ。まさか―――君」
「そんな事より、状況はどう? 教えてくれる?」

≫27 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:20:55
「ああ、うん。スラムの東側に潜伏してた海賊は、イクノが制圧して残党を狩りだしてる。西側は、ターボがほとんど制圧したのを、マチタンがとどめを刺して、今は二人してイクノの方に援護に向かってる」
「ありがと―――。となると、あともう少しで終わりそうね」
 ネイチャの眼光が鋭さを増し、黒幕の貴族をねめつける。
「そういうことだから、おとなしく捕まったほうが身のためだよ。少なくとも裁判は受けられるんじゃない? まぁ、まず縛り首だろうけど」
「っ! 海賊風情がッ!」
 激昂した黒幕の視線が、テイオーを捉える
「キサマ海軍将校であろう! それがなぜ海賊の味方をする!」
「―――っ」
 言葉につまるテイオーの前に、すっとネイチャが割り込んだ。
「他人の事より、自分の心配したら? このままじゃ、一族郎党、まとめて破滅だよ? ちょっとは、保身ってやつを考えてもいいんじゃない?」

 ―――あたしの言ってる事、わかるよね?

 囁くようなその声は、とても魅惑的に、追い詰められた精神に染み込んだ。彼は、ふらふらと夢遊病者の様に銃を構え―――。

 自分の主人を撃ち殺した。

 勝てば官軍、負ければ賊軍。さらには、絶対正義の象徴たる海軍将校までが、彼らに立ち塞がった。
家族、妻や子供の未来すべてをかけてまで、彼は、この男に付き合うことは出来なかった。

「―――、逆族は、処刑した……」
 震える声で告げるその宣言に、ネイチャは酷薄に笑う。
「それ、ちゃんと裁判で言いなよ?」

≫28 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:21:46
5.トウカイテイオー

 青い空、青い海。
 テイオーは、再び海に出ていた。

 あれから、イクノの治療とタンホイザの料理、ターボに天真爛漫に振り回されて、ネイチャの心遣いを受け、脚はほぼ完治し、心も軽くなった。
 そして何より、あんな写真を見せられて、何時までも燻ってなんていられなかった。
 背に負う背嚢の中には、折りたたまれた1月前の新聞が、大切に仕舞われている。

 マリンフォード、オックスベルの16点鐘。決戦の爪痕が色濃く残る海軍本部で、モンキー・D・ルフィがやらかした暴挙。
 テイオーとて、16点鐘の意味は知っている。だから、新聞がこぞって、ルフィが新時代の幕開けを宣言したと書き立てるのも無理はないだろうと思う。

「ルフィガ、ソンナコトカンガエテルワケナイヨネー」 

 彼の幼馴染として、それだけは断言できる。おそらく誰かの入れ知恵で、何か別の意図が隠されているのだろう。
 まぁ、そんなことはどうでもいい。
 目の前で兄をなくしたルフィが、それでも再び進み出したことが、何より嬉しかった。そして、彼の幼馴染として、自分だけが蹲っているなんて、絶対に嫌だった。

「ルフィに会いに行く」

 思い立ったら、もう、じっとなんてしていられない。こうなる事を予想して、新聞を隠していたネイチャたちには、せめてカノープスが船を出せるぐらいに情勢が落ち着いてからのほうが良いと諭されたが、もはや衝動は止めようがなかった。
 だからテイオーは、みんなが寝静まった夜、例の新聞記事だけを持って、寝床を抜け出した。
 もっとも、こっそりと港から出発しようとしたところ、そこに待ち構えていたカノープスのミナミザカ船員から、餞別です。と手渡された背嚢に、当座の路銀と食料とログポースが、カノープスの四人からのメッセージと一緒に入っていたのには、笑うしかなかったが。

≫29 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:22:27
「ありがとう、みんな」

 広い空、広い海。

 小舟にかけられた帆は、海風を受けて満帆だ。
 テイオーは、順調に進む舟の上で、遮るものの無い太陽を一身に浴びる。
 ふと、日がかげる。いつの間にか、テイオーの小舟に並走するように、軍艦が一隻並んでいた。
 軍艦はテイオーの進路を塞ぐように進路を取り、テイオーも見慣れた船影に、帆をたたむ。

「探したぞ、テイオー」
「まさか、君が来るなんてね。どういう人選だよ」

 甲板から顔を出した葦毛のウマ娘もまた、見知った顔だった

「テイオー! アタシたちもいるよー」
「あ、コラバカ! 引っ張るな!」
「ナニソレ? BNWが勢ぞろいなんて、億越えの賞金首でも追っかけてるの?」

 ビワハヤヒデ少将、ナリタタイシン中佐、ウイニングチケット中佐。
 三人そろえば、BNWと畏れ謳われる、海軍でも指折りの実力者の、揃い踏みだった。

「まずは、話がしたい。舫と梯子を下すから―――」
「必要ないよ」

 言うが早いか、テイオーは自身の船の係留ロープを掴んだまま、軍艦の甲板まで跳びあがる。

「……。見事な月歩だな。既に、そこまで回復していたか」
 ちょっと結ばせてねぇと、左舷側の甲板の手すりに、ロープを結ぶテイオーをみて、ビワハヤヒデは独り言ちた。
「はい、お待たせ。で? 話って何?」
「話があるのは、わたくしですわ」

≫30 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:23:02
 声の主は、BNWの後ろに居た。
 軍艦の甲板、その中央に設えられた、不釣り合いに上品なテーブル。しかし、その席に着くウマ娘とあわせれば、一服の絵画の様な完成度を誇っていた。
テーブルにつき、優雅に紅茶を飲んでいるウマ娘も、BNWと同じく見知った顔。
 テイオーは波で揺れる甲板を堂々と横切り、彼女の向かいに腰掛ける。
「やっぱり君もいるよね、マックイーン。コレ、君の船だし」
「ええ。あなたも壮健のようで、何よりですわ。テイオー」
 【海軍の名優】メジロマックイーン中将は、嫣然と微笑んだ。
「で? 話って何?」
「では、単刀直入に訊かせて頂きますけれど、あなた、これからどうなさるおつもりで?」
「とりあえずは女ヶ島かな?」
「成程。義兄が恋しくなりましたか」
「ちがうよ。まずは会いに行きたいだけ。その後の事はまぁ、その後かな? 因みに、そういうふうにボクら4人をまとめる心算なら、ボクが3番目だからね」
「それは、それは……。失礼いたしました」
「ねぇ、ちょっといい?」
 テイオーの真後ろに控えていたウイニングチケットが、たまらず割り込んできた。
「二人とも何を言ってるのか、アタシたちには、さっぱりわかんないんだけど? ねぇ、タイシン?」
 右を向いて、タイシンに尋ねる。
「あたしに振るな。そもそも、大体予想できるでしょ」
「うそー! ハヤヒデはー?!」
 逆隣りのハヤヒデは顎に指をあてた後、
「いや、奥歯にものが挟まったような話で、まどろっこしくはあるが、おおよその内容は推測できる」
「えー?! わからないのアタシだけ?!!!」
 ショックだー! と頭を抱えるチケットに、呆れた視線を向けるタイシンと、額を抑えるハヤヒデ。彼女らの姿に、テイオーは懐かしくなって顔をほころばせた。
「ごめん、ごめん。ボクはこれから、女ヶ島に行く心算って話。ルフィに会うためにね」
「ああ、そういうこと―――って、えええええええええ!?」
 甲板に、チケットの絶叫が響き渡る。
「テイオー! 戻って来てくれないの?!」

≫31 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:23:34
「戻れないよ。海軍からすれば、エースとルフィをかばおうとした裏切り者だよ? ボク」
「それは、問題にはならない」
 ハヤヒデが、口を開いた。
「記録を調べたら、海賊をかばった大尉が雑用同然の三等兵に降格し、今でも海軍で働いている前例があった。
テイオー、あなたにまだ、正義を背負い戦う意思があるのなら―――」
「……ごめんね」
「何で? 情勢は判ってんでしょ? 今、海軍がどうなってるか」
 静かに、努めて冷静に、タイシンが問いただす。
「うん。どうせ赤犬あたりが、頂上決戦では損害ばっかで何の成果もなかったから、それを取り返そうと、強硬路線に打って出ようとしてるんでしょ?」
「わかってんなら早い。弱肉強食がこの海の掟。あたし達は、常に最強を求められる。アンタほどの戦力を遊ばせておく余裕は、今のアタシたちにはない!」
「少なくとも、今のボクじゃ、海兵は出来ないよ」
「どおしてぇ!? もうすっかり元気じゃん!」
 悲鳴のようなチケットの絶叫。
「体の問題じゃなくて、覚悟の問題かな―――?」
「どういうことだ?」
 静かに、ハヤヒデが問う。
「ボクが背負いたい正義(しんねん)は、海軍のそれとは違うんじゃないかなって、すこし―――、迷ってる」
 だから―――、とテイオーは微笑んで、
「ルフィに会いたいんだ。彼、無茶苦茶だけど、自分の信念だけは曲げない人だから。会って話して、自分を見つめなおしたい」
 その答えに、タイシンは、無言で、こぶしを握り締めた。
「まぁ、こういうわけで、テイオーの決意は固いようですわね。『仕方がありませんわ』」
「うん。仕方がないよ。だから―――、わざわざBNWを連れてきたんでしょ?」
「ええ。海軍としては、あなたが抜けるのも痛いですけれど、まかり間違って、革命軍とでも接触されたら、面倒臭いどころの話ではありませんからね」
「だろうと思った」
「あら、予想の範囲内でした?」
「ううん。復帰を促されたのは正直予想外。問答無用で捕まえに来るもんだと思ってた」

≫33 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:24:38
「だって、雑用同然の三等兵ですわよ? 私の船で、コキつかってやろうと思って
居りましたわ」

「そんなことだろうと思った」
「何余裕ぶってくっちゃべってる訳? あたしら程度、簡単に出し抜けるって言いたいのっ」
 会話を辞めないテイオーの肩を、いらだち交じりタイシンが掴みにいく。
 その瞬間だった。
 突如、大きなうねりが、船を突き上げる。大きく揺れる甲板。テイオーが動いた。
「無礼めるな!」
 この程度でバランスを崩すと思ったのか! テイオーの言動を、言外の侮辱と受け取り、明確な怒りこめて、タイシンが掴みかかる。
 しかし、予想外に大きく跳躍したテイオーに、その手は空を切った。
「チケット!」
「りょーかい!」
 左舷側に走るチケット。手摺を飛び越え、テイオーが乗っていた舟を確保。
ハヤヒデは、舟に乗るため、テイオーが着地するであろう予測地点に、抜き打ちのナイフを投擲する。
結果、チケットは無人の舟に一人佇み、ハヤヒデのナイフを慌てて避ける羽目になった。
「なに?!」
 テイオーが跳んだのは、軍艦の左舷側ではなく、右舷側。手摺を飛び越え、海面に降り立ち、「走っていた」。
「は?」
 その光景に、タイシンは硬直し、マックイーンは―――、
「まぁ、空気よりは、蹴りやすいですわね、波は」
「何のんきなことを―――!」

 銃声。

 海の先、テイオーに向けて引き金を引いていた。
 直後、小さくなったテイオーが、頬に手を当て、こちらを振り向く。

「貸しにしておきますわよ! トウカイテイオー!」

≫34 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:25:13
 張り上げたマックイーンの言葉が届いたのか、テイオーは渋面を作ると、そのまま海の向こうへと走り続けていった。

「あんた、最後の一発、わざと外したね」
「ええ、いつの間にやら、見分色も武装色もかなり練りこまれていたようですので―――、拳銃程度では止められませんわ」
「結局、逃がしちゃったじゃない」
「焦る必要はありませんわ、タイシンさん」
 マックイーンは芝居がかった仕草で、銃口からたなびく硝煙を吹き消した。
「テイオーの目的地は判っています。わたくしたちも、麦わらのルフィの所へ向かいますわよ」
 両舷全速。海軍中将メジロマックイーンの乗艦「ダイヤモンドペルセウス号」は、女ヶ島への進路をとった。

 青い空、青い海。
 広い空、広い海。 

 流れを蹴って、海上を走る。密度がある分、空を蹴るよりよっぽど楽だ。
 海流の速さは、およそ3ノット(時速約5.6キロ)から4ノット(時速約7.4キロ)。テイオー自身の脚も計算に入れれば、ログポースが示す次の島まで、約半日。今の調子なら、十分走り切れる。
今のテイオーは、水平線の果てまで、走って行けそうな心持ちだった。

 障害物一つない広大な空間を、何のしがらみもなく、ただひたすらに走る。走る。走る。
 それだけで、世界が広がる。見分が広がる。風の音、波のうねり、海中を泳ぐ魚の群れ、天空を行く海鳥の羽ばたき。そのすべてが手に取るようにわかる。
 まるで、自分が世界で、世界が自分になったようだった。

「大丈夫。ボクは―――、走れる」

≫35 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:26:15
■ ミナミザカ

 夜も更けて―――、
 テーブルに向かい、取扱商品リストの整理を終え、彼は一息ついた。リストの内訳は銃剣類など武器が5で、保存食など食料が5。化粧品など生活雑貨は、頂上決戦からこちら、急激な減少傾向にあった。
取引相手は、海賊、革命軍、地方海軍基地、賞金稼ぎ、自警団、私兵の類から、一般人と多岐にわたる。そのすべてで、食料と武器の需要が急増していた。
「………」

――このままでは終わらない。まだ、まだまだ、続きがある。

 インベルダウンから解き放たれた凶悪犯の存在。マリンフォードの崩壊による、海軍の権威失墜。白ひげという重石が無くなったことにより、活動を活発化させる不逞の海賊たち。頂上決戦後の世界には、不安の種が、そこかしこに蒔かれている。
 そして、その不安はすでに一般市民にも浸透している。その事実が、武器と食料の需要増加という目に見えるデータで現れたのだ。
「お疲れ」
 一息ついたミナミザカに、声がかかった。
「ネイチャさん」
 現れたナイスネイチャは、両手に持った湯気の立つマグカップの片方をミナミザカの前に置き、自分も卓についた。
「テイオーのこと、ありがとね」
「いいえ。あなたたちのやりたい事を、サポートするのが私の役目ですから」
 それに、と言葉を続ける。
「テイオーさんの存在は、渡りに船でしたしね」
 頂上決戦からこちら、この国の貴族が浮足立っている情報は耳に入っていた。カノープスの生み出す利益を狙う輩は多い。混乱に乗じて、どんな形にせよ、その内こちらに手を出してくることは容易に想像ができた。
 反撃はたやすい。腐っても億越えの海賊ウマ娘が4人。そうそう簡単に潰されることはない。だが、その後が困る。ここで大っぴらに国家と敵対してしまえば、これからの活動に支障をきたす。
 カノープスの目的は、この国を転覆させる程度の事ではないのだから。その時が来るまで、たとえ反社会的な、裏社会の存在であっても、カノープス海賊団はまだ、社会の一部でいなければいけない。

≫36 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 10:27:30
 故に、事態の後処理をどうするのか、それが頭の痛い問題だった。
 そこに、ネイチャが連れてきたのが、海軍中将トウカイテイオー。本人がどうあれ、絶対正義の象徴である海軍将校の肩書は、いくらでも使いようがあった。
「なんにせよ。グレイターミナルの二の舞を防ぐことが出来たのは、上々です」
「そうね。あんなの、二度と御免だわ」
 カップに口をつけ、ネイチャは静かに、かつて焼かれた「故郷」に思いを馳せる。
 ふと、ミナミザカがまとめていた資料に目が目に留まる。
「どう? データはまとまった?」
「ええ。あと、もう一波乱か、二波乱はありそうですね」
 権威を傷つけられた海軍、赤犬の動きは予想がつく。そこに、黄猿、青雉がどう絡んでいくか―――、
「まだまだ予断は許されませんが、そろそろ我々も出港できそうです」
「そっか。ドラゴンに報告は?」
「そちらも既に。ああ、そうだ、本部の方から、一ついい知らせがありました」
「いい知らせ? なに?」
「サボさんが、記憶を取り戻したそうです」
「―――。マジ?」
「ええ。エースさんの訃報がトリガーだったそうです」
「……そっか。そうなんだ―――」
 かつて、グレイターミナルで見た光景。あの灰色の世界でキラキラ輝いていた、兄妹の様な4人。
 その内の一人は、もう二度と戻らないが……、それでも、一人が帰ってきてきた。
「そして、そのサボさんからのお願いなんですが、一つ、探してほしい悪魔の実があるそうです」
「成程。じゃ、出港準備、始めないとね」

 ナイスネイチャは、マグカップを空にして、立ち上がった。

to be continued

≫105 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 13:37:42
ちょいとssというか怪文書

私は奴隷のウマムスメ、今日も走る、いや走らされる…これで何日連続だろう?まあ走らない日は奴らの乗り物にされるだけだけど、それでも走らさせるよりマシだ、痛いし辛いしそして何よりも…走っていると故郷を思い出してしまう…そんな事を考えてるうちにゲートが開いた、私も走り出した「負けてはいけないから」痛い体に鞭を打って走った———私は勝った今日は勝てた…私に負けた子達は絶望の表情を浮かべている、当然だ負けたら暴力は当たり前食事や睡眠すら与えてもらえないことも多々ある、勝てたとしても最低限食事と睡眠が与えられるだけで向こうの気分次第では暴力をふられるけど…さあウイニングライブに向かわなきゃ、子供のころ憧れてたかわいい衣装とは全然違う官能的な衣装でいやらしいポーズを取るだけの物だけど…そんな生活がいつまで続くんだろうと、思っていた…その夜に高笑いと共に私達は解放された、嬉しかった何年かぶりにその感情が浮かんだ…けれども人間は嫌いだ、もう戻ったところで人間と共に過ごせる気がしないこの数年間で結局私は壊されてしまっていた…

≫131 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 15:33:38
>>105
「人を愛せないならその分ボクが愛そう。
怒るならその分ボクが怒ろう。
だからどうか……人の総てを嫌わないでくれないか。
それでもなお許せないというのなら、僕と共にアンナモノを許すこの世界と戦って欲しい」

世紀末海賊団四大ルール(他細かい物有り)
過度な暴力、略奪は厳禁
正当防衛以外で一般市民の殺傷は厳禁
不当な暴力は許さない
天竜人は殴る

≫154 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 17:46:25
個人的なコルボ山での三兄弟とテイオーの関係。
割とすぐ仲良くなるのはサボとルフィ。
「おまえ海兵になんのか、じゃあ海で会う時は敵同士だな!」
「ソウダヨー、キミタチゼンイントッツカマエチャウヨー!」
そんなノリで仲良くなる。

エースは持ち前の警戒心でなかなか仲良くなれない。
むしろ、母親のお話を嬉々として喋っているテイオーがムカついて仕方がない。
というわけでケンカ勃発、コーザとビビのように殴り合いを通じて和解する。
「おまえ……中々やるじゃねぇか。気に入った!」
「エースコソフツウノニンゲンナノニボクトゴカクニタタカエルナンテスゴイネ!」

それ以降は仲良く森を冒険したり、町にて食い逃げをしたりする。
なお、サボのガチトーンの忠告によりグレイターミナル、王都に侵入する際にテイオーは耳と尻尾を隠すようにする。
「いいから、耳と尻尾は隠せ! 前に王都から逃げ出したウマ娘がいて、そいつを探しに王都の兵士が何人もグレイターミナルにやってきたことがあったんだ。……お願いだ」
この際にテイオーとネイチャは面識を持つようになる。

サボが父親に引き取られそうになる場面でテイオーがウマ娘である場面で、テイオーがウマ娘であることが発覚。
ウマ娘の愛好家は多いからとポルシェーミはテイオーを捕まえようとするも、直前にネイチャが投石して妨害、エースとルフィの足止めもありテイオーとネイチャは脱出に成功する。

グレイターミナルが炎上した時は、ダダンによりダダンの屋敷にむりやり拘束されてしまう。この時にネイチャは革命軍に迎えられる。
サボの死にテイオーはすごい泣く、めっちゃ泣く。エースはキレた。
それいこう、大切な者を守れられるようにエースとルフィと一緒に鍛える様になる。

≫176 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 19:35:22
インペルダウンMr3&バギー会話妄想

「下に向かう!? なぜ!?君もあのバカの同類ガネ?」
「世界級のバカと一緒にすんな! 俺にはちゃんと考えがある」
近寄って耳打ちするバギー
「ここには俺に従順なやつがいる、懸賞金は五億以上だ」
「ご、五億!? なにかの冗談ガネ」
「冗談だったらあいつを囮にしてとっとと出てるにきまってるだろ。とにかく、ここを出ても周りは海軍だらけ、ならあいつを利用して手下を集めるのが得策だ」
「なるほど、一理ある」

※このあとスフィンクスを見てやっぱ帰ろうとします

麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 32スレ目

≫12 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:07:36
チャルロス聖「ウマ娘は奴隷にしたいから懸賞金はガンガン盛るんだえ」
チャルロス聖「数が少ないから、殺したら承知しないんだえ」
チャルロス聖「でもババアは要らないんだえ」

スーパーカー・マルゼンスキー
懸賞金「7660万1000ベリー」、全て海賊行為によるもの

≫26 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:24:29
ハヤヒデ「な……なんだと!?」
タイシン「チケットが……あの"怪物"マルゼンスキーの孫……!?」
チケゾー「えぇ〜〜〜〜!?そうだったの〜〜〜〜〜!!?」ガビーン
ハヤヒデタイシン「「なんでお前が一番驚いてるんだ!!」」

≫54 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:38:18
ロングランドで別れたマルゼンスキーとシャボンディ諸島で再会して
誰よりも早くブルックが「マママ、マルゼンスキーさん!?」て叫んで
あれあの時ブルック居なかったよなってなるんだよね

それで話をしてくと生前(?)からの知り合いだったと判明するんだ

≫59 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:42:36
>>54
「ままま、マルゼンさん?! なんとまあお変わりなく……!」
「あらやだ、誰かと思ったらブルックちゃんじゃない! 久しぶりね!」
「相変わらずお元気そうで何よりです。……ところで」
「なあに?」
「パンツ、見させてもらっても良いでしょうか?」
「やだぁ! まいっちんぐよブルックちゃん!」
「お懐かしい! ゲッツは知っていますよね?!」
以下、死語トークが延々と続く

≫65 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:51:48
拗らせつつ年齢だけはとったシチーさん海軍所属概念。


夢、目標、理想。

そういったものがボヤけて見えるようになったのは、いつからだっただろう。

最初の頃は、夢を無我夢中で追いかけて、やたら高い目標にそれでも怯まず挑み続けて、遥か遠い理想に瞳を輝かせていた、と思う。多分。

「もう一枚こっちに目線お願いします!…いやー、いいですね!その表情最高!」

そんな益体も無いことを考えつつ、自分の表情は最も写真映えするものへと変わり、それに合わせて体は最適なポーズへ移行する。

ここは海軍本部広報部隊の所有するスタジオで、今は来月の海軍機関誌に載せる写真の撮影中。

そしてアタシは──

≫67 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:53:01
「やっぱ雰囲気あるよな、少尉は」

「流石は“100年に1人の美少女ウマ娘”って感じだよな」

「“金砂”のゴールドシチー、その美貌を間近に見られるってだけで海軍入る価値あったわ」

「それな」

「シチーさん…素敵だぁ」

称賛の声。羨望の言葉。憧憬の念。

悪意など欠片も無い、ひたすらに無垢な善意が投げかけられる。

『キレイ』だと。

「シチー少尉」

上官である女性──広報部隊の責任者である准将から声がかかる。

「本日の撮影は終わりよ。明日のスケジュールを確認したいから、着替えたら執務室へ来て頂戴」

「了解しました」

ああ、何というか──また一段と、何かがボヤけた気がした。

≫68 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:53:59

“金砂”のゴールドシチー。アタシの名前。

身体能力に優れ、魚人と双璧を為す種族であるウマ娘族の出身で、今は海軍本部広報部隊所属。

二つ名は髪の色がウマ娘の中では珍しい“尾花栗毛”という見事な金色だったから。

階級は一応“少尉”。といっても、何か戦果を挙げたわけじゃない。何なら前線に出たこともない。出動してもやることといえば、精々が後方支援という名目で上官の近くに待機する程度。

アタシの主な任務は、モデルとして機関誌やら、外部向けの雑誌の取材を受けること。

一般論として、ウマ娘という種族は見た目が良い。その中でもアタシは、まあそれなりにビジュアルには自信があったわけで。

入隊して早々に広報部隊へ配属されて、以来ずっと訓練の傍らモデル業──いや、モデル業の傍ら訓練、が正しいか。

幸いモデル業は内外問わず読者に好評で、結果として海軍の新規入隊希望者がアタシが入隊する前後で目に見えて変わったらしい。“少尉”とは、その功績で昇進した謂わば張りぼての肩書だ。

アタシには何にもない。海兵として果たした職務も、肩書に見合った実力も、あと、夢とか、目標とか、理想とか。

見てくれだけの空っぽなお人形──それが、海軍本部広報部隊所属“金砂”のゴールドシチー少尉だ。

≫72 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:56:46
だから、こうして真夜中にわざわざ人目を忍んで走り込みをしている理由は、本来無いはずだ。

「ふぅ…5分休憩」

呼吸を整えつつ水分を摂る。

走るのは好きだ。ウマ娘は本能的に走ることを好み、それはアタシも例外ではない。

ただどうしてもアタシの容姿は目立ち、とにかく注目を集めてしまう。走ることに限らず、煩わしい視線を避けるためには人目のつかない時と場所を考える必要がある。

「……はぁ」

──広報部隊に入ってしばらくして、明らかに他の海兵に比べ与えられる訓練の内容が手緩いことに気が付いた。

まさか自分の体力では訓練に着いていけないと侮られているのかと思い、訓練内容の見直しについて上官へ直訴したが、あっさり却下された。

曰く、『今は訓練よりモデル業を優先して欲しい。いつか落ち着いたらモデル業を休止して、訓練主体になるだろうから』

モデル業そのものは楽しい。
新兵の勧誘や士気高揚に必要なことも理解している。
何よりこういう活動も誰かを守ることに役立つはずだから。
それに流石に配属直後に上官に楯突くのは外聞が悪い。

だからその場は素直に退いて、指示に従うことにした。

そしてその日の夜から、無駄に熱血してたあの頃のアタシは隠れて自主トレを開始したのだ。

≫73 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:57:30
いつか本格的な訓練に移った時に困らないように。
いつか前線に出た時に足手まといにならないように。
いつか誰かを守れるように。

いつか、いつか、いつか、いつか、……。

「結局“いつか”は、来なかったなあ…」

世間に顔が売れ、周知されるほどモデル業は忙しくなった。外部からの取材申し込みも、数日どころか数ヵ月単位で順番待ちが発生している。

もういっそ海軍を辞めてモデルを本業に──なんて話も出て来ていた。

そんな状況でも未練がましく訓練と自主トレの日々を送ってきたが、流石にそろそろ限界かもしれない。

泥のような諦念が体にまとわりついてくる感覚。

少し前までなら振り払えたはずのそれが、やけに重く感じる。

休憩時間である5分が過ぎても、その場に脚が固定されたように動かない。

夢──いつまでも見ていられない。いずれ醒めるか破れるかだと、ここ数年で理解した。
目標──妥協していく必要性を学んだ。高く掲げても、届かないならば無いのと同じだ。
理想──現実との折り合いをつける術を知ることが大人になることだと、今なら分かる。

明日、アタシは海兵を──

≫75 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:58:33
「走らないのか?」

「ひゃあ!?」

背後からいきなり話しかけられ、驚きに思わず飛び上がる。

振り返ってみれば、そこには自分よりいくらか年上の男──階級章からして大佐。つまり上官にあたる──がいた。

「お、驚かせてすまない。いきなり背後から声をかけたらダメだよな。不躾だった」

「い、いえ。アタシもちょっとぼーっとしてたので…」

こちらに頭を下げる初対面の大佐に、変な声を出してしまった羞恥心を落ち着かせながら考える。

この人、いつからいた?

モデルという“他人に見られる”仕事をしているからか、アタシは周りからの視線や気配に敏感だ。更にいえばウマ娘は聴覚も発達しており、僅かな物音も聞き逃さない。

だというのに、この人は気取られることなくウマ娘であるアタシの背後を取った。

(ああ、そりゃそっか。お飾り“少尉”のアタシと違って、きっちり実力で“大佐”になったんだろうね)

そんなことを考えていると、大佐は人畜無害そうな顔でこちらに語りかけた。

「それで?」

いや何が、それで?なのか。

≫77 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:59:57
「えっと…?」

「ああ、ゴメン。キミいつも1人でこの辺を走ったり、トレーニングしてただろ?今日はいつもより切り上げるのが早いから気になって」

どうやら海軍内部にストーカーがいたらしい。後でルドルフ中将に報告しよう。

じゃなくて…!

「見てたんですか!?」

「あー、うん。覗き見するつもりはなかったんだけどさ。ほらこの辺ってこの時間は人通りが少ないし静かだろ?」

散歩するには丁度いい。なんて、締まりの無い顔で微笑んだ。

「……そうでしたか。散歩の邪魔をして申し訳ありませんでした。でも、明日からは気にする必要はありません」

アタシの言葉に大佐は首を傾げていた。

「……、っ、モデルに、専念しようと、思ってるんです」

出てきたのは、自分でも信じられないくらい掠れた声だった。

「まあ元々?向いてなかったんです。ウマ娘だし、ちょっと力が強いから調子に乗って海軍に入ってみたりして。ああ、これからも海軍とは良いお付き合いをさせて頂きたいと思ってます。“モデル”のゴールドシチーとして」

うわ。ダサ。最悪。

何かやたら早口でまくし立てて、なのに最後の方は声なんか殆ど出てなくて。表情も引き攣ってるし、脚とか震えてるし。

≫78 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:01:12
「──それで?」

目の前の大佐は微笑んだまま、先程と同じ言葉を口にした。

「は…?」

「君はどうしたい?」

どうもこうもない。割り切らなければならない。いつまでも惰性で現状のままとはいかない。

「君にも夢があるだろ?あと、目標とか、理想とか」

──昔、住んでいた島が海賊に襲われた時のこと。いち早く駆けつけた海軍がものの見事に海賊達を捕縛し、あっという間に解決してしまった。

皆、怪我や汚れでボロボロだったけど、その姿が凄く『キレイ』に見えた。

単純過ぎて笑われるかもしれないけど、それでもなりたいと思った。

でも──

「そういうのは、ないです。現実見て、地に脚着けないと」

失礼します、と。一刻も早くここから離れたくて、アタシは返事も待たずに逃げ出した。


「──荷が重いなあ。恨みますよ、ルドルフ中将」

駆けて行くウマ娘の背を見届け、男は思わずそう呟いた。

≫79 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:02:06

翌日、起きてから未だに頭が回らないまま上官である女准将の執務室に入ると、何故か昨夜の男もいた。

やはりストーカーだったか。後でルドルフ中将に報告しよう。

とはいえ、だ。昨夜あんな情けない姿を見せて数時間しか経っていないので、流石に気まずい。と、思っていたのだが。

「ああ、昨日ぶりだね少尉。丁度よかった、君の意思も確認しておきたい」

「シチー少尉、実は貴女の彼の部隊への転属が決まったところなの。辞令は追って下されることになるわ」

「…は?」

いや、は?

≫80 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:02:46
「広報部隊でのモデル業は継続してもらうことになります。形式上は兼務ということになるわね。まあ、所属は彼の部隊だから仕事量も含めて調整は必要だけど」

いや、ちょっと。

「流石に今までみたいなモデル中心の生活は難しくなるからな。慣れるまでは大変だが、一緒に頑張ろう!」

いや、だからさ。

「彼は誠実だし、優秀な海兵よ。しっかり鍛えてもらいなさい」

「そんなに持ち上げないでくださいよ。何より彼女の意思が最優先です。だから、まあ──」

未だに混乱するアタシに、男──大佐は昨夜と同じように微笑んだ。

「──君はどうしたい?」

≫83 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:03:19
「…、っ。昨日言ったこと、忘れたんですか?」

上官に対し質問に質問で返したことを気にすることなく、男は続けた。

「君の本心が知りたいんだ。君にも夢があるだろ?あと、目標とか、理想とか」

──捨てると決めた“希望(いつか)”だった。

──諦めていた“未来(いつか)”だった。

──来ないはずの“明日(いつか)”だった。

それがよりによって、今。今更。

「…、っ!夢なんか、無い!もういいっつの、もうやめるんだ、アタシは!」

あっさり敬語が崩れた。自分が大概な“気性難”だという自覚はあったが、この年齢にもなってこんなにも簡単に取り繕えなくなるなんて。

≫84 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:04:03
「──ゴールドシチー少尉」

そんなことを気にした様子もなく、男は真っ直ぐ目を合わせてきた。

酷く優しい、幼い迷い子にかけるような声音。

「君は“君”を捨てなくていいんだ」

あ、ダメだわこれ。

「……アンタ、何なのよマジで」

かろうじて残っていた理性の糸は、容易く切り落とされた。

「ムカつく。うざい。お人好し。ストーカー。盗み見。セクハラ。デリカシーない。しつこい。うざい、うざい、うざい!」

ここがどこかとか、誰がいるかとか、もう関係なかった。

とにかく全部ぶちまけないと、どうにかなってしまいそうだ。

≫85 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:04:40
「話が聞きたいとか、自分を捨てんなとか!!わけわかんねーことばっか言いやがって!!アンタ、いったいなんなの!?」

いつ暴れ出してもおかしくないウマ娘を前に、男は微笑みを崩さない。

その態度が、まるで自分を子供扱いしているようで更に怒りを煽る。

夢とか、目標とか、理想とか。
子供じゃないんだから、いつまでも追ってられないんだ。なのに──

「ゴールドシチー少尉の直属の上官志願者だ!」

堂々と、子供みたいに目を輝かせて、そんなことを宣った。

「………………っ。あああああああもうっ、うっぜぇえええ!!
だったらやってみろよ、アンタが!アタシの上官になって、アタシのこと思いっきり鍛えて強い海兵にしてよ!
ただし、いっぺんでもアタシのこと“お人形”扱いしたら、ガチでぶっ飛ばすから!」

「わかった!」

アタシの絶叫に対して、新しい上官は力強く頷いた。

まあ、つまりこれはそういう始まり。

≫86 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:05:23

ゴタゴタはあったが、無事(?)アタシの転属が決まった。

散々執務室で騒いだことを准将に平謝りしたが、逆に「もっと早くこうするべきだった。私は貴女に甘えて、本当に取り返しのつかないことをしていた」と、謝られてしまった。

まあ元々モデル業そのものは好きだし、結果的にアタシの望む形にはなったわけなので気にしない。はい、この話終わり。

取り敢えずは挨拶回り。
まずは広報部隊の同僚達、次に転属先の実働部隊の同僚達。
その後、私物を転属先へ移動させ一息ついた頃に上司──大佐から呼び出された。

先程怒鳴り散らしたばかりなので気まずいが、無視するわけにもいかない。

というか、冷静になると本当に恥ずかしい。生娘とはいえもう20代になったのに、いつまで10代のポニーのつもりなのか。

絞首台に登る罪人の気分で新たな上官の執務室に行ったのが数時間前。

≫87 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:06:21
そして今。

「少尉ー、あと2往復だ、頑張れー」

──大佐殿直々の監督の下、基礎トレーニングに励んでいた。

今は高さがアタシの背の倍以上ある、冗談みたいなサイズの『錨』を引きながら、訓練場を往復している。

それにしても、流石は実働部隊のトレーニングはぶっ飛んでいる。こんなどんな船に使うのか分からないような錨を、トレーニングに使うなんて。

「いや、少尉が来てくれて助かった。なんか洒落で作ったっていう錨を押し付けられたけど、ウチにはウマ娘もいないし誰も使わなかったからなあ。少尉のおかげで無駄にならずにすんだよ、ありがとう」

違った。使うのアタシが初めてだった。

あいつはいつか殴る。そう心に誓った。

まあ、そんなこんなでしばらくはトレーニング漬けの毎日である。

今までの訓練も自主トレもお遊びにしか思えないほどの、ハードでスパルタなトレーニングを雨の日も風の日も黙々と。

その間、大佐はずっとアタシの訓練を見守り、気になった点や修正点を指摘してきた。徐々に基礎トレーニングから対人戦闘、集団戦の訓練も追加されてからも、それは変わらなかった。

モデル業も以前ほどではないが続けており、それなりに大変だが充実した海兵生活を送れている、と思う。

≫88 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:07:08
そんな日中は訓練とモデル業に明け暮れ、夜は泥のように眠る毎日を過ごしていた頃。

ある海域への哨戒任務に同行を許された。それも、初の前線要員として。

「いいんですか!?」

「そろそろ頃合いかなと思ってさ。まあ比較的安全な海域だけど、現場の空気に慣れておくには丁度いいだろ?」

メイクデビューは早い方がいいもんな。という大佐の言葉に、アタシは大きく頷いた。

ここからだ。ここから、ようやくアタシは進めるんだ。




天気は快晴。波は、まあ普通。

最初こそ緊張と高揚で固くなっていたが、本当に安全な海域で拍子抜けしてしまった。

いや、別にルドルフ中将とかみたいに海賊を艦隊ごと吹き飛ばしたいわけじゃないけど。ていうか、アレは無理だし。絶対ウマ娘とは別種の生物だと思う。

なんて益体も無いことを考えながら、同僚達と職務に励みつつ休憩も兼ねて近隣の島──小さな町がある──の港へ着けようという通達があった、その時だった。

≫89 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:07:53
──警戒音!?

遠方に海賊船。数は2隻。海賊旗から船長は億超えの凶悪犯、らしい。

対してこちらは1隻。既に応援要請は行ったが、間違いなく間に合わない。

「つまり、私達で連中を捕縛、または撃退しなければこの島の住民が危険に曝されるということだな」

能力者いたっけ?大佐だけですよ。

大佐と補佐官が緊張感の無いやり取りをしばし行うと、総員戦闘体勢が発令された。

ついに、実戦だ…!

互いに砲撃しながら、自分達の船と敵の海賊船が接近する。

音が凄い。爆発の衝撃で空気が震えてる。水飛沫も半端じゃない。

敵の砲撃が甲板に命中し、その衝撃で船外に投げ出された同僚がいた。

飛び散る船の破片で傷付き血を流す同僚がいた。

船体が大きく揺らいで、海に落ちそうになってるバカ(大佐)がいた。うん?

≫90 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:08:42
「アンタなんなの!?ホント信じらんない!」

「本当に申し訳ないと思っている…カナヅチだから命に関わるところだった…」

落ちる前に救出できたから良かったものの、司令官不在になるところであった。

…これの部下やるの、ちょっと不安になってきた。

そんなやり取りをしていると、あっという間に接敵である。

互いの船を足場に白兵戦となる。

「──よし、船長側を何とかするか。補佐官、こちらは任せた」

「御武運を」

大佐は一人、躊躇なくどちらかといえば豪華な造りの海賊船へと、“月走”を使って乗り込んで行った。戦闘音からして派手にやっているようだ。

というか“月走”使えるならさっきも使えバカ大佐。

船長側を大佐が抑えたとはいえ、流石は億超えの船長率いる海賊団。けして気が抜ける相手ではない。

「クハハハハハー!俺様はこのアーニマン海賊団の幹部で6000万ベリーの賞金首だぞ!オイそこの女、俺様の物になるなら命だけは助けてやるぞ!」

…けして気が抜ける相手ではない!

≫91 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:09:21
くっそ、色々ツッコミたいけどコイツ無駄に強い!

同僚達に取り囲まれてるのに上手いこと捌いて確実に手傷を負わせてくる。

補佐官初め、こちら側の強い人達は他の幹部を相手したり仲間の救助を行っているので、ここはアタシ達で何とかするしかない!

「クハハハハハー!随分な別嬪さんじゃねーか。俺様の物になるならそれは大切に使ってやるぞ?それこそ『キレイ』な『お人形』のようにな!」

「は?」

あ、ヤバい。あのバカ(大佐)のとこに転属してからこっち、沸点低くなってるかも。

「クハハハハハー!お前みたいな見た目のいい女は大好きだ!海軍なんていうくだらない所なんぞ抜けて、俺様と楽しくやろうぜ『キレイ』な『キレイ』な『お人形』ちゃん!」

「──死ねっ!!」

そこからのことはよく覚えてないです。いや、ホントに。

ただ、同僚達が泣きながらアタシのこと止めてたのは覚えてます。

え、始末書?マジ?…ハイ、すいませんでした。

≫92 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:09:57

今日も飽きることなく錨を引いて走る、走る、走る。

何か錨の数が3つになってる気がするけど気にしない。1つ1つも最初より大きくなってる気がするけど、目の錯覚ということにする。

ビワハヤヒデ少将みたいなアレである。気にし始めたらキリがないので考えない。

「ふぅ…5分休憩」

呼吸を整えつつ水分を摂る。

何だか妙に眩しく感じて、ふと、海の方を見る。

「わぁ」

──夕焼け。

体は疲れてヘトヘトで、それなりに板についてきた訓練着はボロボロで。

だけど、空はわけ分かんないくらいキレイで。

ああ、そっか。全部、最初から分かってたんだ。ムカつく。

≫93 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:10:47]
「ねえ、大佐」

飽きもせずアタシの訓練を監督する上官に声をかける。今は新聞のクロスワードパズルをやっていたようだ。いや、監督しろよ。

「どうした少尉。錨を増やすか?」

「それはまた今度。いや、そうじゃなくてさ」

相変わらずの優しい声音で微笑んで、子供みたいに目を輝かせてこっちを見る大佐を、アタシも正面から見返した。

「──今アタシは、ちゃんと“アタシ”だよ」

そっか。と、何てことないように微笑んで、大佐はクロスワードパズルを再開した。

もう一度、夕焼けを見る。

夢、目標、理想。

幼い頃のあの夢を、何度だって無我夢中で追いかける。
高く掲げた目標に、手を伸ばして背伸びして跳び上がっても届かなくて、それでも怯まず挑み続ける。
遥か遠い理想に、折れそうになっても瞳の輝きは絶やさずに。

ボヤけていたそれらが、ほんの少しだけまた見えるようになった気がして、ついでに一つ誓いを立てた。

証人はアタシ。それから大佐。

だから、つまりこれはそういう始まり。

『キレイ』で『強い』海兵を目指す、“金砂”のゴールドシチーの第一歩。

≫94 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:11:37

「いや、すまないね大佐君。彼女のことを任せきりにしてしまって」

頭を下げる“皇帝”シンボリルドルフ中将の謝意に、大佐──シチーの直属の上官は、困ったように曖昧な微笑みを浮かべた。

「何故ああなるまで放っておいたか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

促されるまま椅子に座り、そう切り出す。

ずっと気になってはいた。“金砂”のゴールドシチー少尉といえばモデルで有名だが、入隊当初から前線組を志望していたのは近い年代の海兵の間では有名だ。

如何に本人もモデル業を楽しんでいたとはいえ、それは本人の意向を完全に無視していい理由にはならない。

特に彼女はウマ娘である。前線組からすれば、正に引く手あまたの存在であるから尚更だ。

「鍾美瑰麗。如何なる美麗字句を並べても、彼女の美しさを讃えるには不足だろう。つまりは、そういうことだ」

“皇帝”に足る『神威』も、“暴君”を思わせる『覇気』も無く、ただ疲れたように溜め息を一つ。

それで大佐はおおよそを察し、窓の外の遠くを見た。

忌々しいくらいに清々しい快晴であった。世界滅びればいいのに。

≫95 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:12:25
「…天竜人ですか」

「出来れば口にしないで欲しかった…」

触れるのは心底嫌だったが、それでは話が進まないので仕方ない。

「──彼女が入隊した当初から、まあ、なんだ。あの界隈で話題になっていてな。ただでさえウマ娘だというのに、しかもあの美貌だ。一時期は海軍に対し引き渡し要求がダース単位で飛んできていた」

「凄い」

凄い。

「無論、全て突っぱねたが…なかなか収集がつかなくてな。だから女性である准将の下に預け、モデルとして活動させることで逆に世間への周知を広め、互いに牽制し合って手出しできないようにした。
“金砂”のゴールドシチーは皆の物だから、無理やり所有権を主張するのは許さない、という世論を作ったというわけだ」

「何故ですかね。今めっちゃ鳥肌と変な汗が凄いんですが」

大佐は暗殺を警戒して窓の外を見た。

優しい日射しの中を小鳥がアホ面下げて飛んで行った。この陽の光で全てが焼き尽くされたらいいのに。

≫96 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:13:25
「それがようやく一段落してな。異動させても大きな問題はない、と判断し白羽の矢が立ったのが君だったんだ。
しかし、あまりにも時間をかけ過ぎた。まさか彼女がああまで追い込まれていたとは…」

「まあ、あれは仕方ない気もしますが…」

落ち込みションボリとした皇帝を見ながら、大佐は本心からそう言った。

そもそもゴールドシチー少尉もモデル業そのものに不満があったわけではなく、本人もそのことで周りに当たり散らすようなこともなかったため発覚しなかったのだ。

広報部隊の准将は気付けなかったことに酷く心を痛めていたが、あんなもの他人が分かるわけがない。

結局はアレだ。全て天竜人が悪い。

ほぼ初対面の状態で取り敢えず一通りの地雷を踏み抜いてしまい、内心ビビり散らしながら逆ギレ気味にシチーを自分の部隊に受け入れた男は、そう思った。

≫97 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:15:28
「そう言ってもらえると助かるよ、大佐君。
──ところでこの間、面白いことがあってね。バーソロミューくまがいつも持ち歩いている聖書を無くしてな。探しながらこう言ったんだ『これはくま(困)った』!フフフフフフッ、どうだ大佐君!」

大佐は窓の外を見た。
いつも通りのマリンフォードの景色だ。白ひげあたりが全てを消し飛ばしてくれたらいいのに。

あとエアグルーヴのやる気が下がった。


≫69 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:54:22
短期集中表紙連載 第〇弾 マルゼンスキーのオドロキ桃の木そのひぐらし
vol〇〇「黒いあの子は私の孫!?許すまじ!!」
vol〇〇「到着もすべてが終わった後」
vol〇〇「潜水艦発見、ハッチにノック」
vol○○「初対面の孫と挨拶」
vol〇〇「『あなたが孫のフィアンセ?』『いやいやいやいや』」

≫74 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:57:38
丁度いいタイミングでssかいたからこれの続きってことで読んで


マルゼン「やっと、見つけたわ。」
ライス「え?あ、あなたは?」
ロー「!「怪物」マルゼンスキー…。こんなところに何しにきた…!」
マルゼン「ライスシャワー。あなたに会いに来たの。」
ライス「ライスに?」
マルゼン「ええ、あなたは、あなたは私の孫なのよ。」
ライス「!」
ロー「おい、ふざけるなよ…!今更現れて、孫だと?!今まで…あんた何してた!!ライスが一体!どんな目にあってきたと…!」
マルゼン「ええ…そのとおりね。酷いおばあちゃんよね…。今まで、あなたの存在すら知らなかった…。本当に、ごめんなさい…。」
ライス「……マルゼンさん。」
マルゼン「ライスちゃん、…あなたに会えて良かった。」
ライス「……ライスにも、ライスにも家族が、いたんだね…。」
マルゼン「ええ…!そうよ…!そうなのよ……!ライスちゃん…!生きててくれて、ありがとう…!」

みたいな出会い妄想

≫39 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 21:30:23
ここのバギーって多分本編より強いんだろうけどどれくらいかって考えてみたら、多自身の体を銃弾サイズまで分解+銃弾以上の速度で飛ばすくらいやってのけたかもとか考えた。(バラバラ銃弾、バラバラマシンガン的な感じで)
でも本編初登場時はエル逮捕によるストレス+東の海で腐ってたことによる肉体的デバフ+相手が当時まだ無名のルフィ+シャンクスの麦わら帽子を被っていたこと(シャンクスならエルを捕まらせるようなことにならなかったのではという潜在意識)+過去の輝いていた自分を思い起こさせるルフィの姿、といった感じでデバフかかりまくって負けたという感じ。(原作のアーロンやシキみたいな感じで)

≫104 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:25:37
>>39の者だけどこのネタで原作のバギー戦を再構成してみた。

(畜生!あの野郎何で倒れねえ!?)
「こんなはずではなかった」 あの時以来ずっとこの言葉が頭の中に浮かんでは消える。
ロジャー船長の処刑に伴う海賊団の解散。あの野郎との決別。そこまでならばまだ立ち上がれた。
だが___

(バ、バギー船長!に、逃げて下さい!)
俺に唯一ついてきてくれた妹分、エルコンドルパサーの最後の瞬間がリフレインする。
泣き虫で臆病な妹分だった。あんまりにも見ていられなかったから「勇気が出るマスク」とホラを吹いてマスクをくれてやったら嬉しそうにつけた。そこから破竹の勢いで活躍し始めたが、それでもあいつは俺を慕っていた。
だがロジャー海賊団所属だった事を隠す為、あいつの象徴でもあったマスクを取り外させた。その結果臆病で泣き虫のあいつに戻っちまった。そう、その筈だったんだ…!
あいつはロジャー海賊団を追う海軍から俺を逃がすため、俺が止めるのも聞かず泣きながら殿をつとめ、そして___

(マスクを外してなきゃ、あいつがとっ捕まるわけなかったんだよ!!)
俺のせいだ。その意識が俺を縛り付けた。
そこから先は転落の連続だ。「最弱の海」東の海で宝探しやチンケな悪事を働き、今この瞬間も無名のガキ相手に苦戦してる有様だ。しかもそいつが、あの野郎の麦わら帽子を被ってるってのは何の冗談だ!!

≫106 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:25:49
このままでいいのか。
目の前のガキはまるで、あの野郎が今の俺にそう問いかけているようだった。
再びリフレインするのは、マスクをくれてやった時の妹分の笑顔。

(いいわけ、ねぇよなぁ!!)
決めた。戻るぜ、偉大なる航路に!そしてあいつを取り戻す!
その為にも金に仲間、他にも準備がいる。だがまずは___
(目の前のコイツをぶっ倒してからだ!!)
認めてやるぜ、手前を海賊としてな。だから俺の奥の手をみせてやる。

瞬間、バギーと対峙していたルフィは悪寒を感じた。目の前で戦っていた存在が突如得体のしれない怪物に変わったように感じた。そして反射的に、現在自身の出せる最大の一撃を放つ。

それに対しバギーも自身の奥の手で対抗しようとし___
「あれ!!!?」
自身の胴体の大部分がいつの間にやら縛られていたことに気付く。
見るとさっきまで脅威とみなしていなかった女の仕業だとわかった。
そして迫りくるは対峙していた男の一撃。

「ちくしょう、まずは鍛えなおしだぁぁぁ!!!」
その言葉を最後に、バギーは吹っ飛ばされるのであった。

長くなったけどおしまい。

≫175 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:42:25
ライスの部下として迎え入れられたベラミー概念のssです

「ベラミーさんっ、大会に出場するって本当?」

そう話しかけてきたのはベラミーよりもかなり小柄なウマムスメ族。
こんな見た目でもドンキホーテファミリーの最高幹部のひとりであり、ファミリーのNo2に位置しているという。
少し前にベラミーの上司となったそのウマムスメ族の名はライスシャワー。気弱そうな表情とは裏腹に、ドフラミンゴに仇なす者たちを海に沈めてきた"黒い刺客"であった。

ベラミー「ああ。ドフラミンゴから直々のご命令だ」
ライス「そうだったんだ……。ご、ごめんね。ライスは……」
ベラミー「その日は仕事があるんだろ。別に応援なんていらねェよ。あんたの顔に泥を塗る真似はしねェ」

今回の大会の開催日には丁度ライスシャワーにも"大切な仕事"があるらしい。
海賊にしては優しすぎる少女だ。変に律儀なところもある。部下のベラミーを応援しに行かないのは申し訳ないと思ったのだろう。

ライス「そ、それもそうなんだけど……」
ベラミー「?」
ライス「ライスね、コリーダコロシアムには入っちゃいけないことになってるの」

あまりにも予想外の一言に、ベラミーはつい呆気にとられてしまった。

≫176 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:42:52
ベラミー「な……なんでだ?あんたは最高幹部で、しかもファミリーのNo2だろ?」

ライス「あそこはディアマンテさんの管轄だから……。いくらライスが最高幹部でも、勝手にうろつかれたら良い気分はしないって。それに、ライスが勝手に入ったら何かトラブル起こしちゃうかも……」

トラブルに関しては確かに一理ある。このウマムスメは実力の割にややドジなところがあって、花瓶の水をひっくり返したり椅子に膝をぶつけたりは比較的よく見る光景だ。ベラミー自身、コケたライスシャワーに飲み物をぶっかけられたことがある。
しかし、だからといって最高幹部を追い出すような真似をするだろうか。

ベラミー「(……そういえば)」

ドレスローザにいる間のライスシャワーがしていることといえば、町で住民の手伝いをしたり、子供たちと遊んでやったり、汚れたおもちゃを磨いたりといった具合だ。
誰に対しても優しく寄り添うライスシャワーを慕う住民は多い。ウマムスメ族の可憐な見た目も相俟って、彼女を"ドレスローザのバラ"と呼ぶ人々もいるほどに。
……けれど。

ベラミー「(それって最高幹部の……組織のNo2のやる仕事か……?)」

ライスシャワーは言っていた。このドレスローザをより良い国にすることが夢なのだと。
ドレスローザを笑顔でいっぱいの国にしたいのだと。
命を持つおもちゃを含んだ住民たちと触れ合い、笑い合う彼女は心から幸せそうで。
……けれど、"何か"から彼女を遠ざけようとしているような、そんな違和感を拭うことができない。
一体、このドンキホーテファミリーで……ドレスローザで何が起こっているのか。
ベラミーはただ、妙な不安を抱くばかりだった。

≫177 二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:43:54
おしまい
このライスはリク王がガチで乱心したと思ってる

麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 33スレ目

≫31 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 00:45:45
個人的に、オペラオーとルドルフの決戦にて
ルドルフが何故頂上戦争に参加しなかったのか。
その核心を痛烈に当てるシーンがある。
「君、テイオーが裏切ることを知っていたのだろう?
そして君はそんなテイオーを倒すことが出来ない。だから君は頂上戦争ではなくボクの所に来たんだ!」
「……そうだ。私は甘い、私は娘が道を違えたとしても戦うことなど出来やしない、軍人として……否、母としても失格の行いだ」
ーーだが
「明日の平和を守るため、海軍の責務として私にはここを守る責務がある」
「……そうかい。これ以上聞くのは野暮なことだ。
さあ、長きに渡るオペラをここで終わらせようじゃないか! 皇帝・シンボリルドルフ!」
「臨む所だ、世紀末覇王・テイエムオペラオー!」

≫55 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 09:12:19
七武海オグリキャップはいくつかの伝説がある。
いわく、海軍の食堂で食べすぎて出禁になった。
いわく、黄猿の攻撃に反応できる。
いわく、潰した人攫いの一味は30を越える。
いわく、ビック・マムから食料を奪った。
多くの伝説を持つ彼女の、その一番有名なもの。それは、
彼女の心臓は大きく、その鼓動の音は、敵を威圧し動きを止める。
いつしかその音は、「勝利の鼓動」と呼ばれるようになった。

タマ「はぁー。勝利の鼓動やと!またけったいな名前がついたもんやなあ。」
オグリ「いいだろう。ちょっとかっこよくて気に入っているんだ。」
タマ「いや、確かにオグリが戦ってると地響きみたいな音がするけどな、でも、かっこええゆうてもオグリ。その音って、心臓じゃなくて腹の音やんけ。」

みたいな戦ってるとすぐお腹がすいて、ゴゴゴゴゴ、みたいなすさまじい音がし始めて敵が萎縮するオグリの妄想。

≫74 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 13:01:08
カサマツ島の同期組を捕まえた結果ガチギレオグリに勝利の鼓動を聞かされながら潰される人攫いのボス妄想

その男は焦っていた。人攫いとして多くの奴隷を売ってきた男は、昨日、高額で売れる陸の人魚「ウマ娘」を3匹ほど捕まえた。誰にもばれてないはずだった。一人の男に見られたがちゃんと始末した。けれども見つかった。
(やばいやばいやばい!なぜだ。なぜこんなところに七武海が!?しかも'稲妻'まで一緒だと?!)
部下達はもうやられていた。男は自分の力量くらいはわかる。入り口にあの二人が現れた時には逃げ出していた。部下が馬鹿でよかった。とりあえず商品だけは掴みあとは船に乗るだけだった。その時だ。

ドッドッドッドッ

音が聞こえてきた。段々大きくなっていく、単調な音。男はわかった。振り向いてはいけない。しかし

ドッドッドッドッドッドッ

振り向いてしまった。

ドッドッドッドッドッドッドッドッ

どす黒い、怪物がそこにいた。一歩、また一歩近づいてくる。歩いている。ゆっくりと。

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ

その音がどこから聞こえてくるのか、男にはもうわからなかった。

「一撃だ。」

怪物が口を開いた。男の足は動かない。体が強ばり、ただ"それ"が近づいてくるのを待つばかり。

「耐えろ。」

男の意識はそこまでだった。

≫77 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 13:14:43
「おいおい。オグリ。ちょっとこれはやりすぎちゃうか?」
「一撃だけだぞ。それにちゃんと耐えろって言った。」
「いや、耐えろ言われて耐えれたら世話ないわ。」
地面は巨大な隕石が落ちたかのように抉れ、中心には男が突き刺さっていた。
「は!そうだ!キタハラは!?どうなった?!」
「落ち着けって。革命軍から連絡あったわ。意識は戻っとらんけど、まあ峠は越えたって。」
「そうか。…良かった。」
「…全く。そんな顔もできるんやな…。」
「何か言ったか?」
「なんでもあらへん。とりあえず、今日は宴や!こいつらたんまり貯めこんどったわ!」
「おお!ならさっそく食料調達だな!早速魚を狩ってこよう。この辺のは美味いんだ。ただ、一時期取れなくなっていたから、取っていい魚の数が決まってるんだ…。」
「…ほどほどにしといてくれや…。」

≫79 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 13:22:20
「それにしてもあれ生きてんのか?」
「生きていたらもう一回殴れるな。」
「死ぬまで殴ろうとすんなや…。」
「冗談だ。」

≫94 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 16:03:26
刀を使うロジャーの船員時代のキング怪文書

敵海賊に対してキングは母親から譲り受けた(強奪した)大業物の名刀「光輪」を振るって応戦する。しかし、それは母親のようになりたいという想いが先行する、いわば付け焼き刃の戦い方だ。
自分では母親のようになれないという焦りも相待ってその太刀筋に迷いが生まれてくる。
そしてその隙を見逃すほど、敵は甘くなかった。
敵の振るったサーベルがキングの脇腹に襲い掛かる。
(まだ何も成せてないのに!あの人の影すら見えてないのに!)
死ぬという恐怖よりも、母親の覇気を纏うほどに使い込まれた愛刀を持ってきてまで届かないことに対する悔しさが勝ったその時だった。
走馬灯だろうか。少し前に副船長のレイリーが言っていたことを思い出した。
「キングくんの刀を抜く速度は本当に速い。あと数年もすれば俺より速くなるかもな」
あの冥王より速く抜刀出来るようになるなんて大袈裟かもしれない。
だが、藁にも縋りたい今の状況で、土壇場であるが試してみたくなった。
「っ!」
ウマ娘の脚力で何とか攻撃を躱し、着地するまでに納刀を済ませる。
そして居合抜きの構えをとった。
「鬼燃・鷹魔爪宮!」
ウマ娘武術の足運びと体捌きを抜刀術に応用、連動させ、電撃の居合へと至る。
「煌!!」
いつ抜かれたのか、いつ納められたのか、それすらもわからない一撃が、眼前の敵を撫で斬った。
キングヘイローはこの日、本当の意味で「光輪」に認められたのだった

≫134 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 19:37:37
ローくんライスはお母さんみたいなナイスバティになるから。
お前もう27歳だろ。
う、ウマムスメには第三次成長が(嘘)
お前はお前のままで魅力的だよ。

≫138 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 19:44:39
過去スレにレイリーを買うためにヒューマンショップにやってきたマルゼンスキー概念があったけど。

そこに天竜人がやってきて
「お父上! ウマ娘がいるえ! 捕まえて奴隷にするえ!」
「やめておきなさいチャルロス。アレはマルゼンスキー、実年齢はピー歳のひ孫がいるウマ娘だ」
「え(父の言葉が信じられない顔)え(マルゼンスキーの顔を確認する)……え?」
「本当だ、チャルロス」
「……ババアはいらないえ(ココロばあさんを見た後のサンジみたいな表情をして)」

マルゼンスキーは耐えた。
微笑みという仮面で殺意を隠しながら。

≫146 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 20:16:46
マルゼン「可愛い孫ちゃんたち!コイバナを聞かせてくれるかしら!?まずスペちゃん!!シャンクスとはどうなの?」
スペ「ふええっ!?な、なにもないよおばあちゃん〜〜!」
マルゼン「じゃあ次ライスちゃん!あのローくんっていうイケイケなルーキーとはどこまで行ったの!?」
ライス「ら、ライスとローくんはまだそんな関係じゃ……」
マルゼン「チケゾーちゃんは……」
チケゾー「なになに、鯉の話?アタシ魚は詳しくないから、今度ハヤヒデに聞いてくるね!」
マルゼン「あちゃー……」

≫181 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 22:52:12
麦わらの一味がわちゃわちゃしてる所かな
ビビ離脱後の
チョッパー「うわあ野蛮人……」
ナミ「最低……」
フク「大凶……」
サンジ「マリモ……」
ルフィ「三刀流」
ウソップ「まてルフィ、三刀流は悪口じゃねえぞ」
みたいなの

麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 34スレ目

≫3 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:08:29
なんか降りてきた。
時系列は、FilmZの終盤、ピリオ島で、ゼファーが酒飲んでる辺りの存在しない記憶。

 グランリブートの最終段階、ピリオ島の攻防戦は、佳境だった。
 新世界壊滅、海賊絶滅を掲げた作戦のピリオドを前にして、カルデラの底で、教え子送られたシェリー酒を嗜むゼファーの前には、予想外の闖入者が現れた。

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」

 そいつは高笑いと共に出現した。

「やぁやぁ、僕を出迎える花火かと思いきや艦隊戦とは、些か地味ではないかい? こう、もっと星が振るような演出が欲しい所だね!」
「貴様は……」
「おやおや、アレに見えるは! サウザンドサニー号! 麦わらの一味か! しばらく見ない間に見違えたねぇ! やや! さらに奥には大将・黄猿! どうやら、漁夫の利を狙う気かな? 抜け目が無いねぇ」
「……テイエムオペラオー」
「おや? どこぞから、この僕に助けを求める迷い人の声がするぞ? さぁ、西風の輩よ、恥ずかしがらず叫ぶといい、君の前にある、褒むべき名を!」
「……なんのつもりだ」
「おあやおやおや? 聞こえないな。ヒーローへの声援は、声を張り上げるべきだろう! そう、この様にね!」

 テイエム・オペラオー!!

「さぁ、お手本は見せた! 次は君が高らかに名乗るがいい、己が信念の名を! 
 この舞台の出演者にして脚本家にして演出家よ! 僕がいるからと言って、気後れする必要はない! なに、僕以外はすべて脇役端役ではあるが、主役だけでは物語は回らんのだよ!」
「………。まずは服を着ろ」
「何故だい? 僕はこの島の秘湯で湯治をしていたんだ。僕一人しかいないとはいえ、衣服やタオルを湯船につけるのはマナー違反だろう!」
「―――。恥じらいと言うものはないのか?」

≫8 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:09:42
「それこそ何故だい?! 僕の躰に恥ずかしいところなど一つもないのだよ!」
 傷だらけの裸身を堂々と晒すウマ娘に、埒が明かないと見たか、ゼファーは自分のコートを投げつけた。
「相変わらず、ふざけた奴だ」
「そちらも変わらず紳士だね。とても大量虐殺を是とする悪党とは思えない」
「………。何が言いたい」
「言ったままだが? この僕が目にかけた、ヒーローの末路がこんな形とは、この世の無常を、儚むほかあるまい」
 巨漢であるゼファーのサイズに合わせて作られたコートに、ぶかぶかになりながらも袖を通し、テイエムオペラオーは、この世の終わりを見たかのように、大げさに落胆して見せた。
「………。貴様に、何が判る」
「わかるとも! 同じく物語の英雄、フィクションのヒーローになろうとした者同士、これでも君には親近感を抱いていたのだよ! ヒーローZ!」
「フィクション……。だと?」
「違うのかい? その年まで生きたんだ、海の戦士ソラなんて都合のいいヒーローや、ジェルマ66のように都合のいい悪役なんて、フィクションの中か、子供のごっこ遊びの中にしかいないことぐらい、わかっているだろう」
「……貴様―――」
「だからこそ、その夢物語を現実にしようと、戦い続け、足掻き続ける君は美しかった! まるで、僕の様にね!」
「――――――」
「そう、故に、いただけない。現実に敗北し、辛酸をなめるならばいい。それは再起の苦しみだ。いずれ大輪の花を咲かせるだろう。しかして、諦めてしまうのならば、惜しみながらも残されたものとして、胸も張れよう、襟も正せよう!
 だが、現実に敗北し、理想を投げ出しながら、信念と言う視野狭窄に逃げ込むなど、とてもじゃないが美しくない!」
「―――」
「君の生徒は、恩義故にに舌鋒が鈍るだろう。君の悲劇を知るものは、優しさ故に言葉を濁すだろう。
 魂の同志であるこの僕が、僕だけが―――。君にこう言ってやれる。
 【老人の絶望を、押し付けてもらっては困る】とね」

≫6 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:10:39
「―――ふん」
 ゼファーは、鼻で笑った。
「無軌道に天竜人を殴り倒すだけの小娘が、よくぞ吠える。それで―――、貴様は何を成し遂げた? マリージョアに殴りこみ、仲間を失い、貴様はそのザマだ。
 貴様には、信念を貫く力がない。力がない分際で、身の程知らずの理想を掲げた末路がソレだ。だが、俺は違う。俺は成し遂げる、このグランリブートを、新世界ごと薄汚い海賊どもを、全て消し去る。大海賊時代を、終わらせてやる!」
 悪を打ち亡ぼす。それが、ゼファーの信念。ヒーローZなのだから。もう、止まることは出来ない。
 ゼファーは、自身の右腕、バトルスマッシャーを掲げ、オペラオーに突きつける。
「邪魔をするというのなら、貴様を打ち倒すだけだ。どうする! 貴様も武器を取るか!」
「……。いいや、やめておこう」
 僅かな沈黙を挟み、テイエムオペラオーは決断した。
「君を諭し、導くことが出来るのは、きっと僕だけだった。だがそれは、余りにも遅きに失したようだ。
 ならば―――、役目を終えた役者は、早々に舞台から去るべきだ。
 君を打ち倒すのは、未来を駆ける、もっと、若い息吹であろう―――」

 その時、闇夜を切り裂き、モンキー・D・ルフィ―――、未来の海賊王が、カルデラの底に辿りついた。

 その後の事は、語るまでもない。
 ゼファーは信念を貫き通し、信念に殉じた。

≫8 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:12:18
 すべてが終わって、テイエムオペラオーは、ゼファーの墓前へとやってきた。
「君と出会ったのは何時だったか、確か、天竜人の誰かを殴り飛ばして、嵐の中、天竜人の犬を振り切って、そして君たちの演習艦と遭遇したのだったかな?」
 昔を懐かしむように、彼の愛したシェリーを持ち出す。
「酷い嵐だった。君の船だけはどうしても振り切れず、お互いに座礁、クルーが嵐の海に投げ出される始末。僕はカナヅチだから、本当に死ぬところだった。それを助けてくれたのが、君だったね」
 お互い航行不能なった船で、無人島に漂流。オペラオーはクルーを、ゼファーは生徒を生かすため、海賊と海軍の垣根を越えて、協力する他なかった。
「アヤベ君が売り言葉に買い言葉で、ウマ娘の内情を晒してしまうものんだから、一時期変な空気になったけれども。それを理解したうえで、君はお説教をくれたっけ」
 君たちの窮状は判った。だが、海賊をやる事だけは間違いである。その当時に言われたことを、声色を使って演じる。
「ウララ君はさっさと懐くし、ドトウは脅威に思われづらい性格だし、アヤベ君は、あれで流されやすいし、トップロード君は―――、まぁいいか」
 そうやって、いろいろ話すようになって、一つのチームとして、お互いの船を直し、それぞれの世界に戻っていった
。 あの時は―――、本当に楽しかった。 
「僕たち、ウマ娘は絶望の中に居る。だからこそ、僕はその絶望を打ち破る希望に、太陽になろうとした。困難な道で、しかも道半ばだ。それでも、僕がくじけないのは、正義のヒーローと言う子供の頃からの夢を、決して諦めなかった君がいたからなんだよ。 ゼファー……」
 墓標となった彼の義手に、トクトクとシェリーを注ぎ、彼女は友に別れを告げた。


お目汚し失礼しました。
なんか、ゼファーさん関連だけどあえてオペラオーで。
教官時代のゼファーさんなら、背に腹は代えられない状態で、ウマ娘の窮状を知れば、対応が甘くなるかなと思ってみたり。

≫40 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:40:20
ハードル下げるために雑記憶を投げとく
in空島
チョッパー「クルミにアロエ、バナナにニンニク」
フク「五寸人参、金時人参、朝鮮人参」
ゾロ「ねずみにカエル」
サンジ「よしシチューにブチ込め」
ナミ「ちょっと待てェ!!!今おかしい食材あったわよ!!!」

≫43 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:42:41
なら、ルフィとシュライヤが暴れた後にアイネスフウジンが表れて「待ってくださいよ~シュライさ~ん」的なこと言って現れる。周りのモブ海賊にいやらしい手つきを触られるがすぐに撃退。
シュライヤがルフィに言葉を残して去るときに「今度は狙いで行くからな。アイネス行くぞ!」と言ってアイネスフウジンを呼び掛け。「早くしないとおいていくぞ」と言いながら歩行はゆっくりのシュライヤ
そのころ、サンジ達の前には最近名が売れている海賊団「カノープス」が表れる(サンジはネイチャに口説くがうまくかわされる)
船長というミナミザカという紳士的な態度にあっけにとられるウソップとナミとチョッパーとフクキタル。
だが、ゾロとサンジとロビンは彼がただものではないことを見抜いていた。
そんでレース当日に方向転換とか苦戦しているルフィ海賊団と変わって他の海賊団の裏で独走するカノープス。
中盤、ディクタスとミナミザカによりレースの目的地が海軍基地だと気が付きその場に離れて、ルフィたちと合流する。「一杯食わせたガスパーデとやり返さないか?」とのミナミザカの提案に乗る麦わらの一味。
タンホイザの悪魔の実によってガスパーデの一味の位置を特定して向かう。

こんな感じのデットエンドの冒険の話が浮かんだ。
矛盾が買ったらアイネスフウジンが麦わらの一味にレース中に拾われて過去を話すところを書く予定

≫45 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:43:59
これはどうにかSSにしたかったけどうまくまとまらなかったので諦めたライス過去編の走り書きです

海難事故によって幼くして両親と別れることになってしまったウマムスメ族のライスシャワー。
手元にあるのは船が沈む直前に遠い国の刀鍛冶だったらしい父が「これがライスを守ってくれるから」と持たせてくれた短剣のみ。
流れ着いた海岸に見たことのない果物のようなものが打ち上げられており、空腹に耐えかねたライスはそれを口にしてしまう。それが"カリカリの実"という悪魔の実であることも知らずに。
なんとかして両親を探そうと近くの町へ助けを求めに行くも、そこはウマムスメ族への差別が未だ根強く残っておりひどい仕打ちを受ける。
両親の形見である短剣を奪われそうになり、無意識で能力を使用して逃走する。
以降は密航したりして各地を転々とするように。パンを盗んだと濡衣を着せられたり意味もなく殴られたり人さらいにさらわれそうになったりと散々な目に。「お前のせいだ」「お前が悪い」と罵られるうちに「ライスはだめな子」だと思いこむようになってしまった。
そんな生活を1年ほど続けたある日。ライスは薄暗い路地裏でじっと座り込み、形見の短剣を鞘から抜いてじっと見つめて両親を思い出しながら泣いていた。
お母さまとお父さまに会いたい……。ぽろぽろと涙を溢し鼻を啜っていると、知らない男に声話しかけられる。
その男こそドンキホーテファミリーに潜入して少し経ったくらいのコラソンであった。泣きながら刃物を見つめる子供を見つけ、自殺でもするのではないかと思って慌てて声をかけた次第だった。
「こないで!!」と悲鳴じみた声を上げるライス。ぎょっとするコラソン。「よせ!子供のくせに早まるんじゃねェ!」
「おねがいだからこないで!ライスがいるとみんな不幸になっちゃうの…!だから……だから……!」
尋常ではない様子のライスを見て、ますます放っておけないと感じたコラソンはライスを刺激しないようゆっくり近づいていくが、ここでいつものドジっ子発動。古くなって落ちた手配書を踏んで思いっきり転んでしまう。

≫46 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:44:35
「きゃああああ!?」それを見て悲鳴を上げたライスは、思わず短剣を取り落としてコラソンに駆け寄った。
「ごめんなさい、ごめんなさい!ライスのせいだ!ライスのせいで、また……!」
止め処なく涙を流し続けるライス。コラソンは思いっきり打った頭から血を流しながらもライスの頭をそっと撫でる。
「お前のせいじゃない……」「でも、でも……!ライスのせいで転んで、血だってこんなに……」「いいか、おれは元からドジっ子なんだ。今のもお前のせいじゃなくてただのおれのドジだ」「ぐすっ……うう……」「そして確かに血は出てるかもしれないが大した怪我じゃねェ、このくらいは慣れてる。お前が気にすることはなんにもないんだ」「あ……う……ひっく……うええええん!」
ライスは目の前の男に縋り付き、思いっきり泣いた。騒ぎが嗅ぎつけられないように能力を発動させながら、コラソンはこれからどうしたものかと考えた。

コラソンはライスから海難事故で両親とはぐれてしまったことを初め事情を聞き出す。過酷な日々のせいですっかり怯えきってしまったライスに心を痛めるコラソン。
本来なら孤児院にでも保護させたいところだが、ライスが明らかに暗殺に特化した悪魔の実の能力を身につけている以上一般の施設に放置するわけにはいかない。また潜入任務中である以上表立って海軍と接触するのもまずい。気は進まないが、戦う術も知らない少女を放っておくよりは少しでも自身の目が届きやすいところに置いておいた方がいいだろうと判断してドンキホーテファミリーに連れて帰ることに。
「コラソンさんってとっても優しいね。お父さまみたい」「おいおい、まだそんな歳じゃねェぞ。せめてお兄さまだろ」「うん……そうだね、お兄さま」
そうしてドフラミンゴの元へ連れてこられたライス。ドフラミンゴは最初こそ泣いてばかりのウマムスメをファミリーに入れることに難色を示したが、コラソンの無言の圧に渋々了承する。
それからファミリーで戦う術や身を護る術を教わりながら1年ほど経過。それなりに馴染みつつも、子供嫌いで通っているコラソンから唯一手を上げられないことから「コラさんのお気に入り」と認識されるように。

≫47 二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 23:45:09
珀鉛病に侵されたローがドンキホーテファミリーにやってくると、邪険にされながらもかつての経験から「ひとりだと寂しいから」と親身になってついてくついてくするようになる。泣き虫でチビでコラソンにエコヒイキされてる甘ったれのくせに……と意地を張っていたローもライスの根気強さと本気で心配している様子に根負けし、呼び方を「チビ」から「ライス」に改めついてくついてくしても邪険に扱わなくなる。
それから数年(2年くらいだっけ?)。コラソンがローを連れて医者巡りの旅へ。急なことで時間がなかったのもあってライスを連れていくことはできなかったが、コラソンとしてはローの病気を治したら必ず迎えに行く腹づもりだった。
尚、このときローはライスの落とし物である青バラの髪飾り(コラソンからのプレゼント)を拾ったものの返し損ねており、そのまま持ってきてしまっている。多分「ライスに会って直接返さなきゃな」みたいなやり取りをするんだと思います。
そして半年。コラソンがいなくなった影響かその間ライスに課せられる訓練はより厳しいものに。「いつかローくんが戻ってきたら守ってあげられるように」「今度はライスがお兄さまの役に立てるように」と必死に食らいつくライス。
しかし無情にもミニオン島の事件でコラソン死亡。ライスはドフラミンゴから「オペオペの実という悪魔の実を使ってローを救う計画だったが、ローがコラソンを裏切って殺しオペオペの実を盗んで逃げていった」と吹き込まれる。ローがそんなことをするはずがないと信じたくなかったライスだが、「ならコラソンが死に、ローが戻ってこないのは何故だ?」「病気が治ったならファミリーに戻ってくればいい。そうしないのはあいつが裏切り者だからだ」と畳み込まれてしまう。
「愛しの"お兄さま"を裏切ったローが憎いだろ?」
それからライスは十数年に渡り、ローへの復讐の刃を砥ぐこととなる。
最高幹部とドフラミンゴから徹底的な"教育"を施され、元々持っていた長距離適正者(ステイヤー)の才能を開花させ、能力を完全に使いこなせるようになり、ついに最高幹部"三代目コラソン"にまで上り詰めるのであった。

……付き合いの長いベビー5曰く、「なにもドジなところまでコラさんに似なくても……」とのことである。

≫78 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 00:18:24
ヴィンスモーク・サンジとして、サンジは城を歩いていると、一人のウマ娘と鉢合わせした。
ここにいるということは戦士、もしくは召使いなのだろうが、どちらにも該当しない白いジャケットを着ている。
ウマ娘であるが故に容姿端麗だがその顔には表情がなく、感情が読み取れない。勿論見聞色を使えば分かるだろうが、逆にいえば使わなければ読み取れないほどに彼女は無表情だった。
そしてサンジは、城内にウマ娘がいることに憤っていた。
(あの野郎…ウマ娘にも手を出してやがったか…!この子も感情が消えるように調整されたんだろう…!)
そんな事を考えていると、
「いえ、マスターは関係ありません」
淡々と、しかししっかりとした声色で少女はサンジの思考を遮った。
「確かに私はマスター達に鍛えられましたが、そんな事はされていません」
「っ! 見聞色の覇気、当然習得しているか…。しかし嬢ちゃん、関係ないとはどういう事だ」
「そのままの意味です。サンジ…兄さんと呼べばいいんでしょうか?義理とはいえ、ヴィンスモーク家の…ウマ娘ですけど、人間にそう呼ばれるのは嫌ですか?」

≫79 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 00:18:58
サンジは一瞬考え、答えを出す。
「少なくとも俺のガキの頃にはいなかった嬢ちゃんに当たるのは筋違いだ。兄さんと呼んでもかまわねぇよ」
「ありがとうございます」
少女はぺこりと頭を下げた。
「私はミホノブルボン。一応、ジェルマ66のナンバー3です。サンジ兄さんが帰ってきましたから、私の立ち位置がどうなるかは知りませんが」
ミホノブルボンはポケットから白色の『3』と書かれた缶をサンジに見せる。彼女がレイドスーツを持っている証拠だ。
「成る程、俺の後釜というわけか。…それで?」
ブルボンは缶を仕舞い、話を戻す。
「私は戦災孤児です。本当の両親は分かりませんが、私がミホノブルボンだということは事実です。そんな私をマスター…お父さんが拾ってくれました。そして強くなりたかった私は、お父さんに鍛えてもらいました。強制ではありません。私は拾ってくれたお父さんに恩返しがしたかった…それだけなんです。兄さんには最低の父親かもしれませんが、私にとっては最高の父親なんです」
「そうか…しかし、レディに失礼だが感情がないのはどういう事だ。手を入れてなければそんな事は出来ないはずだ」
「それは…」
ブルボンは頰をかいた。
そしてサンジにも、答えが何となく理解できた。
「苦手なんです。感情にあった表情を浮かべるのが…」

ミホノブルボン
ヴィンスモーク家の養子。ジェルマ66ではサンジの代わりにナンバー3『AccelWhite』を務める。特殊能力は超速領域突入能力(ようはサイボーグ009の加速装置)で、遺伝子操作はされていないがウマ娘としての身体能力と鍛えた見聞色によって成立させている。
孤児であり、両親は死亡している。故郷はトレセン諸島ではない。母親は天竜人に捨てられた奴隷ウマ娘ではなく、自らの意思でトレセン諸島の外に出て暮らしていた。

≫82 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 00:21:58
レイドスーツの見た目は勝負服にマントを足したやつです。ブルボンの勝負服ってレイドスーツっぽいよねって発想から

≫80 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 00:19:25
デットエンドのアイネス
シュライヤから「ここから俺の問題だ。お前は故郷に帰って妹たちの面倒を見てやれ」と言われてシュライヤに置いて行かれるアイネス。
追いかけようとするが、アナグマが1人で駆け出すのを見て故郷の妹たちのことを思い出して追いかける。
その後、アナグマ1人でじっちゃんを助けるために海賊を殺そうとするのにアイネスは止めるがやめないので手伝うことにする。
結局、麦わら一味相手で失敗してアイネスはアナグマを助けようとするが、麦わらの一味は他の海賊とは違うのに驚くアイネス(ナミがキレて彼方を抜き出した時もアナグマをかばうアイネス)
たまたまアイネスを覚えていたルフィはアイネスが防止の奴(シュライヤ)と一緒じゃないかとなんでアイツと一緒にいるんだと聞くルフィ。
そこでアイネスは昔、故郷を襲った海賊によって自分達姉妹が海賊に捕まりそうになった時に助けてくれたのがシュライヤだと語る。アイネスは自分の恩人で過去を背負っている彼の力になりたかったのを語る。
その後、レースの競争相手の海賊が攻めてきて無際の一味と一緒に戦うアイネス。
ガスパーデのたくらみを知ってガスパーデ一味のところへ行くとボロボロになったシュライヤがアイネスは彼がひとりで言ったのを責めるがシュライヤは「俺はもう妹がいねぇ…お前には守るべき妹がいるのだろう?…お前は俺のようになるな…妹を守って幸せに暮らせ……」と言う。アイネスはそんな彼を抱きかかえる。
そしてすべてが終わり、アナグマが実は生きていたシュライヤ妹と分かり喜ぶが重い空気に戸惑うアイネス。
最期はじーさん、アナグマ、シュライヤと共に麦わら一味を送り、シュライヤが「さーて、どうすっかな…妹が生きていたが故郷はもうねぇ…」とぼやく彼にアイネスが「だったら私の故郷に来ない?」と誘われて少し考えるが「……それもいいかもな」と答えるシュライヤ。
そんなシュライヤを見て、にやにやしているアナグマ。シュライヤは彼女に「なんだよ、その顔は」と聞くけど、「教え―ない」と走るアナグマ。最後にアナグマが「よろしくね、義姉ちゃん」とアイネスに言ってアイネスが一呼吸おいて「はい!」と笑顔で言ってEND

こんな感じでどうだろうか?

≫144 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 02:54:31
 ドレスローザ終盤。
 サボやウンスと共に、海軍の足止めを行うキング。
ウンス「それにしてもよかったのキング? こっちにきて」
キング「…なにがいいたいのかしら?」
ウンス「いやさどっちかっていうと、向こうの方が大舞台じゃんか。
    キングなら、そっちに行きたくなるんじゃないって思ってさー」
セイウンスカイの言葉にキングはフンっと鼻を鳴らす。
キング「一流たるもの、この場の主役が誰かはき違える事はなくってよ。
    そりゃ…向こうへ行きたい気持ちも、
    少し…それなり…だいぶ…か な り あるけれど!」
ウンス「あ、やっぱりー」
 それでも、とキングは少し懐かしむような表情で笑う。
キング「『麦わら帽子』の少年よ。
    なら、少しは助けになってあげるのが黄金世代の役目ではなくて?」
ウンス「…だね。じゃあいっちょ、ここはど派手に暴れちゃおうか!」
キング「…その言い方は、あの男の事を思い出して複雑だけど――
    ええ! 一流の戦いというのを見せてあげるわ!」

≫145 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 02:55:01
海兵1「気をつけろ!『撫で斬り』のキングヘイローだ!」
海兵2「間合いに近づくな! 距離を取って対処するんだ!」
 そう言って銃撃、砲撃でキングを攻撃する海兵。
 その銃弾砲弾を避け、時には切り落とすキング。
キング「イッショウさん――はよく存じ上げませんけど、
    さすがバスティーユさんの隊ですこと。
    とてもよく練られた連携をされているわ」
 けれど、とキングはヒラリと宙を舞って平地へと着地すると、
 手にしたバスタードソードを納剣し、身を低く構える。
キング「一流である私は、さらにその上を征く事をお見せするわ」
 そう言って低く構えた姿勢のまま、海兵たちへと踏み出す。
 一歩、二歩、助走をつけるように踏みしめ
キング「我心我刀…外縁(げえん)みな斬り祓う…」
 三歩目、鍔を親指で少し押し上げ刀身が煌いた瞬間、その姿は消え――
キング「刀鏡(とうきょう)『衆剖竟(しゅほうつ)』!」
 無数の煌めきと共に斬り飛ばされた海兵たちの後ろへと、キングが姿を現した。
 どさどさと音をたて海兵たちが倒れる中、小さな納剣音だけが響き、そして
キング「おーっほっほっほ! どう? これこそ、王者の抜剣術よ!」
 キングは盛大に高笑いをかました。

≫156 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 05:56:21
ワイ、キングは刀派 名前は前のスレにあったヤツ

雷速の抜刀術と、黒王の拳撃がドレスローザ市街地で鎬を削っている。手数自体は拳であるキタサンブラックの方が多いのだが、キングヘイローの抜刀術はそれに対応できるほどに素早い。
「手数はあたしの方が多いのに!」
「ルーキーとはいえ流石は中将。ルドルフ元中将が見込んだだけのことはあるわね!」
キングは余裕を見せているが、実の所焦っていた。目の前のウマ娘が想像以上に出来るのだ。
しかもメジロマックイーンの足止めを担当している元同僚のセイウンスカイ曰く、市街地では能力を使えないのだという。
本来の実力はもっと上なのかもしれない。その事実はウマ娘はまだ上を目指せるという証明であると同時に、キングにとっては超えられる前世代な気がして少々気に食わなかった。
「響翔大咲天!」
ブラックが跳躍し、武装色を纏った鋭い回し蹴りを放つ。キングはそれを、真っ向から迎撃した。
「刀鏡・神無拝!」
黒刀と黒蹴がぶつかり合う。
「あなたは凄いわ!悔しいけど、次世代を担う者の一人よ!だけどね…だからって簡単に負けてなんてあげないわよっ!」
「なっ!?」
キングは迎撃していた刀を引き、身体を翻してブラックの背後に立った。自身の勢いに振り回され、ブラックはバランスを崩している。
その隙に左手に持っていた愛刀『光輪』の鞘をもう一本の刀のように振り回し、逆手持ちでブラックの後頭部に叩きつけた。
「鬼燃・永夜魔!」
「ぐうっ!」
ブラックは地面に叩きつけられる。しかし、彼女はこれでダウンするほど柔ではなかった。
キングは再び抜刀術の構えを取る。
歴戦のベテランと期待のルーキー。
その戦いは熾烈を極めた。

麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 35スレ目

≫22 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 11:55:18
未来の副船長との交流

大宴会の裏側にてその男は、母親のようになれないと膝を抱え、嘆くキングに声をかけた。彼はいつも慣れない戦い方をしてピンチに陥る彼女を助け、庇っていた。
「少し、いいかな?」
「何よ…」
「君の戦い方、君の体にあってないんじゃないかな?」
「どういうこと…?」
「そのままの意味だよ。僕はウマ娘武術のことはよくわからないけど、少なくとも今の戦い方は君にあっていない。すぐ近くでずっと見てきた僕だから言える」
キングは彼の目を覗き込んだ。その目は真剣そのもので、そしてなによりもキングのことを思っているように見えた。
「でも…だからってどうすればいいのよ…」
「ちょっと待ってて」
彼はキングの側を離れ、ロジャーに声をかけた後、見つけた宝の山の中から一本の刀を持って戻ってきた。
その刀は白鞘に緑と黒で彩られた見事なものだった。
「これは?」
「僕もあまり詳しくないんだけど、船長たちによると大業物の一刀『光輪』というそうだ。これを使う方が君にあっている」
差し出してきた刀をキングは受け取る。
ロジャーの許可を得ているから、この刀の所有者は彼なのだが、彼がキングに譲渡したためキングが持ち主となった。
男は続ける。
「君の長所は一瞬の瞬発力とパワーだ。抜刀術で戦うのはどうかな?刀ならその戦い方に向いている」
「でも…」
「君はキングヘイローだ」
「っ!」
その日から抜刀術を我が物にするための地獄の修練が始まった。
そして彼女の刀が黒刀になった頃、その強さから『撫で斬り』の異名で恐れられるようになった。

≫51 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 16:04:07
34スレ目でバギーとエルの合体技「解体演目・陽光駆流(バラバラエティ・サンクルー)のネーミングセンスがすごく好きだったのでそのシーンだけSSにする

エースを助けるため、インペルダウン脱出を目指すルフィ一行。そこに獄卒獣達が彼らの前に立ちはだかる。
「こいつらすっげー頑丈だぞ!全然倒れりゃしねぇ!バギー!なんかスゲェ技持ってねーのか!ミギー弾だかヒダリー弾だかそういうの!」
集まってきたブルゴリ達を拳で打ち倒しながらルフィが叫ぶ。
「バギー弾っつってんだろクラァ!!いやマギー弾でも良かったがカスリもしてねェ!!」
「船長!アレはどうデスか!?」
助け出したバギー一味のウマ娘、エルコンドルパサーがブルゴリを足場に飛び回りながらバギーの側に降り立つ。
「アレェ?...へへっいいじゃねェか!久しぶりにやるか!タイミング遅れんなよエル!」
「船長こそ飛ぶ前に潰されてないでクダサイね!!」
バギーが上半身を分離させ、獄卒獣の一体、ミノタウロスに組み付き、そのまま上空へとグングン上昇していく。
それと同時にエルが駆け出し、ブルゴリと壁をまるでリングのコーナーポストに見立てるように利用し、上空へその身を躍らせる。
そしてバギーが捕まえていたミノタウロスの上半身に組み付き、そのまま二回転。頭を下に固定、バギーは下半身を動かせないよう固定する。ミノタウロスがもがくがもう遅い。
「『解体演目・陽光駆動(バラバラエティ・サンクルー』!!!!」
落下地点には無数のブルゴリ。ミノタウロスはそこにミサイルの如く脳天から垂直落下する。
ゾオン系の覚醒者で頑丈と言えど、ひとたまりもなくブルゴリを下敷きにミノタウロスが倒れ伏す。
「ぎゃーはっはっは!!派手にィ!!!」「決まったデース!!!」
道化と怪鳥が同時に拳を突き上げた。

≫103 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 19:25:28
昔に同じネタあったかも
未来シリーズマチカネフクキタル。

40歳
あなた特吉です。
セミロングで容姿変わらんフクキタル。

60歳
あなた超吉です。
ロングで容姿変わらんフクキタル。

何かあった未来
40歳
あなた大凶ですねそれを回避するためにはこの開運グッズをお値打ち価格で。
シワの増えたフクキタル。

60歳
この開運グッズ買わないとあなた死にますよ。
いいから買えよ大凶さん。
意地悪ババアみたいなフクキタル。

≫113 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 20:12:24
未来シリーズライスシャワー

40歳
あなたあの子が男友達連れてくるからってそんな不機嫌そうにしないでくださいな。
ショートになってるライスシャワー

60歳
これで子供達全員お嫁にいきましたね。
久しぶりの二人っきりだね。
白髪交じりの柔らかな笑顔のライスシャワー。

何かあった未来
40歳
悲鳴が少ないなあもっと声絞りだしてよ。
長髪の髪の毛で表情が見えないライスシャワー。

60歳
血血血血悲鳴悲鳴悲鳴血血血悲鳴悲鳴悲鳴!?
白髪の異常な長さの髪の毛に返り血か自分の血なのか血液を大量に被っているライスシャワー。

≫139 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:34:21
しょうこりもなく頂上戦争のワンシーン妄想

「おい赤っ鼻ァ」

「誰が赤っ鼻じゃコラァ!!」

白ひげの首をとろうとおだてられるバギー
不意にかけられた声に返答してしまう。
その声の主は、世界最強の男_白ひげであった

「ロジャーんとこの見習い共じゃねぇか。懐かしいな」

(白ひげぇぇぇ!!?)

「白ひげのオジサンデース!」

内心ビビっているバギーに対し、エルは自然体である。
かの白ひげに話しかけられたとあって、囚人達は二人への尊敬を強めていた。

≫140 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:35:06
おれの首でも取りに来たか?」

「いやいやこの場で争う気はないデース」

「…むしろ手を組みたいくらいだぜおれァ」

「なら丁度いい。昔のよしみで頼みてェことがあってな。今おれの娘のグラスが前線で戦ってる。
アイツの腕はおれが保証するがいかんせん相手が厄介だ。お前達はグラスの兄妹分だったな。
どうだ、グラスが危険な状態になったサポートしちゃあくれねぇか?」

「任されマシタ!!!」

「いや判断が早ェよエル!?」

「だってグラスのピンチなんですヨ?いかない選択肢はないじゃないデスカ」

「海賊も海軍も大物だらけだぞ!?グラスの為とはいえ、そうそう…」

「…お兄さん、昔の約束忘れたんデス?」

「ああ、わーったよ!!やればいいんだろ!!」

≫141 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:35:42
なら決定デース!!」

二人の答えを聞いた白ひげは、どこか安心したような笑みを浮かべた。

「そいつは助かる。褒美は宝の地図でもどうだ?」

「俄然やる気が出てきたぜ!」

(あーーお兄さんの扱いを心得てますネ)

先ほどからうって変わって、やる気のバギーに沸き立つ囚人達。
エルはそんな様子を生暖かい目で見ていた。

「そうと決まれば行動だ!お前が先陣をきれエル!」

「ケ?私デスか?」

「おれ達の中でお前が一番早い。その足ならグラスにすぐ追いつける。状況を見て助太刀してやれ。おれも後から追いつく。」

「そういうことなら了解デース。」

コクリとうなずくと、エルは戦場のただ中で駆けて行った。

≫142 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:36:14
「行くぞ野郎共!!」

それをバギーと囚人たちが追随する。
また、戦場の流れが動こうとしていた。

≫149 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 22:04:48
【ドレスローザ編前日譚】

ざわ…… ざわ……
ライス「(なんだか町が騒がしいなぁ……何かあったのかな?)」
住民A「あっ!ライスさん!一体どういうことなんだ!?」
ライス「えっ?ど、どうしたんですか?」
住民B「国王が王下七武海をやめるって本当か!?」
住民C「この国はどうなっちゃうの!?」
ライス「…………え!?えっ、ええええーーー!?」
《またしても何も知らないライスシャワーさん(27)》

≫163 二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 22:25:19
ふと思いついたドレスローザ前によく見られたスレ

アナタのバネバネの実、エルによく合いマース
エルコンドルパサー、バネバネの実の能力者だった
「あの跳躍力は変だと思った」
「ベラミー死んだっぽいしあり得るな」
「エルのほうが1000倍使いこなしてる」

≫195 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 01:34:34
中略。オグリとタマの船が軍艦の砲撃を受けている。

「あー、これはキリ無いなぁ。」
「降り注ぐ砲弾の雨。この船は大丈夫だろうか?」
「沈没不可避やな!あっはっは!

笑っとる場合ちゃうな。ちょーっと黙らせてくるで。」

タマモクロスはビリビリの力で即席の電磁レールを作る。
打ち出す物はもちろん、自分自身。

「タマモクロス、出走や!」

言うが早いか着弾が速いか。
それほどの速度でタマは軍艦の甲板に突き刺さった。

「ぶっはぁ!悪ぃなぁ海兵さん!ま、これも正当防衛っちゅうコトで……」

白い稲妻が迸る。
海兵達が一斉に銃を向けて来るが……遅い。

「さぁ、ウチとやろやぁ!」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
添付ファイル
記事メニュー
ウィキ募集バナー